2017年7月にアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大規模の格闘ゲーム大会“EVO2017”。「日本人選手が世界大会で優勝した」と一般メディアでも取り上げられることとなったが、その多くは『ストリートファイターV』(以下、『ストV』)部門で優勝を果たしたプロゲーマーのときど選手についてだった。

 しかし、EVO2017のメインタイトルで優勝した日本人選手は、『ストV』部門のときど選手だけではなく、ほかにも『ブレイブルー セントラルフィクション』(以下、『BBCF』)部門のりゅうせい選手と、『GUILTY GEAR Xrd REV2(ギルティギア イグザード レヴツー) 』(以下、『REV2』)部門のおみと選手がいる。彼らは、ときど選手に負けず劣らずの覚悟とやり込みで世界に挑み、頂点の座を勝ち取ったのだ。

 今回はそんなプレイヤーのひとり、りゅうせい選手にインタビューを敢行。プライベートでも親交の深いファミ通の格闘ゲーム担当・豊泉三兄弟(次男)が、りゅうせい選手の格闘ゲームに対する取り組みかたなどをうかがった。

りゅうせい

10代のころから全国大会上位に名を連ねる『ブレイブルー』プレイヤー。カルルを使用して世界大会“EVO2017”で見事優勝。そのほか、闘神祭2015、アークシステムワークス ファイティングゲームアワード 2016でも優勝を果たしている。

ライバル“フェンりっち”選手との決勝戦

豊泉 まずは、EVO2017優勝おめでとうございます。

りゅうせい ありがとうございます。

豊泉 決勝戦は因縁の相手、“フェンリっち”選手(※)でしたね。

※フェンリっち:ジンを使いこなす最強クラスのプレイヤー。闘神祭2016、賽[Sai] ではりゅうせい選手を下して優勝している。

りゅうせい フェンリっちとは大舞台で当たることが多いんですよ。これまでは闘神祭2016で負け、“アークシステムワークス ファイティングゲームアワード 2016”で勝ち、“賽”で負け、と1勝2敗だったんですけど、今回EVO2017で勝って大会成績は2勝2敗ですね。

豊泉 大会成績は五分ではあるけど、世界大会で勝ったのは……。

りゅうせい 俺です。世界大会で勝ったので、一応現時点の世界最強は俺(笑)。でも、俺とフェンりっちは負けたほうが対策して、つぎの大会で勝つというのをくり返しているので、EVOで勝てたのは直前の賽で負けたからなのかなと。

豊泉 EVOにはフェンリっち選手といっしょに行ったんですよね? 決戦前夜のふたりはどういう雰囲気だったんですか?

りゅうせい フェンリっちとは同部屋だったんですけど、前日は彼がお兄ちゃんの部屋に泊まっていたんですよ。だから前日の夜は、とくに会話はなかったですね。彼はお兄ちゃんが心の支えになっている部分があるから、そっちのほうが落ち着くからだったのかと。

豊泉 じゃあ前日にフェンリっち選手と対戦することはなかったんですね。

りゅうせい 対戦はしなかったんですけど、フェンリっちの対策はものすごくしました。賽のときの動画を観て、自分がダメージを受けた場所とミスした場所を全部紙に書きだして、ミスした場所を反復練習。そのせいか以前ミスしたコンボはEVOではしっかり完走できましたし、同じミスをくり返すことはありませんでした。

豊泉 素晴らしいプレイの陰にはそういった努力があるんですね。EVOには練習用のモニターを持参したと聞きましたが?

りゅうせい 超重かったです(笑)。でも、EVOは遊びで行ったわけじゃないから、優勝できるなら重いからなんてどうでもいいことだし、それならやれることを全部やろうかなと。だから、まわりのみんなが観光しているなか、俺は部屋で一生コンボ練習をしていました。

豊泉 観光もせず試合に集中するなんてプロゲーマーみたいですね。

りゅうせい 大会はふだんとまったく違う環境でやらないといけないし、それだったら練習できる時間は全部練習しようと。

豊泉 たしかに、ブレイブループレイヤーは基本的にアーケードでプレイしてるから、まったくプレイ感覚違いますよね。

りゅうせい 筐体じゃなくて専用コントローラー使うじゃないですか。だからEVO前は千葉の知り合いの家に集まってずっとオフ対戦していましたよ。千葉勢が集まってくれて、いま思うとそこで家庭用のオフ対戦に慣れたのが大きかったなと。

豊泉 相当やり込んだんですね。

りゅうせい 対戦だけではなくて、家でも家庭用でずっと同じコンボを1P側と2P側でやっていました。

豊泉 1P側と2P側両方同じだけ練習のはすばらしいですね。俺の場合は得意なほうでやって終わり(笑)。

りゅうせい ええ、片方だけだと大会で失敗したら怖いですよ。

豊泉 そうそう。じつは、プロゲーマーのsakoさんに指摘されたことがある(笑)。「1P側が苦手なら、ふだんから1P側で練習しないとダメだ」と。Sakoさんは、できるほうで練習しても意味がないから、ふだんはあえて苦手なほうを選択して練習するそうですよ。

りゅうせい それは素晴らしいですね。

豊泉 俺はダメゲーマーだから得意なほうだけでいいですよ(笑)。

りゅうせい EVOに連れてってくれたから全部がダメなわけじゃないですよ(笑)。

『ブレイブルー セントラルフィクション』世界大会覇者・りゅうせい選手インタビュー! 人と人のつながりが導いた世界一 【EVO2017】_01