上の写真はゲームオンの麥谷将人氏が来社したときの様子だ。女を連れている。
麥谷さんはPC用オンラインRPG『黒い砂漠』の日本運営プロデューサーである。『黒い砂漠』のウリはコンテンツ量や高いクオリティーのグラフィックなどいろいろあるが、アップデートの早さもすごい。「生き急いでいるのでは?」と心配になるレベルだ。
その勢いは2018年も止まらないということで、いま話せるアップデート予定を説明したいのだという。それなら麥谷さんだけでいいと思うのだが。

麥谷さん、そちらの女性は?

ミスティックです。2017年12月13日に実装されたばかりの、スピーディーな動きと軽快なコンボが魅力の女格闘家で、さらなるパワーアップ要素・覚醒も絶賛準備中の、ミスティックです。

知ってます。聞きたいのはそういうことではなく、そのミスティックをどうして連れてきたんですか?

ユースケさん、美人が嫌いなんですか?

好きです。麥谷さんが想像している以上に好きです。

じゃあ問題ないですよね。2018年の予定なんですけど……。
決意を感じる。“ほかのスタッフから「ミスティックもいたほうが写真映えするのでは?」と提案され、「それもアリですね」と答えたからにはうまいことやろう”という固い決意を感じる。
麥谷さんの決意をむだにしたくないので、ありのままを受け入れることにした。よし、麥谷さんとミスティックからプレゼンしてもらおう。
2018年以降のアップデートをざっくりと

せっかくなのでミスティックの話から。2018年1月4日に覚醒武器を実装できるように動いています。
いきなり、である。『黒い砂漠』ではレベル56以降に特定のクエストをクリアーすると強力な“覚醒武器”を扱えるようになる。一般的なMMORPGで言うところの“上位クラスへの転職”みたいなものだ。
新クラスが登場した翌月にはもう覚醒武器が実装される。この流れはこれまでの新クラス実装とだいたい同じとはいえ、やはり開発スタッフは生き急いでいるとしか思えない。
ここで、麥谷さんはスライド資料を見せてくれた。韓国で実施されたオフラインイベントで公開済みの資料だという。

日本でもミスティックといっしょに実施した調整ですね。これまではクライアント(ゲームプログラム本体)が40GBくらいあったんですけど、最適化に成功して27GBほどになりました。

へー、気付かなかった。メインPCのストレージが120GBのSSDみたいな人も多いでしょうし、軽量化は助かる。

もっと気軽に始められるようになりそうですね。

プレゼンにふつうに入ってきた。立ち位置と設定がぐらぐらしてますね。

はじめまして、小島みゆです。グラビアやってます。私もどういう設定でここに座っているべきかわかっていないんですけど、ゲーム好きなので、こういう話を聞くのは楽しいです。

あ、ミスティックで通さないんだ。それは置いといて、つぎはこれです。

既存のコンテンツを深くする要素を準備中です。フィールド上でアイテムを集める“採集”を例に挙げると、採集レベルが高かったり、上位の採集道具を使ったりすると、レアなものを取るときにミニゲームが出るようになります。 繊細なレアアイテムを慎重にすくい上げるイメージです。

『マインスイーパー』の爆弾探しみたいな感じですか?

たとえが秀逸。もともと魚影に銛を刺してダメージを与える釣り系のミニゲームも入ってます。それの採集版ですね。

馬の調教も変わります。馬で移動すると経験値が溜まって、馬のレベルが上がるとスキルを覚えたり、プレイヤーの調教レベルが上がると捕獲の成功率が上がったりするのが“調教”というシステム。
ここに新アイテムの“鞭”が加わります。いい鞭があると馬の成長率が高くなったり、馬のスキル習得確率が上がったりします。

幻想馬(最上位の馬)は少し作りやすくなります。素材を集めたうえで覚醒が成功すると幻想馬を作れるんですけど、あまり成功率は高くないんです。システムの変更後(※)は、失敗するとつぎ挑戦するときに成功確率が上がるようになります。これだといままで挑戦した人ががっかりしてしまうので、過去の失敗も反映できるように進めているところです。
(※この取材は2017年12月11日に実施された。幻想馬失敗時に次回の成功確率が上昇する仕組みは12月13日のアップデートで実装済みとのこと)

これまで10回失敗した人は、アップデート後は10回分の蓄積がある状態からスタートするわけですね。

そういう捕捉するの僕の仕事なんですけど。

これはクエスト系の遊びを強化する仕組みです。クエストをこなすとストーリーブックのレベルが上がっていって、報酬や獲得経験値がアップします。
『黒い砂漠』はRPGですから、クエストをやってストーリーを中心に楽しむのもアリです。クエストを進めればキャラを育成できてシルバー(ゲーム内マネー)も貯まる。『黒い砂漠』はかなりコンテンツが多いゲームだと自負しています。だからこそ、何をやっても楽しめるようにしたいですね。

この辺のシステムはいつ頃に実装されるんですか?

