2017年9月21日〜24日まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。会期2日目の9月22日、『コール オブ デューティ ワールドウォーII』のプレゼンテーションが行われた。

 ファミ通.comでは、ナラティブ・ディレクターのScott Whitney氏にインタビューも実施。さらに、FPSゲームの実況を行う、国内の人気Youtuberを対象としたイベントも潜入取材をしてきた。

『CoD: WWII』インタビュー 「世代交代を意識し、若いプレイヤーにWWIIについて伝えたいし、義務でもある」_01
『CoD: WWII』インタビュー 「世代交代を意識し、若いプレイヤーにWWIIについて伝えたいし、義務でもある」_07
スレッジハンマー・ゲームス ナラティブ・ディレクター
Scott Whitney氏

 本作についてあらためておさらいすると、テーマを第二次世界大戦に回帰し、地に足を付けた戦いが帰ってくる。キャンペーンでは、米軍第一歩兵師団に所属するロナルド“レッド”ダニエルズがメインキャラクターで、分隊メンバーとして主人公の親友ロバート・ズスマン、命よりも任務遂行を重んじるピウィリアム・ピアソン軍曹(俳優ジョシュ・デュアメルが演じる)、そして情に熱く兵士の命を優先するジョセフ・ターナー中尉が登場する。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を描き、ノルマンディー上陸作戦に始まり、フランス戦とパリ解放、そしてドイツへと進軍する様子を追っていくのだ。

 『コール オブ デューティ』(以下、『CoD』)ならではの過酷な戦闘と仲間たちとの絆を描いた重厚なストーリーが楽しめるキャンペーンモード。過酷な戦場に挑む一兵卒とその仲間たちの固い絆を描いたストーリーを体験し、プレイヤーは泥まみれで緊張の絶えない地獄のような戦場で、戦いに身を投じることになる。ストーリーを追うごとに、「主人公のレッドは“仲間を救うために犠牲を払うことが必要であること”、“真の英雄”、“真の友情”とはなんなにのか気づかされていく」と、Scott氏は言う。

 またScott氏は、世代交代を意識して、若いプレイヤーに第二次世界大戦について伝えたいとし、「このゲームで第二次世界大戦の悲惨さを訴え、二度とこういった戦争が起こらないようにしたい。この戦争について若い世代に伝えるのが、我々の義務であるようにも思う」とも語った。

 マルチプレイヤーでは、これまでのクリエイトクラスに代わり、“Divisions(師団)”と呼ばれる新システムが登場する。プレイヤーは、第二次世界大戦時に実在した5つの象徴的な師団のいずれかに所属することになる。各師団には、それぞれに固有のディビジョントレーニングと、自由に選択できるベーシックトレーニング(スキル)が用意され、これらを組み合わせることで各プレイヤーのプレイスタイルをサポートしてくれる。

 そして、連合軍と枢軸軍に分かれて、段階的に変わっていく目標を巡り対戦するストーリーベースの新モード“War”が収録されることも、注目ポイントだろう。

 また、シリーズ初の、プレイヤーどうしのコミュニテイの場を提供するソーシャルスペース“ヘッドクォーター”が登場する。射撃練習場が用意されるほか、1vs1の対戦が行えるガンピット、スコアストリークの練習が行えるスコアストリークトレーニング場が収録されるほか、プレステージを迎えると上官(NPC)からのお祝いや、ドイツ軍戦闘機による空爆からヘッドクォーターを守るイベントも開催される。

 最後に、『CoD』の伝統的モードとなったゾンビモードについても紹介された。プレイヤーは、第二次世界大戦中にナチスに略奪された芸術品を奪い返すことを目的にした特殊部隊モニュメンツ・メンのメンバーとして、身も凍るような暗く不思議なドイツの雪深いバイエルンの村“ミッテルブルク”へと潜入する。 この村には想像を絶する恐ろしい力があり、地下のナチス・ドイツ研究施設では、死体蘇生実験が行われているのだ。そして、今回のゾンビモードはシリーズ史上もっとも恐ろしく、もっとも難しいイースターエッグが隠されていることも、明らかとなっている。

ナラティブ・ディレクター Scott Whitney氏インタビュー

 ここからは、キャンペーンモード開発の中心に立っている、ナラティブ・ディレクターのScott Whitney氏のインタビューをお届け。分隊メンバーについてや、『CoD』たらしめている兵士どうしの友情、女性兵士の起用についてうかがった。

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ーーまず、第二次世界大戦についてどのようにリサーチをしたのでしょうか?

