DMM GAMESからPC&アプリ版が配信予定の新作ゲーム『IS<インフィニット・ストラトス>アーキタイプ・ブレイカー』(以下、ISAB)。小説、ならびにテレビアニメで人気を博した『IS<インフィニット・ストラトス>』(以下、IS)を題材にしたタイトルだ。
本作を制作するにあたり、原作者・弓弦イズル氏が完全オリジナルストーリーを用意したことに加えて、アニメ制作スタッフやキャストが再集結。単なるゲームというより、『IS』の公式外伝に位置づけられる作品なのだ。
『IS』の原作小説やアニメを観たことがない人に、簡単に概要を説明すると、“メカ×美少女の学園青春ラブコメ&ハイスピードバトル作品”といったところだ。
女性しか操縦できない世界最強の飛行パワードスーツ“インフィニット・ストラトス(IS)”の操縦者育成機関“IS学園”に、主人公・織斑一夏が間違えて紛れ込み、男性でありながらISを起動させてしまったことから物語は始まる。
学園に通うことになった一夏と、世界各国から集められた“代表候補生”(当然、女子のみ)たちとの切磋琢磨と恋愛(?)模様、ISによる迫力の高速バトルが描かれていく。
『ISAB』の物語は、紆余曲折あって一夏が代表候補生の女の子たちと打ち解け、平和な日々を過ごしていたところから始まる。そんな平和を切り裂くかのように、隕石に擬態した謎の無機物疑似生命が世界各地へ襲来したのだ。
ISと同じ技術体系を持つ謎の敵、のちに世界災厄として定義されるそれらは、“絶対天敵(イマージュ・オリジス)”と命名された。通常兵器を受け付けず、ISでのみ対抗できる絶対天敵を前に、一夏、ならびに彼と絆を結んだ代表候補生たち、さらに緊急招集された新たな代表候補生たちによる、戦いと交流の日々が始まる。
原作のハイスピードバトルを、モーションアニメで再現!
物語の概要に続いて、実際のゲームの内容に触れていこう。
ゲーム内容はAP(いわゆるスタミナ)を消費して、バトルをこなしていくオーソドックスなもの。ストーリー各章のボード上で、バトルやストーリーパートが用意されている各マスをすごろくのように進んでいくのだ。
まず注目してほしいのが、モーションアニメを採用した大迫力のバトルだ。ISを操縦する代表候補生たちが、アニメ版顔負けのハイスピードで動き回り、武装や装甲の各所や表情など、あらゆる部分が細かく動く。原作さながらの、ハイスピードバトルがしっかりと再現されているのだ。
バトルは基本的にオート進行だが、各キャラクターに設定された属性を考えて編成を練ったり、武器を切り替えたりと、退屈しない仕様になっていた。オートで気軽に遊べる内容ながら、バトル前の編成とバトル中のリアルタイムの戦略という、ふたつの楽しみがしっかり用意されているわけだ。
属性は三つ巴関係にある“格闘(赤)”、“汎用(緑)”、“支援(青)”と、対立関係にある“高速(黄)”、“特殊(紫)”の5種類。相性によるダメージ補正がかなり大きく、ステージごとに出現する敵に合わせた編成を組まないと苦戦は必至だ。
各キャラクターは最大で3つの武器を持っている(武器は固定)。属性の相性に加えて、武器による相性も絡んでくるのが本作のおもしろいところ。ボス戦やレイドバトルに登場する大型の敵には、属性に加えて“苦手な武器タイプ”が設定されているのだ。
武器は“斬”、“打”、“刺”、“弾”、“光”、“阻”の6タイプ。大型の敵とのバトルでは、弱点の武器を持ったキャラクターを用意できるかが重要になる。有効な武器以外で攻撃し続けると、大型の敵は“HEAT”状態になり、全滅必至の強烈な攻撃をくり返してくる。
対して、有効な武器で攻撃し続ければ“BREAK”状態となり、しばらく敵が行動不能状態になる。HEAT状態になっていてもBREAK状態にしてしまえば、攻撃を完封できるのだ。
各キャラクターの使用可能武器の数は、バトルで素材を集め、キャラクターを“進化”させることで増えていく。同じ属性のキャラクターでも、持っている武器しだいで活躍の場が異なるわけだ。実際にプレイを続けてみると、単に苦手属性のキャラクターを敵にぶつけるだけではない、簡単に見えて戦略の幅が広いバトルが楽しめた。
さらに、同じ属性の中でもさまざまなボスに対応できるキャラクターを揃えていくことで、育成の充足感も味わうことができた。
原作ファンも安心? 一夏の恋愛音痴は健在だった!
