犯罪組織相手に3人組がクルマをカッ飛ばす、NFS最新作登場
全世界で11月10日の発売予定している、エレクトロニック・アーツのレーシングアクションゲームシリーズ最新作『Need for Speed Payback』。アメリカの現地6月10日から12日にかけて行われた同社の独自イベント“EA PLAY”でも、会場に試遊台が出展されており、(別の記者によるものだが)本誌でもすでにプレイリポートをお伝えした。というわけで本稿では、本作を開発するGhost Gamesでクリエイティブディレクターを務めるWill Ho氏へのインタビューをお届けしよう。
NFS Paybackは“ハリウッドのレンズを通したNFS”
――さて今回、なぜ主人公が3人なんでしょうか?
Will Ho(以下、Will) 本作の開発を始めた段階で、ゲームプレイのバラエティを拡大したかったし、それをキャラクターにも投影したいと思ったんだ。クラシックな『ニード・フォー・スピード』のレース要素を分析していくと、例えばドリフトなんかが大きな部分を占めると思うけども、もっとアクション映画のヒーローのようなドライビングミッションにも広げていくようなイメージだ。
その上で、それぞれのキャラクターはゲームプレイのバラエティとも呼応している。そして公道でのスピード競争において彼らが抱く欲望は、プレイヤーの欲望の鏡写しでもあるんだ。マーカスはスタント的なドリフトイベントを好んで、ジェスはもっと“仕事”に対してプロフェッショナルな態度であり、パーソナリティの点でも違いが反映されている。そんな具合に、タイラーを含めた3人の個性や特性を合成したものが『Need For Speed Payback』というゲーム全体のパーソナリティを形作るように目指した。
――僕はこのゲームを端的に表現するなら、もちろんストリートレースもあるけど、体当たりで護衛のクルマをふっ飛ばしたりするので、“ドライビングアクションゲーム”と呼べると思います。あなたの定義はいかがですか。
Will それは結構いい線を行っていると思う。内部的には「ハリウッドのレンズを通した『ニード・フォー・スピード』」というコンセプトを掲げているんだ。こうしてハリウッドで収録しているインタビューでこう言うのはなんかちょっとジョークみたいだけども、実際にいろんなハリウッド映画やドラマの影響を受けている。自分自身、それらやクルマの番組を見て育ってきて、正義と悪の間で交わされる偉大なカースタントやカーチェイスを記憶に刻みながら育ってきたからね。そういったものを今度は「あなた」がヒーローという形で体験してもらおうというのが『Need For Speed Payback』なんだ。
――3人の主人公の間で衝突が起きるようなことはありますか? 例えば『グランド・セフト・オートV』も主人公が3人いましたけど、プレイヤーに「誰を取るんだ」と問いかけるような場面がありましたよね。
Will 誰にでもあるようなちょっとしたいさかいはあるけれども、基本的には3人は絆で結ばれているんだ。我々としては彼らを“ハウス”という巨大な悪に立ち向かうためのエリートチームとして作った。
――今回のデモではミッション中にキャラが切り替わるというのも面白かったです。
Will そうだね。最初はタイラーで追跡を行って、いざというタイミングでジェスが飛び出てきて切り替わる。ああいった感じに大作映画のようなミッションでは複数のキャラ、複数のクルマを転がして、プレイヤーのスキルによって彼らのコラボレーションを描くことになるんだ。
24時間の時間変化も導入。ロケーションもバリエーション豊かに
――ところでミッション外ではどうやってキャラクターを切り替えるんですか?
Will ボタンを押したらメニューが出てきて、そのまま進めれば別のキャラに切り替えられる。それ以外に、使用中のキャラと異なるキャラのためのミッションに出くわした時も、そのキャラに切り替えて挑戦できる。マニュアルで変える必要を感じないならば、好きなキャラでずっとドライブして、ミッションの時だけ変えることができるんだ。
――ストーリーモードには複数のキャラがいるわけですけど、マルチプレイではどうでしょう。マルチプレイ用のアバターなんかがあったりするんでしょうか。
Will オンラインマルチプレイではクルマこそがそのプレイヤーのアバターという考え方をしているんだ。各プレイヤーが作ったクルマは、その人のクルマに関しての嗜好なんかを示しているわけだからね。
――ところでこのデモでは砂だらけの荒野のフリーウェイがメインになっていましたが、もっと他のタイプのロケーション、街なんかはあるんでしょうか?
Will もちろんさ。本作の舞台であるフォーチュンバレーはバラエティに富んでいる。オープンワールドの世界として我々が『ニード・フォー・スピード』のために作った中ではもっとも多様性に富んでいると思うよ。
フォーチュンバレーには大きなシティーがあって、そこにはダウンタウンやカジノ地区のような華やかな場所、あるいは逆に工業地帯や建設現場のようなザラついた場所もあって、両者の間には緊張がある。一方で郊外には峡谷があって、高架橋がかかっていたりして、さまざまな環境のコントラストがフレッシュな気分にしてくれるはずだ。
その上でさらに、今回はシリーズで初の24時間の昼夜の概念を導入している。このように、ビジュアル面やロケーションのバラエティがあって、ゲーム内世界の時間によっても見栄えが違ってくるので、景色には飽きないはずだ。
廃車寸前の拾ったクルマをカリカリチューンしろ!
――カンファレンスのプレゼンテーションの最中に、背景で誰かがフォルクスワーゲン・ビートルのようなクルマをエディットしていましたね。ボロボロの状態からパーツを取り替えていっていましたが、“外見はオンボロだけど中身はカリカリチューン”みたいなことも出来ますよね?
Will イエス。あのクルマはゲーム中で“Derelicts”(遺棄車)と呼ばれているタイプのクルマで、超オンボロなうえ、ボディパネルがミスマッチというひどい状態で手に入る。そこから改造していくわけだけども、スーパーカーのようにパワフルにしたければ、まずはエンジンやらサスペンションやらをガンガン交換していくことになる。でも外見については、ひどいままが好みならそれでいいんだ。
実はDerelictsの要素はアメリカのクルマ文化でちょっと来ている流れからインスパイアされていて、クラシックなクルマを手に入れたらミント状態まで直す人もいるけど、たまに外見だけはオンボロをキープするって人がいるんだよね。それは本当に起こってることだし、それもまた味があって良かったりするんだよ。
――もうひとつ今回のデモでは、体当りして護衛のクルマを吹き飛ばしていきますよね。僕はガードレールにも結構ぶつかっちゃったんですが、なんでこのクルマ、ピカピカなんでしょう?
Will ハハハ、それはまだ完成版じゃないからだね。実際には擦り傷や汚れ、ダメージなんかがつくようになるよ。それに、もっとAIを練り込むので、実際はこれより倒しにくくなる。レースでも簡単に抜かせないような動きをするようになるはずだ。
――ところでデモはタイラーの運転するマスタングでKoenigsegg Regeraを搭載したトレイラーに追いついて、トレイラーからRegeraに乗ったジェスが飛び出すという構成でしたけど、トレイラーのようなクルマを運転するようなシーンはありますか?
Will うーむ、えーと……(言っていいことを思い出すような顔をしてから)今後の発表をお待ち下さい、ってことでいいかな? ストーリーモードにはいくつかサプライズを用意しているから、それは大事にしなきゃ。(発売日である)11月10日をお待ち頂ければ話せることがあるかもね(笑)。