次期アップデートの実施は秋ごろを予定
エヌシージャパンがサービスを展開するPC用MMORPG『リネージュ2』は、2017年6月25日にサービス開始13周年を迎えた。
シンプルな操作システムと奥深いストーリーが、いまだ多くのファンの心を惹き付ける同作の次期アップデートの内容を、統括プロデューサーの新井友和氏に直撃。クラシックサービスとライブサービスの双方にお目見えする大規模コンテンツを中心に、その詳細と魅力をたっぷりとお聞きした。
記事の後半では、『リネージュ2』の将来像と目標を、インタビュー形式で新井氏に語ってもらっている。今後行われるアップデートの方向性のほか、来るべき『リネージュ2 レボリューション』(日本でのサービスはネットマーブルが実施)との“距離感”についてもお聞きしたので、こちらもぜひお見逃しなく。
クラシックサービスにアンタラスが降臨!
まずは、『リネージュ2』がオープンした2004年当初のシステムとストーリーのもとでプレイできる、クラシックサービスのアップデート情報からお伝えしよう。本稿で紹介する要素はすべて開発中のものなので、今後変更される可能性がある。あらかじめご了承願いたい。
【アンタラス】
新たなワールドレイドのボスとして、アンタラスが降臨。ドラゴンバレーのダンジョン内部に設置された結界の心臓NPCを介して、戦闘エリアである“アンタラスの棲処”へと侵入できる。そのほかの入場条件は以下の通りだ。
入場アイテム:ポータルストーン1個
入場レベル:レベル76以上
入場最少人数:90人
入場最大人数:300人
新井氏コメント:
アンタラスは、画面内に収まりきらないほど大きいボスです。報酬として、クラシックサービスでは最上級となるボスアクセサリー“アンタラスイアリング”がドロップします。最大300人まで参加できるコンテンツの報酬のため、レア度は確かに高いですが、まったく手が届かないというほどでもありません。“アンタラスイアリング”を獲得すればオリンピアードでも有利に立てますので、ぜひ皆さんチャレンジしていただければと思います。
クラシックサービスはアインハザードとグランカインのふたつのサーバーで運営していますが、どちらのサーバーでも攻略に必要な人数は揃えられるはずです。だいたいですが、アンタラスを討伐するには250人程度の参加者が必要になるのではないでしょうか。
【セブンサイン狩り場】
新たにセブンサインの狩り場(密会のカタコム、魔道のカタコム、烈士のネクロポリス、苦行者のネクロポリス)が登場。破滅の女神シーレンがすべての生命を吸収したため死の霊に溢れ、現在はさまざまなモンスターが跋扈するフィールド狩場となっている。
ライブサービスでは黎明軍、黄昏軍が争う狩り場だったが、クラシックサービスにおいては経験値とアデナ獲得用の狩場へとリニューアルされる。4種類の狩り場はそれぞれ異なる特徴が設定されており、参加人数や難易度に応じて好みのエリアを選択できる。
◆想定レベル帯
密会のカタコム、烈士のネクロポリス:65~69レベル
魔道のカタコム、苦行者のネクロポリス:71~75レベル
アクティブとノンアクティブのモンスターが入り乱れる“カタコム”に対して、“ネクロポリス”は大半がノンアクティブモンスター。用途に合わせた狩りが可能だ。
新井氏コメント:
4ヵ所すべてが(上記の)写真のような外観になっており、それぞれ配置されているモンスターが変わってきます。ソロまたはパーティ向けといった感じで、お好みの狩り場を使い分けてください。狩り場の想定レベルは65~75となっています。
ライブサービスでは黄昏や黎明といった組織に所属して競争を行い、勝利した組織が優先的に活動できる狩り場でしたが、クラシックサービスではその仕組みが撤廃されています。新しい狩り場で経験値を稼いでいただければと思います。
【忘れられた島】
高レベル帯向けの新規狩り場として、忘れられた島が実装される。レベル79から82までのキャラクター育成に活用できる、文字通り上級者向けのエリアだ。
狩り場レベル:レベル79~82
狩り場情報:忘れられた島の西はソロプレイ/東側はパーティプレイ向けのモンスターが配置
新井氏コメント:
ライブサービスにお目見えした当時は、“太古の島”と呼ばれていたエリアです。この忘れられた島は、ティラノサウルスが跋扈していた(当時の)恐竜の楽園ではなく、クラシックサービス向けに完全にリファインされています。
目新しい要素は、謎の宝箱からAグレード最上位武器の素材や、非常に低い確率で武器が出現する可能性がある点です。(謎の宝箱の争奪戦が予想されますが)我々としては、島内という閉ざされた空間の中で、多少そういうことがあってもいいのではないのかなと。現地で狩りを行わずに、ひたすら謎の宝箱を探し回ることも可能ですが、宝箱は宝箱キーパーに守られており、襲われたらひとたまりもありません。
謎の宝箱は、現実時間で30分おきに出現します。配置場所はあくまでもランダムではありますが、熟達した皆さんであれば、ある程度予測がつくはずです。謎の宝箱だけを狙っていくのも、ひとつの楽しみかたかもしれません。
次期ワールドレイドは対抗戦と協力戦が併存!
