ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアは、2017年9月19日に開催した“2017 PlayStation Conference in Japan”で発表した通り、2017年10月14日よりプレイステーション VR(プレイステーションCamera同梱版)を新価格の44980円[税抜]で発売する(従来モデルのプレイステーションCamera同梱版の価格は49980円[税抜])。さらに、ユーザビリティが向上したPS VRが最新モデル(CUH-ZVR2)として登場。
一見しただけでは従来モデルとの違いがわかりにくいが、最新モデルはどういった変更が加えられているのか。ここで詳しく紹介していこう。
最新モデルのヘッドセット部のサイズは、幅×高さ×奥行きが約187×185×277ミリ。従来モデルのヘッドセット部も約187×185×277ミリとまったくの同サイズ。重量は最新モデルが約600グラム、従来モデルが約610グラム(いずれもケーブル含まず)と若干の軽量化が図られているが、サイズと形状に関してはほとんど同じものとなっている。手で持ってみたところの重量バランスや素材感の違いもとくに感じられないので、装着感に関しての違いはないと言っても差し支えないだろう。
新旧モデルの相違点を細かくチェック!
ヘッドセット部は、サイズ、重量が(ほぼ)同じだけでなく、ディスプレイ解像度(1920×RGB×1080)、リフレッシュレート(120hz、90Hz)、視野角(約100度)、6軸検出システムといったスペック面も同一なので、装着のみならず、コンテンツによって得られるVR体験でも違いを感じることは難しいだろう。
それでは、ユーザビリティを高めるためにどういった部分が変更されているのか。最新モデルで大きく変更されたポイントはふたつ。ひとつ目は、ヘッドセット部周りのケーブル類のスリム化。もうひとつは、PS4からの映像・音声信号をテレビモニターとPS VRヘッドセットに分配する役目を持つプロセッサーユニットの仕様変更となっている。まずは、ヘッドセット周りの変更点をピックアップしてみよう。
従来モデルでは、ヘッドセットからのケーブルはスコープ部分から排出されており、ヘッドバンドに沿うような形でケーブルフックを使って後部へと送られていた。また、ケーブル自体も1本ながらデータの入出力用ケーブル2本を束ねたようなスタイルで、ケーブルの途中に電源・消音・音量ボタン+ヘッドホン端子を備えるリモコンが付属。さらに、このケーブルをプロセッサーユニットに接続する際に、“VRヘッドセット接続ケーブル”という延長ケーブルを繋ぐ必要もあった。
このケーブル周りの処理が、最新モデルでは大きく改善されている。まず、ケーブルの排出部はヘッドバンド後部に移動しており、なおかつケーブル軸も1本のスリムなタイプに変更。さらに、従来モデルにあった延長ケーブルもなく、そのままプロセッサーユニットに接続可能になっている。従来モデルにあったリモコン(電源・消音・音量ボタン+ヘッドホン端子)はどこにいったかというと、すべてヘッドセット部に集約。また、従来モデルでは一般的なケーブル長だったヘッドホンも、ヘッドセットに装着できる専用タイプに変更され、ケーブル長も必要最低限の長さに抑えられている。
HDR対応モニター使用時の利便性が向上するプロセッサーユニットの変更
もうひとつの大きな仕様変更点となるプロセッサーユニット。こちらはサイズ、形状そのものも従来モデルと最新モデルでパッと見で違いがわかる変更が行われている。この機器は、前述のとおり、PS4から出力される映像・音声信号を受けて、PS VRとテレビモニターのそれぞれに最適化して出力するデバイス。
ところが、従来モデルはPS4から出力されるHDR(ハイダイナミックレンジ:映像輝度の表示範囲を拡大する技術)信号に対応しておらず、PS4のソフトとテレビモニターがHDRに対応していても、HDRでの出力をすることができなかった。HDR対応コンテンツをテレビで表示するには、PS4から出ているHDMIケーブルを直接テレビにつなぐ必要があったというわけだ。
最新モデルのプロセッサーユニットは、HDR信号のパススルーに対応。HDMIケーブルを差し替える必要なく、PS VR(とプロセッサーユニット)を接続したまま、HDRコンテンツを対応テレビで楽しめるようになった。これは、HDR対応のテレビモニターを持っていないユーザーにとっては恩恵が受けられないものの、今後対応テレビが普及することを考えると歓迎すべき改善点といえるだろう。ちなみに、従来モデルと最新モデルのプロセッサーユニットには互換性がなく、プロセッサーユニットだけを単品販売する計画もないとのこと。従来モデルのユーザーとしては、少し残念。
システムソフトウェア“バージョン5.00 NOBUNAGA”で、PS VRがさらに快適に
10月3日に配信が開始されたPS4のシステムソフトウェア“バージョン5.00 NOBUNAGA(ノブナガ)”。このアップデートによって、PS VRでBlu-rayやDVDを視聴する際のサウンドが、5.1chや7.1chのバーチャルサラウンドで再生可能になっている(この機能は最新モデル、従来モデルともに共通)。シネマティックモードと合わせて、気軽に大迫力の映像とサウンドを楽しむことができるはず。
ここまで実機を細かくチェックしてみて、最新モデルのPS VRは細かな仕様の見直しながら、確実にユーザビリティが向上していることが確認できた。対応タイトルも着実に増えてきており、10月12日〜25日まではPlayStation Storeで“PlayStation VR 発売1周年記念セール”も実施されている。国内での販売取扱店舗も、10月14日より394店から913店(2017年10月時点)に拡大され、個人的に大注目のPS VR対応タイトル『グランツーリスモSPORT』も10月19日に登場するなど、これからもPS VRの展開からも目が離せない日々が続きそうだ。