関西のゲーム業界を盛り上げるために。一般社団法人デジタルエンターテインメントクリエイター協会(DECA)設立の意図を理事7名に聞く

関西のゲームに関わる各種団体等を結ぶハブとなること、関西での産学連携の土台となることを目的として立ち上がった、一般社団法人デジタルエンターテインメントクリエイター協会(DECA)の理事へのインタビューをお届け。

 2017年11月、関西のゲーム会社の有志たちによって、一般社団法人デジタルエンターテインメントクリエイター協会が設立された。英語表記はDIGITAL ENTERTAINMENT CREATORS ASSOCIATIONで、略称はDECA(よみ:デカ)。

 DECAの設立にともない、関西で行われるゲーム開発者向けの大規模勉強会“GAME CREATORS CONFERENCE(以下、GCC)”の運営は、今後DECAが担うことも明らかになった。GCCは、2016年に始まった勉強会で、次回は2018年3月30日(金)に開催。講演数は前回からさらに増え、24セッションを予定している。

 本記事では、DECAの理事7名へのインタビューをお届け。一般社団法人を立ち上げた意図や、今後の展望などをうかがった。

代表理事 松下正和氏

理事 大下岳志氏

理事 香川悟氏

理事 久禮義臣氏

理事 秦泉寺章夫氏

理事 田口昌宏氏

理事 槙石隆氏

関西の学生とクリエイターの情報共有や交流を活発に!

――最初に、なぜ今回、DECAを立ち上げたのかという経緯からお聞かせいただけますでしょうか。

松下これまで僕たちが運営してきたGCCが、今度で3回目を迎えるんですけども、毎年少しずつ規模を拡大していて、次回は1000名の参加者を見込んでいます。それだけの大きなカンファレンスになると、運営費も多くなりますので、“一般社団法人が運営する”という形にしたほうが、組織の透明性があり、公的なものとして見ていただけると考えました。

秦泉寺これまでのGCCは、本当に有志が仕事の合間の時間を使って運営していましたが、これをきっかけに、GCCの運営だけでなく、関西での産学官の連携を進めたいと思っています。

松下もともと、GCCを始めた理由のひとつに、“勉強会を通じて、関西にある企業や学校と連携したい”という考えがありました。その目的に向かって進むためにも、一般社団法人を作りたいと思ったんです。

――これまでにも、関西にはGIPWestなどの組織がありましたが、既存の組織とDECAの違いを教えていただけますでしょうか。

松下GIPWestは、関西のゲーム開発会社自体を盛り上げていくための団体です。ゲーム開発者向け、というより、デベロッパー向けですね。ちなみに、ここにいるメンバーは、DECA以外にもいろいろな会に所属しています。たとえば秦泉寺さんは関西ゲーム勉強会、香川さんは関西ゲームクリエイター交流会というように。そういった、関西でいろいろなコネクションを持っている人たちが集まって、いちばん大きな勉強会をやってみたのがGCCで、それを機に、今回DECAが立ち上がったというわけです。

――関西にいろいろな勉強会がある中で、GCCがもっとも規模が大きいものだというわけですね。

松下はい。DECA自体はこれからいろいろな企画を実施していくつもりですが、中核になるのはGCCです。

――そもそも、GCCを最初に始めた理由というのは?

松下2015年に、CEDECの地方版であるKANSAI CEDECというものがありまして、ここにいるメンバーの8割くらいが実行委員をやっていました。その後、残りのメンバーも加わり、自分たちで勉強会を立ち上げればいいんじゃないか? と考えて始まったのが、GCCです。

――ふだんの業務を行いながら、勉強会を運営するのはたやすいことではないと思いますが、その根本にあるのは、どのような思いなのでしょうか。関西のゲーム業界の盛り上がりのためなのか、若手の育成のためなのか……。

松下どうでしょう。だいたいみんな同じ気持ちなのでは。

秦泉寺何かやったら盛り上がるんじゃないかっていう、関西のノリもありまして(笑)。

久禮僕は以前、東京でずっと働いていまして、関西に来て思ったのは、“関西の会社は、東京に比べるとコミュニケーションの場が少ない”ということなんです。東京にいたころは、いろいろなイベントがあったので、他社の方とも顔を合わせたのですが。それから、「関西にそういう場所を作りたいな」とモヤモヤ考えていたところ、KANSAI CEDECをきっかけにGCCが立ち上がることになって、「ぜひやりたい」と。関西のゲーム開発者の中で、こういった機会を待ち望んでいた気持ちは大きかったと思います。

田口僕や大下さんは、CEDECの運営委員も担当していますが、それは素直に「ゲーム業界を盛り上げたい」と思っているからです。そのための拠点は、関東だけである必要はなくて。大阪に住んでいる者として、「関西のゲーム会社に横のつながりがたくさんできて、お互いに切磋琢磨して情報交換できたら、ゲーム業界が盛り上がっていくだろう」と考えました。

――もともと関西では、ゲーム開発者どうしの交流があまりなかったのですか。

田口関西は受託開発の会社が多いので、自分が作っているゲームに関しても、話せないことがけっこうありまして。それゆえに交流しづらかったという面はありますね。

大下といっても、個人レベルの交流会は、じつはたくさんあったんです。そういった会で、中核として活動している方に声をかけたら、人が多く集まるんじゃないか……ということで、我々が集ったんですよね。

松下大規模な勉強会であれば、パブリッシャーさんの許可を得て、話しやすくなるかと。クリエイターも学生も、みんな情報に対する飢えはあって、熱はあったんだけど、それまで本当に機会がなかったんです。

――皆さんの長年の熱意が、実を結んだ形なのですね。

槙石スマートフォン向けゲームをメインにしている会社は、これまでも小さい勉強会を開催していたのですが、スケールが大きいものは開催できなくて。KANSAI CEDECとGCCのおかげで、コミュニティが広がって、若いスタッフにとって、いい機会になっています。

松下GCCを行うことで、最先端の情報を欲しがっている学生やクリエイターに、「関西でも最新の情報が得られる!」と思ってもらえることに、意義があると思います。

DECAを立ち上げ、まずは産学連携を進めていきたい

――DECAの活動の中核はGCCとのことですが、そのほかにやりたいことは?

