どんな作品を手掛けるかは“人材次第”

 2017年7月3日、カラー、ドワンゴ、麻生塾の3社の出資により、アニメーションスタジオ“プロジェクトスタジオQ”が福岡に設立された。事業内容は、映像作品の制作と、映像作品の制作に関わる人材の育成となっている。

 2017年7月12日には、同社の設立記者発表会が開催され、庵野秀明氏(カラー 代表取締役社長/プロジェクトスタジオQ 創作管理統括)、麻生健氏(学校法人麻生塾 理事長/株式会社プロジェクトスタジオQ 取締役)、川上量生氏(ドワンゴ 代表取締役会長)が登壇。また、ゲストとして、高島宗一郎氏(福岡市長)も出演した。

カラー、ドワンゴ、麻生塾が新会社“プロジェクトスタジオQ”を福岡に設立。地方の人材を活用し、アニメ・CG作品制作を目指す_01

 今回の新会社設立のねらいについて、川上氏は、アニメ業界の人材不足問題を解決するためだと説明。何か新しい企画をやろうとしても、制作ラインが作れない……そんな状況を打破したいという。

 福岡を選んだ理由については、便利な条件が揃っている場所であること、麻生氏との縁があったこと(麻生塾は、福岡で専門学校を展開している)を挙げつつ、“仕事を作ってでも行きたい”と思うほどの魅力的な場所だから、と本音を話す場面も。庵野氏もこれに同意し、個人的に博多とんこつラーメンが好きで、それを食べるために福岡に行きたいと語り、会場を沸かせた。

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▲左から庵野秀明氏、川上量生氏。庵野氏は、20年前はアニメは東京でなければ作れなかったが(制作進行担当者が、アニメーターのもとを回り、絵を回収する必要があったため)、デジタル化が進み、東京以外でもアニメが作れるようになったことも、今回のスタジオ設立の背景にあると語った。

 ゲストである高島市長は、プロジェクトスタジオQが福岡に設立されたことについて、これは“運命の巡り合わせ”だとコメント。人材育成の分野では九州最大級である麻生塾と、カラー、ドワンゴというコンテンツ業界を担う企業、そして多様性に溢れる福岡が合わさったなら、“おもしろいものが生まれないわけがない”と、プロジェクトスタジオQに高い期待を寄せる。

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▲麻生健氏。プロジェクトスタジオQによって、九州の学生のチャンスを広げられれば……と抱負を述べた。
▲高島宗一郎市長は、福岡で作られたコンテンツを、福岡から発信できる市場を育てたいと意気込む。

 では、プロジェクトスタジオQは、今後どのような作品を手掛けるのか。庵野氏は、「いきなり新作というのは難しい」と語り、どのような人材が集まるかによる、とコメント。数名だったら数名でできること、数十名だったら、数十名でできることをやっていくそうだ。また、「シンエヴァを手伝ってもらうとは思う」という発言もあった。

 川上氏は、20~30人いれば企画が回せるようになるため、まずはそれ(20~30人のスタッフを集めること)がひとつの目標だと語る。数年後には、スタジオQがメインになるような作品を発表できれば……というが、数年かかるのか、早まって来年になるのかは、やはり集まった人材次第とのこと。

 プロジェクトスタジオQの公式サイトには、募集職種などが掲載されている。福岡での映像制作に興味がある人は、ぜひチェックしてほしい。