絶バハムート討滅戦の難度は壮絶を極める!? 『FFXIV』パッチ4.1吉田氏インタビュー

『ファイナルファンタジーXIV』の吉田直樹プロデューサー兼ディレクターに、間もなくリリースされるパッチ4.1の見どころを直撃。新章開幕となるメインシナリオの雰囲気から、絶バハムート討滅戦の恐ろしいまでの難しさまで、広く深くお話を伺った。

吉田氏は、スケジュールの都合でパッチ4.1のトレーラームービーを取材班に見せられずに、とても残念そうな様子だった。

 先日放送された第39回プロデューサーレターLIVEで発表された通り、パッチ4.1が2017年10月10日にリリースされる。『紅蓮のリベレータ―』リリース後、初となるこの大型アップデートの発表に先立ち、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)取材班は吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビュー。注目のリターン・トゥ・イヴァリースを始めとする新規のバトルコンテンツを中心に、今回のパッチの見どころをお聞きした。

メインビジュアルは吉田明彦氏の描き下ろし

──“英雄の帰還”というタイトルは、メインシナリオだけでなく、あらゆる新要素にも絡んでくるような気がします。

吉田直樹氏(以下、吉田) 今回に限らず毎回そうですが、パッチのタイトルに関しては、織田(織田万里氏。世界設定/メインシナリオライター)とコージ(マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏。ローカライズディレクター)に僕のほうからイメージを伝えて、最終的な単語選びを3人で相談して決めています。タイトル自体は“パッチ全体を示すもの”という位置づけに変わりはないので、どのコンテンツをプレイしても“英雄の帰還”というタイトルがしっくりくるはずです。とくに今回は、そうした部分が強く感じられるのではないかなと。

──パッチ4.1のメインビジュアルに、『ファイナルファンタジータクティクス』(以下、『FFT』)のラムザとディリータらしき人物が描かれています。

吉田 ひとりは、歴史上間違いなく実在したであろうと言われている平民王ディリータ。その歴史の陰に、もうひとりの英雄としてラムザがいたのではないか……という部分を、メインビジュアルで端的に表しています。そういう“英雄伝説再び”ともいうべきニュアンスを正確に受け取れるよう、“英雄の帰還”というタイトルにしたのも確かです。ですがそれだけでなく、メインシナリオや絶バハムート討滅戦にも、“英雄の帰還”というタイトルがもしかしたら絡んでいるのかもと思ってもらえるような内容になっているはずです。

メインビジュアルに描かれているふたりの人物こそ、名作シミュレーションRPG『FFT』で活躍したラムザ(写真左)とディリータ(写真右)だ。

──リターン・トゥ・イヴァリース以外のコンテンツにも、“英雄の帰還”が感じられる場面が用意されているんですね。

吉田 とくにメインシナリオは、そうかもなと思います。もともとメジャーアップデートをリリースする際には必ず、まるで新作パッケージかのようなパッチタイトルと、その中身を想起させるイラストを発表しています。この方針は、『旧FFXIV』を新生させるに当たって、PRを考えるとそれがよい、ということで僕から提案しました。そのおかげで毎回苦労しますが(笑)。

──そうだったんですか。

吉田 いつもは、より新作のパッケージに見えるようメインシナリオをフィーチャーした内容になっていますが、宣伝/PR/マーケティングというところもやはり大きいので、今回は世界的に有名なゲストクリエーターのおふたりに加わっていただいてることもあり、いつもと少し趣向を変えてみました。何よりも、今回のメインビジュアルがあしらわれたWebサイトのバナーを見た方が、「『FFT』の続編がリリースされるの!?」みたいな感じでクリックしたくなるのがポイントです。このためかなり早い段階から、明彦さん(吉田明彦氏。株式会社CyDesignation取締役)に「パッチ4.1のメインビジュアルが待っているので、『紅蓮のリベレーター』のパッケージイラストで終わりじゃないです」とお伝えしていました(笑)。

──今回は吉田明彦さんの描き下ろしですか?

吉田 完全描き下ろしです。じつは、あのメインビジュアルのような高い頭身のラムザとディリータを、明彦さんは描いていないのです。そこで「今後のためにも描いてください」と伝えたのですが、「ラムザとかどうしていいかわからない(苦笑)」という返事でした。

──そこで何と?

