実車との見分けがまったくつかない!

 2017年6月13日~15日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2017”。その開幕に先駆けて行われた“PlayStation E3 Media Showcase”会場にて最新バージョンがプレイアブル出展された、『グランツーリスモ SPORT』。さっそくプレイしたので、感想をお届けしよう。さらに、試遊コーナーでメディア陣がプレイする様子を見守っていた、ポリフォニー・デジタルの山内一典氏のコメントも掲載!

「パワァァァァ!」臨場感のあまりの高さに思わず声が出た!

 試遊コーナーで驚いたのが、まずそのプレイ環境。F1マシンのようなコックピットに乗り込み、ステアリング型のコントローラーで操作する。もちろんアクセル/ブレーキは足の部分に固定されたペダルだ。その環境を見て、記者はまず「スゲェ! まるでゲーセンの大型筐体だ!」と思ったのだが、すぐにそれは間違いであることを思い知らされる……。

『グランツーリスモ SPORT』E3出展バージョンをPS VRで体験! 発売は2017年秋!!【E3 2017】_01
『グランツーリスモ SPORT』E3出展バージョンをPS VRで体験! 発売は2017年秋!!【E3 2017】_02
▲試遊コーナーの様子。PS VRを使わない試遊台もありました。

 シートに座り、プレイステーション VR(以下、PS VR)とヘッドフォンを装着。まだクルマやコースを選ぶところなのに、すでにクルマに乗り込んだ気分になってきた。記者はペーパードライバー歴20年の素人という自覚があるので、カッコつけずにオートマチック操作を選択。オートマならステアリングとアクセルだけで運転可能ですが、細かいところまでこだわりたい方はマニュアルがいいでしょう。なお、車種はマスタングにしてみました。そしてひと通りの設定を終えると……クルマの運転席にいた。「本格的な筐体に座っているんだから無理もない」と思う方も多いと思うが、環境はあくまでおまけ。ゲーセンの筐体ではなく、本当にクルマに乗っている感覚なんです。PS VRを通して目に映る、運転席の光景と、ステアリングを握った自身の両手(のグラフィック)が、まったく違和感がないのだ。単にPS VRだからというわけではなく、PS VRとの相性がよすぎる! 完全にレースの世界に取り込まれた俺の手は、すでに手汗でしっとりしている。だって、ゲームの試遊に来たつもりが、いきなり20年ぶりの運転ですよ? しかもレースで。「事故らないで運転できるかな……『グ●ンドツ●ー』の某司会者も先日派手にやらかしたみたいだし、超コワイ!」そんなことを考えているうちに、スタートシグナルが鳴り出す。こうなったらもう、やるしかない!

 アクセルを踏み込むと、エンジン音が唸りを上げ、クルマが動き出す。トップスピードには程遠いうちから、ものすごくスピード感を感じる。気持ちいいけど、無事故無違反無運転でゴールド免許歴20年の記者は、とにかくコースアウトだけは避けるように走りたい。えーと、カーブを回るときはスローイン・ファストアウトだっけな? いろいろと思い出そうとしつつカーブの手前にさしかかると、画面に“BRAKE”のHUD表示が。すげえ親切! いくつかコーナーを抜けたところで、ちょっと自信が出てきた俺は、比較的カーブが少ないところでアクセル全開にしてみた。おお、コースが下り坂なこともあって、スリル満点。そして何より気持ちいい! 思わず「パワァァァァ!!」と叫んでしまいましたよ。フロントガラス越しに見える、フォトリアルな風景もすばらしく、「レーサーってこんな気持ちで走っているのか~」と、感嘆するばかり。

 そんなこんなで試遊は終了。正直クルマは詳しくないのだが、とにかく臨場感がMAXで楽しかった! 熱心な『GT』ファンの方には説明不要かと思いますが、敷居の高さを感じて手を出さなかった方にも、ぜひ体験してほしいですね。

 と、試遊を終えて去ろうとした記者だったが、ポリフォニー・デジタルの山内一典氏を発見! 本作のこだわりなどを聞いてみた。

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▲ポリフォニー・デジタル・山内一典氏(文中は山内)。『グランツーリスモ』シリーズの生みの親だ。

 
――先ほどPS VRでプレイさせていただきましたが、臨場感がハンパないですね。やっぱり『グランツーリスモ』とPS VRの相性のよさは意識されていたのでしょうか?

山内 そうですね。クルマって座って運転するものですし、つねにインテリアが目に飛び込んできて、窓には外の景色が広がっている……という環境は、やっぱりVRコンテンツに向いていますよね。

――走りながらキョロキョロしまくってみましたが、3D酔いも起きませんでしたよ!

山内 ええ。PS VRのゲームを作るときって、(いろいろと考えることが必要で)たいへんですからね。

――先日、クローズドβテストがスタートしましたが、手応えはいかがですか?

【関連記事】『グランツーリスモSPORT』アジア地域でのクローズドベータテストがスタート! 初日の様子を紹介

山内 クローズドβテストは、いわゆる体験版という扱いではなく、真剣なテストなんですよ。わからないことを解決するために行っているものなんです。それはたとえば、スポーツマンシップレーティングの計算アルゴリズムだったり、あるいはコース上でクラッシュが起きた場合の判定システムだったり……(実験を重ねないと)ハッキリしないことはいっぱいあるんですよ。しかも、そのモードに絞ってβテストを行っているんです。必要に迫られて。

――なるほど。ひと足早く遊べるサービスではなく、意味があってのβテストなんですね。

山内 だから僕は、クローズドβテストを始める前に、「これはユーザーにとってストレスフルな体験だから、いろいろなストレスを感じてしまうと思いますがゴメンね」という気持ちだったんです。しかし実際にやってみると、そんなストレスフルな環境にも関わらず、皆様とても楽しんでいただいているようで、うれしい驚きを感じています。本来はもっとリラックスして楽しめるゲームモードがいっぱいあるのですが、いちばんストレスを感じさせる実験で、僕らはいろいろ学んでいます。

――先ほどE3の出展バージョンで遊んだときは、もう100%完成しているような印象を受けましたが……

山内 横軸が時間軸、縦軸がクオリティーの線グラフを作ると、いまはこのあたりになります。
(指を動かして右肩上がりの曲線を描く。右に近づくほどクオリティーが大きく跳ね上がり、山内氏は“まさに急上昇中のあたり”を指で示した)

――もうゴールが近いんですね?

山内 いままさに、ものすごい勢いでクオリティーアップをしているところです。今回ばかりは、やはりパーフェクトなものにしないと死んでも死にきれないと思っています。『GT5』や『GT6』ではできなかったレベルの細かいところまでの作り込みも、この『GT SPORT』ではやっていますね。

――とても楽しみになってきました! ちなみに具体的な発売時期などは……?

山内 この後すぐ、ライブストリームで流れるのではないでしょうか(笑)。

 というわけで、最後に最新のPVをお届けしよう。発売時期は2017年秋!!