“売れる線”を持っているからうらやましい? 『GOD WARS(ゴッドウォーズ)~時をこえて~』箕星太朗氏×竹安佐和記氏対談

角川ゲームスより2017年6月22日発売予定のプレイステーション4、プレイステーション Vita用ソフト『GOD WARS(ゴッドウォーズ)~時をこえて~』。キャラクターデザインを務める箕星太朗氏、そしてモンスターデザインを手掛ける竹安佐和記氏のおふたりに、デザイン論やモノ作りに対する姿勢、そして『GOD WARS(ゴッドウォーズ)~時をこえて~』への意気込みなどをうかがった。

●絵を描くのは好きじゃない!?

 角川ゲームスより2017年6月22日発売予定のプレイステーション4、プレイステーション Vita用ソフト『GOD WARS(ゴッドウォーズ)~時をこえて~』。本作は、“日本最古の歴史書である古事記”と、“古来、人々が親しんできたお伽話”を融合させたタクティクスRPGだ。キャラクターデザインを箕星太朗氏、モンスターデザインを竹安佐和記氏が務めることでも話題を集めているが、ふたりのデザイナーはお互いをどのように意識しているのか? お互いのデザイン論やモノ作りに対する姿勢、そして『GOD WARS(ゴッドウォーズ)~時をこえて~』への意気込みなどを箕星太朗氏と竹安佐和記氏にうかがった。

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■写真右:箕星 太郎(みのぼし たろう)氏(文中は箕星
■プロフィール
デザイナー/マンガ家。KONAMI在籍時、ミノ☆タロー名義で『ラブプラス』のキャラクターデザインを担当。KONAMI退職後は、箕星太郎名義にて『イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-』(発売:スパイク・チュンソフト)、『√Letter ルートレター』(発売:角川ゲームス)、『めがみめぐり』(発売:カプコン)などでキャラクターデザインを務める。また、マンガ家として少年マガジンエッジにて『制服ロビンソン』を連載中。

■写真左:竹安 佐和記氏(文中は竹安
■プロフィール
デザイナー/マンガ家。カプコン在籍時『デビル メイ クライ』モンスターデザイン、『鉄騎』モデル制作を務める。クローバースタジオ移籍後、『大神』の妖怪デザインを担当。クローバースタジオ退職後、株式会社crimを設立し、『零 ~月蝕の仮面~』(発売:任天堂)、『無限航路』(発売:セガ(現セガゲームス))にてキャラクターデザインを手掛ける。『El Shaddai -エルシャダイ-』(発売:イグニッション・エンターテインメント)ではディレクターとキャラクターデザインを兼任。pixivコミック上にて、マンガ『El Shaddai ceta-エルシャダイ セタ-』を連載(2015年6月連載終了)

――おふたりは以前から面識があったのですか?

箕星 角川ゲームスさんで初めてお会いしました。

竹安 そうですね。そのときが初めてです。

――意外でした。では、『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』がきっかけで……。

箕星 そうです、そうです。お会いするまでは“『エルシャダイ』の人”というイメージくらいしかなく(笑)。

竹安 僕も“『ラブプラス』の人”っていうイメージしかなくて(笑)。

箕星 だから、初めてお会いしたときに、竹安さんだとわからなかったんですよね。部屋の中にたくさん人がいたんですけど、「どなたが竹安さんかな?」と(笑)。でも、その後に食事に行って話してみたら「しゃべりやすい人だな」と感じました。

竹安 いまでは、個人的に仲よくしているほうが多いような気がします。仕事というよりは……。

箕星 プライベートで(笑)。

竹安 あまり仕事の話はしないですよね。

――(笑)。年齢も近いのですか?

箕星 たぶん近いんじゃないですかね。

竹安 何年生まれでしたっけ?

箕星 その辺はまだ内緒にしている。

一同 (笑)

竹安 女子じゃないですか!

箕星 気持ちは女子なので(笑)。

――でも、出身地は近いですよね?

箕星 僕は大阪。

竹安 あれ、僕も大阪ですよ!

