N高校入学式は全員Microsoft HoloLensを着用!? ドワンゴが新システム“DAHLES”導入

ドワンゴが新たなMRシステム“DAHLES”を開発し、導入第1弾として、2017年4月5日に行われたN高校入学式で活用した。その模様をリポートする。

●多人数がMR体験を共有可能

 ドワンゴは、マイクロソフト社のMR(複合現実)ヘッドマウントディスプレイ“Microsoft HoloLens”(マイクロソフト ホロレンズ、以下HoloLens)を利用した、教育やセミナー、ライブイベントなどに特化した同期コンテンツ配信システム“DAHLES”(ダレス:Dwango Advanced HoloLive Education System)を新たに開発。その導入第一弾として、2017年4月5日に行わたN高等学校の入学式で同システムを活用した。その模様をリポートする。

 “DAHLES”は、HoloLensが標準で提供するシェアリング機能にはない、大空間での多人数利用に特化した独自の制御を実現。多人数での空間共有を安定的に行うことができるため、教育分野においては学校の教室などの場で大人数の生徒たちが一斉にMR体験を共有できる。そのため、それまで導入が難しかった立体模型などを活用した授業もデータの追加だけで実施可能となっている。また、没入型のVRヘッドマウントディスプレイと違って、HoloLensは視界を遮ることなく装着した状態で現実の周囲や自分の手元が見えるので、3D映像の授業を体感しながらノートを取るといったことも可能だ。さらに、リアルタイムの遠隔授業や、その模様を記録してのタイムシフト授業など、対面教育と通信教育のメリットが活きた新しい教育スタイルの形成といった用途にも期待が広がる。ネット通信制のN高校にとってはうってつけのシステムと言える。

▲授業での“DAHLES”活用イメージ。

 これらの特性を活かして、N高校の入学式では、遠隔地にいる教職員や来賓が3Dホログラムで登壇し、あたかも本人を目の前にしてスピーチを聞いているかのような視聴体験を新入生が共有。ハイテクを活用した、VR入学式といった趣を見せた。

▲入学式は六本木のニコファーレで開催。60名を超える新入生が参加した。

●HoloLensを装着してのVR入学式

 入学式は、N高校の概要を紹介するオープニングVTRでスタートしたのち、新入生がHoloLensを装着した姿で続々と入場。全員が着席したところで、司会進行役のN高校理事・志倉千代丸氏が「ご入学おめでとうございます!」とあいさつを述べた。
 続いては、HoloLensを説明するデモコーナーとなり、会場のVR空間にさまざまなオブジェを投影。その様子はスクリーンでも紹介され、HoloLensを装着していなくても、イメージを確認することができた。またここでは、N高校での活用予定や、新入生のインタビューVTRなども紹介された。

▲新入生は全員HoloLensを装着して入学式に臨んだ。

▲司会を務めた理事の志倉氏。ゲームメーカー、MAGESの代表取締役でもある。

▲来賓の面々も、最初はHoloLensを装着して登壇。

▲会場のVR空間に、さまざまなオブジェが登場。

 HoloLensのテクノロジー説明に続いては、いよいよ“DAHLES”システムが本領を発揮。遠く離れたN高校の沖縄本校から、奥平博一校長が3Dホログラムでステージに登場し、「家族や友人を大切にする心を持ちながら、N高校で過ごしてください。ともに未来へ旅立ちましょう!」と式辞を述べた。
 加えて今度はVRではなくリアルに、3名の来賓者がステージでスピーチ。佐藤辰男理事長、角川歴彦理事、川上量生理事の順で、新入生に向けた祝辞を送った。

▲中央には誰もいないステージでも、HoloLensを装着している新入生たちには、奥平校長の姿が見えている。

▲祝辞を語った来賓者たち。左から佐藤氏、角川氏、川上氏。

 ネット通信制が特徴的なN高校だが、沖縄本校を始め、東京校や大阪校に通う通学コースもある。来賓者スピーチのあとはまたVTRコーナーとなり、各校舎が紹介されたほか、東京校と大阪校では生中継で現地の様子がリポートされた。

▲自然あふれる沖縄・うるま市にある沖縄本校。

▲東京・大阪それぞれのキャンパスから、ライブ実況でメッセージが送られた。

●終盤はサプライズ演出が目白押し

 入学式後半は、また“DAHLES”システムの出番となった。まずは再び沖縄から、うるま市の副市長・榮野川盛治氏と、伊計島の自治会長・玉城正則氏が3Dホログラムで登壇。さらにはなんと、特別来賓としてウルグアイ前大統領のホセ・ムヒカ氏も3Dホログラムでステージに現れ、祝辞を送った。

▲再び、沖縄から来賓祝辞が送られた。

▲サプライズ来賓とでも言うべき、ホセ氏の言葉に耳を傾ける新入生たち。

 つぎのコーナーは、新入生による代表宣誓。代表者が、HoloLensを装着したままで、3Dホログラムの奥平校長に向かって力強く宣誓の言葉を語った。この宣誓に続いては、VTRで年間行事を紹介。ネット上だけの関係ではなく、リアルな世界でもいろいろと触れ合える学校であることが説明された。

▲新入生代表による宣誓。沖縄の奥平校長に向けて未来への希望を語った。

▲主要な年間行事なども映像で紹介された。

 そして入学式の締めを飾ったのは、在校生20名による校歌斉唱。一期生20名が花道を通ってステージにあがり、校歌“代数Nの方程式”を熱唱した。ちなみにこの曲は、“作詞:志倉千代丸、作曲:田中公平”という、なかなかにゴージャスな1曲だ。
 ラストは入学式らしく、全員で記念の集合写真を撮影して終了。スタイルこそバーチャルで近未来的なイメージだったが、中身は一般の高校とまったく変わらない、新入生の未来と可能性を強く感じさせられた、ステキな入学式という印象だった。

▲校歌斉唱という形で、在校生が新入生にエールを送る。

▲新入生の集合写真。メディアはもちろん、保護者の方たちも熱心にシャッターを押していた。

●インタビュー取材までVR仕様!?

 入学式イベント自体はこれで終了となったが、ちなみにその後、プレス用のインタビュー取材タイムが設けられた。ここでは取材陣がHoloLensを装着し、3Dホログラムの奥平校長にインタビューするという趣向のもと、スタッフが各人にHoloLensを配布。一風変わった取材風景とはなったが、各メディアとも、実際にHoloLensで見られる映像をここで体験することができた。

▲取材メディア用にセッティングされたHoloLens。

▲他者の目から見るとひとり芝居だが、本人にはちゃんと相手が見えている。

▲ふだんはなかなかない、異様なインタビュー取材風景だ。

 なおこの“DAHLES”システムは、4月に東京・大阪で開校するN高の通学コースで、拠点間の遠隔授業(例:東京での講義授業を大阪で聴講)を行うなど、教育現場から順次活用していく予定とのこと。今後の展開にも大いに注目したい。