吉田 「若干後ろ気味でいいので」と。ディリータは歴史上の存在が確認されているというのがイヴァリースの中での設定ですので、イラストを発注する段階からディリータは意図的に顔を視認できるようにしました。一方でラムザのほうは、偽書にはそう書かれているものの、歴史書の中では実在が確定していないので「あえて顔を書かない構図にしましょうか」と話した感じです。

──いわゆる3.Xシリーズ当時と、ロゴのデザインが若干変わっているように思えるのですが、やはり“4.Xシリーズの幕開け”をプレイヤーに伝える狙いがあるのでしょうか?

吉田 シリーズを意識しているわけではないです。そこは今回に限らず、毎回意識していません。“英雄の帰還”も皆川(皆川裕史氏。アートディレクター)に作ってもらったのですが、パッチ全体のイメージとメインビジュアルをどのようにまとめるのかを、作画の途中段階から伝達。それに合う硬質感みたいなところを出してもらっています。最初のころは僕のほうから文字のイメージまで伝えていたのですが、最近は「こういう系統のフォントにしよう」や「崩してほしい」みたいな部分を初期段階から伝えることはしていません。いくつかのパターンを提案してもらい、その中から「これをもうちょっと加工してみよう」といったやり取りをするだけです。

──皆川さんと事前に細かく打ち合わせをされているわけではないんですね。

吉田 新生から2、3パッチまではそうしていましたが、いまではほとんどなくなりました。今回は“英雄”というわかりやすくて強い単語が入っているので、「王道のゴシックで真っすぐに作ってくれれば」と思っていたくらいです。

──パッチ4.1のメインシナリオで、解放を成し遂げたアラミゴとドマのその後が並行して語られるのでしょうか。それとも、たとえばですが“ドマはその後で”みたいな流れになるのですか?

吉田 言いかたをすごく悩んでいて……。4.Xシリーズの新章開幕としては、「静かな立ち上がりだなぁ」と感じるのではないかと思います。

──予告編みたいなイメージですか?

吉田 いいえ、予告編ではないです。『蒼天のイシュガルド』当時はエスティニアンとニーズヘッグという“引き”があったおかげですんなりパッチ3.1のラストにつながっていきましたが、今回はそれとは少し違うのです……。少なくともパッチ4.1だけでは、4.Xシリーズがどちらの方向に進むのかまだわからないだろうと思います。

──『蒼天のイシュガルド』からパッチ3.1までにかけては、シナリオの歩む方向がプレイヤーの側からもすんなり予測できました。ですが『紅蓮のリベレータ―』は、いろいろな行き先に進めるシナリオの終わりかただったので、そうした部分も影響しているのかなと。

吉田 ひとつ言えるのは、わかりにくい物語にはなっていないということです。『旧FFXIV』時代から継がれてきた大きな歴史に今回決着がつきます。ここで決着をつけるんだ、みたいな印象を受けるかもしれません。

──たとえば、レベル60以降の錬金術師のクラスクエストのような……?

吉田 もっとわかりやすいです。とにかく大きな決着がつくのですが、こちらもPRしづらいところがあって……(苦笑)。

──『旧FFXIV』時代のキャラクターが登場するのでしょうか?

吉田 キャラクターはあまり関係ないです。たとえば錬金術師のクラスクエストに登場したニエルフレーヌのような、わかる人だけが理解できるようなタイプのものではありません。もっと大きな枠組みの中で、「え!?」とちょっとびっくりされるかもしれません。「4年か……」という感じがあるのではないかなと。今回のシナリオは静かに立ち上がり、静かに進むんですが、最後はよくできたと思っています。声優さんたちも、すばらしい演技をしてくださいました。

──4.Xシリーズに向けた伏線みたいなものが張られていくせいもあって、静かな立ち上がりになるのでしょうか。もしかしたら、『紅蓮のリベレータ―』の時点ですでに伏線が張られているのかもしれません。

吉田 伏線はすでにいくつかありますが……まだヒントが少なく、たぶん予想できないと思います。今回パッチ4.1はふたつのシーンで超重要なワードが登場します。とくに設定好きの方はお見逃しなく。

──油断していると読み飛ばしてしまう危険性も?

