『ハッピーダンジョン』の魅力を聞く

 2017年9月7日にサービス開始が決定したトイロジックのプレイステーション4用アクションRPG『ハッピーダンジョン』。その魅力や開発秘話を隅から隅まで丸裸にするべく、開発者のお三方にアレコレお話を伺ってみた。さっそく、そのインタビューをお届けしよう。

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『ハッピーダンジョン』開発者インタビュー カオスな世界観は、お笑いとアメコミの融合!?_10

トイロジック 開発部 企画課
ディレクター  尾内克郎氏(文中は尾内)写真・中央
レベルデザイナー  桑原尚希氏(文中は桑原)写真・右
アートディレクター 髙橋ゴウ氏(文中は髙橋)写真・左

PS Plusに未加入でもオンラインプレイ可能!

――この記事から本作に触れる読者さんも多いと思いますので、まずは本作の魅力を教えてください。

『ハッピーダンジョン』開発者インタビュー カオスな世界観は、お笑いとアメコミの融合!?_06
▲ディレクター  尾内克郎氏。

尾内 『ハッピーダンジョン』は、コミカルなキャラクターで、みんなでワイワイ遊べるアクションRPGです。ストーリーモードは、コメディタッチの愉快な世界観でくり広げられる物語が楽しめます。映画やアニメなどのパロディを始めとした小ネタがたくさん盛り込まれているので、「元ネタはアレかもしれない」といった楽しみかたもできるかと思います。
 一方、マルチプレイゲームとしては、最大4人で大勢の敵に立ち向かう、スピード感と爽快感を楽しめるドタバタバトルに仕上がっています。オススメは画面分割プレイですね。皆さんで一堂に集まって、コミュニケーションを取りながらワイワイと盛り上がってほしいです。

――今回プレイステーション4版をリリースするに至ったきっかけを教えてください。

尾内 昨年(2016年)にXbox One版の『ハッピーダンジョン』を正式リリースしましたが、さらに多くのユーザーさんに遊んでいただきたいと思ったのがきっかけです。プレイステーション4は最新の据え置き機でユーザー数も多く、とくに日本のユーザーさんにはなじみ深いプラットフォームですから。日本のゲームメーカーとしては、出さないという選択肢はなかったです。

髙橋 日本のユーザーさんを身近に感じたい、という理由もありますね。

桑原 TwitchConやBitsummitなどのイベントに出展したとき、「プレイステーション4では出ないのですか?」という声を、直接たくさんいただけた、という理由も大きかったです。

尾内 ちなみにプレイステーション4版は、より多くの方に遊んでいただくべく、PS Plusに加入していなくてもオンラインマルチプレイが楽しめます! PS Plusに加入していないフレンドに対しても、「いっしょに遊ぼうよ!」とどんどん誘ってほしいです。さらにPS Plusに加入している方には、毎月プレゼントがもらえますので、ちょっとお得ですよ。

――ところで、『ハッピーウォーズ』や『ハッピーダンジョン』など、いわゆる『ハッピー』シリーズは、これまでXboxプラットフォームを中心にリリースされてきたわけですが、今回プレイステーション4版をリリースするということで、社内で議論が起きたりはしなかったのですか?

尾内 なによりも 「いろいろな方に遊んでもらったほうがいい」という思いが強かったです。ただ、これははっきりとお伝えしておきたいのですが、Xbox One版も継続してサービスを続けていきますので、ファンの方はご安心ください。今後に関しても、Xbox One版とプレイステーション4版が同内容になるよう、両ハード同じタイミングでアップデートを行っていく予定でいます。実際のところ、プレイステーション4版をリリースしてユーザーさんが増えることで、そのぶん『ハッピーダンジョン』自体がさらに活性化していきます。たとえば、追加アイテムが増えたり、アップデートの頻度を早くしたり……といったことが可能になるわけです。そのぶん、Xbox One版のユーザーさんにも間接的にメリットが生まれるという効果が期待できるわけです。

――なるほど……。では、移植にあたってのお話を聞かせてください。移植するときに苦労したポイントなどありますか?

