Nintendo Switch版を触ってみた!

 『ファイアーエムブレム無双』は、コーエーテクモゲームスが手掛ける『無双』シリーズと、任天堂の『ファイアーエムブレム』(以下、『FE』)シリーズがコラボレーションする注目作。この記事では、2017年9月28日の発売に向けて盛り上がりが加速する本作の、開発中バージョンをプレイしたライターのプレイリポート記事を掲載する。両シリーズのファンである筆者が感じたことやゲームの手触りなどを掲載するので、本作の発売を心待ちにしている人は、この記事を読んで期待感を膨らませてほしい。

※今回の試遊では、Nintendo Switch版のプレイリポートと画像を掲載します。

『ファイアーエムブレム無双』プレイリポート 戦略性やアクションはもちろん、原作を活かした演出も楽しい!_01
『ファイアーエムブレム無双』プレイリポート 戦略性やアクションはもちろん、原作を活かした演出も楽しい!_02

たたかいはできませんがプレイリポートはかけます

 『FE』はシミュレーションゲームの人気シリーズだが、本作は『無双』シリーズをベースとしたアクションゲームとなっている。いったいどんなゲームになっているのか!? ゲームの記事はチェックしているが、実際にプレイするのは初めてなので、ドキドキ。「やだー こまっちゃう」とマリーシアのような気持ちで足早に現場に向かったのは言うまでもない。関係ないが、筆者は10才ではなく34才のアラサーだ。

 今回プレイできたのは、ゲームのオープニングから序盤のシナリオ。ストーリーの流れについてはネタバレになるので割愛するが、『FE』では章の導入として挿入されるストーリーパートが、本作ではフルボイス、フルアニメーションで展開する。まずはこれがひとつ驚いた部分だ。『FE』の人気キャラクターたちの新たな一面が観られるので、バトルパート以外のストーリーパートも見逃せない。バトルが本作のいちばん楽しい部分であることは言うまでもないが、こういったストーリーもしっかりと映像として観られるというのは過去にはなかったことで、ファンとしてうれしいところだ。

 つぎにバトルパートについて。基本的なシステムは、これまでの『真・三國無双』シリーズのような、ステージクリアー型となっている。大量に現れる敵をバッタバッタとなぎ倒し、最終撃破目的のボスを倒せばクリアーだ。ストーリーの序盤はチュートリアル的なシナリオとなっており、アクションゲームはあまりプレイしたことのない『FE』ファンにとっても遊びやすい。攻撃は素早く出せる通常攻撃と、広い範囲を攻撃できる強攻撃の2種類があり、それらを組み合わせて戦っていく。敵を攻撃するなどの方法で溜まる無双ゲージが満タンになると、超強力な無双奥義をくり出すことが可能だ。ボス敵や拠点兵はHPが多いものの、そこらのザコ敵は『真・三國無双』よろしく激弱なので、細かいことは気にせずにボタン連打でも倒せる。一騎当千の爽快感は『FE無双』でも健在というわけだ。ちなみに、プレイした難度は手頃だったため、原作の『FE』のように“やっつけ負け”(敵を倒しすぎてしまい、逆にダメージが蓄積して倒されてしまうことだよ)をすることはなかった。

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全軍、ゆるりと進軍したくなる戦略とシステム

 本作は、『無双』シリーズの流れを組むアクションゲーム。キャラクターたちは総じて強く、「とにかく攻撃! 攻撃! 戦略なんか必要ないぜ!」 と思ってしまいそうになる。だが、「と…… ゆだんさせといて……ばかめ…… 死ね!!!」である(死なない)。『FE』といえば、武器の相性、ユニットへの指示、軍の陣形の作りかた、フィールドの攻めかたなど、さまざまな戦略が必要なのはファンならご承知のはず。それが楽しいところなのだが、アクションゲームとなった本作でも、そういった戦略性は健在だ。

 まず、注目したいのが、武器の三すくみ。従来の『FE』シリーズのように、剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強いのだ。最序盤はそれほど気にならないものの、少しゲームを進めると「なんか敵固くね?」と感じてくるようになる。そのあたりから三すくみを意識して戦うと、非常にサクサク敵を倒せるようになった。さらに、本作では、操作キャラクターを4人まで選択して出陣させる。戦場の敵をチェックして、武器の相性が有利になるユニットを連れていくことも重要だ。また、プレイヤーが操作していないユニットに命令を出すと、ある程度自動で戦ってくれるという要素もあり、武器の相性が有利な敵のもとへ向かわせればプレイヤーが操作することなく戦線を上げることもできた。