箕星 竹安さんはカプコンさんでしたよね。

竹安 そうです。元カプコンで……。

箕星 カプコンさんだから大阪だったわけですよね。

竹安 あ、そうか。箕星さんは大阪のKONAMIさんにいたわけですね。

箕星 だからプライベートでは、カプコンさんの絵描きさんの知り合いが多いんです。

――お互い、どのようなイメージを持たれていらっしゃったのですか?

箕星 「問題ない」感じかな。もしくは「大丈夫」な感じ(笑)。

竹安 (笑)。僕の箕星さんの印象は、お会いしてからの印象になりますが、「真逆の人だな」と思っていて。話してみて、絵に対する考えかた、軸がぜんぜん違うなと。売れ筋で行ける考えかただと思うので、自分が申し訳ない気持ちになっちゃって……。

箕星 アーティスト寄りにしたほうがいいんですかね?

竹安 いやいや。お話したときに「僕も商業的に考えたほうがいいのかな」と反省しました。

――ゼロからものを生み出す仕事に携わっていらっしゃるうえで、商業的にいくのか、アーティスティックにいくのかというジレンマはありますよね?

箕星 でもやっぱり、最終的にはクライアント側がとういう意図で依頼してきているのか、そして、その依頼に対して、どう応えるか………ですよね。

――『GOD WARS(ゴッドウォ-ズ) ~時をこえて~』でのデザインの依頼は、個別にお話があったのですか?

箕星 個別ですね。

竹安 そうです。

箕星 僕は安田(安田善巳氏(角川ゲームス社長。『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』ではディレクター/シナリオ/原作を担当))社長とお話させていただいているときに「いままでRPGとアドベンチャーゲームを作れなかったことが心残り」という話題が出たときに「じゃあ、やりましょう」となって。最初はリップサービスかな? と思っていました(笑)。その後、正式にオファーをいただけて「じゃあ、ぜひ」と。

竹安 僕も角川ゲームスでほかの仕事で携わってはいたんですけれども、社内の噂で「和もののゲームを作っている」とは聞いていたんですよ。出るのを楽しみにしていたら突然呼ばれて(笑)。『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』のお話をいただく前に、和柄の絵本を1冊描いていたのですが、それを安田社長にプレゼントしたら気に入ってくださって。きっかけって思わぬところから生まれるんだなって思いましたね。

箕星 あとね、好きなものをTwitterでつぶやくのもいいことですよ。

竹安 あ、そうなんですか。

箕星 けっこう仕事来ますもん。

竹安 えー!

箕星 ありますあります。たとえば「○○が好きだ」とつぶやいたら、そのお仕事をいただいたり。

竹安 僕は、個人的なことは何もつぶやいていないんですよね。宣伝みたいなことはTwitterで。

箕星 でも、好きだから仕事を断れないじゃないですか? それでだんだんしんどくなっていくという(笑)。

――安田社長からは、箕星さんに対してはキャラクターデザイン、竹安さんにはモンスターデザインと、明確なオファーだったのですか?

竹安 最初から明確でしたね。

箕星 僕も、最初から「キャラクターを」というお願いでした。

竹安 じつは僕が入ったときって、もうキャラクターデザインが終わっていたんですよ。

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▲(左から)箕星氏デザインによるモモタロウ、カグヤ、オオクニヌシ。

――そうだったんですね。

竹安 僕が入ったのは、立ち上げの後半だったと思います。もういろいろと決まっていて。

箕星 でもl、僕がキャラクターデザインを担当することが決まる前に、「竹安さんがモンスターデザインをやる」と聞いていましたよ。

竹安 そうだったんですね。じゃあ、話自体は早かったのかもしれません。

――キャラクターとモンスターのデザインを別々の人間が手掛けるというのは、やりやすい、やりにくいというところはあるのですか?