尾内 弊社のパブリッシングタイトルとしては、『ハッピーダンジョン』がプレイステーション4では初となるんです。プレイステーション4のユーザーさんに初めて自社のタイトルをお見せするわけなので、“恥ずかしいものは見せられない”という気持ちが強いです。とにかく自分たちにとっても、プレイステーション4のプレイヤーの皆さんにとっても納得できる完成度のものを実現するべく開発してきました。

――プレイステーション4自体での開発はノウハウがあったわけですよね?

尾内 そうですね。プレイステーション4タイトルの開発自体はたくさん経験を積んでいますので、作業自体はとても順調に進みました。でも、キモとなるネットマーク周りの技術で、勝手が違うところがありまして……。その部分をしっかり検証するべく、先日オープンベータテストを行わせていただきました。

――『ハッピーウォーズ』にしても『ハッピーダンジョン』にしても、基本はオンラインゲームなので、そのへんのノウハウはお持ちなのかと思っていましたが、それでもベータテストを行うほどに慎重になるのですか?

尾内 逆に、ノウハウがあるからこそです。テスト環境って、実機とかなり違うんですよ。当社が想定する100パーセントのクオリティーを実現できるのか、技術的に大丈夫なのかを、しっかりと検証しておきたかったんです。本作はワールドワイドでリリースするので、たとえば日本とブラジルのユーザーさんがいっしょに遊ぶ可能性もあるわけです。日本国内だけのリリースならば、ここまで慎重にならなかったかもしれません。

デザインはシルエットが大事!

――では、『ハッピーダンジョン』そのものについて聞かせてください。まずは見た目にも印象的なビジュアルから。ビジュアルに関しては、海外の人に受けそうな印象を受けましたが、やはり海外は視野に入れていたのですか?

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▲アートディレクター 髙橋ゴウ氏。

髙橋 海外というよりは、とにかく幅広く受け入れられる絵柄を目指して、ものすごく試行錯誤したんです。それで、現在の絵柄に落ち着いたという感じです。たしかに『ハッピーダンジョン』のビジュアルは、ありがたいことに海外の方にも高い評価をいただいています。その理由としては、見た目がキュートということもあるのでしょうが、プラスしてブラックユーモア的な尖った部分があるからでしょうか。たとえばそうですね……有名映画のパロディを入れたり、アニメ『サウスパーク』や『ハッピーツリーフレンズ』みたいに、見た目はかわいいけれどゴア要素が入っていたり……。そういった要素を織り交ぜつつデザインしています。

尾内 『ハッピーダンジョン』に関して言えば、ゴア要素というよりは、ギャグ漫画によくある“ツッコミで首が1回転しちゃう”というレベルの、マイルドな表現ですね。血のエフェクトもないですし。パロディやゴアが売りなのではなく、多様性があるという感じでしょうか。一方で、メインビジュアルの魔法使いのようなアニメ調なデザインのキャラクターもいるので日本のユーザーさんにはなじみやすいと思います。

――なるほど。いろいろな要素が混じり合っているのですね。

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尾内 本作はファンタジーなのですが、“なんでもアリ”なんですよね。たとえば、ストーリークエストで“リリ姫”というキャラクターが出てくるのですが、じつはドレスの下にスクール水着を着ているんですよ(笑)。一方で、戦士は正統派ファンタジーのカッコイイデザインだったりします。懐が広くて多様性がある。日本のファンの方にも、受け入れやすいものが入っていますよ。

桑原 ファンタジーなのにスマホも出てきますし(笑)、何でもありですよね。アイテムの種類も豊富なので、自分に合ったものがきっと見つかると思います。

――“なんでもアリ”とのことですが、逆にNGだったモノとかはありませんでした?