こうしたバトルや育成の楽しさとは別に、原作ファンなら気になるであろう、代表候補生たちと一夏の青春交流を再現する要素もしっかり用意されている。
代表候補生たちとの交流は、育成にも関係している。バトルなどで手に入れたプレゼントを贈ることで、各代表候補生と一夏との“親密度”が上がり、メインストーリーとは別の“交流シナリオ”が展開していく。さらに、親密度が100%になったキャラをバトルに連れて行くと全パラメーターがプラスに補正されているというおまけ付きだ。
交流シナリオが開放されるたびに、その代表候補生の進化に必要な独自の素材が手に入るので、絆の深さとともに強さも増していくのもうれしい。
だが、原作ファンならご存知かと思うが、主人公・一夏は奇跡的としか言いようがないほど、恋愛に関しては唐変木だ。自分に向けられている代表候補生たちの好意や、あからさまなアピールも、おしなべて別の要素に勘違いする稀有なアビリティを持っている。
このすれ違いが生み出す甘酸っぱいもどかしさと騒動こそが、『IS』最大の魅力かもしれない。
公式外伝ということで、ひょっとしたら『ISAB』では代表候補生のだれかと1ミリでも仲が進展するのでは……と思われた原作ファンの方には、「一夏は一夏のままです」とお伝えしておきたい。
そして、原作を知らない人には、一夏のすさまじい恋愛唐変木っぷりと、それが原因で巻き起こるドタバタラブコメディーを、本作で存分に楽しんでいただきたい。
また、一夏はバトルの面でも、原作の再現が取り入れられている。各キャラクターは自分のシーンカードしか装備できないのだが、一夏だけはすべての代表候補生のシーンカードを装備できるという、ハーレム的な能力を持っているのだ。
原作通り、『ISAB』でも一夏自身はさほど強力なキャラクターではない。オンリーワンの能力を持ってはいるが、戦闘力はむしろ低めだ。だが、ほかの代表候補生たちのシーンカードを自由に装備できることで、能力を大きく底上げできる。周りに支えられてこその一夏という、原作通りの強さを発揮できるわけだ。
ちなみに、レアリティが☆4以上のISカードやシーンカードを進化させると、そのシチュエーションに合ったシナリオが開放。アドベンチャーパートを楽しめるようになっている。
ストーリーに集中できる遊びやすさと、バトルや育成の楽しさが両立!
本作をプレイしたうえでのファーストインプレッションとしては、「ストーリーに集中できる」という点が好印象だった。
原作再現度があらゆるところで高いため、テンポよく進むストーリーに没頭しやすい。戦闘のシステムも複雑すぎず、4倍速やフルオート、自動周回などといったシステムも導入されているので、時間をかけずに楽しむことができる。
合間でバトルを楽しみ、周回でアイテム集めをしていても、ストーリーを楽しむ流れが阻害されるという印象はなかった。
先述の通り、各属性で強いキャラクターだけを揃えればオーケーというわけではないので、ゲームとしての側面も好印象。
各属性で武器タイプを一通りそろえるオーソドックスな育成だけでなく、イチオシの代表候補生を一点集中で育て、3つの武器を切り替えてさまざまな場面で活躍できるようにするなど、原作ファンならではの楽しみかたも十分可能となっている。
“公式外伝”という触れ込みの通り、『IS』の新たな物語として楽しめる本作。事前登録はすでに受付中で、事前登録するだけでさまざまなゲーム内特典が得られるキャンペーンを実施しているほか、オープンβテストも近日実施予定となっている。
原作ファンはもちろんのこと、ゲームという触れやすいジャンルから『IS』を知りたいという人にも、本作をぜひオススメしたい。一夏と代表候補生たちの絶妙な青春劇を、小説やアニメとは異なる新たな形でご堪能あれ。