ゲームユーザー歓喜の人材採用活動がスタート!
“一芸に秀でる者は多芸に通ず”ということわざがある。“ひとつの道を極めた者は、ほかの分野にも通じる道理を身につけている”という意味合いのようだが、どのような分野であろうと、己の能力を研ぎ澄ませている人はやはり美しい。当然のこと、それはゲームにあっても同様!ということで、“一芸”ならぬ“いちゲー”に秀でた人材を採用するという“いちゲー採用”を、人材採用活動に活用するメーカーが現れた。面白法人カヤックだ。“いちゲー採用”とは、ゲームのプレイ実績やゲームと向き合う姿勢を評価し選考する採用方法。ゲームに対する熱意やスキルが就職活動に役立つなんて、「ゲームでばかり遊んで!」なんて母親から注意されてばかりいた状況からすると、まさに夢のような時代が来たと言える。
この“いちゲー採用”、詳細は公式サイトをご確認いただきたいのだが、選考コースには“プラチナトロフィー選考”、“ゲーム履歴書選考”、“協力プレイ選考”の3種類が用意されており、いずれかをパスすれば、2次面接に進めるようになっている。
まさに、“面白法人”の面目躍如とも言える“いちゲー採用”だが、どのような経緯で行われることになったのか? “いちゲー採用”を企画した、カヤック 人事部のみよしこういち氏に聞いた。
カヤック 人事部
みよしこういち氏
――カヤックでは、これまで“卒制採用”や“エゴサーチ採用”など、数々のユニークな採用活動を展開してきていますが、そういったユニークな採用活動を展開される理由をお教えください。
みよし こういった採用活動を始めたのは、6年前からなのですが、おもな理由はふたつあります。ひとつは、カヤックのことをもっと知っていただきたいという想いによるものですね。そう考えた場合、広告の手法を応用したらどうだろうと発想したんです。カヤックには広告事業があるのですが、その中でもうちが得意としているバズ=SNSなどで話題になり、口コミが拡がっていくというやりかたを人材採用に応用すれば、ネットなどを通して新しい人がカヤックのことを知ってくれるきっかけになるだろうなと思ったんです。
――バズを生むための話題作りのひとつということですか?
みよし はい。そもそも話題になってカヤックのことを知っていただかないと、応募もしていただけないので。“いい人材を採るために話題になる”ことが必要条件かなと判断しました。もうひとつは、カヤックは“面白法人”と銘打っている以上、ユニークでありたいと。“おもしろい仕事をしたい”というのはもちろんですが、組織作りや会社運営の部分でも、オリジナリティーというか、ユニークさを希求しているんです。たとえば、給与や研修などの社内制度においても積極的に取り組んでいます。「ほかが取り組んでいないことをやりたい」ということで展開している感じですね。
――カヤックさんと言えば、給料をサイコロで決めるというのは有名ですね。最初にこの話を聞いたときは、「給料を運要素で決めるのか!」と思ってびっくりしました(笑)。
みよし 月々の固定額はさすがにありますよ。全部サイコロで決めることにすると、さすがに奥さんに怒られるでしょうから(笑)。給与はふつうにあって、その1%かけるサイコロで出た目が、プラスアルファで支給される感じですね。月給30万円の人がサイコロを振って6が出たら、1.8万円がボーナスで入ってくるという。
――ほかに、斬新過ぎる例もあったり?
みよし 石ころぼうし研修とか。
――なんですそれ?
みよし ドラえもんの道具に“石ころぼうし”というのがあるのをご存じですか? それをかぶると透明人間になれるという道具です。エンジニアの研修での気付きから発想したものなのですが、ふたりがペアを組んでひとりが作業をしているときに、もうひとりがその作業を見ていて、見ていた人が作業に取り組むと、正確性が増すという。時間はある程度かかるのですが、結果としては勉強になるというやりかたですね。つまり、見ていることがいちばん勉強になるんじゃないかと。で、“石ころぼうし”をかぶると、どこにいてもいいという制度で、後ろに立ってみんなのパソコンを覗いいいというものです(笑)。
――なんともユニークな(笑)。
みよし 「この人、こんなアプリを使っているんだ」というのがわかるじゃないですか。いきなり「なんかいいアプリありますか?」とか、「うまいショートカットありますか?」とか聞かれても、あまり出てこないのですが、仕事をずっと眺めていると、「この人こうやって作業をしているんだ」みたいなことがすぐにわかる。それで石ころぼうし研修をやろうと思ったのですが、当たり前ですが、みんな見られるのが嫌だったようで(笑)。プレッシャーにもなるからいいかなとも思ったんですけどね。
――まあ、後ろに立っていられると集中できないですよね……。せっかくなので伺ってしまいますが、6年間の取り組みで、とくに反響があったものは?