つぎに、『リネージュ2』の最新の世界で冒険が楽しめる、ライブサービスの次期アップデートの中身をご紹介。クラシックサービスと同様、こちらも現在開発中のものなので、細かい設定や仕様が変更される可能性がある。あくまでも制作途上バージョンのつもりで読み進めていただきたい。
【ワールドレイド】
新たなワールドレイドのボスとして“エティス バン エティナ”を実装。“サーバー競争”を勝ち抜いた、レベル103以上のキャラクターだけが参加できるという、まさに上級者向けのバトルだ。まずは参加条件からご覧いただこう。
参加条件:クセルス連合基地防衛戦の成功/王国近衛軍、ブラックバード血盟勢力レベル6以上
入場レベル:レベル103以上
入場最少人数:70人
入場最大人数:120人
新井氏コメント:
セブンサインの最終ボス“エティス バン エティナ”。新エリアのエティナ大神殿において、門を守る守護者をいちばん最初に討伐したサーバーが代表サーバーとなり、エティス バン エティナ討伐にチャレンジできます。
たとえば、バーツが代表サーバーに選ばれた場合、そのサーバー内のキャラクターのみ、エティス バン エティナが待ち受けるエリアに進めます。一方、守護者を最速で討伐できなかったサーバーには“カイン ヴァン ホルター”が出現します。
コンテンツが開幕すると、おそらく全サーバーのユーザーが同時に攻略に着手するでしょう。このため、城門を破壊してレイドモンスターを倒すまでに要する時間は、どのサーバーでもおおむね同程度になるはず。コンマ何秒の差で代表サーバーが決定するのではないでしょうか。
動画で研究を済ませたうえで挑まれる方も多いかと思いますが、(韓国版のワールドレイドから)仕様が若干変わる可能性があるのでご注意ください。もしかしたら、「技を出すタイミングが違うじゃないか!」と叫びたくなる場面があるかもしれません(笑)。
今回の新規ワールドレイドは、クセルス連合基地防衛戦の勝利週の土曜日から進行できる方向で検討しています。サーバー競争の対象となるレイドモンスターと戦える時間には制限があります。
エティス バン エティナやカイン ヴァン ホルターの報酬は、ダークヘリオス強化石やその他の新アイテムが追加される予定です。
【クラス改変:シーゲルナイト】
つぎのアップデート公開を機に、シーゲルナイトに属する4つのクラスが大幅に調整される。これにより、タンカーとしての役目をいままで以上に果たしやすくなるのだ。
◆シーゲルフェニックスナイト:味方を守護する不死の盾
シーゲルフェニックスナイトは、パーティを守るという盾職の役割に最も相応しい堅牢さを持った職へと調整された。
新規スキル:サモン フェニックス キュービック
<効果>デバフ耐性増加、HP回復、死亡時復活の効果
◆シーゲルヘルナイト:敵を締め付ける復讐の剣
シーゲルヘルナイトは自分のダメージゾーンから敵を逃さない能力に優れる。多様なスキルを使用することで、物理、魔法ダメージを反射しつつ、攻撃時はHP回復力を増加させ、被攻撃時には防御力、魔法抵抗力を向上させるといった戦いかたを行える。
新規スキル:ブラックソーン チェーン ストライク
<効果>対象とその範囲内のターゲットを攻撃し、敵を自分の位置に引き寄せる
◆シーゲルエヴァステンプラー:波を呼ぶエヴァの剣
シーゲルエヴァンステンプラーは波を呼ぶ剣オセロットの力で敵を引き寄せたり、波を起こして多数の遠距離の敵を継続的に弱化さられる。
新規スキル:グランド オセロット ウェーブ
<効果>盾防御力、属性防御力が強化され、被撃時に エヴァ スピリット が発動されて、味方の防御力と魔法抵抗、全ての防御属性増加効果が適用
◆シーゲルシリエンテンプラー:摂理に反する影
シーゲルシリエンテンプラーは敵を麻痺状態に陥れ、自らの防御能力を強化させる能力を持ち、一方で一定数値以上のダメージを無効化できる能力を保有する。シーゲルシリエンテンプラーの核心となる新規スキル グランド シリエン シャドーは発動時6秒間の間、受けるダメージを最大で6,666に固定するという能力だ。
新規スキル:グランド シリエン シャドー
<効果>盾防御力の増加に加え、ダメージを受けた際、一定確率でシリエン シャドー、シリエン スピリットが発動する
新井氏コメント:
これまでのシーゲルナイトは、オリンピアードでなかなか勝利できなかったり、タンカー不在の狩りが行われるようになったことで存在価値が低下したりと、バランス面で厳しい状況に置かれてきました。この状況を打破するために、大幅な改変を実施いたします。