竹安 やりやすいですね。デザインのオファーは多いのですが、キャラクターよりもモンスターデザインのほうが好きなんですよ。キャラクターは趣味嗜好が出てくるので、チェックがきびしくなりがちなんです。でも、モンスターはわりと1発オーケーが多いので(笑)。

――意外です。

竹安 一定水準さえ超えていたら、あとは好きにさせてもらえることが多いのも好きなポイントですね。絵的にも遊べるんですよ、モンスターって。キャラクターデザインに関しては、センシティブで苦手という意識があります。安田社長が僕の画集を見て気に入ってくれたということもあり、そのタッチでいいのかな、と。多少デザインのリテイクはありましたが、8割くらいは1発オーケーをいただけたので、好きに描かせていただいたという感じですね。

箕星 何体くらいだったんですか?

竹安 20体くらいですね。

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▲竹安氏デザインのモンスター“オオカミ”。

――“和”ということ以外で、角川ゲームス側からのデザインに関してのお願いはあったのですか?

竹安 「日本の神話のルーツを掘り下げたい」とおっしゃっていたので、広い意味で平安時代とか江戸時代とか、そういった時代の“におい”も出してみたら「ゲームとは時代設定が違うので、そこは変えてください」とリテイクになったんですね。結果として、大和時代ぐらいの雰囲気になっています。そのぐらいですかね、お願いされたのは。

――箕星さんはいかがですか?

箕星 エクセルの表がありまして。キャラクター名と年齢と髪の毛の色の。

――髪の毛の色の指定まであったのですか。

箕星 はい。あとはたとえば、「このキャラは海で活躍する分、日に当たるので肌の色が濃いです」とか。そのキャラならではの特徴の部分が記入されていました。そのほか、お伽話の主役級のキャラが出てくるということで、「それぞれ主役になれるイメージ」というお願いがありましたね。

――髪型や服のデザインについても、箕星さんがゼロから生み出したわけですね。

箕星 そうですね。「“和”をイメージできればいい」と考えてデザインしました。あとは素材。その時代になかった素材、たとえばビニールなどはダメで、そういうのは使用しないでください、というお願いもありました。

――ちなみに、箕星さん自身は“和”と“洋”で得意なのはどちらなんですか?

箕星 僕は学生服しか描いていないので(笑)。

一同 (笑)

箕星 でも“和”が多いんですよね。『めがみめぐり』も“和”じゃないですか。じつは“和”は苦手なんですよ。着物は構造を調べないとダメでしょ。和装は着ないのでわからない。わからないからすごく調べてしまうんです。間違えないように。でも、今回はそれがなかったので好きにデザインできました。

――最終的に何人くらいキャラクターをデザインされたのですか?

箕星 15体くらいですかね。

――いちばん苦労したキャラクターは?

箕星 いや、割と自由にできた分、生み出す苦労はなかったです。

――男性キャラ、女性キャラで得意、不得意というのもないのですか?

箕星 いっしょですね。……でも、おじさんキャラクターのほうが好きかも。『√Letter ルートレター』のときも、おじさんキャラクターのデザインをさせていただけたのがうれしかったですね。

竹安 絵描きは、けっこうおじさんを描きたいという人が多いですよね。

箕星 そうですね。

竹安 僕もおじさんキャラクターはすごく好きです。若い女の子を描けるようになりたい、という憧れはずっとありますが、苦手というか、なんかやっぱりどうも……。

箕星 かわいいパーツって決まっているんですよ。その人の絵柄の中で限られているんです。

竹安 移動中、箕星さんが僕にずっとぼやいていて。「パターンがない、パターンがない」って(笑)。「このパターンじゃ足りひん」ってね(笑)。

箕星 もうちょっとこう、目が細いパターンないかな………とか。福笑い的な感じで、自分の持っているパーツをどう組み合わせてみるといいかを考えてます。

――箕星さんがデザインされるうえで、いちばん重視するパーツはどの部分なんですか?

箕星 ……目かな?

竹安 箕星さんは目と鼻のパーツって、いつ発明したんですか?

