本日5月4日、明日5日に、『NieR』の公式コンサート“人形達ノ記憶”の東京公演が開催。それを記念して、週刊ファミ通4月20日発売号に掲載した、楽曲を担当したMONACAの岡部啓一氏、帆足圭吾氏、高橋邦幸氏に楽曲やコンサートの見どころについてのインタビューをお届け。

●『NieR』シリーズの名曲の数々を生演奏で! 朗読劇も必見の内容

 『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』のゲーム内BGMを収録した音楽CD『NieR:Automata Original Soundtrack』は2017年3月29日に発売され、すでに前作以上のヒットを記録。そして、本日5月4日、明日5日には、『NieR』の公式コンサート“人形達ノ記憶”の東京公演が開催される。そこで本稿では、週刊ファミ通4月20日発売号に掲載した、楽曲を担当したMONACAの岡部啓一氏、帆足圭吾氏、高橋邦幸氏に楽曲やコンサートの見どころについてのインタビューを、Web用に一部加筆・編集してお届け。ちなみに、インタビューは4月上旬に行ったもの。

 なお、コンサート最終日となる5日の昼・夜公演は、ニコニコ生放送での配信(有料)が実施される。コンサートで披露される朗読劇も必見の内容になっているので、ファンの人はぜひ。視聴チケットは各回2000ニコニコポイント、昼夜通し視聴チケットは3000ニコニコポイント。

※ネットチケット情報は→こちら
人形達ノ記憶 NieR Music Concert 5月5日【昼公演】
人形達ノ記憶 NieR Music Concert 5月5日【夜公演】

[関連記事]
『NieR:Automata』を追体験・補完できるコンサート“人形達ノ記憶”大阪公演リポート

岡部啓一氏
帆足圭吾氏
高橋邦幸氏

■予想に反して!? 『遊園施設』の評価がすごく高くてビックリ

――サウンドトラックが発売され、かなり評判なようですが、手応えはいかがですか?

岡部 前作と違ってすごく期待されている感じもありましたし、ファンの方々が望んでいることや、今回の新しい要素をどう採り入れるかのバランスには気を遣いました。喜んでいただけているようで、ホッとしています。正直なところ、「前作のほうがよかった」と、もっと言われるだろうなと思っていましたので。

帆足 僕も半分くらいの人が、「前作のほうがよかった」と思うんじゃないかなと予想していたんですが。

――それはどうしてですか?

岡部 前作は、歌モノの楽曲に寄せて、ふつうのゲームの音楽っぽくない作りだったんです。ですが、本作は、ゲームにもっとマッチさせようと意識して、前作よりいわゆるゲーム音楽っぽさが強いですし、ゲームの世界観もファンタジーからSF色が強くなったので、そういった違いから、今回はどう受け止められるかな、と不安だったんですが、前作とはまた違ったものとして受け入れてくださったのかなと。

――高橋さんは、本作から楽曲スタッフに加わったということですが、続編の楽曲を作るということで、難しさや苦労された部分はありますか?

高橋 音楽的な部分では、前作のサントラをひと通り聴いて、メロディのクセというか、流れのようなものはなんとなく掴めたので……。

――チョロかった、と(笑)

高橋 いえいえ(笑)。ただ、それをそのままなぞるとパロディーのようになってしまうので、それをどう活かすかは悩みどころでしたね。

――今回の楽曲で、それぞれが印象深く感じた曲をひとつ挙げていただけますか?

岡部 僕のは全部いい曲なので……(笑)。それは、冗談ですが(笑)、自分の曲にはそれぞれに思い入れあってひとつは選びにくいですが、やはりテーマ曲の『Weight of the World』ですかね。ほかの曲と違って、歌モノっぽい作りかたをしたので、かなり思い入れはあります。

――『Weight of the World/壊レタ世界ノ歌』では、河野万里奈さんを起用されていますが、河野さんを起用した決め手は?

岡部 「すごくエモーショナルに歌ってほしい」というヨコオさんの要望があり、河野さんの歌には、ポップさと共存して“せつない情感”みたいなものがあると思っていたんです。今回は、彼女のそういう部分を出してもらうキッカケとしてもいいんじゃないかということで、オファーしました。ポップスっぽいシンガーを迎えることで、『NieR』的にも新しい試みができそう、という思いもありました。収録時は、ヨコオさんにも立ち会ってもらって、随時ふたりでディレクションしながら収録したんですが、あまりエモーショナルにしすぎて、崩しすぎると気持ちの悪いものになってしまうので、さじ加減が難しかったですね。ですので、何パターンか録らせてもらって、振り幅を見て、バランスを見つつ、各パターンを組み合わせて最終的なバージョンを作っていきました。

――岡部さん以外の曲を挙げるとすると?