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 なお、戦場にいるユニットは、ボタンひとつで操作を切り換えることが可能。味方を素早く特定の場所に移動させる、HPが減ったユニットを後退させて回復させる、強敵がいる場所では自分でユニットを操作する、といった戦略は、まさに『FE』! もちろん、『無双』シリーズのように、ゴリ押しを仕掛けることも可能。せっかくの戦略性を無駄にするな! と思うかもしれないが、ちょっと待って。『FE』だって難度によってはゴリ押しもできるでしょ。みんなもマルスとかエストとかチキを突っ込ませて、まさに“無双”したことあるでしょ。知ってるんだからね。

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▲戦場には、敵兵が出現する砦がある場合も。ここには砦兵長が存在し、倒すことで砦を味方のものにできる。制圧しなくてもステージはクリアーできるが、『無双』シリーズをプレイした人なら、砦を見たら端から制圧したくなるのがファンのサガ。
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▲経験値が溜まるとレベルアップ! それぞれの能力が、“ピン”という音に合わせて上がっていく。ちなみにこの演出は設定でオンとオフの切り換えが可能。

オレルアン騎士団はいないけどリズはいる

 『FE』ファンならとくに気になるのが、登場キャラクターの人選だ。大々的な人気、コアな人気があるキャラクターも多く、筆者といえばビ、ビラクは? ビラクはいないの? と開発の方に聞いたのだが、これは隠すことなく即「そうだよロシェ」と返答。担当編集の北口氏とは「このキャラクターがいてほしいよね~」、「リフがいたらおもしろくない?」、「いられても困るでしょ! 大切なひと枠を!! リフで!!!」といった会話で盛り上がることもしばしば(リフファンの方すみません)。『FE』は長い歴史があるシリーズだし、個性的で魅力的なキャラクターも多い。これも開発の方に聞いたところによると、「1作目ということもあり、よりたくさんの人に納得していただける人選にしている」との回答が。タイトルとしては、『FE 新・暗黒竜と光の剣』、『FE 覚醒』、『FE if』の3作から登場することがすでに判明していて、そのなかから人気どころや、兵種と武器のバランスを取ってキャラクターを登場させるとのことだ。なるほどね。「そりゃそうだよロシェ」(セルフロシェ)。

 さて、話題を戻すとして、序盤にはすでに登場が判明している主人公のシオンとリアン、そして『FE 覚醒』のクロム、リズ、フレデリク、ルフレ、ティアモらが早々に登場する。いずれも扱いやすい性能をしており、かつ、個性が光るユニットになっていると感じた。シオン、リアンは主人公と言うことで、どんな人にも扱いやすいバランスが取れた性能。クロムはシオンとリアンと同じく剣を使ったキャラクターだが、やや大振りで破壊力がありそうなアクションを持っている。リズはシスターだが、斧を振り回して戦うという性能。そしてかわいい。フレデリクは馬に乗ったグレートナイトで、ダッシュが最高速に達すると、敵をなぎ倒しながら移動できるという、パワフルなキャラクターだ。ティアモはみんなご存知のペガサスナイト。飛行ができるユニットでしか通れないルートがあったりと、原作の設定を受け継いでいる。

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 だが、そんなペガサスナイトにも弱点があることは、皆さんご存知ですよね。そう弓。アロー。これを食らうと“特効”となり、通常の何倍ものダメージを受けてしまうのが、シリーズではお約束だ。本作はアクションゲーム。そして、すでに情報が出ている通り、クラシックモードでプレイした場合、キャラクターが倒されると二度と復活できない。「ペガサスナイトが弓を受けても、多少ダメージが上がるくらいで即死はしないんでしょ?」と思ったそこのアナタは甘い。今回は試遊だし、物は試しと弓を食らってみたのだが、1発でひん死。そして専用の食らいモーションが出て、その食らいモーション中にもう一発食らって倒されました。そこまで原作を再現するとは、恐るべし。

 また、彼らのアクションには、原作のモーションを再現したものがあることにも注目したい。たとえばクロムは、アクションの一部に原作のイベントシーンで見せた、ジャンプしてグルグル回転して攻撃するアレを使ったりといった攻撃もある(筆者はこのアクション好き)。そういった細かい部分でも開発の方のこだわりを感じ取ることができた。このアクションはあの部分、こっちはコレといったように、原作に元ネタを探してみるような遊びも楽しいかもしれない。

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▲今回の試遊では、筆者はリズを中心にプレイした。理由はかわいいから。このあたりは、ご了承いただきたい(編注:筆者のリプ斉トンはリズ役の声優である阿澄佳奈さんのファンでもある)。リズは、味方に接近するとライブでHPを回復したり 、自分にバフ(一定時間能力を強化する)をかけたりといったアクションが使える。さすがリズ。俺のリズ。

世界ひろしと言えども納得の遊びやすさ!

