『Rain World』見た目はかわいい廃墟美ゲームだが、実は中身は『S.T.A.L.K.E.R.』もビックリのハードコアな廃墟サバイバルアクション!

Videocultの『Rain World』を紹介する。

●廃墟世界で食料を集めて、捕食者の襲撃をかわし、“雨”から逃げろ!

 Videocultのアクションゲーム『Rain World』を紹介する。本作は海外インディーパブリッシャーのAdult Swim Gamesより、米時間の3月28日(執筆時点でもう間もなく)にPCとプレイステーション4向けに配信予定だ。

 本作は、巨大な廃墟世界を舞台に、家族とはぐれた“Slugcat”(訳すならナメクジネコ)がサバイバルするというアクションゲーム。かわいいSlugcatの挙動やビッシリと描き込まれた廃墟美などアート面が注目された本作だが、そのゲームプレイは廃墟サバイバルFPS『S.T.A.L.K.E.R.』かよというぐらいにかなりハードコア。(実はクラウドファンディングの出資者でもあるのだが)今回レビュー用コードを手に入れて先行プレイしたので、その辺りを掘り下げてお伝えしよう。

●基本システム

 まず本作は面クリア型のアクションゲームではなく、むしろ2Dのオープンワールドサバイバルゲームと言った方が近い。世界は12の地域に分類される1600もの小部屋に分かれており、マップ構造上の制限やおおまかな全体の流れはあるものの、基本的には自由な探索が可能で、決められた攻略ルートやミッションは存在しない。

▲面クリアー型ではなく、こういう多数の部屋で繋がった世界を探索してまわる感じ。

 ひとまず一番大事なのは食事で、マップ中にある食料(コウモリのような生物や、青い草の実などがある)を一定数食べて、安全なシェルターでひと眠りすれば、一日分をクリアーという形になり、謎のメーターが1個進む(役割は後述)。ちなみに余裕がある時はある程度“食い溜め”も可能で、その場合は翌日の探索が少し楽になるだろう。
 しかし問題は、消費した食糧は復活しないということだ。食べられる動物はある程度マップ内を勝手に移動しているのである程度の変動はあるが、ずっと留まるようなことはできない。従って、ジリ貧になる前に探索を進め、拠点を別のシェルターに移していくのが基本線になる。

▲左がメーター。

 では食糧が足りなければどうなるか? シェルターで寝ることができないし、一日のタイムリミットが来ると『Rain World』の名の通り“雨”が降ってくる。画面がノイズで霞み、すべてを洗い流すほどの豪雨で、本降りになったらゲームオーバー扱いだ。
 そのほか、別の動物に捕食された場合、落下死などをした場合などもゲームオーバーで、例のメーターが1個戻るとともに、“その日”の始まりの状態からリスタートとなる。メーターが特定のマーク以上になっていないと進めないゲートのようなものも存在するので、凡ミスが続くとなかなかつらい(特に微妙な挙動で引っかかって死んだ時は)。

▲雨で死ぬ数秒前。増水で通れなくなる場所ができたり、室内に池ができたりする(ここは普段は池はない)。マップ画面で時計を確認できるほか、サウンドや空の色の変化などで予兆は示されるので、こうなる前にシェルターに逃げ込みたい。

▲メーターが足りてないので通れない(左下に注目)。

▲メーターが足りてるので通れる。

●観察力が物を言うアクションと環境

 餌の対象であるか捕食者であるかを問わず、一部を除いて各種族はそれぞれ独自のAIで部屋から部屋へと移動しており、何もいないと思ったら突然隣の部屋から移動してきたり、あるいは逆にさっきまで居座っていたのがいなくなっていたり、実はそれらの行動がより上位の捕食者から逃れるためだったりもする。一種の生態系が築かれているのだ。

▲序盤最強の鳥。Slugcatをつけ狙うワニ型の生物(緑の生き物)すらも逃げ出すレベル。

 つまり同じシチュエーションになることがほとんどないので、重要なのが観察力と応用力。各小部屋をパッと見て通れるルートや掴まれる場所を把握したり、この廃墟世界にいる生物の習性を把握して、Slugcatしかできない動きで撒いたり、あるいは石や棒を投げて一時的にスタンさせたりして、捕食者の追跡をかわしていくサバイバル術が求められる。

▲今日は屋上に獲物がいっぱい。巨大鳥も来ていない。ピンクワニがいるが、まぁ一体ぐらいならなんとかなるだろう……。

 アクションとしては、Slugcatは左右の移動以外に、ジャンプ、Pounce(しゃがみ+ジャンプ溜めで出る水平方向への大ジャンプ)、ぶら下がり、パイプなどのよじ登り/降り、泳ぎ、そしてアイテムを拾ったり投げるといった行動が可能。ネコ的生物だけにある程度高い所から落ちても下に足場がある場合は大丈夫だし、狭い所を通るのもお手の物だ(ただし捕食者も通れることが多いが)。なお『Rain World』でキャラクターの挙動は独自の物理アニメーションで描かれていて、妙な生々しさでニョロニョロと動く絶妙なかわいさを生み出している。

 ちなみに、オレンジ色のドローンのようなお助けキャラが序盤のチュートリアルとして最低限の情報を教えてくれたり、それとなくヒントを出してくれる以外、それぞれの種族の習性や上級者向けのアクションなどはほとんど説明されない。まぁ発売後はWikiでまとめられていくと思うが、槍のように投げられる棒を敵ではなく壁に突き刺すことで足場を作れたり、実は三角飛びができたり、後から気がついて驚くこともしばしば。

●万人向けではないが、抗いがたい廃墟世界の生態系の魅力

 本来『Rain World』は、アート優先の趣味的なプロジェクトだったと言う(実際、KickStarterでのクラウドファンディングは”Project Rain World”という仮題的な名称で行われた)。それが異常な情熱とともに、1600もの小部屋を持つ、踏破の想定が「30時間から50時間」(出資者向けのアップデートより)にもなるプロジェクトに発展。
 正直、まだ表層を舐めた程度にすぎないと思うが、種族に思わぬ習性を見つけたり、何やら物語を感じさせる隠し部屋に突然出くわしたり、プレイするたびに発見があるのが楽しい。アクションが苦手な人にはかなりハードな部類のゲームになると思うが、グラフィックにピンと来た人の期待は裏切らない世界が広がっていると思う。

▲執筆中にも謎の虫を発見。この虫、食べようとしてみたら光線を出したり、爆発物のように光りだしたり、なんなんだこれは……。

▲おまけ。設定画面から複数のセーブを切り替えられる。友達に遊ばせたい場合、ちょっと最初からやり直してみたい場合などはセーブを切り替えよう。