2017年12月24日、東京テレビセンターにて、PC版『オーバーウォッチ』国内大会“Overwatch OPEN DIVISION JAPANシーズン3”グランドファイナルが開催された。本稿ではその模様をお届けする。

 本大会は、2017年11月25日から計6回行われるオンライン予選を経て上位8チームを選出し、予選を勝ち抜いたCYCLOPS athlete gamingとNaturals北海道が決勝大会に進出した。
 なお、前シーズンからの変更点として、シーズン3からはマスターランク(スキルレート3500以上)に到達しているプレイヤーであること、そして日本国内に在住という参加条件が無くなっている。

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CYCLOPS athlete gaming
Naturals北海道

 CYCLOPS athlete gamingは、シーズンオンライン予選を6戦全勝で通過。メンバーには“Overwatch World Cup”日本代表に選ばれたTa1yo選手、yoz選手、Claire選手が在籍しており、本大会の優勝候補と言われている。一方のNaturals北海道は、結成からまだ日が浅く、“Overwatch OPEN DIVISION JAPAN”にはシーズン3が初参加となるようだ。

 なお、決勝はBO7(最大対戦回数7、4本選手で優勝)行われ、ルールはコントロール、エスコート、アサルト、ハイブリッドの4種類となる。

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実況はシンイチロォ氏(左)、解説はabara氏(右)が務めた。

 第1マップはコントロールのLijiang Tower。序盤はやはり優勝候補のCYCLOPS athlete gamingがゲームを操るかのような強さを見せ、Naturals北海道は何度もグルーピングからの総攻撃→フロントラインを崩されるという厳しい展開が続く。Naturals北海道はAポイント、Bポイントを取られてしまい、CYCLOPS athlete gamingがまずは1ポイントを取得した。

 しかし、第2マップのDoradoでNaturals北海道は、ペイロード(車両)上にバスティオンとラインハルトを乗せる、俗に言うパイレーツスタイル作戦を選択。これがCYCLOPS athlete gamingに刺さり、序盤連続2キルを取るファインプレーを見せてくれた。
 攻守を交替し、CYCLOPS athlete gamingが攻撃側となった第2ラウンドでは、Naturals北海道側ヒーラーの的確な回復に助けられアタッカー陣が猛威を振るう。ゴール手前でもつれオーバータイムでは激しい集団戦が展開されたが、ここでNaturals北海道のdante選手がトレーサーのパルスボムで2キルをとり、人数差で押されてしまったCYCLOPS athlete gamingはゴールにたどり着けず。Naturals北海道がギリギリでCYCLOPS athlete gamingを抑え1ポイントを取得し、ゲームは1-1の振出しに戻った。

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第1マップとは打って変わって、緊張が解れた様子のNaturals北海道。CYCLOPS athlete gamingはオフライン大会には慣れているような素振りだったが、第2マップで敗れると、チーム内でピリッとした空気が流れていた……。(写真はCYCLOPS athlete gamingチーム)

 第3マップはアサルトマップのHorizon Lunar Colony。先攻となったNaturals北海道は、3名がアルティメットアビリティを使用して、なんとかAポイントを奪取。しかしあまりにAポイント奪取で時間を使いすぎ、さらに3名がアルティメットアビリティを使用してしまったせいか、Bポイントへの侵攻にもたついてしまう。なかなかBポイントに押し込むことができなかったNaturals北海道をCYCLOPS athlete gamingは固い守りで対処して見事防衛に成功した。
 CYCLOPS athlete gamingが攻撃側となった第2ラウンドでは、Aポイントをあっさりと奪取。この時点で残り時間4分とCYCLOPS athlete gamingがアドバンテージを持っており、yoz選手(ゼニヤッタ)がヘッドショットを決めるなど、ファインプレイを見せてくれるシーンも。しかし、Naturals北海道のさばげー選手(ゼニヤッタ)も負けじと3キルをとり、見事CYCLOPS athlete gamingを抑え2-1となる。

 CYCLOPS athlete gamingは勢いもありアタッカー陣の活躍は素晴らしかったが、Naturals北海道はタンクとyoz選手(ゼニヤッタ)をマークして相手に仕事をさせないようにしていたため、CYCLOPS athlete gamingはなかなかチームワークを発揮できなかった様子。
 さらに、Royal選手(マーシー)とSkyfull選手(ソルジャー76)がオーバータイムまでアルティメットアビリティを温存していたのも、勝利の要因かもしれない。

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 第4マップはハイブリットマップのKING’S ROW。先攻のNaturals北海道が早々にAポイントを奪取しペイロードを進める、勢いのあるプレイを見せる。一方のCYCLOPS athlete gamingは、アタッカーのTa1yo選手(トレーサー)がNaturals北海道後方から攻撃を仕掛け、敵を削っていく。
 Naturals北海道は第1チェックポイント手前までペイロードを推し進めることができたが、このままNaturals北海道に好き勝手にはさせられないCYCLOPS athlete gamingがここで猛威を振るう。アタッカーのTa1yo選手をはじめ、yoz選手(ゼニヤッタ)が健闘。Naturals北海道はザリアがアルティメットアビリティを持っていたものの、使うタイミングが読めずなかなか発動させないまま時間が経過し、ここは見事CYCLOPS athlete gamingがペイロードを止めることに成功した。

