ネクソンから悪魔のような連絡を受けた。
「2017年9月20日から実施する『メイプルストーリー』と『ポプテピピック』のコラボを記念して、企業対抗コラボマンガ吹き出しコンテストを開催します。ふるってご参加ください」
動悸が収まらない。
企業対抗コラボマンガ吹き出しコンテストとは、要は大喜利大会だ。最初に話を聞いたとき、メディア対抗戦なんだろうなと思った。お誘いはなるべく断らない方針なので、いつもの調子で安請け合いしてしまった。
ほかの参加メディアを担当さんに聞いたところ、「ファミ通.comさんだけですけど」という返答。4gamerさんやGAME Watchさんには断られたのかもしれない。
だって依頼メールに「おもしろおかしくアレンジいただきたく」と書いてあったから。そのハードル高すぎないか。
『ポプテピピック』はカルト的な人気を誇るコミックである。2018年1月からはアニメもスタート。ファンは笑いに関して特殊な感性を持っている。滑ったらやばい。ネクソンは僕を道連れにするつもりだ。
コンテストの当日、不安を抱えてネクソンを訪れ、受付で担当者を呼び出す。視線の先には『メイプルストーリー』のポスターがあった。
企業対抗コラボマンガ吹き出しコンテストの概要
話を整理する。
ネクソンが運営するPC用オンラインRPG『メイプルストーリー』では、2017年9月20日(水)からアニメ『ポプテピピック』とのコラボイベントがスタートする。
『ポプテピピック』コミックス第1巻の帯文が「とびっきりのクソ4コマ!!」なので、この記事のタイトルには「クソコラボ」と入れた。果たして記事チェックは通るのだろうか(何の問題もなく通った)。
ポプ子&ピピ美アバターなどが手に入るゲーム内イベントのほか、“コラボマンガ吹き出しコンテスト”を開催。お題のコマに入るセリフを投稿し、優秀作にはオリジナルグッズが贈られる。
【お題のコマ】
僕が呼ばれた企業対抗コラボマンガ吹き出しコンテストは、参考例を見せて多くの投稿を促すために企画された。僕のほかに、ポプ子、ピピ美、メイプルキノコが参加する。お題の4コマのうち、僕らに提示されたのは上段のふたつ。
優勝賞品は何かと聞いたら「とくにありません」だそうだ。
【参加者】
さて、ここからが本番である。ネタを書いたら挙手して発表する早押しみたいなスタイルをイメージしていたのだが、とくにそういうわけではなかった。
何となく思いついたネタを書きこんで、何となく発表する。あるがままに。Let it beみたいな進行である。
『メイプルストーリー』と『ポプテピピック』、どちらのファンにも刺さる回答がベストとはいえ、そんなの対策を練りようがない。パッと見の印象で答えるのがいちばん。
問題は僕以外の3人が回答を書けないことだ。こういうときはいかにも「書いてます」風な写真でお茶を濁すことが多い。だが、ファミ通.comはよい子も読むWebメディアである。うそはよくない。このピンチをどうやって乗り切ったのか。
答えは“見るに見かねたスタッフによる代筆”でした。世界はやさしさに満ちている。
回答は『ポプテピピック』チーム、『メイプルストーリー』、ミス・ユースケの順に発表することになった。ピピ美の後ろのスケジュールが詰まっていたからだ。
【『ポプテピピック』チームの回答】
【メイプルキノコの回答】
最後は僕の番だ。4人の中で唯一“動きやすい”という利点を活かして、つぎからつぎへと回答を畳み掛けることにした。フリップ芸みたいなものだ。
ひとりだけネタの数が多いのは、ウケないことへの不安の表われである。
【ミス・ユースケの回答】
「えー、まずはですね。シンプルにこんな感じでどうでしょう」
「株みたいなシステムでトラブルを起こして反省したんでしょうね」
