『Destiny 2』はすべてのユーザーの遊びかたを受け入れる

 2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。会期2日目の9月22日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア主催による『Destiny 2』のプレゼンが行われた。登壇したのは、開発元であるBungieのローカリゼーション マネージャー、スティーブン・ラインハート氏とシニア エンジニアリング リード ルイス・ビレガス氏。両氏は『Destiny 2』を「すばらしいストーリーですばらしいキャラクター、バラエティー豊かな4つの世界で楽しめるタイトルです。アクティビティも充実しています」と説明。プレイヤーがその役割を担うガーディアンには、マーシャルアーツを得意とするハンター、刀を武器にジャンプを駆使するウォーロック、防御にすぐれたタイタンの3タイプがあると説明してくれた。

『Destiny 2』はすべてのユーザーを受け入れるダイバーシティ(多様性)に富む Bungieの開発者に聞く【TGS2017】_01
ローカリゼーション マネージャー、スティーブン・ラインハート氏(右)とシニア エンジニアリング リード ルイス・ビレガス氏(左)。

 先述の通り、魅力的なキャラクターが登場するのも本作の魅力だが、ケイド6やホーソーン、ガウルといったキャラクターを紹介。ガウルに関しては、「魅力のある悪役で、自分のストーリーを持っている」と、ひときわ思い入れがある様子。

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 さらに、本作の舞台となる4つの新しい世界としてもっとも大きな場所であるヨーロッパ・デッドゾーン(EDZ)、タイタン、ネッスス、イオの4種類を紹介してくれた。ちなみに、スティーブン・ラインハート氏がもっともお気に入りなのはネッススで、「自然が溢れた惑星で、美しいところです」とのことだ。

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 ビレガス氏いわく「複数の楽しみかたがある」という『Destiny 2』。キャンペーンでは物語が満喫でき、マルチプレイでは、協力プレイもあれば対戦プレイもある。「さまざまなアクティビティを提供しています」(ビレガス氏)という。9月14日には多人数で挑む難易度の高いクエスト“レイド”が解禁されたばかりで、「5分~5時間まで、プレイヤーの思うがままに遊べる」というのが、『Destiny 2』の魅力だ。

『Destiny 2』は幅広いゲームプレイを許容する

 というわけで、プレゼンを終えたばかりのBungieのローカリゼーション マネージャー、スティーブン・ラインハート氏とシニア エンジニアリング リード ルイス・ビレガス氏にお話をうかがった。

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――発売された『Destiny 2』のユーザーさんの反響をお教えください。

ルイス 私たちも本当にありがたいと思うほど、ポジティブな反応をいただいています。発売から何100万人もの方に遊んでいただいておりますし、うれしいです。圧倒的な評価をいただいています。

――本作ではひときわストーリーモードに注力していたかと思うのですが、それに対するユーザーさんの反応はいかがですか?

スティーブ 先ほどのプレゼンでもお話しましたが、私たちはキャンペーン、ナラティブの部分に非常に注力して開発してきました。最初の『Destiny』のときにプレイをしていただいた方はもちろん、本作から新規で始められるユーザーの方にとっても、取り込まれるような感覚を感じてもらえるストーリーラインになったかと自負しています。キャラクターも魅力的で、『Destiny 2』では楽しんでいただけているのをうれしく思っています。

''――マルチプレイでとくに好評なモードは?""

ルイス コレというよりは、複数のモードを楽しんでいらっしゃるようです。まずはキャンペーンで遊んでみて、そのあとで仲間とプレイできる手応えがつかめたら協力プレイをしたり……。9月14日に配信されたばかりの“レイド”に挑戦したり……。あるいは対人戦に挑戦したりと、複数の楽しみに取り組んでいるようですね。そのときに時間がどれくらいあるかだとか、いっしょにプレイできる仲間がそのときにいるかなど、いろいろな状況に応じてモードをスイッチして楽しんでいただけているようです。

――プレゼンのときに「5分から5時間まで楽しめる」とおっしゃっていましたが、ユーザーの環境に合わせて、幅広いゲームプレイを可能にしているのが『Destiny 2』の魅力というわけですね。ちなみに『Destiny 2』ユーザーは、長い時間と短い時間のどちらを好むのですか?

ルイス 多くのユーザーさんは、ご自身で「こういうふうにプレイしよう」というやりかたのようなものを作っていらっしゃるのかもしれません。たとえば、「今日は時間があるから、時間をかけて“レイド”をやろう」とか、「この日は友だちもいないし、ひとりでさっくり遊ぼう」とかあります。そのときの自身が所属するクランの状況であったり、その日に確保できる時間などによって、フレキシブルに対応しているようですよ。

スティーブ とくに、特定のデータがあるわけではありません。プレイヤーによって好みの違いはあると思います。そんな中でBungieとして大事に思っているのは、それが5分間であれ、5時間ある方であれ、その方の好みに合わせた長さでプレイできるものを用意しようということです。

――先日“レイド”が実装されましたが、あえてソフトの発売日に同時展開しなかった理由は?