岡部 予想に反して、帆足が作った『遊園施設』がすごく評価が高くてビックリしました。

帆足 それは僕もです(笑)。

岡部 実際にゲームを遊びながら聴くと、あの雰囲気にすごく映える曲だな、とは感じていたので、そういった意味では、ゲーム音楽ならではの評価のされかただな、とは思いますけど。

――納得いかない感が出てますけど?(笑)。

岡部 ヨコオさんの気持ちが少しだけわかりました(笑)。僕が帆足の曲でいちばんいいなと思ったのは『曖昧ナ希望/氷雨』ですね。ゲーム中でもすごくいいところで使われてましたし、音楽としても訴えかける感じのあるいい曲だなと思いました。高橋の曲では、バトル曲ながら、情感もあるところが『NieR』らしい、『依存スル弱者』です。ゲーム中だとバトルに集中してあまり曲が入ってこないかもしれませんが、ぜひサントラでじっくり聴いていただきたいです。

――では、帆足さんはいかがですか?

帆足 いちばん印象深いのは『美シキ歌』ですね。2016年の6月に公開されたPVでも使われて、自分の曲ではいちばん最初にお披露目された曲です。「エミさんとジュニークさんの歌、それとコーラスも入ったボス戦の曲を作ってください」という難しいオーダーだったので、どうしようかと悩みました。派手だけど『NieR』らしさもある曲にしたいと思って、展開を激しく付けたいとは思っていたんですが、落差が激しすぎるとゲームプレイと合わなくなるかもしれない。けっきょくは、かなりに強めに展開していく曲になったのですが、曲に付随してボスの攻撃パターンが変わる演出とすごくマッチしていて、プラチナゲームズさんスゴイ、と思いました。

高橋 僕は思い入れというか、作業的にちょっと難儀して印象に残っているのは『エミール/ショップ』ですね。

――名曲『エミール』があんなアレンジになっていて、驚きました。

高橋 マーチという、わかりやすいお題があったので、スムーズにできるかなと思っていたんですが、もとの曲のメロディが明暗を決める重要な音を使った曲だったので、ひたすら明るい感じにするのがけっこう難しかったです。その苦労の甲斐あって、完成したときは、「もうコレしかないだろう!」って納得のいく曲にはなりました。あとは、うまくアレンジできたなと思ったのは『オバアチャン/破壊』です。『エミール/ショップ』も『オバアチャン/破壊』もアレンジだと最初は気づかなかった方もいらっしゃったみたいで、しめしめと思いましたね(笑)。アレンジをするなら、焼き直しではなく、できるだけ原曲のイメージから離したものにしたかったので。

岡部 前作からのアレンジ曲を入れたのは、齊藤プロデューサーの要望でもありました。前作で好きになってくれたファンの方たちがうれしくなる仕掛けとして、前作のアレンジ曲を入れたい、とおっしゃっていたんです。実際に喜んでいただけたみたいでよかったです。

――少し話しが脱線しますが、アレンジと言えば、岡部さんは『FFXV』のDLC“エピソード グラディオラス”でアレンジ楽曲を提供されていますよね?

岡部 はい。1曲はオリジナルで、もう1曲は『ビッグブリッヂの死闘』のアレンジ曲ですね。正直、ほかの方の曲をアレンジするときは、どのくらい崩していいのか考える部分があるんですが、植松先生の曲となると、畏れ多くて変えられない、みたいなところはありました。実際、最初は原曲に忠実なアレンジにしていたんですよ。すると、『FFXV』のスタッフの方から「もっと岡部さんらしさを出してもいいのでは?」とご提案いただいて。ある意味、挑戦状を叩きつけられたと思い(笑)、「ようし、やってやる!」と。たしかに、僕は『NieR』の曲のコンポーザーとして認知してもらっている部分もあると思うので、『NieR』っぽい部分も入れつつ仕上げました。高橋のアレンジの話ではないですが、最初は気が付かなかったけど、最終的に「あっ! あの曲」と思ってくださった方もいて、「やった!」という気持ちになりました。

■DLCでは「コノママジャダメ」のコーラスに、あの人の声が!?

――週刊ファミ通の特集で『NieR:Automata』で好きな曲のアンケートを取ったのですが、1位が『Weight of the World』、2位が『遊園施設』、3位が『エミール/ショップ』、4位が『曖昧ナ希望』、5位が『パスカル』となりました。このランキングについて、いかがですか?

岡部 わりと納得の結果ですね。

高橋 やはり、演出的に記憶に残りやすい曲が多くなりますね。

――記憶に残りやすいという意味では「カミニナル」や「コノママジャダメ」の歌が入ってないのが残念、という声もあるようですが。

岡部 そうなんですよね……。今回はCD3枚組にしてくださったんですけど、主要な曲を入れたらあっさりと埋まってしまって……。候補には入っていたんですが、それらの歌は、ゲーム内でのイベントを見つつ聴くからおもしろ味があると考えて、最終的にはサントラには入れなくてもいいかなと判断しました。ですが、残念に思った方が想像以上にいらっしゃったので申し訳なかったです。

帆足 あの曲はゲーム中だとすごく頭にこびりつくんですよね。「カミニナル」と「コノママジャダメ」は、日本語版と英語版を網羅して別アルバムで出したいですね!