「まぁ、偽者かもしれませんけど。続きまして、『メイプルストーリー』って人気のあるゲームなので、こういうことだと思うんですよ」
「おしゃれで可愛らしいゲームでありたいですよね。宮崎あおいさんみたいに」
「これが『メイプルストーリー』側の本音なのかな」
「名作ゲームはリスペクトしたいですよね」
「このコラボ自体が合体事故みたいなものですから。続きまして、インスタに投稿しようとして写真を撮ったら、ちょっとイメージが違ったんでしょうね」
「あのお店は人を変えてしまう魔力を持っているんですよ」
「服装に注目すれば彼らがいる場所がわかります。勇者キノコは初めて来たんでしょうね」
『ポプテピピック』らしい言葉を使いたかったので、ヴィレヴァンを回答に組み込めて満足である。もしくはサブカルクソ女。
個人的には「牛です」が気に入っている。「あしたなに着て生きていく?」も好きだ。これには“着せ替えも楽しいゲームである”というメッセージを込めている。
3つ目の「エグザイル」では絵のほうにも描き込んだのでルール違反なのだが、自分の衝動を優先した。
厳正な審査の結果、ファミ通.comが優勝の座を手にした。やった! 事前に袖の下を渡しておいて本当によかった。やはりこういうときにものを言うのはロビー活動である。
大喜利では短文がウケやすい。文章が長いと、受け手が内容を理解するために一時的に冷静になってしまうので、瞬発的な笑いが起きにくいのだ。
大半の笑いは“あるある”の延長上にあると思う。発信者が言ったことを理解できて初めて、受け手はおもしろく感じる。共通の常識・認識を持っていないと、そこから少しズレたことに気付かない。
マンガなら前のコマで、漫才なら前ふりトークで共通認識の部分を整える。1コママンガはそれができないので、受け手の知識にあることやイラストを見てわかることに絞ったほうがいい。
つまり、『メイプルストーリー』っぽいことや『ポプテピピック』っぽいことをストレートにネタにしたほうがいいと思うのだ。それぞれのファンならピンポイントに笑いのツボをえぐれると思うので、ふるって応募してほしい。
完全無料! 超優良コラボなのかもしれない
『メイプルストーリー』と『ポプテピピック』のコラボは、“ギュルギュルルーレット”、“ログインイベント”、“コラボマンガ吹き出しコンテスト”の3段構成になっている。それぞれの内容について、GMカンキセ氏から説明してもらった。
ちなみに、アニメやマンガとのコラボでは記念アバターが販売されたりすることが多いが、今回のコラボは完全無料。まじですか。もっとこう、商売っ気バリバリなものだと思っていた。
ギュルギュルルーレット
期間:2017年9月20日(水)~2017年10月18日(水)23:59
特設ページでルーレットに挑戦し、結果に応じてゲーム内アイテムがプレゼントされる企画。ルーレットを回せるのは1日1回だが、結果をTweetするともう一度挑戦できる。運がよければ無期限のコラボアバターや称号、椅子(※)を入手可能だ。
(※椅子:待機時に使用するアイテム。ギミックが凝っている椅子は非常に目立つ)
GMカンキセ氏は「大当たり、大外れのときは演出も楽しんでもらえれば」と言っていた。彼自身が『ポプテピピック』ファンらしいので期待できる。
入手可能なコラボアイテム
【アバター】
ポプテピピック制服
ポプテピピック指定靴
ポプ子 ノーマル顔
ピピ美 ノーマル顔
ポプ子 泥水顔
ピピ美 涎顔
【称号】
称号「私だよ!!!!」
称号「もしもし ポリスメン?」
【椅子】
取り調べ椅子
SUCCESS椅子
塔破壊椅子
チャンスは1日に最大2回(毎日フルでやったとして58回)。コラボアイテムは交換・売買できるので、どうしてもほしい場合は(ゲーム内の)金の力に頼ることも可能だ。
