“名物クラン員の手記”のさらなる用途は……?

 拡張パッケージ第2弾『紅蓮のリベレータ―』のリリースから約2ヵ月が経過したが、ゲーム内の盛り上がりは一向に収まる気配がない。『FFXIV』のサービス開始4周年を記念して行われる“4周年記念14時間生放送”に、人気ロックバンドGLAYのTERUやレベルファイブ代表取締役社長/CEOの日野晃博氏が参加を表明するなど、『FFXIV』は各方面の著名人からも根強い支持を得ているのだ。

 世界を代表するMMO(多人数同時参加型オンライン)RPGのひとつにまで成長した本作は、今後どのような方向へ進化していくのか。目前に控えた“4周年記念14時間生放送”の中身や、直近のアップデートとなるパッチ4.1の進捗状況も聞いた。

レベル70のジョブ専用装備に今後の展開!? 『FFXIV』吉田氏&石川氏インタビュー【gamescom 2017】_01
▲プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(写真左、文中では吉田)。メインシナリオライターの石川夏子氏(写真右、文中では石川)。『紅蓮のリベレータ―』のメインクエストの制作も担当。

パッチ4.1公開前の小規模アップデートはあと1回

──『新生FFXIV』が発売されて、2017年8月27日に4周年を迎えますが(取材日は現地時間の2017年8月22日)、いまの率直な心境をお聞かせください。

吉田 もう4年か……みたいな感じです(笑)。僕たちはつねにつぎのことばかりを考えているので、あまり実感らしい実感はない、かなぁ……。

石川 そうなんです。開発スタッフとしてはどうしても先々のスケジュールを見据えた考えになってしまいます。何周年目という折に、みんなでワイワイできるのはうれしいし楽しいのですが……。。

──あまり喜んでいる余裕もないと。

吉田 そうですね(苦笑)。

──gamescomのお話の前に、中国でのファンフェスティバルはいかがでしたか?

吉田 大きな事故もなく、1日限りとはいえものすごく盛り上がってくれました。もちろんグローバル(日本、北米、欧州)のファンフェスティバルと比較すれば、改善すべきポイントがあるにはあるのですが、中国であれだけ大規模な初めての単独イベントをしっかりやり遂げられたことは、よかったと思っています。中国のプレイヤーの皆さんはピアノコンサートで盛り上がってくれたので、すごくありがたかったです。最後に僕が「また規模を大きくして戻ってきたい」と話してイベントを締めくくったのですが、皆さんもそういう気持ちでいてくれたと思います。

──日本、北米、欧州に負けないくらいの熱量が感じられたのですね。

吉田 ええ。

──gamescom会場内の『FFXIV』ブースを訪れたファンの方々の反応はいかがでしたか?

吉田 今日はまだ初日で、しかもビジネスデイですから、まだ我々もブースに入っていません(笑)。これからですね。

──ということは、他社の出展タイトルに関しても……?

吉田 まだぜんぜん見てないです(苦笑)。とはいうものの、たぶん最終日に同じ質問をされても答えは変わらないかもしれません。ステージイベントにもたくさん出演しますし、基本的に僕は『FFXIV』ブースにいるので……。日本に戻ってから、ゆっくりインターネットで確認します(笑)。

──欧州と言えばコアゲーマーが多く、PvP(対人戦)にも注目が集まっていると思いますが、リニューアルされたPvPに対してどのようなフィードバックが寄せられていますか?

吉田 「敷居が高くてPvPが遊べなかった」という層の方々から、好評の声をいただいています。一方、これまでランキング上位に入っていたコアな方々からは、リニューアルによって操作をだいぶシンプルにしたこともあり、「もう少しだけ複雑にしてほしい」というフィードバックがピンポイントで寄せられています。それにお応えできるよう調整したいと思っているところです。

──なるほど。さて、『紅蓮のリベレータ―』の発売から約2ヵ月が経過して、そろそろパッチ4.1の開発状況や公開時期が気になってきましたが……。

石川 2017年9月2日に行われる“4周年記念14時間生放送”のプロデューサーレターLIVEで、パッチ4.1を特集させていただきます。そうした発表を行えるくらいには開発が進んでいる、ということですね(笑)。

吉田 開発の進捗としては、あと1週間ほどで実装の締め切りを迎える……くらいでしょうか。

石川 あとは調整とバグの修正ですね。

吉田 このような感じで、いまお話したくらいには開発が進んでいます。

──ということは、パッチ4.1公開前に小規模アップデートはもうリリースされないのですか?