シーゲルナイトに含まれる4つのクラスに、新規スキルが追加され、自身のデバフ耐性強化や敵の引き寄せなど、すべてタンカーとしての性能を引き上げるものばかりです。
シーゲルナイトの改変は、韓国では短期間に2回行われましたが、日本ではそれらを1回のアップデートでまとめて入れます。このため、皆さんにはガラッと変わった印象を持っていただけるはずです。たとえば攻城戦では、タンカーは敵陣に突入して周囲のヘイトを集めるのが本来の役割ですが、いままではその役目が果たせませんでした。今後は、それが可能になります。オールラウンダーではなく、タンカーに特化した立ち回りができるようになるので、ぜひご期待ください。
【クラス改変:イースエンチャンター】
バッファー職のイースエンチャンター系列にも大幅な調整が加えられる。ハイエロファント、ソードミューズ、スペクトラルダンサーの3クラスに加え、オークの種族固有のバフスキルにも新たなタイプが追加された。また、ポエム各種バフの最大レベルが5レベルまで拡張された。
◆イースハイエロファント:アインハザードの権能
最も強いバフスキルを詠唱できるイースハイエロファントは“プロフェシーオブマイト”を2回使用できるように変更。また新規スキルの追加に加え、ベースとなる攻撃能力が高くなり、パーティにおいて以前よりも多くの役割をこなせるようになった。
新規スキル:レジャーナント ハロー
<効果>ラディアント クラッシュ(※新規スキル)とレゾルビング バッシュ(※新規スキル)が範囲化されるうえ、攻撃力および攻撃速度も増加
◆イースソードミューズ:精霊と魔法の歌人
パーティにバフスキルをかけることでパーティ全体の動きをよりスピーディに、デバフスキルをかけることで敵対パーティの活動を鈍らせるなど、バフとデバフを状況に応じて選択することで、多種多様な戦闘を行える。
新規スキル:アール ルリン コンダクト
<効果>前方の敵を攻撃しつつ攻撃速度、魔法速度、防御力、魔法抵抗を減少。また、対象のすべてのスキル再使用時間を増加させる
◆イーススペクトラルダンサー:踊る黒い剣の残影
最も強いデバフスキルを持つイーススペクトラルダンサーは攻撃時、またスキル詠唱時に発動するスペクトラルスラッシュで敵を弱化、強力なスキル威力をもとに敵に持続的なダメージを与えることができる。
新規スキル:スペクトラル スラッシュ
<効果>対象を攻撃しつつ防御力、魔法抵抗、移動速度を減少。段階に応じてファントムスラッシュ、ダンシング ファントム ブレードが使用可能に
◆イースドゥームクライヤー:戦乱と進撃の太鼓の音
イースドゥームクライヤーは、基礎となるバフスキルが物理、魔法系統の能力値を同時に上げてくれるのが特徴。
新規スキル:ラムフェイザース ビット
対象を攻撃して、一定確率で周りの味方のムービング、リラックス、コンバットバフの持続時間を初期化する
◆イースドミネーター:戦場で輝く先鋒
イースドミネーターは血盟のために戦う際に最も輝くエンチャンターだ。今回のアップデートで他のエンチャンターのようにパーティバフを詠唱することができるようになり、血盟を象徴する旗を召喚すると血盟員により強力なバフを与えることができる。また、これまで以上に強い弱化バフスキルを使用できるようになった。
新規スキル:ドラムビット オブ コンバット
既存ソナタ スキルと入れ替わったスキルであり、持続時間は短いが、高い効果を持っている
新井氏コメント:
バフ、攻撃、回復をひとりで行えるバッファー系クラスは、『リネージュ2』では一番人気の職業ですが、様々な役割をこなせるものの突出した部分がなかったり、器用貧乏な面がありました。この問題を解決すべく、4つのクラスに新規スキルを追加します。
イースエンチャンターは攻撃時にデバフをばらまく職業なので、それをより強化する味付けです。敵にデバフを付与するのと同時に、自身の攻撃力や攻撃速度もアップさせます。新規スキルの登場により、攻撃の幅や役割がガラッと変わるので、GvGでも活躍できますし、ソロで活動する機会も今後増えてくることでしょう。
私が推したいのは、オークです。以前、オークだけが集まる祭りがありまして、私も運営としてそれに参加したんですが、その場で「オークを強くしてほしい」というお声をたくさんいただきました。そこで、PvPに特化したオークにふさわしい新規スキル“ドラムビット オブ コンバット”を追加します。これを発動すると、既存のソナタスキルと違い、持続時間は短いものの一時的に能力が大幅に上昇します。本当に強いので「新井がメインで使っているからオークを強化したんだろう!」と言われてしまうかもしれません(笑)。