尾内 なかったですね! ダンジョンの中を歩いていると、ファンタジー風の騎士と侍、それにSF映画に出てくるようなキャラクターが一堂に会していたりします。こういったゴチャゴチャ感が本作の味になっているんです。「宇宙からやってきた宇宙刑事だ!」みたいなキャラクターが出てきても、ふつうにみんな納得してしまう(笑)。

――そこまでなんでもありだと、アートワークの統一性を取るのが大変なのでは?

髙橋 その点では、デフォルメされたデザインを採用したことが大きいですね。突拍子のないものでも、デフォルメに落とし込むことで、統一感が出やすいんです。リアルな等身にすると説得力が出てしまって、逆にコスプレ感が強くなってしまいます。

尾内 髙橋はもともとアメリカでアメコミを描いていたので、そのセンスもあると思います。日本的ではない、パッと見てカッコイイ無国籍感と言いますか……。

――アメコミをやっていたのですか?

髙橋 はい。マーベルがトイビズという会社を持っていて、僕はそこでアクションフィギュアのデザインを担当していました。その流れで、ペンシラー(鉛筆による下書き)とカラーリスト(色付け)という役割でアメコミにも参加していました。向こうの漫画家さんって、完全分業制なので。

――尾内さんがおっしゃった“無国籍感”というのは、アメコミ経験から培われたんですね。

髙橋 うーん……よくわからないんですよねえ。『ハッピーウォーズ』から数えると、もう7年ぐらいキャラクターを描き続けてきて、すでに1000種類ぐらい描いているのですが……。振り返ってどうこうと考える暇もなくて、客観的に見られないんですよ。

尾内 髙橋の絵は、デフォルメされたときに特徴がすごくわかりやすいんです。このシルエットはこのアイテムだと、すぐわかるんです。

髙橋 ああ、シルエットはキャラクターを作るとき、いちばん大事にしていますね。たとえば100メートル、200メートル先に人がいたとき、どんなシルエットをしているか、なんてことを考えてデザインしています。

――ところで、デザインするうえで、日々心掛けていることなどはありますか?

髙橋 ずーっと考えていることですね。心掛けているというより、もうルーチンワークになっています。トイレに行くときや散歩しているときなども、ずっとデザインのネタを考えています。実際の開発になると、企画から「こういうネタがほしい」とか「こういうデザインがほしい」といったことが、箇条書きや単語が並んでいる状態でオーダーされるわけです。そのときに、日々考えていたものを頭の中の引き出しから出して、ときにはマッシュアップして、デザインとして仕上げていくわけです。絵描きさんやデザイナーさんは、みんなこうだと思いますよ。「よーい、スタート」と言って、すぐにデザインできるわけではない。日々ネタを貯め込んでいるんですよ。

――なるほど。ちなみに、ご自身で気に入っているデザインはありますか?

髙橋 えーっと、いちばん初期のころのバケツ頭の兜ですね。『ハッピーダンジョン』の敵キャラクターだと オーガです。あのシルエットが大好きなんですよ! マッチョで足が短くて、逆三角形の。

桑原 オーガって、ファンタジーだと普遍的なキャラクターなんですけど、『ハッピーダンジョン』のシルエットのオーガは、ほかでは見たことがないですよね。

髙橋 先ほども話題に上がりましたが、シルエットは大事です。シルエットで、“このキャラクターはこういう動きをする”というのが、初見でもわかるので。ゲーム内での記号として認識されるためにも、シルエットはとても重要です。逆に、ディティールや質感は、そこまで重要視していないですね。

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▲シルエットが特徴的なオーガ。

お笑いの経験があるからこそ本作が完成!?

――これまでのお話で、たびたび“パロディ”という言葉が出ていますが、パロディは『ハッピーダンジョン』でも重要な要素となるようですね。パロディについて、もう少し詳しく教えてください。

尾内 たとえばそうですね、ファンの方がご覧になったら、「ああ、元ネタはあの映画やアニメかも!」とニヤリとしていただけるような。あとは、『ハッピーダンジョン』はアップデートを頻繁に行っているので、時事ネタもちょいちょい盛り込んでいます。

――日本人向けのパロディネタを入れることはあるのですか?