Scott 第二次世界大戦については個人的にも興味があったものですが、『CoD: WWII』の制作に参加することで、さらに関心は深まりました。私自身もたくさんのリサーチを重ねましたが、パートナーとなる軍事歴史研究家をコンサルタントに迎え、いかに史実に忠実であるか、最新の注意を払いました。

ーープレゼンでは、「世代交代を意識して、若いプレイヤーに第二次世界大戦について伝えたい」とおっしゃっていましたが、彼ら(若いプレイヤー)をストーリーに引き込むために工夫した点はどこでしょう?

Scott 第二次世界大戦は長くたくさんの歴史が詰まっているので、本作だけですべてを伝えるのはできません。我々が狙いとして定めたのは、より情緒的にして、ユーザーを引き込ませるようなストーリーに重きを置きました。ですから、ゲームの中で第二次世界大戦を学んでいただいて、またゲームをしたことによって、第二次世界大戦に関心を持ってもらいたい。そして、今度は自分たちで第二次世界大戦について調べて欲しいと思っています。

ーーキャンペーンでは、主人公のレッドのほかに、厳格で任務に忠実なピアソン軍曹、常に深いターナー中尉が登場しますね。彼らについて、詳しく教えていただけないでしょうか?

Scott レッドは、テキサス州出身の19歳で、戦争に従軍するのは初めてです。これはプレイヤーにとってもいいことで、なぜなら彼と同じように戦争についてまったく知らない新兵状態からスタートできるからです。ズスマン一等兵は、戦場をともにしていき、レッド(プレイヤー)の戦友となります。ストーリーが展開する中で、信頼関係を築き、彼のためなら命を捨てても構わないと思えるような人物です。そして、ターナー中尉とピアソン軍曹は、プレイヤーの上官です。ターナー中尉は任務よりも命が大事、一方のピアソン軍曹は命よりも任務遂行を重視する、正反対の性格を持っているのです。主人公のレッドは、この両極端なふたりの関係の仲の中道を歩むのです。

ーートレーラーでは、ピアソン軍曹とターナー中尉の衝突も描かれていましたね。

Scott そういった場面はいくつか見られます。しかし、ピアソン軍曹の言っていることも、ターナー中尉が言っていることも、どちらも正しいのです。“人命を大切にする”ことも、“犠牲を少々払ってでも任務を遂行する”ことも、どちらも第二次世界大戦では正しいことで、彼らふたりが対立するというよりは、このふたつの真実が衝突するのです。

ーー当時の兵士たちも、そういった葛藤を持つ兵士がいたかもしれませんね……。

Scott さまざまなバックボーンを持った人が従軍し、戦争に対しいろいろな見方があるわけです。ですから、“人命を大切にする”こと、“犠牲を払ってでも任務を遂行する”ことはどちらも正しいことであると示したいと思っています。第二次世界大戦は複雑で残酷な面があることも伝えたいですね。

ーー任務を中断あるいは放棄し命を救う、または任務遂行のために犠牲を払うといった、プレイヤーに選択肢を与えるシーンはありますか?

Scott キャンペーンは困難な選択がたくさんあります。正しい選択と行動を取りたいけど、リスクにさらされてしまうこともあるのです。たとえば、戦闘地域でドイツの民間人をエスコートして、安全な場所まで連れて行くのですが、そうすると自分の部隊が危険にさらされてしまうといったシチュエーションがあります。

ーー「このゲームを制作するうえで、第二次世界大戦の悲惨さを伝え二度とこういった戦争が起こらないようにしたいし、それを伝えるのが我々の義務でもあるように思う」とおっしゃっていましたが、キャンペーンを制作するうえで、葛藤や苦しみはありましたか?