 冒頭でも書いたように、今回プレイできたのはゲームの序盤のみ。だが、ここまでをプレイしても、本作の完成度や、『FE』シリーズと『無双』シリーズのコラボレーションだからこそ出せる魅力を感じ取ることができた。さらに、『FE』シリーズの魅力である濃厚なストーリー展開もあり、物語もアクションも楽しめること、間違いなしだ。『FE』ファンだけど、本作はアクションだから楽しめるか不安と思っている人でもご安心。必ずクリアーまで遊べるだろうし、『無双』シリーズの魅力である一騎当千の爽快感を味わえるだろう。さまざまなシリーズ作のキャラクターたちの共演により実現した物語は、先の先まで気になる。序盤は『FE 覚醒』のキャラクターが物語の中心になっているので、作品どうしの会合を見られていないのが残念。だが、ジョルジュよ(セルフジョルジュ)、そのあたりは本作の発売まで楽しみに取っておこうと思う。いったいどんなキャラクターのどんな会話が楽しめるのか、そしてどんなアクションを見せてくれるのか、物語の最後にはどんな展開が待っているのか。いまから楽しみでならない!

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リプ斉トン(週刊ファミ通ライター)

オレルアン騎士団の一員。『FE』シリーズも『無双』シリーズをこよなく愛するナイスガイと触れまわっている。その実態はバイゲリッターであり、道を歩けばついげきリングを拾ったり、風の剣を拾ったりと、幸運のステータスに定評がある。このへんで、北口氏に「ネタを詰め込みすぎて、よくわからん」と言われてしまったので、このへんで勘弁してやる(ギャラは据え置きでお願いします)。


ロマンシング嵯峨の『FE無双』リポ追記

 ただの『FE』ファンのロマンシング★嵯峨です。『ファイアーエムブレム無双』が試遊できると聞いて、担当編集の北口を「私も連れていけ」と脅し……じゃなかった、北口に連れていってもらって、遊ばせてもらいました。

 さて、プレイ感覚については、すでにリプ斉トンが書いているので、私は『FE』ファンなら「おおっ」と喜ぶであろうポイントについて、ちょっとだけ語りたいと思います。

『FE』曲のアレンジがイイ!

 今回プレイした序盤のシナリオでは、『FE 覚醒』のキャラが多数登場。よって、ストーリーパートはもちろん、バトルパートでも『FE 覚醒』の曲が流れます。このバトルパートで聴ける、無双らしいロックテイストにアレンジされた曲が素敵です! 『FE 覚醒』の序章で流れる「序幕」や、『FE 覚醒』屈指の名曲「「I」~為」を聴きながら戦うとテンションが上がる上がる。

 正直、「こんな序盤から「「I」~為」の大安売りでいいのか!?」と思わなくはなかったんですが、そんな気持ちも吹き飛ばすほどの名曲なので許しました。

原作のシナリオやセリフを活かした演出

 今回の短いプレイの中でも、『FE 覚醒』ファンならニヤリとできるシチュエーション、演出がたっぷり。たとえば、フレデリクの熊肉とか、小石とか……。リズと“ダブル”を組ませてデュアル奥義を発動させたときに「リズ様絶対死守!」と言うのも笑えます。デュアル奥義発動時のセリフは、リズとフレデリクのように、特定の組み合わせのときは変わるようなので、早くいろいろと試してみたい!

盗賊は逃がさん

 バトルパートの途中で、カギを持った盗賊が出現することも。放っておくと、宝箱の中身を奪い、マップから離脱してしまいます。この、「盗賊は逃がさず仕留めねば!」という、『FE』ではおなじみのシチュエーションが『無双』のシステムに落とし込まれていて、戦いの中のいいアクセントになっていると感じました。欲を言うと、宝箱の中身は、もっといいものにしてほしかったなと(あの時点では貴重とされる傷薬だったそうですが )……後半になれば、もっとレアなアイテムが入ってますかね!? 楽しみにしてます!