箕星 それはね、『ラブプラス』のとき。

竹安 やっぱり発明ですよね、これは。

箕星 じつは僕は人の真似をするほうが好きだったので、キャラクターデザイン願望はなかったんですよ。作画監督的なポジションがいちばん好き。

竹安 ありものをどううまく見せるかということですか。

箕星 そう。それを描きたくてゲーム業界に入ったんですけど、なかなかそういう機会がなくて。

竹安 鼻とか、すごくアグレッシブで特徴的じゃないですか?

箕星 鼻は3Dで作ったんですよね。モデルの鼻がぺちゃんこだったから、線にしたらこうなって。

――三次元的な見えかたも意識されているのですか?

箕星 作品によりますね。たとえば『めがみめぐり』ですと、正面しかないので、正面に集中すればよくて。『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』はゲーム中に後ろが見えちゃうので、裏側も全部書きました。衣装によっては造りがたいへんな子もいるんですよ(笑)。

竹安 確かにたいへんそうですね。

箕星 いや、でも、竹安さんのデザインもかなりたいへんだいと思いますけど(笑)。

竹安 僕にとっては箕星さんのデザインのほうが難しいんですよね。わかりやすく言ったら、少ない線で決めていくじゃないですか。僕のデザインは線が多いので、極論を言うと「なんとでもなる」と思いながら描いているので楽なんですよね。

――おふたりともPCで描かれていらっしゃるんですか?

箕星 僕はPCです。

竹安 線画は筆ですね。

箕星 筆ペンですか?

竹安 筆ペンで描いています。原画を持ってくればよかったですね(笑)。全部A2で線画で描いています。絵って縮小するとよく見えるんですよね。

箕星 そうそう、そうですね。

竹安 大きく描いたほうがいいのでA2にしています。

――ゲームという特性を考えたときに、“動く”ということを意識されてデザインされていくのですか?

箕星 一応。やっぱり。

竹安 ずっと僕は3Dモデラ―をやっていたんですね。そっちのほうが歴史が長くて、8~10年くらい3Dモデラーをやっていたんです。だから「自分だったら動かせる」と思ってしまうため、あえてそこは気にしないというか。「動かせない」と言われたら「いや、僕だったら動かせるよ」と言い返せる自信があるので、必然的にそういうデザインになりますね。

箕星 マント、嫌がりますよね。

竹安 マントとか、長髪は嫌がられますね(笑)。でもいまの時代、けっこうなんでもいけますけども。

箕星 あと袖も嫌がられますよね。着物の袖。

竹安 『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』のキャラクターの中には、袖があるデザイン、衣装の子がいますよね?

箕星 います。だから後ろにもってきて、デザインと動きが成立するように考えています(笑)。

――(笑)。実際にお互いのイラストを並んで見たときの印象はいかがでしたか?

箕星 ぜんぜん違いますよね(笑)。でも、ゲームになったら違和感がないんですよ。

竹安 こういうのを合わせたかったんだ、という理解はありますが、僕としては「これはどうなのかな?」というのは最初にちょっとありました。カレーそばみたいな感じと言いますか(笑)。

箕星 それがいいのかなと思っていますけどね。

――デザインされるうえで、相談もされなかったわけですよね?

竹安 あ! そういえば1回も相談していなかったですね(笑)。

箕星 デザインの話はしたことないですね。違う話はいっぱいしましたが(笑)。

竹安 たぶん僕の中で、箕星さんはデザインの話がしにくい対象なんですよ。僕からすると流派が違いすぎるというか。「うらやましい」と思う部分はすごくあるけど、何をしゃべったらいいんだろう、と。箕星さんはアニメのキャラクターが着眼点としてあるんですが、僕は『ウルトラマン』の怪獣が好きで。マンガやアニメも好きでしたが、女性キャラクターが好きじゃなくて、むしろジャマなものとして捉えていて。

箕星 僕は子どものころは『うる星やつら』とかが好きでしたからね。

――竹安さんのルーツは三次元、箕星さんのルーツは二次元だったと。

竹安 どうなんでしょう。フェチが違うんですかね? そもそもの着眼点として。話を戻しますが、箕星さんのやりかたはすごくうらやましいと思っています。「絶対にこっちのほうが売れる」とつねづね思っているんですけど、女性キャラクターに興味がわかないんですよね。

――「しっかりとした報酬を払うので商業的なデザインをお願いします」と依頼されたらどうしますか?