尾内 パロディというのは、基本的な前提として、なじみ深いモノでないとおもしろさが伝わらないという側面がありますが、入っています。日本向けということで言うと、サブキャラクターに悪役が登場するのですが、それは女盗賊とその部下ふたりの三人組……みたいな。

――なるほど(笑)。『タイム○カン』的なパロディですね。でも、若い人や海外ユーザーには伝わりにくいネタかもしれませんね。

尾内 はい。でも、パロディであることは伝わらなくても、この世界観だと違和感が出てこないのは強みです。そのさじ加減は難しいんですけれども。大切なのは、あくまでも“本作がおもしろくなるから取り入れた”ということです。ファンタジーなのにSNSが登場するのも、そのような理由からです。

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▲気になる3人組……。
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▲レベルデザイナー  桑原尚希氏。

桑原 使われ過ぎているネタは、逆に寒いからやめよう、みたいなこともあります。その絶妙なラインを作るのに、けっこう時間をかけていますね。

――桑原さんは芸人出身ということで、その経歴が活かされている感じですね。

桑原 そうですね。「このネタはおもしろくないんじゃないですかね?」とか「いまこのネタはもう寒いです」とか、意見を出させていただきました。

尾内 本作のコミカルな部分は、桑原の力が大きいんですよ。

――ところで、桑原さんはなぜ、お笑い業界からゲーム業界への道を歩まれたのですか?

桑原 ゲームが好きだから、ですね(笑)。30歳を過ぎてもずっとゲームで遊んでいて、「俺は本当にゲームが好きだったんだな」、と自覚しまして。もともと根幹にあったのは、“おもしろいモノを作りたい”という気持ちでした。お笑いって、おもしろいモノを伝えやすい、わかりやすい職業じゃないですか。でも、ゲームも好きなので制作にもずっと興味があって……。で、あるときゲーム制作のアルバイトを検索してみたらトイロジックがヒットして……。それで、トイロジックでアルバイトを始めたんです。

――最初はアルバイトからスタートしたんですね。

桑原 はい。レベルデザイナーとして、ずっとミッションを作成していました。1年ぐらい、ずっとマップに敵を配置したりしていたのですが、そこで「社員にならない?」と声をかけられて、入社したという流れです。ですので、業界歴は2年半ぐらいですね。

――レベルデザイナーとは意外です。さぞ苦労もあったことだと思われますが……。

桑原 とにかくバランス調整が大変でした。弊社は難しいゲームが好きなスタッフが多くて、じつは『ハッピーダンジョン』って、開発段階だと本当に難しいゲームだったんですよ。僕ら的には「これくらいでちょうどいいバランスだろう」と思っていても、「コレだと難しすぎる!」なんて言われたり。カジュアル層の気持ちやプレイ感を、なかなかつかみ切れなかったんです。やさしすぎず 難しすぎず、ちょうどいい難易度にするのが本当に難しい。本作は難易度を選べるのですが、敵の配置はどの難易度でも共通なんです。これだけは、後からパラメーターを調節、というワケにもいかないので、相当練り込みました。

――お笑い芸人での経験が開発に役だった、なんてケースはありますか? 先ほどの“ネタが寒い”みたいなダメ出しをしたのは、その一例だと思いますが……。

桑原 そうですね、じつはシナリオもけっこう書かせていただいたのですが、世界観やストーリーでコミカル色が強いので、“真剣にふざける”、という部分で役立ちました。じつは“ふざける”ことって、すごく難しいんです。たとえば、飲み会で身内を笑わせるならば、割と誰にでもできるんですよ。でも本作だと、顔を見たこともないユーザーさんが相手なワケでして……。単にふざけただけだと不快な気持ちにさせてしまうこともあるので、ある程度のラインを守りつつも、全力でふざける。このような部分は、お笑いと『ハッピーダンジョン』で共通している部分だと思います。

――お笑いだと、よく“間”が大切という話を聞きます。ストーリーを書かれるとき、そのような経験が活きていたりするのですか?

