琢磨プロデューサーのインタビューもお届け
2017年9月9日~10日の2日間、全国6ヵ所で新作アーケード格闘ゲーム『ミリオンアーサー アルカナブラッド』(以下、『MAAB』)のロケテストが全国6ヵ所で実施された。本稿では東京・秋葉原のロケテスト会場の模様と、プレイインプレッションをお届けしよう。
『MAAB』はスクウェア・エニックスの人気ゲーム『ミリオンアーサー』シリーズが題材の対戦格闘ゲーム。アーケード専用のNESiCA×Live2をプラットフォームとし、2017年秋に稼動を予定している。
本作は、過去に開催した無料の店舗体験会にてゲームに触れる機会を提供していたが、今回は実際に店舗で稼動することを想定した“ロケテスト”が実施。新プレイアブルキャラクターに『聖剣伝説3』の主人公のひとり“リース”が登場することが目玉となっており、開店時から熱心なプレイヤーが来場し、リースを楽しむ光景が見られた。
今回のロケテストは店内対戦ではなく、全国6ヵ所に設置されたロケテスト会場(店舗)とのネットワーク対戦がプレイ可能。プレイヤーは筐体に100円(1クレジット)を投入してゲームスタート。1クレジットでは最大10戦の勝ち抜き戦、2クレジットでは勝敗にかかわらず3回対戦といったモードが存在し、初めて格闘ゲームをプレイする人でも遊びやすい設計のモードが選択できるようになっていた。
なお、ゲームスタート時には、プレイ情報を記録するICカード(NESiCA)が利用可能。カード使用者はカード使用者とのみマッチングし、実力の近い相手と対戦できるシステムが導入されていた。
筆者のプレイ中には、大阪、仙台、北海道の店舗とマッチング。格ゲーマーが気になるラグ(レバーやボタンの入力がゲームに反映されるまでのタイムラグ)の部分については、どの店舗との対戦でもかなり少ない印象。ローカル対戦とほぼ変わらない感覚で対戦することができたので、本稼動時のネットワーク対戦環境にも期待したいところだ。
バトルプランやゲームシステムに関しては、大きな路線変更などは見当たらず。通常攻撃を組み合わせた連続攻撃や多種のアシスト技を使い分ける戦法が展開できるが、Aボタン連打だけで基本コンボが成立するシステムもあり、自由度が高いものの難しすぎないバランスは健在のようだ。
異界型リース プレイフィール
リースは、名作RPG『聖剣伝説3』の主人公のひとり。槍を使いこなして活躍した少女が、本作では“異界型リース”として登場する。
リースの通常攻撃は、槍を用いた長いリーチと大ぶりな攻撃が多め。離れた位置から攻撃できるもののキャラクターの動きが遅いといった感触は薄く、爽快に動かすことができた。簡単なコンボはAボタンの連打でオーケー。また、A攻撃→B攻撃→C攻撃のつなぎかたを軸に、オリジナルの連続攻撃を構築することもできる。必殺技には突進技、飛び道具、連続突きなど、用途の分かりやすい攻撃が多く、直感的に使いやすいキャラクターだった。
リース必殺技
飛天槍
空中でレバー下方向+B攻撃の特殊攻撃。槍を真下に突き出して落下する技。攻撃が相手に当たると、リースが小さく飛び跳ねる効果がある。
疾風槍
槍を目の前に構えて突進する攻撃。地上版の立ちDはC攻撃から連続ヒットするためコンボに用いやすい。また相手を吹き飛ばす効果があり、ここからアシスト技につなげば空中コンボへの発展が期待できる。空中版のレバー下+Dは相手を叩きつける効果があり、空中コンボの締めに用いるとダウンを奪うことができた。起き攻めを狙う際の利用価値が高そうだ。
竜牙槍
疾風槍の強化版。炎をまとって力強く突進する大技。相手を通り抜ける効果があり、ヒット時には往復して大ダメージを与えることができる。
百花槍
目の前を連続で突く攻撃。A版とB版はその場、C版は少し前進してから攻撃する。
旋風槍
頭上で槍を振り回してから各種攻撃を発動する技。A版は振り回すのみの攻撃。しゃがみCから発動して空中ヒットさせるとジャンプ攻撃で追撃が狙えた。B版は目の前を大きく突く攻撃、C版は槍を振り下ろす攻撃にそれぞれ派生する。
旋風波動槍
槍を振り回して前方に竜巻を飛ばす飛び道具攻撃。攻撃発生は遅いが飛び道具の持続時間が長く、ガードさせてしまえば大幅に有利な状況になる。
真空波動槍
旋風波動槍の強化版の大技。巨大な竜巻を作り出した後、大きく槍を振り下ろして相手を吹き飛ばす。
流星衝
槍を振り上げる攻撃で相手をロックし、連続攻撃を叩き込む。ダメージが高く、技のモーションや演出は必見。
琢磨尚文プロデューサー ミニインタビュー
会場には、本作プロデューサーの琢磨尚文氏が来場しており、話をうかがうことができた。ここでは、琢磨氏のミニインタビューを掲載しよう。
――無料体験会ではなく、ロケテストにされた意図は?