吉田 それがわかるようにはしてあるんですが、だからこそ何事もなかったかのようにスルッと読めてしまう可能性もあるので、ご注目いただければと。この先の流れはいったんすべて決まったので、今後はそこに向かって突き進むことになります。静かな立ち上がりだとは思いますが、どんどん予想のつかない方向に行くと思います。

静かに展開するメインシナリオの中に、何か大きな秘密が隠されているようだ。

──とはいえ、アナンタ族とのあいだでひと悶着が起こるようです。

吉田 そうですね。

──アラミゴ王宮の空中庭園を再訪すると以前お話しされていましたが、メインシナリオに関連して、当地へ赴くことになるのですか?

吉田 メインシナリオをクリアーすると、自由に行けるようになります。ですので、そこに関連して何かがあるのかなと思っていただければと。

失われた都 ラバナスタの物語には“名言”が!

──週制限や報酬を含めて、リターン・トゥ・イヴァリースには既存のアライアンスレイドの仕組みが受け継がれているのでしょうか?

吉田 アライアンスレイドの基本システムはいつも通りです。リターン・トゥ・イヴァリースのために、何かを新たに覚える必要はありません。これまでと同様、シナリオとバトルに集中していただければ大丈夫かと思います。

──影の国 ダン・スカーのように、アクセサリが手に入ったりしますか?

吉田 今回はないです。アイテムレベルが更新されるわけでもありませんし、つぎのパッチ公開までの期間が長いわけでもないですので。

──これまで通り、サブジョブの防具を集めつつ物語を楽しむイメージですね。

吉田 そうなります。

──ということは、ロストアラガン強化繊維などの素材が毎週ひとつ手に入る流れも同じですか?

吉田 はい。

──リターン・トゥ・イヴァリースは、コンテンツの呼び名ではないのですか?

吉田 コンテンツファインダーにはリターン・トゥ・イヴァリースではなく、“失われた都 ラバナスタ”と表示されます。リターン・トゥ・イヴァリースはあくまでもシリーズタイトルなので、ゲーム中には出てきません。

──今回登場するボスは、すべて雨宮さん(雨宮慶太氏。イラストレーター/キャラクターデザイナー/映画映像監督)が手掛けられたのですか?

吉田 いいえ、今回は全4体のボスのうち2体をデザインしていただいています。

──『FFT』および『FFXII』のボスや、それらの作品をフィーチャーした要素が登場することも……?

吉田 そこは全開です。とはいえ、いずれの作品を知らなくても、新しいレイドシリーズとしてしっかり楽しんでいただけるように制作しました。もちろん、両方見ていたほうが、より深く楽しめるのは間違いありません。

──イヴァリースの世界観は歴史の面でも深く構築されていますが、開発スタッフの方々は、そうした部分を再度学び直したのでしょうか?

吉田 バトルやメインに関わる人たちは本当にゲーム好きが多くて……たいていの場合、イヴァリースの世界観や歴史を最初から知っています。お互いに語り出すと止まらなくなるくらい(笑)。ですのでリターン・トゥ・イヴァリースを開発するにあたり、改めてシナリオを復習するくらいのことは誰もがやっています。戦闘時のトークひとつ取ってみてもそうですし、ギミックに関しても同様です。

──次元の狭間オメガ零式:デルタ編(以下、零式:デルタ編)のときもそうでしたよね。

吉田 イヴァリースアライアンスの作品群が大好きでリスペクトしているからこそ、ファンに非難されたくない気持ちが強いんです。そのせいか、ボス戦もすごく手が込んでいて、「これ、新しいギミックを作りすぎなんじゃね?」と話をしたほどで(笑)。

──スタッフの方々のほうから、たとえば「ヴィエラ族を入れよう」みたいなアイデアが続々と出てくる感じですか?

吉田 そこは松野さん(松野泰己氏。株式会社ALGEBRA FACTORY代表取締役/ゲームデザイナー/脚本)のシナリオが最初にあって、登場するキャラクターもすでに決まっているので、僕たちがそこに何かを足すことはありません。僕らから完全新規キャラクターモデルはX体まで、改造はX体まで、など全体のボリュームは指定させていただいています。松野さんは現役のゲーム開発者ですし、それらを汲み取りつつ、きれいにお話を作ってくださっています。僕たちは松野さんのテキストをもとに想像を膨らませながら実装と演出を作り、リターン・トゥ・イヴァリースという松野さんの作品を最大限まで盛り上げるのが仕事になります。

──何かを付け足すとか、そういうことではないんですね。

吉田 ザコモンスターなどには、盛り上げのために発注を受けてない赤チョコボの群れを入れてみたりはしています。それを見た松野さんは、とても喜んでいました。そういう相乗効果は狙っていますが、キャラクターや設定を崩してしまうようなことは、こちらの側から一切していません。こちらから提案するパターンはありますが。

──といいますと?

