アメリカのフロリダ州のテック企業Magic Leapが、ここ数年噂となっていたMRゴーグルの1号機“Magic Leap One”を発表した。2018年の早い時期に製品の出荷および開発に使用するSDKの公開を行う予定。
World, meet Magic Leap One. Magic Leap One, meet the world. More at: https://t.co/LbHY82tYUC https://t.co/2iXgyPs21K
— Magic Leap (@magicleap)
2017-12-20 23:01:52
今回は“Magic Leap One”の中でも、開発者などのアーリーアダプター向けの“Creator Edition”と呼ばれるセットアップが公開されており、製品はゴーグル部分“Lightwear”、処理系と電力供給を提供するパック“Lightpack”、振動フィードバックつきのモーションコントローラーから構成されている。
この“Magic Leap One”が一般的なVRヘッドセットやARゴーグルと異なるのは、周囲の物体を認識してその形状や遮蔽を考慮しつつ、3Dモデルを現実空間とミックスした形で表示できること。
ジャンルとしてはMR(Mixed Reality/複合現実)に属し、体験の方向性としてはマイクロソフトのHololensなどが近いはずだ(どんなものなのかは、Magic Leap Oneそのものではないが、過去にMagic Leapの技術デモとして公開されているスター・ウォーズの映像などがわかりやすいかと思う)。

ゴーグル部分には周囲の物体(壁や家具など)や手などを認識するセンサー類が付いており、さながら押井守監督のケルベロスシリーズに出てくる“プロテクトギア”でも連想させるようなゴツさがまだある。
この部分で実際の視界にコンピューター処理した3D映像をオーバーレイ表示するわけだが、モーションコントローラーや手のジェスチャー以外に視線トラッキングによる操作も行えるとしているので、内側には眼の動きを検出するセンサーが入っているのだろう。
またサウンド機能も内蔵されており、バーチャル世界の“音”をその想定する距離や方向を考慮して(いわく「バーチャルなT-Rexが間近で足踏みするのが聞こえるように」)現実にミックスするよう鳴らすという。ボイスコマンドも可能とされているので、マイクも内蔵しているはずだ。
Rolling Stone傘下のGlixel誌の取材記事によると、視野角はHololensよりは広いものの、まだまだ視界を覆うような体験にはなっていない模様。またゴーグルにはふたつのサイズが用意される予定で、顔と接触する額・鼻・こめかみ部分のパッドについてもカスタマイズ可能とのこと。正式ローンチ時には、眼鏡使用者は医師の処方箋に基づいてレンズを調整できるようだ。

すでに触れたように、ゴーグル部分だけで完結している製品ではなく、コンピューター処理や電力供給はゴーグルとケーブルで繋がれた“Lightpack”で行う形となっている。このLightpackは往年のポータブルCDプレイヤーとモバイルバッテリーを重ねたような形状をしており、前述のGlixel誌の取材によると、両者の隙間の部分をズボンのポケットやショルダーストラップなどに挟み込めるようになっているとのこと。

モーションコントローラーについてはVR/ARを追っている人にはおなじみの形状といった感じだが、6DoF(6自由度)の動きに対応し、細かなジェスチャーも入力として拾ってくれるという。
ただしこちらもすでに触れたように、Magic Leap Oneが受け付ける入力そのものとしては、ハンドジェスチャーや視線トラッキング、頭の向きによる指定、ボイスコマンドなどに対応するとされているので、このコントローラーはあくまで入力方法のひとつという位置づけではないだろうか。

Magic Leapはその創業以来、華々しい顔触れの投資者による巨額の出資や提携報道に、「現実とCGをミックスするすごいゴーグルを作っているらしい」といった噂ばかりが伝えられてきた。
半ば都市伝説のような存在だったわけだが、2年前からコンセプトビデオなどが徐々に公開されはじめ、今回ようやく製品発表に至った。果たしてその革新性はどれほどのものなのか、2018年が楽しみになってきた。