みよし “いちゲー採用”を含めずに考えると、一昨年の“エゴサーチ採用”は大きな反響がありましたね。Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワードやコードアワードなどの広告賞も獲りましたし。採用活動でそれらの広告賞を獲ったのは、日本ではおそらくこれが初めてだと思います。
――“エゴサーチ採用”って、検索ワードを入れて、Googleのトップに自分の名前が来ていたら、応募はオーケーということですよね?
みよし そうです。そのあとは僕がチェックをして、結果がおもしろければ、面接へという感じです。書類選考みたいなものですね。
――これは、どのように発想したのですか?
みよし 採用キャンペーンに関しては、当時は3人のメンバーで企画していたのですが、ある日、午後11時くらいにお風呂から出てきたら、メンバーから「エゴサーチ採用ってどうです?」というSkypeが飛んできたんです。「何だこれ?」と思ったのですが(笑)、“エゴサーチ採用”という単語だけで、やりたいことはだいたい見えたんです。極めてキャッチーだったんですね。ただ、その後に続けて“エゴサーチ検索で応募できて、あとは全部人事がチェックします”と書いてあった。1000名の応募があったら、「誰が見るんだ?」とちょっとイラッとしました(笑)。それで、「まあ、いいけど、誰が見るんだよ」と書きそうになったのですが、さすがにそれを送るとこの企画が消えるな……と思ったので、「おう、いいんじゃない、やろうや。検索の問題はあるけど、そこはあとで考えればいいや」と返信しました(笑)。
――ユニークなことを実現するために、やる気は削がないと(笑)。
みよし そのあとで、“検索1位だったらオーケー”などといったアイデアをいくつか出していきました。最初は、検索ワード以外は何もなかったんですよ。メールアドレスの提出も考えていなかった。検索すればメールアドレスもわかるのではないか……ということで。ただ、それだと名前を騙っている場合に対応できない。誰か別の人が興味本位で、別の人の名前を騙って応募してきたら、詐称になってしまいますからね。それで、メールアドレスは必須にして、せめて中途か新卒か、希望部署はどこなのかは入れるいった必要項目を決めていった感じです。だいたい30分くらいのチャットで。
――けっこう応募はきたのですか?
みよし いまでも継続しているのですが、2年間で1100名くらいですね。いまでも2日に1名くらいは応募があります。最初にいきなり800名くらい来ていて、ちょっと吐きそうになりました(笑)。
――あはは(笑)。
みよし あと、あまり話題にならなかったし、社内でもそんなに好評ではなかったのですが、僕が好きな採用方法に“面白センター試験”というのがありまして……。
――みよしさんが個人的にお好きなんですね(笑)。
みよし いえいえ、これは応募がいちばんあったんですよ。メディアにはあまり取り上げていただけなかったので、みんなからは「去年よりバズってない」と言われたのですが、説明会には1300名来ました。何をするかというと、僕らが用意した設問に対してアイデアを出してもらって、おもしろければ1次審査をパスできるというものです。
――どんな設問だったのですか?
みよし “ひとりカラオケみたいに、ひとり用のサービスも増えてきましたが、そんな感じで新しいサービスを考えてください”といった内容ですね。さすがにそれだけだと難しかったので、3段階くらいまでにステップをわけて、アイデアが出るように促す回答冊子を作りました。あとの半分は、解いていくとカヤックのビジョンがわかる“ビジョン検定”というマークシート方式のテストがあって、社会人の方にも手に取っていただけるように、Amazonで販売したりもしています。それが、学習参考書の部門で、2位になるみたいな(笑)。
――それは、かなり興味深い取り組みをしていますね(笑)。そして今回、“いちゲー採用”を展開されているわけですが、その理由をお教えください。
みよし ひとつにカヤックがゲーム会社であることをもっと訴求したいという想いがありました。カヤックがソーシャルゲームも作っているということは、あまり知られていないところでして……。
――そういえば、世間的にはカヤックさんというのは、どんな会社だと認識されているんでしょうね。
みよし よくわからない会社として認識されていると思います(笑)。まあ、広告の賞も取っていたりするので、一部の方にはWebの制作会社という認識はあるかもしれませんが……。ゲームの会社という意味においては、あまり知られていないというのがあって、そこはちゃんとやらないと、ということで、メンバーのあいだでも話をしていたんですね。で、ゲームの方向で何かないか……ということで素直に考えたら「ゲームで採用だよね」という話になったという。
――わかりやすいですね(笑)。今回3つの選考コースを設けられていますが、それはどのような感じで?