桑原 はい。たとえば、「ここは前フリが長い」なんて意見を出したりしました。パロディ要素などですと、前フリを丁寧に行うのが大切なんですけれど、ゲームはプレイのテンポも大切なので。そこはかなり気を遣いました。本作はハック&スラッシュの要素もあるので、同じステージをくり返し遊ぶことが多いのですが、そのステージの冒頭デモが長いと、周回する気が失せてしまう。「見せるべきものは見せて、でもスッとプレイに移行できるようにしたい」と、尾内によく言われました。たしかに、漫才でも冒頭の入りがあまりに長いと、本編のコント部分までをなかなか見てもらえませんからね。

――『ハッピーダンジョン』では、お笑い監修、という肩書きでもいいぐらいの感じですね。

尾内 (笑)。桑原は、世界観の構築でも、とても活躍してくれたんですよ。ストーリーとしての世界観と、各ステージごとの世界観があるのですが、その“つなぎ”の部分をしっかり行ってくれたので、統一が取れています。また寒いネタをやめるという役割は、お笑いの経験がないとできない能力ですし、もう欠かせない人材です。さらに言えば、舞台慣れしているので、ステージイベントのときはとても頼もしいです。

桑原 なんか急に身内から褒められて、とまどいますね(笑)。

――お笑いの桑原さんやアメコミの髙橋さんなど、特殊な才能がある方たちの手で産み出されたからこその、本作の魅力なのでしょうね。

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▲桑原氏がレベルデザインを担当。

新クラスが追加される……かも!?

――少し話題を変えて、ゲーム自体について伺っていきたいと思います。まず、なぜ基本プレイ無料という課金スタイルを採用されたのでしょうか。

尾内 多くの人に遊んでもらいたいからです。基本プレイ無料は、やっぱりプレイまでのハードルが低いんですよ。あとはワールドワイドで展開しているので、物価面でちょっときびしい国でも、遊んでもらえるのが嬉しいですね。直接は見えない部分ですけれど、遊んでくれる方が増えていることは感じられるので、基本プレイ無料でよかったと思います。

桑原 Xbox One版ですと、アメリカはもちろんですけれど、ブラジルのユーザーさんも多いんです。ブラジルって年に1度、ブラジルゲームショウというイベントを開催していて、そこに『ハッピーダンジョン』を出展したのも大きかったのかなと。通常ですと、トイロジックという会社や日本のゲームを知る機会が少ない国でも、基本無料なら楽しんでもらえるのは、とてもうれしいですね。

――無料でプレイできる部分の線引きなど、どのようにバランス調整しているのでしょうか。

尾内 ゲームプレイの大まかな流れは、アクションゲームを遊んでアイテムを集めていくという感じです。無課金のプレイスタイルでもすべての要素を楽しめますし、全アイテムを集めることも可能です。無課金だと全部を遊べない、という風にはしたくなかったんですよ。アクションRPGをちょっと遊ぶ、という方も大勢いらっしゃいますし。

――無課金でもしっかりと楽しめるということですね。

尾内 ただ、本作を120パーセント楽しむ……たとえば、全アイテム収集などを目指すと、無課金ですと、少し時間がかかりすぎてしまうかもしれません。そのような方は、お金で時間を解決していただくというビジネスモデルを構築しています。ストーリーや世界観は無課金でもしっかり楽しめるので、ユーザーさんは満足してくれていると思います。

桑原 むしろ、「無料で遊べ過ぎじゃないですか」なんて声も届いて……。ありがたい話です。

――運営方針みたいなものはありますか?

