『乙嫁語り』初の原画展が外務省で開催――漫画が繋ぐ中央アジアと日本

2017年8月28日と29日の2日間、東京・千代田区の外務省庁舎内にて『乙嫁語り』(森薫 著/KADOKAWA刊)初の原画展が開催された。初めて公開される生原画に、来場したファンは熱心に鑑賞していた。

外務省庁舎内での原画展開催

 中央アジアを舞台に、そこで暮らす人々の生活を精緻な筆使いで描いく『乙嫁語り』は「マンガ大賞2014」で大賞も受賞した人気作品。その舞台となる中央アジアと日本の交流を図る対話スキーム『「中央アジア+日本」対話』が2014年に森薫先生にイラスト執筆を打診したのがきっかけで、今回の異例ともいえる外務省庁舎内での原画展開催が実現となった。

今回の原画展は、ふだんは入ることがなかなかできない外務省庁舎内で開催された。

 原画展は1日3回の時間制(各回定員50名)で行われたが、平日にも関わらずすべての回が早々に定員に達するという盛況ぶり。当日来場した熱心なファンからは、「修正した箇所が見当たらない美しい原稿で感動した」、「大好きな作品の原画を堪能できてとてもうれしい」といった声が聞かれた。

展示会場は国際会議も開かれるという大会議室。

原画はアクリルの額縁に納められテーブルの上に設置。ふだん先生が描いているように、見下ろす形で原画を間近に見ることができた。

印刷にはでない細かなタッチや指定を見ることができるのは、生原画ならでは。

 原画展を企画した外務省 欧州局 中央アジア・コーカサス室の兼盛氏に、今回のイベントの趣旨と狙いについて聞いた

――『乙嫁語り』原画展を開催しようと考えた理由を教えてください

兼盛氏(以下、兼盛) 昨年は中央アジアの5カ国が独立して25周年ということで、大使館のオープンイベントや映画祭、音楽祭といったイベントをたくさん行いました。その時に森先生のイラストを使用させていただいたポストカードとクリアファイルを制作したのですが、大変な評判になりました。そして今年は日本が中央アジアの国々と外交関係樹立25周年という記念の年なんです。ですから、さらに多くの方々に中央アジアを好きになってもらいたいと考え、森先生に原画展開催や短編漫画の連載などを、ご協力をお願いしたんです。

第1回が公開中の「みんなで作ろう! 中央アジアクッキング」。(画像は外務省ウェブサイトから)

――なぜ会場を外務省庁舎内に?

兼盛 外で会場を借りて原画展を開催するのは、まあ普通にできますよね。でも、外務省の中でやることで、省内もみていただいて、外務省が普段から何をやっているのかを知っていただければ、と。原画展では中央アジアの紹介映像も上映していましたが、原画とあわせて舞台となる国々についても知っていただき、そして愉しんでもらいたかったのです。

会場中央の大型モニターには、中央アジア5ヵ国の紹介映像も上映されていた。

――作品をきっかけに中央アジアに興味を持たれる方は多いのですか?

兼盛 ええ、とても多いんですよ。初日に来てくださった方の中にも、この後中央アジアへ行ってみたいという方や、公開させていただいている料理動画を見て自分でも作ってみたいという方がたくさんいらっしゃいました。このイベントがきっかけで、さらに中央アジアに興味を持っていただける方が増えたら、とてもうれしいですね。国際会議も行われるという外務省庁舎内の大会議室のテーブルには、アクリルパネルに入れられた原画24枚が並べられ、普通の原画展よりも近い距離で原画を見ることができただけでなく、写真撮影も可能とのことで、多くの人が熱心にカメラやスマートフォンで原画を写真に収めていた。

各回定員50名という少人数の入れ替え制で行われた今回の原画展。ゆっくりと原画を堪能できると、来場されたファンのみなさんからも大好評。

会場入り口には、2014年に森先生が描いたイラストと、『乙嫁語り』のパリヤの立て看板も置かれていた。

2日目に会場に来訪された森先生がイラストボードにサインを入れるひと幕も。

 外務省のウェブサイトでは、今回の原画展に続く企画として、森先生が各国の料理を紹介する「みんなで作ろう!中央アジアクッキング」の連載がスタート。第1話はすでに公開中で、全7話が今後順次掲載されるとのことだ。ぜひチェックしてみてほしい。