吉田 たとえばセリフに関連して「こちらのほうが松野さんが伝えたいニュアンスに近いと思うのですが、どちらがいいですか?」みたいな感じです。それ以外でいえば、あとは翻訳です。日本語は主語がなくても雰囲気で成立する言語で、とくに松野さんが書かれるテキストは「誰に向かって言っているのか、あるいはどれを指しているのかは自分で考えてください」的な部分を持ち味としています。そうしたよさを維持しつつ英訳を試みると、英語の文面が原文とまったく違ってきてしまうんです。ですので、どちらを指しているのかを示す主語を我々の側で決める際は、松野さんとお話させていただいています。僕の中では「松野さんに聞くまでもなく、こっちに決まっている」と思っていても、開発は間違えてしまうのが怖いようです(苦笑)。そういったやり取りは、けっこう頻繁に行っています。

──吉田さんが松野さんのテキストをご覧になって、これは名言だと感じるようなセンテンスはありましたか?

吉田 やはりあります。『FFXIV』のいままでの読み口と違うように感じられないと意味がないので、「揃えようとしなくて構いません」という話をさせていただきました。でも、さすがは光の戦士でもあられる松野さん、さまざまなところにキチンとネタも含め、合わせはしてくださっていました。

──制作時の松野さんのテンションはいかがでしたか?

吉田 高かった……と僕は思うのですが、ふだんの松野さんのお仕事を知らないので、比較ができないです(笑)。 でも「報酬とかあんまりいらないよ、ファンフェスのコスプレ審査員をやらせてくれれば、さらにディスカウントするよ」と言ってくださって。「いやいや、むしろ審査員をお願いします」としたうえで、お気持ちをいただいてディスカウントもしていただきました(笑)

──ではスムーズに進行したのですね。

吉田 やはり雨宮さんの存在も大きかったと思います。雨宮さんは僕にとってだけでなく、松野さんにとっても大尊敬するアーティストです。雨宮さんが、ものすごいスピードでボスのイラストを仕上げてくるので、「この速度はプレッシャーだな」っておっしゃっていましたし(笑)。じつは雨宮さんなりにイヴァリースを調べておられて、たとえば「家畜に神はいないッ!!」に代表される、松野さんが書かれる名セリフに、いまでも多くのファンがしびれていることをご存じなんです。そのため、打ち合わせしたときに雨宮さんが、「今回は、それと対になるくらいのものを届けないとダメだね(笑)」と松野さんにさらなるプレッシャーをかけてましたよ(笑)。

──それに対して松野さんは何と?

吉田 「えーっ!?」と(笑)。やはりそういう刺激と、あとは松野さんも現役の『FFXIV』プレイヤーなので、我々がイヴァリースアライアンスのファンの方々から怒られたくないと思うのと同じように、やはり光の戦士の皆さんをがっかりさせたくない気持ちがあったはずです。「パッチの公開が遅れたら松野さんのせいにされますよ」とさらなるプレッシャーを(笑)。

──(笑)。実装できなかったら、前代未聞です。

吉田 今後のために残しておいた空白の設定もうまく利用して、しっかりと全体がかみ合うように仕上げたつもりではいます。

──あらゆる面でリターン・オブ・イヴァリースが楽しみです。

吉田 いずれにせよ、まだ第1弾で序章ですので、いろいろと議論しつつ今後にもご期待ください。

──大迷宮バハムート:邂逅編でルイゾワの後ろ姿が一瞬だけ現れますが、それに通じるようなラムザとディリータのシーンに期待しています(笑)。

吉田 そんなにわかりやすい展開になるかな……(苦笑)。

──松野さんが久々にイヴァリースアライアンスの世界観を手掛けるということで、注目度がものすごく高まっている気がします。

吉田 そのぶん、バトルにも気合が入っています。ものすごい派手なので、ぜひご期待ください。