吉田 PvPまわりの調整で、もう1回だけパッチが入ります。

──おお、そうなんですね。パッチ4.1に関する質問はお答えいただけなさそうなので、ちょっと細かいネタになりますが……。モブハントの“名物クラン員の手記”の使い道が、現状ではチョコボ装甲と木人のみですが、今後増える予定はありますか?

吉田 軍票との交換品も含めて、今後いろいろ増えていきます。ただし時期は明言できないので、それに期待していまからいろいろなものを貯め込むのはオススメできないかもしれません。集めたい方は集める、でいいかなと。

──レベル70のジョブクエストで獲得できるジョブ専用装備ですが、名称からしていかにも強化できそうですが、可能性はありますか?

吉田 具体的なお話はできません(苦笑)。今後強化する予定があるかもしれないので、一応“ウェザード(もしくは【劣】)”という名前を付けています。そのときが訪れたらお話しますが、どうなるかなどはいつもの通りお答えできません(笑)。

レベル70のジョブ専用装備に今後の展開!? 『FFXIV』吉田氏&石川氏インタビュー【gamescom 2017】_02
▲レベル70向けのジョブ専用装備はIL290。すぐにトークンの装備に更新してしまい、着る期間が短かったプレイヤーも多いはず。ジョブの個性が出た固有デザインなだけに、再び活躍させたいところだ。

──先ほど少しお話に出た“4周年記念14時間生放送”は、田中理恵さんや南條愛乃さんを始めとするおなじみの顔ぶれに加え、GLAYのTERUが出演されるなど、とても中身が濃そうです。今年の放送は、どのようになると思われますか?

吉田 何しろ生放送なので、やってみないことには……という部分が大きいです。

石川 私たちも含め、たぶん誰も展開が予想できないと思います。

吉田 たとえば、田中理恵さんがどのような髪形や服装で来られるのかや、どんなお話が飛び出すかは、まったく想像がつきません。南條愛乃さんにも、「『エオルゼアより愛を込めて』をふつうに生放送してください」とお願いしています。いつものWebラジオ収録の雰囲気が、開発者を交えることで、どれくらいワイワイしたものになるのかすごく楽しみです。

──注目のプログラムが多いですよね(笑)。

吉田 NGCクラフト委員会の職人集団がどんなオリジナルクエストを作るのかも、僕たちは当日までわかりません。一方でTERUさんとは先日お食事をごいっしょさせていただきましたが、とにかくスーパースターなので、こちらも何が飛び出すのかまったく予測がつかないです。とにかくサプライズが多くなりそうですが、僕たちも皆さんとともに“生”の雰囲気を楽しもうと思っています(笑)。

石川 仕込みはまったくないので、何かが起こったら私たちも本当に驚きます(笑)。皆さんといっしょにハプニングを楽しめたらなと。

──同放送のプロデューサーレターLIVEに松野さん(松野泰己氏。ALGEBRA FACTORY代表取締役/ゲームデザイナー/脚本)が登場されるということは、松野さんがシナリオを手掛けたリターン・トゥ・イヴァリースの紹介がメインになるのでしょうか?

吉田 僕からお聞きするのは「どんな思いで描かれましたか?」くらいになるかもしれません(笑)。松野さんがどこまで内容に触れるかは、ご本人とうまくお話ししていこうかなと。リターン・トゥ・イヴァリースはネタバレの要素がすごく強いので、おそらく部分的な紹介がメインになりそうです。そのうえで、どういったところにこだわったのかをお話しいただければと思っています。松野さんも「話していいわけないのに、なぜ呼ばれたんだろう」みたいなツイートをしていたくらいで……。

石川 むしろ、アイテムのスタックの話(編注:以前、アートディレクターの皆川裕史氏と口約束していた、アイテムを999個までスタックできるようにしてほしいという松野氏からのリクエスト)になるかもしれませんね?