ちなみに、レベル99以下とレベル100以上では当たるものが変わるとのこと。コラボアイテムがほしい人はレベル100以上にしたほうがいい。いまはとても育てやすくなっていて、これから始める人でも数日でレベル100に到達可能だ。
注目は、2017年9月20日(水)のメンテナンス前まで実施中の“メガバーニング”というイベント。新規キャラクターを“バーニングキャラクター”に設定してレベル10まで上げると、レベルアップのたびに追加でもう2レベル上昇するのだ。さっくさくである。
ログインイベント
期間:2017年9月20日(水)~2017年10月18日(水)10:00
期間中にログインイベントを達成するとゲーム内アイテムがもらえるイベント。最初にコラボアバター4種(30日版)と経験値2倍クーポンを入手でき、7日目には“称号「ピピペロ」”、14日目には“称号「竹書房ゥアア゛」”が必ずもらえる。
1日ログインするだけでも『ポプテピピック』気分を十分に味わえるが、竹書房に特別な想いがある人はぜひ14日ぶんをコンプしていただきたい。
入手可能なコラボアイテム
【アバター】
ポプテピピック制服(30日)
ポプテピピック指定靴(30日)
ポプ子 ノーマル顔(30日)
ピピ美 ノーマル顔(30日)
※1日ログインでプレゼント
【称号】
称号「ピピペロ」(7日ログインでプレゼント)
称号「竹書房ゥアア゛」(14日ログインでプレゼント)
コラボマンガ吹き出しコンテスト
募集期間:2017年9月20日(水)~2017年10月9日(月)23:59
僕らが生け贄になって参考例を提示したのがこちらの企画。イラストの吹き出しに入るセリフをTwitterで投稿してもらうコンテストだ。特設ページでイラストを選んでセリフを入力すると、作品画像付きTweetが自動的に投稿される仕組みとなっている。
【お題のコマ】
【賞品(予定)】
優秀賞:オリジナルのコラボフィギュア(4名)
特別賞:オリジナルのコラボタオル(100名)
優秀賞は2017年10月12日(木)頃に『メイプルストーリー』公式サイトで発表。追って、優秀賞・特別賞の投稿者には『メイプルストーリー』公式Twitterアカウントからダイレクトメールが届く予定だ。
お題は4つあり、ひとりで何作品応募してもオーケーだ。優秀賞はそれぞれからひとつずつ選出予定。お題によって応募数に差は出るだろうから、ネタを考えるのが難しいコマを狙うのもありだと思う。
RT数などは審査には無関係だが、拡散されれば目立ちやすくなり、ネクソン側へのプレッシャーにもなる。「これがウケてるのに、ネクソンはセンスがないな」のように。拡散されやすさも重要だ。
『ポプテピピック』ファンのGMカンキセ氏としても、コラボアイテムのクオリティには大満足だそうだ。「椅子のギミックはすごいですよ。SUCCESS椅子はポプ子がずっと回り続けます。めちゃくちゃ目立ちます」とはGMカンキセ氏の弁。
もともとの頭身が近く、再現性が高いのもポイントだという。それは僕も感じた。これだけ『ポプテピピック』のビジュアルが合うゲームも珍しいと思う。『メイプルストーリー』は若年層のプレイヤーも多いので、教育に悪影響を及ぼさないか心配ではある。
ちなみに、ピピ美の顔は数あるアイテムの中でもいちばん長い。開発会社としてはグラフィックパターンのバランスが崩れるのは嫌がりそうなものだが、「ノリノリで作ってくれました」とのこと。
このコラボがスタートしたら、お互いのファンが楽しく遊べるのは間違いないだろう。それはいい。うまいこと成功すれば『メイプルストーリー』とアニメ『ポプテピピック』関係者は潤うのだろうが、大喜利みたいな企画に参加してこんな記事を書いてもファミ通.comには1円も入らない。
くやしいので、可もなく不可もなくくらいの結果に終わることを願っている。