みよし カヤックにはゲーム好きがたくさんいまして、その中から精鋭6~7人に集まってもらって、ブレストしました。いちばんのゲーム好きなメンバーですら、プラチナトロフィーを1個しか持っていなかったので、「プラチナトロフィーを1個持っていたら1次面接を免除しよう」とか。そんな感じでたくさんアイデアを出してもらって、最終的には3つに落ち着きました。
――アイデアは出たけれど……みたいなものは?
みよし プレイステーションのオンライン空間内で会社説明会をしたいという話はしてましたね。雑誌や駅に広告を出して、“続きはゲームで……”と書いて、アバターで集まってもらってチャットで説明するという。ちょっと煩雑そう……ということで、却下になりました(笑)。まあ、単純に「続きはゲームで……」と言ってみたかっただけなんですが、説明会をチャットでやるのは意外と難しそう……ということで、断念しました。
――クリアーのスピードを競うとか、そういうアイデアはなかったのですか?
みよし ああー。それは“協力プレイ選考”で考えたのですが、けっきょくそれだとただゲームのうまい人が有利になるだけなので……。ゲーム好きな人といっても、得手不得手があるので、不得意なゲームが対象になったら微妙ですし。それに、根本的な問題として、僕たちは、“ゲームがうまい人”をほしいのではなくて、“ゲームを作れる人”が採りたいんです。
――まあ、プロゲーマーがほしいというわけではないということですね?
みよし プロゲーマーでゲームを作れる人がいたら、大歓迎ですが。僕らのあいだで話をしていたのは、“スタジオジブリの映画が大好きで、マニアックな人もたくさんいるけれど、その人たちがスタジオジブリの映画を作れるかといったら、そうとは限らない”ということです。先ほどもお話したとおり、当社はゲーマーがほしいのではなくて、ゲームを作れる人を必要としているので。
――そのための選考基準ということですね?
みよし ハイスコアを競うと、ハイスコアだけしか見ないことになりますからね。ハイスコアを出せる人がほしいわけではないので。もちろん、ハイスコアを出せる人の中にも、欲しい人材がいるかもしれないですけどね。僕らがほしいのは、うまいかどうかは別にして、ゲームが好きで、なおかつゲームが作りたい、作れる人です。
――最初に“いちゲー採用”と聞いたときは、ゲームのうまい人が有利なのかと思ってしまいました。
みよし ああ、そうですよね。うまい人の中にも作れる人はいると思うので、そういう意味でいうと、ある程度の誤解は許容しています。これでふつうに“ゲームを作りたい人を採用します”、“ゲームを作れる人材を募集”と言ったら、まず誰も振り向いてくれない。まずは振り向いてもらわないことには意味がないので、そのへんはある程度意識的にやっています。
――バズというか、広告的な手法ですか?
みよし そうですね。正確に伝えることだけが、必ずしも正しいわけではないと思っているので。正確に言おうと思ったら、細かく説明しないといけなくなりますからね。
――スポーツ新聞などを見ていると、意識的に曖昧な表現を用いて、誤解を招く……という手法はあるかもしれません。
みよし 悪い誤解、明らかな誤解を産みたいとは考えてないです。それで振り向いてくださった人が、「たしかにこういうのもあるな」と思っていただきたいわけで。 僕はTwitterをなるべく全部追うようにしているのですが、その中で“いちゲー採用”がマイナスに言われていることはひとつかふたつくらいしかなかったです。総じて好意的だったので、受け入れていただけたんだな……とは思いました。
――ああ、そのへんの雰囲気は何となくわかります。ゲームで採用なんて、ほかにやっているところはないから、ゲームファンはそれだけでうれしいのかもしれないですね。
みよし そうですね。個人的にはほかの会社もやってくれないかなと勝手に思っています(笑)。
――ちなみに、“協力プレイ選考”の使用タイトルとして、『New みんなのGOLF』と『THE PLAYROOM VR』をセレクトしていますが、その理由を教えてください。
みよし 何パターンかゲームの選考のやりかたを考えたのですが、まずは誰でも遊べるものにしたかったんです。“ゲームのルールを知っていないといけない”とか、“ゲームがうまいほうが有利”となると差が出てしまうので、ある程度その場でルールを覚えられるか、全員知っているようなタイトルが望ましいと思ったんですね。あと、公式サイトにも書いたのですが、“協力プレイ選考”は、ある意味で新しいグループワークの形なので、「ゲームを使ってグループワークをするぞ」くらいの気持ちでいたんですね。となると、ある程度コミュニケーションがないと、その人がどういう人かわからないじゃないですか。まあ、作戦タイムがあってゲームをプレイするといったことも考えたのですが、「それだとゲームじゃなくてもいいのでは?」と言われそうだなと思って、いろいろと考えました。で、試行錯誤した結果、『New みんなのGOLF』と『THE PLAYROOM VR』に落ち着いたわけです。やっぱり『みんGOL』は超楽しいですよね!
