2017年10月5日発売の週刊ファミ通で第5報が載った『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』。記事内に掲載した、プロデューサー・河野一聡氏へのインタビューを改めてお届け。

 バンダイナムコエンターテインメントより2018年に発売予定の、プレイステーション4/Xbox One/PC向けフライトシューティング『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』。これまでに公開された映像や、東京ゲームショウ2017の試遊などを通して、本作が完成に向けて着実に進んでいることを実感したファンは多いだろう。それを確かめるべく、『エースコンバット』シリーズのブランドプロデューサーを務める河野一聡氏に映像や試遊版の内容、さらに本作の開発状況などを聞いた。

河野一聡(こうのかずとき)

『エースコンバット』シリーズ ブランドプロデューサー

『エースコンバット』シリーズ ブランドプロデューサー・河野一聡氏(文中は河野)

ナンバリングタイトルにふさわしい作品を目指して

――2017年9月21日に公開された本作の最新映像では、空戦機動“ポストストールマニューバ”を行う戦闘機の姿が収録されていますね。

河野 今回の映像は、E3(エレクトロニックエンターテインメント・エキスポ。アメリカで開催される世界最大のゲームイベント)やgamescom(ヨーロッパ最大のゲームイベント)で公開した映像と、切り口を変えて作りました。ポストストールマニューバを実装したバージョンができ上がったので、ファンの方にぜひお見せしたいと思い、あえてこれまでよりもマニアックな内容にしています。

――ということは、ポストストールマニューバをゲーム内で実際に操作できるのですか?

河野 もちろん行えます。『エースコンバット』シリーズは、パイロットができることは可能な限り体験してほしいと考えて、開発を続けてきました。現在のバージョンでは、機体を水平状態に保ちながらストール域までスピードを落とした後、加速しつつ機体を起こすとポストストールマニューバが行えます。難度の高いテクニックですが、練習をしてうまく使いこなせば、映像内のように背後に迫る敵機をかわして反撃に移る、といったこともできると思います。見た目重視ですが(笑)。

――エースパイロットの気分が堪能できそうですね! でもそうなると、練習や成功シーンを見返すリプレイ機能が欲しくなりますが……。

河野 そうしたファンの皆さんのために、リプレイ機能も実装に向けて鋭意開発中です。ただ、昔よりも要素が増えているぶん、リプレイ機能の開発の難度が上がっていて、簡単な作業ではありません。レースゲームのようにコースが決まっていれば、定点カメラを置いて機体を追えるのですが。

――本作だと広いステージのどこを飛行するのか、パイロットごとに異なりますからね。

河野 そうなんです。定点カメラを置いてもそこを飛行するとは限りませんし、戦闘機を追い掛けるカメラを用意しても、地形の凹凸が激しくてカメラがめり込んでしまいます。まだ課題は多いですが、本作はナンバリングタイトルを名乗っているので、「やるべきところはしっかりとやる」という姿勢で、ファンの要望になるべく応えていきたいです。

「ACE COMBAT(TM) 7: SKIES UNKNOWN」Game Feature Briefing Post Stall Maneuver

気流や雷などの気象が生み出す新たなドッグファイトの世界

――公開中のプレイ映像では、飛行に影響を与える要素として上昇気流と雷が公開されました。インタビューの前に実際に触らせていただきましたが、上昇気流の影響が想像以上ですね。機体が持ち上げられる感覚とか。

河野 本作では、リアルに表現した雲やキャノピーにつく水滴、それが凍ってしまうといった演出で、空の温度や質感を感じてもらえると思います。ただ、実際に空を飛行すると、ほかにも気流による揺れなど、“空の感触”がありますよね。本作は、“生きたフィールド”をテーマに開発を進めているので、空の感触まで踏み込みたいと考え、上昇気流を表現しました。ゲームのジャマをしない範囲でさらに臨場感を高めるため、ジェット気流(対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ)で飛行速度が速くなる、といったことも検討中です。

――突っ込むのを躊躇するほど、不気味な雷雲も印象的でした。雷雲を回避して戦うといった、新たな戦略が生まれそうですね。

河野 機体に雷が落ちるのか、落雷するとどうなるのかといった細かいところは、今後開発を進めつつ考えていきますが、雷雲はひと目で危険度が伝わるように、禍まが々まがしい雰囲気にしています。追い掛けていた敵機が雷雲に進入したとき、そのまま追従するのか、それとも雷雲を迂回して出てきたところを狙うのか。プレイヤーが判断して空中戦をくり広げるベースの部分はそのままに、気流や雷雲などの環境の変化を取り入れて、戦略のバリエーションを増やすようにしています。

――本作は環境だけではなく、地形の影響も大きいと感じました。たとえば、切り立った“奇岩群”が多数存在するインシー渓谷では、低空を飛行するのがけっこう怖かったです。