ルイス いくつかの理由があります。まずはユーザーの皆さんにはたっぷりと時間をかけてストーリーを楽しんでいただきたかったということです。そしてある程度慣れていただいたり、充分準備をかけて慣れたいただいた時点で、“レイド”を取り入れてプレイヤーさんの状況に合わせて入れていこうと考えたんです。

スティーブ まずは基本的なところをクリアーして、“レイド”で勝ち抜いていくためのスキルを磨いてほしかったんですね。“レイド”が実装されたのは、ローンチをしてから2週間程度あとだったのですが、そのあいだにユーザーさんには、ギアや武器を整えて、マックスの能力を高めていただく。“レイド”に臨む充分な準備ができた時点で、“レイド”が始まる。そうすると、皆さんが同じ出発地点から“レイド”を楽しんでいただいて、「最初にクリアーするのはどのクランか……」ということで盛り上がっていただける。ということで、“レイド”の実装はソフトのローンチから少し遅らせました。

――“レイド”に対するユーザーさんの感触はどうですか?

スティーブ 多くのユーザーさんから、いままでで“ベストのレイド”という評価をいただいております。Twitchの放送でも、もっとも見られている“レイド”となっていますね。

ルイス 総視聴時間が6億時間を超えるほどの好評を得ていますよ。

――そこまで好評を博している理由は?

ルイス ユーザーの皆さんに、“チャレンジするに値するレイド”として作ったからだと思っています。私たちも今回の“レイド”に関しては、メカニズムであったり解きかたであったりを、試行錯誤して作ってきました。非常にチャレンジングなレイドになっているんですね。それに対して、コミュニティーが“どういうトリックを使えばいいのか”、“どうやってこの難題をクリアーすべきなのか?”ということを一生懸命考えながら解いていってくれています。難しいからこそ楽しんでいただける側面があるのではないかと。

スティーブ プレイヤーだけではなくて、今回の“レイド”に登場する皇帝も単なる悪役ではなくて、美学があります。存在感がある。そんな悪役に対して、どう“レイド”を仕掛けていくのかということも、非常にやりがいを掻き立てるようです。

――ガウルもそうですが、魅力的な悪役の存在がストーリーを盛り上げるということですね。ところで、“レイド”をクリアーしたときのリワードとして、もっとも好評なのは?

スティーブ まだわからないというのが率直なところです。ある程度時間が経てば、好みのトレンドや武器も出てくるかと思いますが。まだ、そこまではわかっていません。ただ、ひとつ心掛けたのは、そういったものもできるだけバランスよく提供していきたいということです。前作だと、プレイヤーの好むものがだんだん固定化されてきたり……といったことがありました。本作ではそうではなくて、「こういうものが好き」とか、「こっちのほうが見た目がいい」とか、「こちらのほうが強い」とか、多様な価値観でバランスを持たせるようにしています。

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――スティーブさんはローカライズ担当とのことですが、ローカライズにあたって心掛けたことは?

スティーブ 気に留めなければいけないことは数多くありますが、とくに心掛けたのは、ただ単に英語を日本語に訳せばいいというわけではない点です。言葉や文章をそのまま訳すのではなくて、その言葉が使われた背景にある意図や意味、感情、そういうものを日本語版で表そうと考えました。たとえば、ケイド6はよくジョークを言って笑わせますが、彼が言ったジョークをそのまま日本語にしてもうまくいきません。私たちは言葉をそのまま翻訳したいのではなくて、ケイド6がそこでジョークを言って笑わせたいと思ったという背景を大切にしたいんです。そこで日本人が笑ってくれるような言葉は何なのか? 何を言えば日本のプレイヤーは笑ってくれるのかということを考えました。日本語と英語はなかなかチャレンジングで文化も違えばユーモアのセンスも異なりますので、ちょっとクリエイティブに工夫をしながら、日本語版にローカライズしました。

――ジョークの翻訳は難しいとは、よく言われますね。

スティーブ ひとつ難しかったのは、漢字とカタカナのバランスです。『Destiny 2』はサイファイとファンタジーの世界観なのですが、日本の方は、SFは用語をそのままカタカナ化することが多いように思います。一方でファンタジーは伝統的なシーンも登場しますので、ある程度の漢字も許容される。そのため、『Destiny 2』は上手いバランスを取ろうとしました。SFファンにとっては漢字は少し抵抗がある、ファンタジーファンは、目一杯カタカナが並んでいるのもちょっと……ということになる。そのへんは私たちも充分認識していました。新しいガンや装備が出てきたときの呼びかたにしても、名前のつけかたひとつとっても細心の注意を払っています。

――キャラクターが魅力的ですが、造形の秘訣は?

ルイス キャラクターを作るときは、世界中のすべてのユーザーにアピールしたいポイントが正しく伝わるように……ということを考えています。また、さまざまな文化をバックボーンに持った方々がプレイされますので、ダイバーシティ(多様性)も重要視しています。そのため、さまざまなバッググラウンドやさまざまなパーソナリティーを持ったキャラクターを作り上げるようにしている。どのような方がプレイヤーであっても、身近に感じていただけたり、「好きだな」と思っていただけるようなキャラクターが必ずいるようにしています。ケイド6やサヴァラ、イコラなど、個性的なキャラクターが多数いることが、個々のキャラクターを一層魅力的なものにしているのです。

――最後に、これから『Destiny 2』をプレイすることを検討しているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

スティーブ 今回『Destiny 2』が日本の皆さんに完全にローカライズされた状態でお届けできることを非常にエキサイティングに思っています。SFがお好きで、まだシューターにトライしていない方もいらっしゃると思います。Bungieとしてはこのジャンルにこだわりを持って取り組んでいるので、ぜひ試してみてください。

ルイス まだ『Destiny 2』を試したことのない方には、「本作は美しいストーリーと魅力的なキャラクターで構成されたゲームになっておりますので、ぜひとも楽しんでください。