吉田 あの件は……パッチ4.1での実装にけっきょく間に合わなかったからなぁ(苦笑)。

──(笑)。次回の放送で、パッチ4.1の全貌がどれくらい明らかになりそうですか?

吉田 実装されるコンテンツのほとんどは、さらりとではありますが全部紹介します。個々の深堀りは、今後予定している“パッチ4.1特集 Part2”でやるつもりです。どんなコンテンツが入るのかといった全容は、今回の放送でひと通りお知らせできると思います。

──次元の狭間オメガ零式:デルタ編を超える超高難度コンテンツの中身も、次回のプロデューサーレターLIVEで発表されるのでしょうか?

吉田 発表する予定です。

──いまはそれ以上は……?

吉田 言えないです(笑)。お話できるのは、「生半可な覚悟で行かないでください」くらいです。しかも、それをプレイすることで何かが解明されるようなシナリオもとくにないので……。

石川 本当に、バトルを楽しみたい方だけが挑んでいただければと思います。

吉田 遭難しても我々は責任を負えないので、ピクニック気分で訪れるのはおやめください(苦笑)。

──「我こそは!」という人のみが挑むべきコンテンツであると。

吉田 難しすぎると感じる方は、ご遠慮いただいたほうがいいかもしれません。

──“4周年記念14時間生放送”のラストで日野さん(日野晃博氏。レベルファイブ代表取締役社長/CEO)がご登場されますが、『妖怪ウォッチ』との新たなコラボのような発表はあるのでしょうか?

吉田 それはないかと思います。僕たちは『紅蓮のリベレータ―』をやっと発売してパッチ4.1を現在制作しているところなので、ほかとのコラボを考えるよりも、まずは『FFXIV』の新しい流れをしっかり作るほうが順序としては先です。それよりも、いまの日野さんが『FFXIV』を見て、昔のオンラインゲームと比べ、どう感じているのかといった話題が中心になるかと思います。

石川 どんなツッコミをいただくのか、怖い……!

吉田 (笑)。日野さんと僕は古くからのオンラインゲーマーなので、昔のタイトルと現在を比較して何が変わったとか、そういう話ができればなと。

──オンラインゲームの歴史をたどりながら、いろいろ話をする感じですね。

吉田 はい。「こういう魅力を持つゲームを遊んでみたいけど、いまの時代にはそぐわないのでは」みたいに、いろんなやり取りができたらいいなと思っています。

──それでは最後に『FFXIV』のプレイヤーへメッセージをお願いします。

吉田 『旧FFXIV』で非常にきびしいスタートを切って、そこから7年かけてここまで来られたのは、本当に世界中で応援してくださった光の戦士の皆さんのおかげだと思っています。ゲームが新生して4年が経過したいまが、アクティブに遊んでくださる方がいちばん多いという事実も、ふつうではありえないことです。これからももっと多くの方に遊んでもらえるよう、そしていまプレイしてくれている方々にもっとご満足いただけるよう、これからも一生懸命突き進みます。……いまお話した部分を、今回新たに覚悟を決めたところなので、皆さんとキャッチボールをしながら、ひとつずつ進んでいけたらなと思っています。その皮切りとして、“4周年記念14時間生放送”でみんなで大いに盛り上がりたいので、ぜひ放送を楽しみにお待ちください。

石川 全世界の方々が言葉の垣根を越えて同じ楽しみや経験を共有してもらえるのは、本当にありがたいですし、うれしさを感じます。gamescomのような国外の会場にいるので、なおさらそれを強く感じているところです。いろいろな方々にとって共有の“楽しみの庭”である『FFXIV』を、5周年、6周年と続けていきたいので、いろいろなご意見をいただきたいと思っています。光の戦士なくして“庭”の存在はありえないので、いっしょに遊び、楽しんでいただきたいです。今後もよろしくお願いします!