まだ時期については詰めているところです。今回お話ししている要素の実装は2018年以降、くらいの気持ちでお待ちいただければ。

ところで、スライドだと闇の精霊がかわいくなってますけど、このイラストでグッズを作ったりしないんですか?

いいですね。作りましょうよ。ミスティックのグッズも作りましょうよ。撮影のお仕事くださいよ。

しれっと自分の売り込みを混ぜないでください。いまのところはそういう予定はないですけど、検討してみてもいいかもしれませんね。

やった! お願いします!

闇の精霊のほうですからね。

画面内のユーザーインターフェースもブラッシュアップが進められています。よりアクションが映える方向性に、とでも言いますか。

MMORPGって画面中の情報量が多いですよね。それをスッキリさせるということですか?

まとまってはいますけど、ごちゃごちゃしてる印象を受ける人はいると思うんです。それをもっとシンプルに。開発側は必要最低限にしたいと考えているようです。これまでの資産を活かして、もっとわかりやすく、もっと迫力を出せるように変わっていく感じですかね。

ミニマップを見てください。高低差がわかるように3D状になってますよね。斜め上から見るように。

カーナビのバードビューみたい。前のミニマップだと、マップのつながりがわかりにくいこともあった気がします。これまでのものと切り替えられたりするんでしょうか?

その辺は確認中です。前からお話しはしていますけど、リマスタリング作業も順調なようです。BGMもそうですし、グラフィックのほうの進捗は60~70%くらい。ブラーがかかったり、シャンデリアの光の加減が変わったり、床の映り込みもすごくなりました。PCへの負荷も高くなるので、オプションでグラフィックの表示パターンを切り替えられます。

こちらはゲームプレイに直接関わるシステムです。プレイ中のキャラクターとアカウント内の別キャラを街でタッグ設定しておくと、ローディングを挟んで切り替えられるんです。たとえばミスティックで狩りに行ったとして、気分を変えたいときに忍者を呼び出したりとか。
すでにあるプレイヤーの資産を活用するイメージです。緊急回避と同じくらいのクールタイムを設定する予定なので、連発はできないと思います。

ドリガンとドラゴン。ダジャレですか?

違います。

ドリガン&ドラゴン。キング・オブ・コントに出てましたっけ?

芸人コンビみたいな響きですけど違います。カーマスリビアの東に“ドリガン”というエリアを準備中で、そこにドラゴンが出てくるんですよ。
カルフェオンの上空にもドラゴンみたいなモンスターが飛んでいますが、それとは別に、ちゃんと戦えるモンスターとしてドラゴンが実装されます。フィールドボスみたいな扱いになるのか、レイドボスになるのか、その辺は未確定なんですけど。

“ちゃんと戦える”というのは?

カルフェオンの空にいるドラゴンは、本来はオブジェクト的なものだと思うんですよ。雰囲気を演出するための。理論上、倒せはするようですけど、戦うことを前提に作っているわけではないんだろうな、と。

ファンタジーの世界で竜退治。人間の三大欲求のひとつですもんね。食欲、睡眠欲、ドラゴン倒したい欲。そんな王道を提供する『黒い砂漠』運営チームとしては、2018年はどうしていきたいですか?

2017年は昨年よりもオフラインイベントや生放送を多くやってきました。こういうやりかたには賛否もあるかと思いますが、プレイヤーのみなさんとのコミュニケーションは、我々の仕事としてできる範囲なので。
『黒い砂漠』というブランドを、コンテンツの魅力に頼るだけにならないように、うまく引き立てる努力は必要だな、と感じます。もっとファンを作っていきたいですし、ファンとの結び付きも強くしたい。ゲームを好きになってくれて、運営自体にも好意を持ってくれる方を増やしたい。今年は「そういう活動が大事なんだな」と、ひしひしと実感する年でした。

2018年はその部分をもう一歩踏み込んでみよう、みたいな感じなんですね。

きれいにまとめられてしまった。
『黒い砂漠』の話をたくさん聞いた。せっかくなのでミスティックっぽい写真を撮らせてもらうことに。