美しく蘇るハセヲの奮闘、終焉を迎えるオーヴァンとの因縁。『.hack//G.U. Last Recode』プレイインプレッション

2017年11月1日に発売された、『.hack//G.U.』のHDリマスター版であるPS4タイトル『.hack//G.U. Last Recode(ラストリコード)』。本記事では、担当ライター 西川くんによるプレイインプレッションをお届けする。

より美しく、より遊びやすい“The World R:2”

 2006年よりプレイステーション2にて展開された、『.hack//G.U.』シリーズ。3部作となっており、2006年5月18日に『Vol.1 再誕』(『Vol.1』)、2006年9月28日に『Vol.2 君想フ声』(『Vol.2』)、2007年1月18日に『Vol.3 歩くような速さで』(『Vol.3』)が登場し、発売から10年以上が経ったいまでも、根強いファンを持つ人気RPGだ。

 そしてこの度、プレイステーション4用ソフトとして、2017年11月1日にHDリマスター版である『.hack//G.U. Last Recode(ラストリコード)』が発売された。(PC版は、2017年11月4日配信)

 本作には、HDリマスター化された3部作がひとつのディスクに収録されているほか、新規シナリオとなる『Vol.4 あるいは世界を紡ぐ蛇たちの見る夢』(『Vol.4』)が追加されている。本記事の前半では、新たに生まれ変わった3部作の印象を、改めてイチからプレイする人や、初めて本作に触れる人向けのプレイインプレッションをお届け。後半では、これまでのシナリオのネタバレを含みながら『Vol.4』の印象をリポートする。

完全進化したハセヲの復讐劇

 本作はタイトル画面で、4部作をどのタイトルからでも遊べるようになっている。イチからしっかりと遊びたい人は『Vol.1』からスタートすればいいし、新規シナリオを先に遊びたければ、『Vol.4』を選択すればいい。また、“『Vol.4』までのお話を思い出したいから、ちょっと途中から”といった具合で『Vol.3』から始めても構わないので、自分のプレイスタイルに合わせて選択しよう。初めて遊ぶ人には、もちろん『Vol.1』からスタートするのがオススメだ。ちなみに本作の追加要素として、主人公・ハセヲたちが最強状態からゲームスタートする“チートモード”があるので、バトルなどをサクっと飛ばしてストーリーだけを追うことも可能。

 なお、前作『.hack//』シリーズの物語や、本編では語られないストーリーに触れられる“ターミナルディスク”もタイトルから選択可能。オリジナル版と同じく、ゲームの進行度によってファイルが解放されていく。さらに、本作から初登場となる“パロディモード”も選択できる。このモードは、本編のシリアスなムービーシーンを、コメディタッチのシーンとして楽しめるオマケモード。ストーリーの感動を笑いでぶち壊してしまうようなカオスなシーンも満載なので、筆者としてはゲームクリアー後の余韻が“冷めたころ”に楽しむのがベストのように感じた。

 では、HDリマスター化された『Vol.1』、『Vol.2』、『Vol.3』についてお伝えしよう。物語の舞台は、圧倒的な人気を誇るMMORPG“The World R:2”の中。自由度の高さが特徴の“The World R:2”は、PK(プレイヤーキラー。プレイヤーを倒すために活動するプレイヤーのこと)が横行する無法地帯と化していた。そんな中、いちプレイヤーである主人公・ハセヲは、“死の恐怖”というふたつ名を持ち、PKK(プレイヤーキラーキラー。PKだけをあえて狙って倒すプレイヤーのこと)を100人倒したことなどで、プレイヤーのあいだでも噂になるほど有名な存在だった。そんなハセヲの目的は、かつての仲間・志乃を倒した“三爪痕(トライエッジ)”という名のPKを探しだして復讐すること。同じく仲間だったオーヴァンに導かれ、ついに三爪痕を見つけたハセヲだったが、圧倒的な力の前に敗北。しかも、なぜかハセヲのゲームデータは初期化され、レベル1の状態に戻ってしまうのだった……というところから、ハセヲの物語がリスタートする。

 本作はHDリマスター版なので、グラフィックはオリジナル版と比較するとメチャクチャ美しくブラッシュアップされている。と言っても、リアリティーが増したというより、現行機であるプレイステーション4としてのゲームらしさがアップしたという印象。おかげで2017年に発売されたという設定である“The World R:2”をプレイしているという感覚がより身近に感じられ、ハセヲを通してゲームプレイヤーの一員になっている印象が強くなっている。なお、ステータス画面のキャラクターイラストや、ゲーム内で遊べるカードゲーム“クリムゾンVS”のカードイラストなども、しっかりと高解像度のものになっているのも、ファンとしてはうれしいポイントだった。

 ムービーについては、シーン自体はまったく変わっていないのに、とにかくキレイになりすぎて、もはや別物と言っても過言ではない。キャラクターたちのモデリングが美麗になっただけでなく、ライティングなど細部にまで調整が加えられている。オリジナル版での個人的な印象だが、復讐に燃えるゲーム序盤のハセヲの表情はあまりにもダークな雰囲気で、当時プレイしていたときは非常に怖く思っていた。本作でも恐怖感は感じるのだが、そこにどことなく物悲しさが伝わってくる印象を受けるなど、キャラクターたちの振る舞いがより深みを増していると感じられた。

 ゲームプレイ部分は、非常に遊びやすく進化している。まずフィールドの移動速度がアップしているため、探索に時間が掛からなくなった。アイテムを使用したい際もショートカットキーが追加されたのでサクサク使用できるほか、細かな調整がたくさん加えられており、遊びにくかった部分が徹底的に改善されたという印象だ。また、パーティーメンバーのひとりである朔望(朔)と朔望(望)は姉弟で、とある事情で片方だけしかパーティーに入らないのだが、今回からどちらをパーティーに加えるか選べるようになるなど、ちょっとしたところまでフォローされている点は個人的にもうれしかった。

 また、バトルは攻撃時のヒットストップが軽減されたことや、プレイヤー側の攻撃力が全体的にアップしたことで、全体的に爽快かつスピーディーに。オリジナル版では、必殺技である各種“スキルアーツ”を使用する際、“ガン、ガン、ガン”といった感じの重みのある演出が見られたが、今回はズバッと技が終わるため、くり返し行う戦闘のテンポが非常によくなっている。パーティーメンバーが一時的にパワーアップしたりする“覚醒”の演出がスキップ可能になったのも細かなポイントだ。

 このほかにも経験値取得量がアップしたため、本編を進めるだけならば、基本的に道中で出会った敵を倒していくだけでも『Vol.3』の最後まで遊ぶことができたほか、一部の強敵が弱体化されているなど、ゲーム全体の難易度はグッと下がったように感じられた。本編とは関係ないが、『Vol.3』のラストに楽しめる“エンゲージイベント”(いわゆる各キャラクターたちとの個別エンディングのようなもの)も、セーブ&ロードをくり返さずともすべて見られるように。先ほども述べた通り、本作は徹底的に遊びやすさの向上が図られているHDリマスター化と言えるだろう。

 なお、今回初めてプレイする人に、併せてオススメしたい作品がある。本作には本編では詳しく語られないエピソード(おもに志乃、オーヴァンと、ハセヲがどのようにして出会ったのかなど)があるのだが、これはテレビアニメ『.hack//Roots』で語られているストーリーなので、見たことがない人は『Vol.1』を終えた後などに、ぜひチェックしてほしい。