 CYCLOPS athlete gamingが追い上げを見せる第2ラウンドは、Ta1yo選手(ウィドウメイカー)が序盤連続2キルを取り、流れを作っていく。ここでもNaturals北海道はあっさりとAポイント奪取を許してしまい、さらにCYCLOPS athlete gamingの2スナイパー構成(ウィドウメイカー、ハンゾー)に混乱を隠せない様子だった。しかし、ゴール直前ではNaturals北海道も粘り、ここで長い長い集団戦になる。ここにきてひと際目立つ活躍を見せてくれたのが、Naturals北海道のさばげー選手(ゼニヤッタ)。残り僅かの体力でも焦らずにヒールと攻撃をくり出し、アルティメットアビリティを3回発動する活躍ぶり。これにはCYCLOPS athlete gamingもなかなか推し進められず、Naturals北海道がペイロードを止め切り、3-1でマッチポイントとなった。

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 Naturals北海道のマッチポイントで始まった第5マップはコントロールマップOasisに。後がないCYCLOPS athlete gamingは、意地でも1本を取りたいところ。Oasisの基本構成はファラとマーシーだが、ここであえてマクリーをピックしたTa1yo選手。怒涛の連続キルを重ねるTaiyo選手は、キルの7割がほぼヘッドショットという驚異的なエイムを魅せてくれた。そしてTa1yo選手を追うようにyoz選手とYnnnnnnn選手もキルを重ね、第1ラウンドでNaturals北海道はほぼ手が出せない状況に。第1ラウンドはCYCLOPS athlete gamingが先制点を取った。
 しかし、集団戦から始まった第2ラウンドはNaturals北海道のSkyfull選手(ソルジャー76)のアルティメットアビリティに押されてしまい、制圧ポイントに手を出せず。1-1のふりだしに戻る。

 ここでCYCLOPS athlete gamingはヒーロー構成を変更し、Ta1yo選手はザリアをピック。これが功を奏したのか、制圧ポイントのファーストピックはCYCLOPS athlete gamingが取得する。Naturals北海道は終盤に制圧ポイントを取り返すも、CYCLOPS athlete gamingのアタッカー陣の働きによりNaturals北海道は総崩れ。CYCLOPS athlete gamingがなんとか1ポイントを取り戻した。

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 3-2で迎えた第6マップは、ペイロードのWATCHPOINT:GIBRALTAR。防衛側CYCLOPS athlete gamingが粘りを見えると思いきや、スムーズに第2チェックポイントまでペイロードを進めることに成功したNaturals北海道。Naturals北海道はタンクのD.vaをマークし、タンクを落としてフロントラインからチームを崩す作戦を展開する。しかし、Ta1yo選手(ウィドウメイカー)の2キルに助けられるシーンもあり、SamuraiD(D.va)の自爆で3キルを獲得。なんとかゴールにたどり着く前に守りきれたCYCLOPS athlete gamingからは、安堵の表情が浮かんだ。

 しかし、攻守を交代した第2ラウンドで、いきなり集団戦を仕掛けたNaturals北海道。 Skyfull選手の飛び込みと、さばげー選手の2キルが痛かったのか、なかなかペイロードの進行を止められないCYCLOPS athlete gaming。Naturals北海道は、Naturals北海道ほぼ全員がアルティメットアビリティを持ったまま突入したオーバータイムでの怒涛の攻めに、CYCLOPS athlete gamingは一歩及ばず。初参加のNaturals北海道が見事優勝を手にした。

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 ほぼ全員が「勝てるとは思っていなかった」と言うNaturals北海道チーム。CYCLOPS athlete gamingはアタッカー陣のファインプレーが多数見られたが、Naturals北海道にマークされていたタンカーとヒーラー(とくにyoz選手)をフォローできず、マークされていた選手がなかなか本来の仕事をまっとうできなかったように見える。対するNaturals北海道は、ヒーラー陣のアルティメットアビリティのタイミングが素晴らしく、なおかつさばげー選手のキルやSkyfull選手のキルで、戦況が一転するシーンが多く見られた。

 優勝したNaturals北海道は、オープン ディビジョンでさらなる活躍を目指し、上位大会の参加を目指すコンテンダーズ トライアル参戦に挑戦することになるだろう。まだプロリーグのへの道は少々遠いが、着実に日本のチームが力をつけオフライン大会の経験を重ねていき、今後世界で活躍することに期待したい。

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勝利の要因としては、韓国のプロゲーマーであるコーチのイムヨンビン氏の指導あってからこそとのこと。また、国内のFPS大会では珍しく女性プレイヤーが在籍しており、「女性だからという考えはまったくない。もっとたくさんの方がこういった大会に気軽に参加してみてほしい」(Royal選手)と語ってくれた。