2017年4月20日、フロム・ソフトウェアより発売されたプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『DARK SOULS III THE FIRE FADES EDITION(ダークソウルIII ザ ファイア フェーズ エディション)』。本作の発売を記念し、『THE RINGED CITY(ザ リングド シティ)』のインプレッションをお届けする。

●プレイして感じた“突き刺さる殺意”

 2017年4月20日、フロム・ソフトウェアより発売されたプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『DARK SOULS III THE FIRE FADES EDITION』。第1弾DLCの『ASHES OF ARIANDEL』と第2弾DLC『THE RINGED CITY』がセットとなった本作の発売により、『DARK SOULS』シリーズはいったんの区切りを迎えた。本稿では第2弾DLC『THE RINGED CITY』のインプレッションをお届けする。


 出会った天使が『ARMORED CORE(アーマード・コア)』を彷彿させるビーム攻撃を仕掛けてきたとき、突き刺さる殺意を感じた。序盤に訪れる“吹き溜まり”と呼ばれるエリアに現れた天使は、プレイヤーに祝福ではなく死を与えてくれた。

 序盤からこれである。

 どう倒せばいいのか悩み、苦労して倒しても復活され、逃げ回ることしかできなかったときに込み上げてきた感情は「楽しい」だった。見つかれば離れていても高確率でダメージを受け、物陰に隠れても呪いで安息を与えられず。だが、“YOU DIED”の画面を何度も見せられるうちにだんだんとわかってくる「あ、これは頭を使わないとダメなやつだ」と。

▲通称“天使ビーム”。発売された当初は本当に死にまくりました。

 「楽しい」と感じたのは、ディレクター宮崎英高氏お得意の文法に気づいたから。ファンタジー系の小説や映画などではよく表現されるものの、ゲームという媒体ではなかなか表現するのが難しい「プレイヤーが謎を解かなければ倒せない敵」だということに。困り果てて周囲を見渡したときに天に伸びる光柱を見つけて「怪しい」と勘が働いたこともあるが、『DARK SOULS』シリーズの前身とも言える『Demon's Souls(デモンズソウル)』にて“愚か者の偶像”戦を体験していたことが大きかった。
 ネタバレを防ぐため倒しかたの詳細を述べるのは控えるが、「死にゲー」、「難しい」と評されることが多い『DARK SOULS』シリーズは、このように敵を撃破するための答えがちゃんと用意されている。ただ闇雲に難しいのではなく、解法があり、それを見つける楽しさと、その壁を乗り越えたときの達成感こそが『DARK SOULS』の醍醐味と言えるだろう。『THE RINGED CITY』は序盤からこの醍醐味を全開にしてプレイヤーを迎えてくれた。
 吹き溜まりを抜けて訪れる“輪の都”でも壮大な出迎えは続く。美しい景色に見とれながら歩を進めていると突如目前に現れる弓兵の幻影。その数、約20体。ゲーム歴35年を越える筆者だが、これほどの矢をその身に受けたのは初めての経験で、笑わずにはいられなかった。弓兵登場→反射的に盾を構える→一斉射撃→蜂の巣状態でYOU DIED、という美しいコンボ。遭遇戦こその楽しさではあるが、いまからプレイされる方はぜひ矢の雨を体験していただきたい。

▲弓兵の一斉射撃。ザシュザシュザシュザシュ! と爽快感あふれる効果音にも注目です。

 このように『THE RINGED CITY』ではむき出しの殺意が充満しており、乗り越えなければならない壁は高い。ネタバレのため固有名は伏せるが、終盤に待ち構えているブレスを吐いてくるアイツの強さ、いや防御力の高さは、『DARK SOULS』を初めてプレイしたときに感じた“絶望”を思い出させてくれた。
 圧の強いボスとの戦いは、敵の行動を学習するところから始まる。この攻撃はローリングでかわしたほうがいいのか? 盾でガードすべきか? ロックオンを外すか? 魔法を使うか? ボウガンを使うか? エストを使うタイミングはどこか? 試しては失敗し、失敗しては試す。ゆっくりだが確実に行動パターンを覚え、被ダメージを減らし、一発ずつ攻撃を当てていく。
 「ムリ!」、「倒せない!!」と諦めに近い感情が芽生える人もいるだろう。ただ、それこそが『DARK SOULS』の魅力のひとつでもある。倒せないままでいると、知らず知らずのうちに考えてしまうのだ。食事中に、通勤中に、入浴中に、トイレで用を足しているときに「こうすれば倒せるんじゃないか?」と。純粋に勝つことだけを考える。ふつうに生活しているうえでは生まれ得ない思考だ。だからこそ、敵を倒すために思考を巡らせるこの瞬間は、何物にも代えられないすばらしい時間となる。だからこそ、倒したときには記憶に深く刻まれる。困難を乗り越えてつかんだ極上の達成感とともに、忘れられない思い出となるだろう。

▲『THE RINGED CITY』では多彩な装備品が入手できる。写真は輪の騎士の双大剣と大扉の盾。布の装備品が充実していることも女性キャラクターにはうれしいところだ。

 前述したように、2011年に産声をあげた『DARK SOULS』シリーズは、『THE RINGED CITY』でいったんの区切りを迎える。『THE RINGED CITY』は『DARK SOULS III』のDLCであるとともに、『DARK SOULS』シリーズ最後のDLCとなる。『THE RINGED CITY』について、宮崎氏はインタビューで「『DARK SOULS』シリーズ全体を通して、“火継ぎ”というキーワードがありますが、そこには、火継ぎが始まり、歪み、そして終わる、という流れがあると思います。そうした「世界を継いでいく」というテーマについて、また別の解釈を見出そうとしたのが、今回のDLCであるかもしれません」と述べている。
 『DARK SOULS』シリーズの集大成とも呼べる『THE RINGED CITY』。できることならば、より強い達成感を味わうべく、何も攻略情報は見ずに自分の力でクリアーを迎えてほしい。

 ……最後に、オンラインについて述べさせていただきたい。筆者にとって『DARK SOULS』の魅力の半分はオンラインが占めている。協力プレイでホストに感謝されたことも、侵入エリアでボコボコに殺されたことも、タイマン勝負でやってやられてを繰り返したことも、戦闘ではなく追いかけっこになったことも、狂った闇霊でのロールプレイを貫いておかしな行動をしたことも、すべて鮮明に覚えている。いずれも、言葉によるコミュニケーションはなく、マルチ参加時の役割、そしてジェスチャーでの意思疎通のみという“ゆるやかなつながり”があるからこそ生まれたものだ。気軽に協力し合えるし、気軽に対戦が行える。どんな装備でもいいし、どんな戦いかたでもいいし、どんなにヘタでもかまわない。幻影や血痕、メッセージといった非同期コミュニケーションはもちろん楽しいのだが、ネットワークを介した協力、敵対プレイには別の楽しさがある。「人といっしょに遊ぶのは……」と怖がってマルチプレイをまだ経験されていない方は、だまされたと思ってマルチプレイに参加してみてほしい。まだ見ぬ、新たな“火の無い灰”と剣を交える日がくることを楽しみにしています。