『スターフォックス2』の画面写真が週刊ファミ通に掲載されたことがある?

 任天堂より電撃発表された“ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン”(関連記事はコチラ)。発表そのものに対してはもちろん、国内版と海外版の収録タイトルの違いや、いつ予約がスタートするのかなど、大きな話題となっている。“ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ”と大きく異なるのは、“ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン”には、未発売の“幻のゲーム”、『スターフォックス2』が収録されているということ。『スターフォックス2』の名前を見て、往年のゲーマーたちは歓喜し、震えたはずだ。とはいえ、若いゲーマーにとっては親父ゲーマーたちがなぜ騒いでいるのかはよくわからないのではないだろうか。『スターフォックス2』がなぜ“幻のゲーム”と呼ばれているのか? 発表からこれまでの経緯をまとめて解説していこう。

 ファミ通.com編集部は週刊ファミ通編集部と隣接しているため、週刊ファミ通のバックナンバーがすべて揃っている。この好環境を利用しない手はない。さっそく、バックナンバーを読みあさり、『スターフォックス2』が発表された号を調べることにする。調べること2時間。週刊ファミ通1994年10月28日号にて、スーパーファミコン用ソフトとして『スターフォックスII』の情報が初めて掲載されていたことを発見した。

『スターフォックス2』はなぜ“幻のゲーム”と呼ばれているのか?_01

 すでにお気づきのように、タイトル名は『スターフォックス2』ではなく、『スターフォックスII』。ちなみに、単独のタイトル記事ではなく、1994年11月15日、16日に晴海の国際見本市会場で開催された“第6回初心会ソフト展示会”にてお披露目されるタイトルのうちのひとつとして、『スターフォックスII』の名前が挙げられていた。“初心会”とは、任天堂のソフトを扱う問屋の集まりで、多数のゲームメーカーが参加するイベント。一般公開はされておらず、業界関係者のみが入場可能となっていた。この号の週刊ファミ通の発売タイトルスケジュールを見ると、『スターフォックスII』はスーパーファミコン用ソフトであることのほか、1995年2月発売予定であったことがわかる。

『スターフォックス2』はなぜ“幻のゲーム”と呼ばれているのか?_02

 『スターフォックスII』の画面写真は掲載されていなかったのだが、名作シューティングの続編だけあって注目している編集者は多かったようだ。週刊ファミ通1994年11月25日号では初心会に出展されていた、さまざまなゲームが写真とともに紹介されていたのだが、『スターフォックスII』についてはまったく触れられていない。現地リポート記事でも扱われていないことから、おそらく展示されていなかったのだと推測できる。タイトル発表こそされたものの、まったく情報が出ないまま迎えた1995年2月。週刊ファミ通1995年2月3日号にて、ついに『スターフォックスII』の画面写真が公開される。

『スターフォックス2』はなぜ“幻のゲーム”と呼ばれているのか?_03

 これは、1995年1月6日~9日、アメリカ・ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショウ)でのNOA(ニンテンドー・オブ・アメリカ)ブースのリポート記事の中で取り扱われたもの。注目は左下の写真。当時の記事内でも説明されているとおり、ふたり同時プレイが可能であることがわかる、貴重な写真となっている。CESでの出展を機に情報が出始めると思われた『スターフォックスII』だが、この記事を最後に一切情報が出ることはなかった。週刊ファミ通1995年2月17日号では、発売日が“発売日未定”に変更。そして、週刊ファミ通1995年6月30日号にて、『スターフォックスII』は発売予定タイトルから姿を消すことになる……。その後、未発売となってしまった事情について語られることはなかったのだが、ニンテンドー3DS用ソフト『スターフォックス64 3D』発売時に任天堂が『スターフォックス2』について言及。2011年、“社長が訊く『スターフォックス64 3D』”の中にて、“幻の『スターフォックス2』”というテーマで、当時社長であった故・岩田聡氏と宮本茂氏、そして『スターフォックス』の開発に携わっていたディラン・カスバート氏が『スターフォックス2』のディティールについて語っているのだ。

■社長が訊く『スターフォックス64 3D』

 詳細は“社長が訊く”を参照してもらえればと思うが、オールレンジモードのことや“スーパーFXチップ2”のこと、未発売となった理由が語られている。

『スターフォックス2』はなぜ“幻のゲーム”と呼ばれているのか?_04

 そして迎えた“ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン”の発表。未発売となってから22年。『スターフォックス2』はまさかの形で復活を遂げた。22年の重みを知っているゲーマーにとって、これほど喜ばしいことはない。筆者もまさか40歳を超えて、『スターフォックス2』をプレイする機会が得られるとは夢にも思っていなかった。任天堂は“ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン“収録にあたり、『スターフォックス2』のパッケージを新たに制作、公開しており、これもファンにはうれしい限りだ。

 最後に、“社長が訊く”に登場していたディラン・カスバート氏は、Twitterにて「ナイスサプライズ! 25年の時を経て『スターフォックス2』がリリースされるなんて本当なの?」と発言し、喜びを述べている。ぜひ、氏のTwitterをチェックしてみてほしい。

■ディラン・カスバート氏ツイッター