10月19日より発売が開始されたプレイステーション4用SFサバイバル・アクションアドベンチャーゲーム『巨影都市』。『絶体絶命都市』シリーズのグランゼーラと、バンダイナムコエンターテイメントがタッグを組んで開発する本作だけに、緊迫感あふれるサバイバル感と、ロマンあふれる巨大な怪獣や生物、ロボットなどが登場する、まさに両者のいいとこどりなゲームとして注目を集めている。そんな『巨影都市』の魅力は、いかなる部分にあるのか。本稿では発売に先駆けて、ゲームとして、そしてゲームに登場する作品の両面から『巨影都市』の魅力を探っていく。

迫り来る“巨影”にはなすすべなし。とにかく逃げろ!

 まず最初に解説しておきたいのは“巨影”とはなにかということ。“巨影”とは本作に登場する人知を超えた巨大怪獣や生物、またはロボットのこと。ぶっちゃけてしまうと辞書には載っていない新たに造られた単語なのだが、全長数十メートルにも及ぶ巨大ななにかを間近から見上げても、目に映るのはまさに巨大な影! 本作の主役ともいえる謎の存在をズバリと表現した言葉だなと思わず唸ってしまう。

『巨影都市』探訪その1 巨大な影から逃げ惑う恐怖にいつしか魅了される!_01
人々を守るヒーローと人々を襲う存在。“巨影”どうしが戦うこの世界では、人間はプロレスのリングに解き放たれた子猫のような脆弱な存在でしかない。

 本作はステージごとに用意された目的を達成していくステージクリア形式のゲームなのだが、そこでプレイヤーの行く手を阻む(時には助ける)ように出現するのが巨影たち。出現する“巨影”はステージごとに異なるため、「怪獣王と光の巨人が闘う!」といったようなクロスオーバーするシチュエーションはないが、そこは個々の原作で主役を張った存在たち。一体だけでも十二分な存在感、そして恐怖を与えてくれる。

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あまりの大きさ故に、その全身像がモニター内に収まりきらないこともしばしば。

 なにしろ、“巨影”のつま先にでもちょっと弾かれてしまっただけでも即座にゲームオーバー。これは怖い。大型車両のようなサイズの物体がぶつかってくるのだから当たり前ではあるが、生物としての人間の弱さをまざまざと思い知らされることは間違いない。また、“巨影”はなぜか主人公を追って都市部を中心に出現するので、ちょっと暴れただけで建物は倒壊し、頭上からは炎に包まれた瓦礫が振ってくる。これらを食らってHPがゼロになってしまうと、やっぱりゲームオーバーとなってしまう。

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通常では見づらい“巨影”の全身を見たい人向けに“巨影カメラ”も用意されている。ただし、迂闊に見ていると“巨影”に吹き飛ばされてしまいかねないので、眺めるのもほどほどにしておきたいところだ。

 では、“巨影”に対抗するすべはないのか? はい、まったくございません。“巨影”からしたらまるで子猫のような存在の主人公は、とにかく逃げ惑うのみ。ドスドスと足踏みする真下で右往左往したり、これから渡ろうとしていた歩道橋を破壊されて呆然としたりと、完全に受け身状態。ただ、危機が迫ったときに表示される緊急回避アイコンにあわせてタイミングよくボタンを押せば、緊急回避が成功してダメージを受けずにやりすごすことができる。逃げている最中は一時も気を抜かず、画面を注視していよう。

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画面に表示が出現したら四角ボタンをプッシュして回避。いつ危機が訪れるかがわからないのが、緊張感を高める。

 ひとつの“巨影”だけでもプレイヤーには絶対的な恐怖というところ、それが立て続けに襲ってくるのだから主人公=プレイヤーはたまったものではない。おそらく、一瞬たりともコントローラーから手が離せない緊張状態になるに違いない。しかも、ここまでに説明したようないろいろな危機的(というよりも、実際に直面したらほとんど無理ゲー)な状況が、PS4ならではの臨場感あるグラフィックで描かれるのだから、気がつけばハートはドキドキ、手汗はダラダラとなっているはずだ。このように、現実を超越した非日常の世界で味わえるスリル感こそが、『巨影都市』がプレイヤーを魅了する理由のひとつと言ってもいいだろう。

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ステージが進めば「なぜ主人公の征く先々に巨影が出現するのか」、「なぜ主人公ばかりを襲うのか」といった謎が少しずつ明らかになっていく。

巨影劇場その1 光の巨人、そして地下鉄車内で襲い来る群れ

 ここからは、ゲームに登場する“巨影”の一部をピックアップ。どんなシチュエーションで登場するのか、そしてその場面は原作のどのシーンを思わせるのかについて紹介していこう(もちろんストーリーに関わるネタバレ抜きで)。マニアなら思わずニヤリとするだろう“みどころ”にも注目!

 ステージ1“夜の街に現れた巨大な影”で出現する光の巨人は、なぜか2体いる。そう、空想特撮シリーズの金字塔『ウルトラマン』の第18話“遊星から来た兄弟”のシチュエーションに似ている展開だ。

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最初のステージから2体の巨影に出くわすというインパクトの高さ! 原作なら別カットで見られるウルトラマンの変身シーンが、変身音がしたと思ったら視界外に出現しているのが、ゲームの世界にいることを実感させてくれる。

 とくればやっぱり片方はにせウルトラマンなわけで、もはや定番とも言える「ニセモノは目やつま先がつり上がってる」のネタ元だ。幼き頃、テレビで見ていたときには、ひと目で「にせものだ」と識別できていたのだが、いざ自分がその足元に立ってみると、身重40メートルの巨人はまるで動く壁。ちっとも目なんて見えないって! 原作で科学特捜隊が騙されていたのも、しょうがないのである。

みどころ:にせウルトラマンのつま先

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巨人の足元を駆け抜けて避難する途中では、偽物のつま先を確認することができる。実際問題、“ウルトラマン”の足元を直に見たことのある人も少ないだろうから、この部分で真贋を確認することも難しいだろう。

 ステージ2“地下に蠢く影”に出現する脅威は、ソルジャーレギオン。1996年公開での映画『ガメラ2 レギオン襲来』に登場する、体長3メートル程度の生物だが、こいつは群れをなして襲ってくるので、ワシャワシャキーキーな音も相まって、じわじわと追い詰められるスリルが味わえる。

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ソルジャーレギオンは、レギオン草体と共生関係にある生物。あらゆる電磁波を視覚として認識し、攻撃してくる特性を持っている。

 主人公は原作映画と同じようなシチュエーションの地下鉄の線路内で襲撃を受けるのだが、まかり間違ってソルジャーレギオンに囲まれてしまったら、そこから生き延びることは困難となるのも同じ。十分に警戒しながら進むことが重要だ。地下鉄の構内はレギオン草体の極太のツタのようなもので覆われてしまっているぞ。

みどころ:携帯電話を襲うソルジャーレギオン

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電磁波の発信源に襲いかかる習性を持つソルジャーレギオン。原作で見られたのとそっくりなシチュエーションで、主人公の判断が試される。

 といったところで、探訪その1はここまで。次回はゲームの詳しい仕組みや、主人公が織りなすドラマ部分にフォーカスを当てて紹介していく。