琢磨尚文氏(以下、琢磨) 開発側の意図ではあるのですが、本番でバグが出ないように事前にしっかり確認しておくため、ロケテストという形にさせていただきました。
――ロケテストの目玉は初登場の“異界型リース”ですが、リースの見どころは?
琢磨 格闘ゲーマー的な視点からではなく、あの『聖剣伝説3』のリースがいろいろなアクションで動いているところが見どころです。僕自身が『聖剣伝説2』や『聖剣伝説3』に熱中していた世代なので、リースが動いているということがとても感慨深いです。
――サポート騎士として“ホークアイ”も登場しますが、リースとの相性なども考えられてのペアリングなのでしょうか?
琢磨 『聖剣伝説3』は主人公が6人いて、ふたりずつ同じストーリーを進行していくのですが、リースとホークアイがペアでストーリーを進行するので、このふたりを選びました。できればふたりともプレイアブルにできればよかったのですが、プレイアブル枠に限界がありますので、ホークアイはサポートという形で入れました。
――今回は他店舗とのネットワーク対戦が可能でしたが、ほとんどラグを感じることなく対戦できました。
琢磨 事前に閉店後の店舗さんにうかがってテストを行い、数値を測定したところ、1~2フレーム遅延ぐらいの数値が返ってきました。僕も格ゲーマーでして、1~2フレームの遅延ならラグをほとんど気にせずに遊べるなと考えていたので、数値の結果を見て「これならいける」と。ただ、実際に全国で稼動した際に、店舗さんのネットワーク環境によって数値がかなり変わってくると思います。家庭用ゲームでも自宅のネットワーク環境、対戦相手のネットワーク環境によって重くなることがありますので。それと同じようなことが起きた場合にどう対処するか課題はありますが、今回ロケテストを実施している店舗に関しては、問題なくプレイできていると思いますし、お客様からも「快適」という声を多くいただいています。
――ゲームシステム面で今回新たに導入された要素はありますか?
琢磨 モードの選択ですね。全国対戦の中にも従来の格闘ゲームと同じように、1クレジットで1試合というモードと、勝っても負けても3試合遊べるモード、5試合遊べるモードを用意しています。必ず勝てるようなプレイヤーは、従来のモードで遊んでいただければたくさん遊べますし、1試合で負けちゃう方や初心者は長く遊べるように、2クレジットで3試合、3クレジットで5試合というモードを用意しました。
――最後にファンへメッセージをお願いします。
琢磨 僕自身がかなり格闘ゲームをやっていて、ゲームセンターにもよく行っていたのですが、当時のゲームセンターのほうがいまよりも盛り上がっていたと感じています。『ミリオンアーサー アルカナブラッド』で盛り上げようというはおこがましい話ですが、昔のように活気があるゲームセンター、格闘ゲームブームに近づけられたらいいなと思っていますので、少しでも興味がある方は触ってみてほしいです。