竹安 箕星さんにおまかせします!

箕星 (笑)。逆に僕はアーティスティックなのは苦手かな。あまり興味がない。

竹安 あ、興味ないんだ!

箕星 商業にしか興味がないですね。絵画とかは面倒で。僕、基本は描きたくないんですよ。

竹安 僕もそうですよ。

箕星 本当? いや、そうでもないでしょう(笑)。

竹安 本当に描きたくないんですよ!(笑) 毎日「描きたくない」と思っているから、“絵描き”って呼ばれるのがすっごく嫌いなんですよね。

――でも、描きたくない方が東京ゲームショウで4日間(※1)描き続けないと思いますが(笑)。
※1:東京ゲームショウ2016の角川ゲームスブースにて、竹安氏は4日間かけてヤマタノオロチのイラストを書き続けた。
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▲竹安氏が“東京ゲームショウ 2016”のライブペインティングで描いたイラストのカラー版。

竹安 あれはパフォーマンスなので(笑)。なんだろうな、絵を描くのは嫌いなんだけどなあ……。

箕星 僕ね、落書きが好きなんですよ。チラシの裏に描くとか。あんなのしかしたことなかったので。

竹安 なるほど。

――でも、ご自身の中に「こういう絵を描きたい」という欲求があるからこそ、デザイナーを仕事にされているわけですよね。

箕星 そうですね。たとえば、好きなマンガ家さんがいるじゃないですか。好きなマンガ家さんが描く女の子とか男の子とか、ああいうのは記憶の中にあるので。

竹安 それで言うと、僕はアイドルを1回も好きになったことないんですよ。実在しているものに関しては、手に届く範囲にしか興味がないというか。クラスのかわいい子のほうがいいと……。わかった! だから女性キャラクターも描くことに興味がないというか。一方でモンスターのイラストを描いていて楽しい理由って、モンスターには会えないじゃないですか、絶対に。だから描いていて楽しいんだろうなと。描いている対象に会いたいんですよ。どこかで「こういうものに食われたい」という願望が僕の中にはあるんだと思います(笑)。

箕星 でもやっぱりこう、自分の中にいろいろな引き出しがあっても、僕の場合はお客さんが求めているのはこれじゃないって思ってしまう。だからこれ以外をやっても、お客さんには迷惑になるわけで、「余計なことをするな」と……。

竹安 そういう意味では、僕は迷惑ばかりかけている気がするな(笑)。

箕星 僕は昔から人真似がすごくうまくて。だから得意で描いていたんですけど、逆にオリジナリティーを求められたときに「どうしようかな」と思って。絵柄がなかったんですよね。

竹安 そのときは苦労されたんですか? いまはマンガの連載もされていますが。

箕星 どうせだったら、できないこと、いままでと違うことをしようと思って。単行本が夢だったわけですよ。オリジナルの書籍って、機会がないじゃないですか。その機会をいただけたので、完結するまでがんばろうかなと。

――竹安さんも画集やマンガを出されていますが……。

竹安 でも僕は出したくて出したわけじゃなくて、やっぱり仕事なんですよね。仕事って僕から「これをやらせろ」はないわけです。基本は「こういうのをやってみませんか?」とお話をもらって、たまたまニーズがあったんだなと……。僕は本当に市場をまったく見ていない人間なので、勝手気ままにやっていたら、たまたまハマっただけですから。

箕星 でも、それがアーティストっぽいところですよね。

竹安 うーん、箕星さんと考えかたが違うのは、僕は「人生3度当たればいい」と思っている人間なんです。あとは「この仕事で食べていければいい」と思っていて。そこがたぶん感覚として違うところがあるのかな。当てられるものができる自信もないし、諦めているところもあるし。箕星さんみたいに描ける人がいてくれたら、まかせたいというのは非常にありますね。

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