岡部 アレンジアルバムとかのお話があれば、まだ可能性はあるんじゃないかと思っています。

――期待しています! ところで、DLCでは、新曲はあるのですか?

岡部 いえ、新曲はありません。『NieR:Automata』の音楽データはバラしてプラチナゲームズさんにお渡ししているのですが、それを使って、本編では使ってない使いかたをしている楽曲はあるみたいです。あと、「コノママジャダメ」があのおふたりのバージョンになっているとか(笑)。

――えっ!?

岡部 そのほか、おもしろい仕掛けもいろいろ入っているようです。

■コンサートはゲームを追体験する内容に!?

――コンサート“人形達ノ記憶”についてもうかがいますが、今回の聴きどころはどういったところになりますか?

岡部 これは帆足に話してもらおうかな。

帆足 えっ!? なんで突然振るんですか(笑)。

岡部 僕はコンサートで演奏しないから(笑)。

帆足 ええと……。いちばんの推しポイントは自分のピアノ……言いたいところですけど、まだ本番に向けていろいろと仕込んでいる最中なので、いまの段階で確信をもってコレだ! と言えるものはないかもしれません……。

――セットリストは決まったんですか?

岡部 演奏する曲は決まったんですが、アレンジはまだ終了してないですね。ですので、曲の尺も確定してないので、映像は素材集めが終わってまだ編集待ちという状況です。まだまだ手探りで状態……。どういった曲順にするかも、これからです。
※インタビュー実施日は4月上旬

――コンサートまで、あと20日ほどなのに手探り状態……。

岡部 おそろしいですね(笑)。しかも、今回のコンサートは、ほぼ新曲なので不安がいっぱいです(笑)。朗読劇が挟まるところもほかのコンサートとの違うところですので、ストーリー性のある作りにしようと思っています。

帆足 単純に曲を聴くのではなく、ゲームを追体験していただくと考えていただけると、わかりやすいかもしれません。演奏する曲は、サントラ発売後の反応も参考にしつつ、皆さんが聞きたいものはだいたい入っていると思います。

――セットリストはすんなりと?

岡部 少しヨコオさんともめました(笑)。

――あら(笑)。どういったところで?

岡部 時間的に演奏できる曲数は限られるので、これはマストだよねっていう曲を並べたあとに、残りどれを入れる? という状況になって、そこで意見の食い違いが出てきて。

帆足 演奏する側としては、「これをライブでやったら絶対いい感じになる」と思う曲があるんですが、ヨコオさん視点だと、朗読劇をやるうえでこの曲は外せない、ってものがあったり。

岡部 ぶっちゃけると、こちらはサブクエストでしか流れない曲でも、ライブで演るとエミさんやジュニークさんのよさがすごく出る曲があるので、それをやりたいと思うんですが、ヨコオさん的には、あくまでもサブクエの曲なんですよね(笑)。サブクエの曲をやるんだったら、本編の曲をやろうよと。たしかに、ヨコオさんの言ってることもわかりますし。最終的にはすごくいい形でまとまったので、ぜひ楽しみにしておいてください。

帆足 5年くらい経って、皆さんがサントラを聴き込んだ段階なら、サブクエの曲ばかりのコンサートもできるかもしれませんね(笑)。

――朗読劇の内容は日替わりとのことですが、演奏曲は変わらずですか?

岡部 はい。ただ、曲は同じですけど、朗読劇の内容に合わせて順番は変えるかもしれません。

――前回同様、今回もニコ生での配信もあるとのことで、会場に行けない人も、観れるのはうれしいですね。では、最後に『NieR』ファンの方々へ向けてひと言ずつお願いします。

高橋 僕は自分の曲の評価を見るのがけっこう怖いタイプなので、あまりエゴサーチはしないんですが、好意的な意見が多いようなので、少し安堵しています。『NieR』初参加だったのですが、ファンの方々に受け入れてもらえたならうれしいです。

帆足 僕はエゴサーチをしまくるタイプなんですが(笑)、想像以上に評判がよくて驚きました。サントラでは、ゲーム中ではあまり聴く機会のなかった曲もじっくりと楽しめるので、新たにお気に入りの曲を見つけていただきたいですね。

岡部 『NieR』はファンの方たちが育ててくださったタイトルですし、コンサートもそうですが、この時代にCD3枚組のサントラが出せることも、待ってくださっている方がいてこそです。今後もいい意味で期待を裏切りつつ、さまざまな形で恩返しできればと思っていますので、これからも応援してくださるとうれしいです。