――『New みんなのGOLF』はどのような感じで進めるのですか?
みよし だいたい3~4人がチームになって、2チームに分かれて対決するというスタイルです。ひとりのゴルファーを3~4人で、1打ごとに順番に担当していく感じですね。ですので、自分がうまくても、ほかのメンバーが下手だった場合には勝てない。とはいえ、結果はそんなに気にしていないんですね。プロセスが大事なわけで。チームメンバーが失敗したときのリアクションを観察していると、いろいろなことが見えてくる(笑)。いちばん重要なのは、失敗したときのリアクションと言ってもいいくらいです。
――なるほど。わかるような気がします。
みよし チームメンバーが失敗したときに、その人の人となりがよくわかるじゃないですか。その人の素が出る。うちの会社は失敗に対しては寛容というか、「失敗してもつぎにいいアイデアを出せばいいじゃないか」という考えなので、仲間が失敗したときにどういう反応をするのかというのは、わりと見てみたいなと思ったんですよね。それもあって、『みんGOL』になったというのはありますね。
――プレイ動向を見ていると、いろいろとわかってくることがあるのですね?
みよし そうですね。この前の説明会では、あるひとりの子が、失敗した自分のメンバーに「ドンマイ」とフォローしたり、相手のチームにも話しかけたりして、全体を盛り上げていたんですよ。「こいつはすごいな」と思いましたね。
――『THE PLAYROOM VR』はどうだったのですか?
みよし 『THE PLAYROOM VR』は、ルール説明の理解度を図ったりしますね。ゲームの構造をちゃんと理解して、「ゲームのルールがこうなっているんだ」、「こうやったら勝てるんだ」という必勝パターンをすぐに見つけられるかどうかは、わりと地頭のよさに結びついてくるので……。さらに言えば、自分がわかっていてもほかのメンバーがわかってないとダメじゃないですか。
――ああー。「この人わかってないな」と判断する力と、わかってない人に説明する能力がないといけないということですね?
みよし そうです。関係構築という話になるので、そこはわりとわかりますね。ちなみに“協力プレイ選考”は、新卒に限定しています。グループワークなので。
――この記事を読んで、“協力プレイ選考”の対策をする方もいるかもしれませんね。書いてしまっていいですか?
みよし 大丈夫です(笑)。人間って、なかなか自分を変えられないので……。『THE PLAYROOM VR』は、事前にプレイしてルールを把握しておくとある程度有利かもしれませんが、事前に遊ぶということはプレイステーション VRをお持ちということなので、その時点でポイント高いですからね。よっぽどゲームが好きなんだってわかりますから。
――選考コースの応募比率はどれくらいですか?
みよし プラチナトロフィー選考がいちばん多いですね。プラチナトロフィー選考:3、ゲーム履歴書選考:2、協力プレイ選考:1、くらいじゃないかな。ゲーム履歴書選考もアツい方が多くて、6つピックアップした設問の中から、ふたつ記入すればいいと言っているのに、だいたいみんな6つ全部書いてくれるんですよね。
――“いちゲー採用”を展開されてからの反響はいかがですか?
みよし 多いのは、“いちゲー採用”では応募してきてはいないけれど、“いちゲー採用”を知っているという中途採用希望の方がかなり増えたことですね。いままでカヤックのことを知らなかったようですが、「“いちゲー採用”の会社ですよね?」とよく言われます(笑)。
――知名度が上がったということですね?