尾内 オンラインプレイがキモとなるタイトルなので、システム面は非常に気を遣っています。本作は完全同期型で、サーバーを介さずに4人対大軍みたいなことをやっていまして、安定感がないとゲーム自体がグダグダになるんです。テストを何回もくり返し、社内でチェックを重ねてきました。

――安定性を実現させているということですね。

尾内 はい、Xbox One版はこの1年間、サービスを一度も止めなかった、という実績があります。サーバーはクラウドを利用しているので、日本のサーバーがメンテナンスしていても、そのときだけほかの地域のサーバーに接続する、というような解決策が行えるんですよ。何か問題があっても、クラウドだと対策も早いですし。

――いつでもゲームが遊べる安心感は大きいですね。ゲーム内容に関する方針などはありますか?

尾内 ユーザーさんとの対話を重視していることですね。SNSでリプライを返したり、ブログでユーザーアンケートを行い、その結果に開発チームがコメントを出したりしています。バランス調整ですと、よほどのことがない限り、下方修正はしないという方針です。プレイヤー対NPCというゲームなので、アゲアゲにしやすいゲームということもあるんですけれど。せっかくがんばって入手したアイテムが弱体化されると、精神的ダメージが大きいじゃないですか。そういう事態は、できるだけ避けるようにしています。

――熱心なユーザーさんも多そうですね。

尾内 熱心なユーザーさんだと、開発チームが想定していない遊びかたをして、コミュニティで自慢してくれていますよ。開発側では「これは大したことない性能にしよう」と思って調整していても、とんでもない使いかたをして、大ダメージを出したりされる。本作では装備品にプラスの能力を付ける“バフ”というシステムがあるのですが、その組み合わせで特定のキャラクターにだけ大ダメージを出せる、なんてこともありました。現在、バフは800種類、装備は1500種類ほどありまして、たとえば同じ装備でも、バフの組み合わせで性能がまったく変わってくるんですよ。遊びかたは無限に近いので、ユーザーさんはいろいろと試して楽しんでくれていますね。

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――クラスは3種類ありますけれど、オススメは?

尾内 いえ、もう好みで選んでいただいて大丈夫です。肌に合ったものを見つけてほしいですね。でもあえて言うのであれば……、僕自身は万能職の僧侶を推していきたいです! ただ序盤は少しキツイので、アクションが苦手な方でしたら、遠距離から攻撃できる魔法使いが遊びやすいと思います。

桑原 僧侶かぁ~。僕のオススメはやっぱり戦士ですね! 動きが直感的というか、肌と肌で敵とぶつかり合えるのがサイコーです。本作の敵はキビキビ動くので、ぜひ近くで対峙してほしい。

髙橋 僕も戦士ですね、脳筋なんで(笑)。突っ込んでガチャプレイしているだけでも、それなりに戦果を挙げられる。

桑原 僕たちクールタイムの管理とかできない種族なんですよ(笑)。ただ、レベルは3クラスで共通しているので、後から気軽に変えてもオッケーです。「回復役がいないから、俺ちょっと僧侶やるわ」みたいな感じで。いろいろと試して、自分に合うクラスを見つけてほしいですね。

――リリース後のアップデート予定などはありますか?

尾内 コンテンツの追加は定期的に行っていまして、リリース後も続けていきます。あとは、ストーリークエストは現状いったん完結しているんですけれど、この続きのクエストを順次公開していこうと考えています。もうひとつ、こちらはまだ構想段階なのですが、新しいクラスも追加したいなあ、と……。

――クラスの追加は期待大ですね! では最後に、読者へメッセージをお願いします。

尾内 笑って遊べる、すごく楽しいゲームです。これを遊んで毎日ハッピーに過ごしてください!  8月10日から『ハッピーダンジョン』公式サイト内で事前登録を開始しています。PSNのオンラインIDを登録しておけば、事前登録でしか手に入らないキャラクターもゲットできるので、少しでも興味がある方はぜひ公式サイトをチェックしてください。

桑原 いっぱいステージ作ったので、ひとつ残らず遊んでほしいですね。ふざけた世界観とかセリフをガンガン楽しみつつ、ぜひ最後まで楽しんでほしいです。

髙橋 コンテンツもどんどん追加されていきますので、いろいろなデザインを見てもらえればうれしいです。一生懸命考えてますので!

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