河野 低空飛行を強制はしませんので、ご安心ください。上空で戦ってもいいですし、腕に自信があるならチャレンジしてもいい。本シリーズは自由度の高さも魅力なので、初心者と熟練者のプレイスタイルを考えながら、ステージを構成するようにしています。ただ、敵の機体制御はかなり正確なので、敵を追い掛けると、意外と岩にぶつかりません。「敵を信じる」というのはおかしな話ですが(苦笑)、これはこれで新しい発見です。

――今回公開されたセラタプラには、橋柱や中央がぽっかり空いたビルなどが確認できますね。ちょっとくぐってみたくなります……。

河野 もちろん可能です。くぐる必要はありませんが、あえて難しい飛行コースにチャレンジすることで、戦闘機を操作している実感をより強く体験してもらえると思います。アートディレクターにはそうした考えのもと、遊べる場所をたくさん作ってもらいました。

――セラタプラを設計する際に、何かモチーフにした都市はあるのでしょうか?

河野 セラタプラは、いろいろな都市を参考にしつつ、まったく新しい都市としてデザインしています。急成長を遂げたことがわかるように、巨大なビルが立ち並ぶ中心部と、自然が残る郊外との差を明確にしています。さらに、都市の文化と世界観を深掘りするために、地球儀のモニュメントや観覧車を配置するなど、ディテールにこだわりました

――夕焼けに染まるセラタプラの風景も公開されましたね。こちらは、同一ミッション内で時間が流れていくのですか?

河野 同一ミッションの中でどれくらい時間が変化するのかは、まだ最終決定していません。ただ、時間の経過は作戦時間ベースで考えているので、昼間から日没までというように、劇的に変わることはないと思います。ちなみに、ステージの天候も変わるかもしれません。セラタプラは赤道にほど近い、熱帯性気候の地域に存在する都市で、豪雨に見舞われやすいんです。天候については、最終的に全体のバランスを見て調整していきます。

日本のファンに向けた施策として日本語音声は豪華声優陣が参加!?

――今回、F-35Cを紹介していますが、F-35AやF-35Bではないのにも理由があるのですか?

河野 F-35Cは、艦載機を増やすために実装しました。通常離着陸のF-35Aや、短距離離陸・垂直着陸のF-35Bは、いまのところ考えていません。この2機よりも別の機体を増やしたいですし、F-35Bを実装するとホバリングの挙動を作る必要があり、ゲームにも影響しますから。

――機体と言えば、ハンガーの画面に表示された“PARTS”の項目も気になりますが……。

河野 気づいちゃいましたか(笑)。詳細は追い追い公開しますが、ご想像の通り、機体にパーツをつけてセッティングできます。また、ハンガーはプレイステーション VR(以下、PS VR)に対応していますが、翼を下から見たり、エンジンを覗いたりすることも可能です。愛機をじっくり眺めるのが好きな方にとっては、非常に大きなバリューになると自負しています。玉置(玉置絢氏。『サマーレッスン』のプロデューサー)も参加しているので、今後、さらなるクオリティーアップを図りたいです。

――完成が楽しみです! プレイデモなどを見ていると、発売時期が迫ってきているのがひしひしと感じられますが、現状の完成度は……?

河野 正直、完成度をパーセンテージでお伝えするのは難しいのです。最初の段階で目指していたものが完成すると、もっとよいものをと、さらに先へと進んでしまって……

――悩みつつも、着々と進んでいると。

河野 そうですね。よりよい作品を作りたいという気持ちと、ファンの皆様のもとへ早く届けたいという気持ちが、いつもせめぎ合っています。お待たせして申し訳ありませんが、開発をしていると、どうしても気になる問題が発生するんです。たとえば、先ほどお話しした雷も、戦闘機に落雷したとして、見た目をどのように変えるのか、サウンドはどうするのかなど、いろいろ考えなければいけない要素がどんどん増えていきます。それに、落雷をランダムの障害とすると、多くのプレイヤーは納得できないと思いますから。

――確かに、こだわるほどに悩みが増えそうですね。ほかに現在進行形で注力していることや、調整に苦労されていることは?

河野 本編だけではなく、PS VRなどの各要素の開発を並行して進めていますので、いろいろありますが……。本編では、ミッションのおもしろさを再確認しています。ギミックを使ったミッションでは、ちゃんと成立するのかどうかも含めて、細かくチェックしています。

――そういえば、ミッションの情報はまだほとんど出ていませんね。今後どういった情報が公開されるのかも、非常に楽しみです。

河野 これまでは大枠の情報を公開することが多かったのですが、TGS2017でお見せしたように、今後は細かい情報もお届けできると思います。日本語吹き替えを担当したキャストの発表など、日本向けの施策も考えています。キャストは、ほかのプロジェクトのスタッフが、「よく揃えられましたね」と驚くぐらい、かなり豪華なメンバーにお願いできました。今後発表する続報にも、ご期待いただけるとうれしいです。