みよし はい。しかもゲーム業界の方向で知名度があがったので、選考がしやすくなったと、中途採用の担当が喜んでいました。
――バズという点ではいかがですか?
みよし 個人的にはFacebookのほうが伸びると思っていたのですが、Twitterのほうが多かったですね。いままでの採用キャンペーンのなかで、Twitterに関してはいちばん多かったんじゃないかなと。僕の調べではそうです。
――ああ、当初はFacebookのほうがバズると想定していたのですね?
みよし 公式サイトの文章をわりと真面目に書いたんですよ。“ゲームなんて時間の無駄だ”という煽り文句をキャッチコピーにして。そのへんが入り口になって、Facebookで議論が広がっていくと思ったのですが、どちらかと言うと、ストレートに「ゲームで採用なんて、うれしい!」という意見が多かったですね。Twitterはワンコピーやおもしろいアイデアが広がっていきやすいメディアだと思うので、そういうところで広がっていったのかなと。理解されづらいかなと思ったので、わざわざ“ゲームなんて時間の無駄だ”みたいなコピーを入れたのですが、ふつうに伝わりましたね。
――“いちゲー”という言葉が、想像以上に響いたのかもしれないですね。リクナビなどの就職支援サービスの方や大学関係者の反応はどうだったのですか?
みよし リクナビさんには、「毎年おもしろいことをしていますね(笑)。今年は何をされるのですか?」と聞かれますね(笑)。悪いように取られたことは一度もないです。
――半分好奇心からうかがってしまうのですが、これまでの人材採用活動で、ユニークな人材は集まってきている感じなのですか?
みよし ふつうに人材採用活動を展開していたら集まらなかったであろう人が応募してくれていますね。たとえば プラチナトロフィー選考で、大学院で宇宙物理を専攻している院生が応募してきてくれたのですが、とにかくゲームが大好きで、『スターオーシャン』シリーズが好きすぎて、宇宙に興味を持って、宇宙物理をやり始めたという方なんですね。しかも、トロフィーをめちゃくちゃ持っているという(笑)。この前の面接では、20ページくらいの企画書を2冊くらい持ってきていました。たぶんその人とかは、ふつうに採用活動をしていたらうちのことは知らなかっただろうし、たとえ知ったとしてもゲーム会社という認識はなかったと思うので、まず受けてくれないと思うんですね。
――『スターオーシャン』で宇宙物理……有望な人材ですね!
みよし “エゴサーチ採用”でも、大学在籍中に、墨田区の小さな町工場のおじさんたちと組んで町工場を復活させる……というビジネスをやっている男の子がいたのですが、その子は役員から「ふつうに募集していたら絶対に取れない人材だ」という評価でしたね。うちはこんな感じなので、基本、ビジネスマンタイプの人は応募してこないので……。ビジネスができるという感覚があまりないので、「カヤックって、こんなことをやっていたの?」みたいな感じで広がっていくことが多いですね。ちゃんとしたへんな人が採れているという意味においては、効果的だと認識しています。
――別にユニークな採用活動をしなくても、へんな人材は来るけど、ユニークな人材活動をすると、へんですごい人がくると?
みよし そうですね。そこが重要です(笑)。今回の“いちゲー採用”では、順次人材を募集しているのですが、優秀な人材がたくさん応募してきてくれています。過去最高の内定者が出るのでは……という手応えがありますね。
――最後に……。この記事を見て応募する方もいらっしゃるかとは思うのですが、心構えというか、メッセージをお願いします。
みよし “自分の好きなことを話してください”という感じですかね。よくいらっしゃるのが、2次面接になると、「真面目に話さないといけない」ということで固くなってしまう方が……。2次面接以降も、ふつうにご自身が取り組んできたゲームのことを話していただければ充分なんです。この前話した学生がもらしていたのですが、面接のときに隣の人がサークルでの活動の話をしていたのですが、自分は話すことがなくて困ったらしいんですね。で、学生時代はゲームをいちばんがんばってきたので、ゲームの話をしたら、何も怒られなかったので、そのままずっとゲームの話をしたというんです。むしろ、“ゲームの話をしていいのかな”と悩むのが僕は変だなと思っているので、やってきたことに対して自信を持ってアピールしていただければと。
――ゲーム愛を貫け!ということですね? 何によらず、想いを貫くことは大事ですね。
みよし ゲームに限らず自分の好きなことを、堂々と話してもらえればOKですね!