Scott 素晴らしいストーリーを生み出す中で、葛藤や苦しみは我々のなかでもありました。我々がもし、当時従軍して同じ境遇に陥ったらどうするかという、兵士の目線を忘れずに考えるように努め、物語を洗練させていくのはとても大変でした。

ーーでは、本作において『CoD』たらしている要素、『CoD』シリーズとしてあるべき姿を現しているのはどこでしょう。

Scott 興味深い質問ですし、簡単には答えられないね(笑)。私が8年前にゲームの開発に初めて携わって、その際にActivisionが『CoD』のプレゼンをしてくれたのですが、当時の内容を思い出すと、いまはだいぶ変わったなと思います。これは現代のニーズに合わせて変化していったからです。ただ同時に勇気・兄弟愛・献身的といったことは普遍的であり、『CoD』の真実でもあります。

ーーやはりシリーズファンとしては、キャンペーンモードで描かれる兵士や上官との絆は、『CoD』シリーズを通してとても強く描かれていると感じます。本作でも期待しています。

Scott 崇高的な理想ではなく、自分たちのそばでともに戦う友とのやりとりにフォーカスを当てていいるので、ぜひ期待してください。

ーーキャンペーンでは、新たに連合軍のメンバー"ルソー"と"クロウリー"の紹介映像が公開されましたね。彼らについて詳しく聞かせていただけますか?

Scott 本作では、アメリカ第一歩兵師団にフォーカスしていますが、アメリカ以外の国籍の兵士も登場します。クロウリー少佐はイギリス海外派遣軍の特殊作戦執行部に所属しており、非常な複雑な任務を与えられています。

ーートレーラーでは、クロウリー少佐がドイツ軍の軍服を着ているシーンもありましたが、諜報活動を行うミッションが収録されているのでしょうか?

Scott その通りです。クロウリー少佐はエリートのひとりで、諜報員としてドイツ軍に占拠された地域に潜入することもあります。

ーーそれはキャンペーンのなかでクロウリー少佐を操作して遊べるのでしょうか?

Scott いいえ。プレイヤーはフランスレジスタンスに所属する女性の“ルソー”としてプレイし、クロウリー少佐と行動をともにします。

ーー昨今の『CoD』シリーズでは女性兵士が登場する機会が多くなったとお思います。今回、女性キャラクターをプレイアブルとして登場させるにいたった理由は何でしょう?

Scott マルチプレイヤーでは女性兵士をクリエイトできますが、これはさまざまなバックグラウンドを持ったプレイヤーが楽しめるようにと考えた結果です。

ーー現代ではあらゆることに多様性を持たせることが多くなっていると感じます。本作でもその流れのひとつだと感じていますし、悪いことであるとは思いません。しかし、女性兵士が戦場に出てしまうと史実に反してしまいますよね。制作チーム内で反対意見もあったのではないでしょうか?

Scott どういった物事でも、ある程度の反対はあると思います。しかし、我々がこの問題で重要視したのは、“第二次世界大戦をテーマとしているが2017年に発売するゲームである”ということです。モダンなニーズに応える必要がありました。

ーーなるほど。では最後に、Scottさんがキャンペーンモードで伝えたいメッセージを教えてください。

Scott ひとつのメッセージにまとめるには難しいですが、やはり兄弟愛ではないでしょうか。兄弟愛は当たり前でも当然のことではないと感じて欲しい。戦場において、兄弟愛はどうやって形成されていくのかを深く考えて欲しいです。さまざまなストーリーが展開するなかで、プレイヤーが兄弟愛について、表面的なものではなく深く考えるに至っていただければと思います。

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おまけ:Youtuberイベントに参加した話

 東京ゲームショウ2日目には、プレイステーションブースにて国内Youtuberを対象とした『CoD: WWII』の対戦イベントが実施された。そこになぜかActivisionから呼ばれた筆者。ワケも分からずYoutubeさんたちといっしょに対戦プレイさせていただき、最後には写真も撮らせていただいたので、ここに掲載させていただきます。
 結果? ぼろ負けでしたよ……。

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ゲーム実況者 ジャンヌ
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てんちむこと橋本甜歌も来てました! かわいいから見て‼︎
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