松下案として出ているのは、まず、学生向けのコンテストやインターン企画ですね。

秦泉寺まだ提案の段階なのですが、関西の専門学校の生徒を集めて、DECAで講師陣を用意して、スーパースクールのような形で育てたいなと。そして、GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP。九州のゲームソフト制作関連会社などによる任意団体)のコンテストに送り込みたいなって(笑)。関西でもこういう試みをやっているぞ! って。

――たとえば京都では、産学官が連携して“KYOTO Cross Media Experience”を開催していたりしますが、そのような試みは?

松下正直に言いますと、行政との連携は、まだこれからです。まずは産学連携を進めてからかなと。前回のGCCでも、立命館大学さんにご協力いただいたりはしていますが、より推進していきたいですね。

大下関西には、たとえば美大など、ゲーム業界と関わりの深い学校が多いのですが、そういった学校と企業が連携して研究を進める動きは、あまりありません。いまは、そういった学校の皆さんに、関西のゲーム会社のことを知ってもらう段階だと思っています。

――産学連携のほか、たとえば一般のユーザーからアイデアを募集したり、交流したりする予定はありますか?

松下予定はありませんが、不可能かと言われると、もちろんそんなことはないです。ゲームファンの皆さんと何かできたら、いいですよね。

出会いの場かつ勉強の場となるGCCにぜひ参加を

――関西のゲーム業界は、ほかの地域と比べて、どのような特徴や文化がありますか?

秦泉寺僕の印象としては、“意外と外に出ない”。老舗のコンシューマ系のデベロッパーが多くて、先ほど話があった通り、情報が出せないので。

松下たとえばGFFさんは、レベルファイブさん、サイバーコネクトツーさん、ガンバリオンさんが同時期に会社を立ち上げていて、強い結びつきがあると思うのですが、関西では歴史の長い受託会社が多く、そこではあまりつながりがなかった。ですからGCCでも、「近くにいるのは知っていましたが、お会いするのは初めてですね」ということが多かったです。

秦泉寺関西のほうがオープンな性格のように見えるんですけどね。

松下なんだろうね、飲むのは好きなんだけどな(笑)。

――今回、DECAというわかりやすい組織ができたことで、交流が進むきっかけになったらいいですよね。

松下DECAがコミュニケーションの輪を広げていけたらと思います。懇親会には力を入れています!

香川せっかく勉強会で多くの人が集まったのに、誰とも話さず帰るのは、寂しいじゃないですか。懇親会は、いっしょに受講した方と話せたり、登壇者の方に深いところまで質問できたりする、出会いの場かつ勉強の場ですから。できるだけ参加したくなるような懇親会を目指しています。

松下前回のGCCの懇親会は、参加者が500人でした。

香川勉強会の参加者は550人くらいだったので、ほとんどが懇親会まで参加していますね。

槙石懇親会で話すと、「もっとこういうことが知りたい」という意欲が沸いて、新しい勉強会のきっかけになるんです。

――つぎのGCCでは、さらに懇親会の参加者が増えそうですね。

松下ぜひ、勉強会も懇親会も楽しみにしていただきたいです。勉強会では、GCCで初めて出るような情報もありますので。「本当に、この情報出していいの?」っていう。

香川そんなことを言ったら、スピーカーさんのプレッシャーになるかもしれませんよ(笑)。

松下たとえばカプコンさんからは、『逆転裁判』でおなじみの巧舟さんが登壇されますし、『モンスターハンター:ワールド』の講演もありますし。ほかではなかなか聴けないものとしては、コンセプトアートで知られるINEIさんの講演があります。

久禮INEIさんとは、以前いっしょにお仕事をさせていただいたことがあるのですが、ゲーム業界の中で、コンセプトアートの需要は高まってきていると感じ、講演をお願いしました。

香川内容がすばらしい講演ばかりで、運営をしていると、講演に参加できないというのが、辛いところではあります(笑)。

槙石去年はまったく聴けなかった(笑)。

――今後、DECAのメンバーを増やす予定はありますか? もしくは、加盟会社を募集するなど。

松下賛助会員を募集するかどうかは、いまのところは決めていません。運営に回ってくれる方は、来てくださるとありがたいですね。

久禮今回、DECAという組織が立ち上がってことで、「自分も参加しようかな」と思う方が出てきてくれるんじゃないかなと。

――関西のゲーム業界の盛り上がりに期待しています。

松下本当に、関西でゲームクリエイターを目指す学生の皆さんに、「関西が盛り上がっているよね」と思ってもらえることが大事だと思っていて。ゲーム業界の未来は明るい、と考えていただきたいです。そして関西では、交流会に力を入れてやっていきます。というか、それなしでは語れませんから!

――アットホームな雰囲気が見どころですね。

久禮僕としては、ちょっと手作り感というか、文化祭感を入れたいなと思っています。フランクな雰囲気と言いますか。

松下真面目に、ゆるくやっていきます。まずは、2018年3月のGCCに足を運んでいただければ。

秦泉寺その段階で、DECAから新しい何かを発表できるといいですね。

松下ちょっとプレッシャーですが(笑)。今後もいろいろな企画を仕掛けていきますので、よろしくお願いします。