堀井雄二氏、齊藤陽介氏も太鼓判! イシイジロウ氏原作による舞台『龍よ、狼と踊れ Dragon,Dance with Wolves』ゲネプロリポート

2017年3月8日(水)~3月20日(月)の期間に上演される、イシイジロウ氏原作の舞台『龍よ、狼と踊れ Dragon,Dance with Wolves』の公開ゲネプロをリポート。

●強烈な登場人物たちが織り成す、幕末群像劇

 ゲームデザイナーのイシイジロウ氏が原作を手掛ける舞台『龍よ、狼と踊れ Dragon,Dance with Wolves』が、2017年3月8日(水)~3月20日(月)の期間、東京・渋谷区のCBGKシブゲキ!!にて上演中だ。本記事では、公演初日の前に実施されたゲネプロ公演をフォトリポートでお伝えしよう。記事の最後には、ゲネプロを観覧したゲームクリエイターたちの感想や、イシイジロウ氏のコメントもお届けするので、お見逃しなく!

 本公演は、従来の舞台制作の概念にとらわれない新たなプロジェクトとして、『428 ~封鎖された渋谷で~』で知られるイシイジロウ氏だけでなく、『ストリートファイター』シリーズなどのキャラクターデザインを手掛けた西村キヌ氏、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』などで知られる芝村裕吏氏など、トップクリエイターたちが集結して手掛けるエンターテインメント活劇だ。

 舞台は幕末の日本。侍を夢見る少年・ハジメと異国の剣士・フランは、清国の姫である麗貴人を天子の元まで護衛する任務を受ける。それを狙う長州志士に敵対する新撰組、そして坂本龍馬は、彼ら一行を手助けすることに。しかし、彼らの前には佐々木小次郎、武蔵坊弁慶、石川五右衛門などの、すでに死んでいるはずの伝説の剣豪たちが現れ……?

▲赤澤遼太郎(ハジメ役)

▲對馬桜花(麗貴人役)

▲前島亜美(フラン役)

▲加藤靖久(近藤勇役)

▲谷口賢志(土方歳三役)

▲萩野崇(坂本龍馬役)

▲川隅美慎(藤堂平助役)

▲新田健太(原田左之助役)

▲澤田拓郎(永倉新八役)

▲青木空夢(沖田総司役)

▲田口涼(葛木伊織役)

▲松崎史也(脚本・演出 山南敬介役)

 物語はしっかりとした時代劇として描かれていながらも、要所要所がコミカルにデフォルメされている。そこにキャラクターを演じる俳優陣の生き生きとした演技や、カジュアルかつ奥深い脚本の力が加わり、見る人すべてをしっかりとストーリーに引き込んでくれるのだ。それに拍車をかけているのが、キャラクターたちの持つ力だ。すべての登場人物の個性が非常に立っており、西村キヌ氏が手掛けたキャラクターデザインも魅力的。とくに、佐々木小次郎などの伝説の剣豪たちは、ゲームやアニメの登場人物のようなデザインになっているのが特徴だ。

▲鐘ヶ江洸(佐々木小次郎役)

▲高橋光(武蔵坊弁慶役)

▲村田洋二郎(石川五右衛門役)

▲三上俊(堀部安兵衛役)

▲船木政秀(宝蔵院胤舜役)

▲竹内諒太(丸目蔵人役)

 演出は非常に多彩で、ステージ全体がひとつ場面になるだけでなく、ステージの上下でシーンが分かれたり、それぞれのキャラクターの時間軸が別に描かれながらも同時にストーリーを展開したりと、見る物を飽きさせない。まるで、それぞれのシーンを描いた複数のモニターが、舞台上にあるかのように見えるのが非常に印象的だった。ほかにも、セリフはひとつもないが、役者の動きだけで何を言っているのかがわかる会話劇を披露するなど、映画やアニメのような演出も舞台上で表現されていた。

 また、公演劇場のCBGKシブゲキ!!は、客席数242席の小規模な劇場ということもあり、客席通路までもステージの演出としてふんだんに使用されている。岩倉具視、トーマス・グラバーの登場シーンで、観客たちに話しかけたりと自由に展開するアドリブ劇は、笑えること間違いナシだ。さらに、本公演は全編通してマイクなしの生の声で演劇を展開していく。小さな劇場だからこそ味わえる生演技の迫力が、舞台をさらに盛り上げているのだ。

▲左から、鈴木ハルニ(トーマス・グラバー役)、 ウチクリ内倉(岩倉具視役)

▲北上史欧(天子役、左)

 ストーリーや演出もさることながら、多彩な殺陣が立て続けに披露されるアクションシーンも見どころのひとつ。舞台を幅広く使い、ステージの上下で目まぐるしく展開していくアクションの連続はまさに圧巻。素早いテンポの中にも、ハジメの我流剣術や、新撰組の集団戦闘術、宝蔵院胤舜の槍さばきに、堀部安兵衛の荒々しい刀遣いなど、殺陣の中でそれぞれの武術がしっかりと表現されており、よりキャラクターたちの魅力を引き出している。

 テンポの良い怒涛の展開や、凄まじい殺陣の連続をもっと見たいと思っているうちに、約2時間に及ぶ公演もあっという間に終わってしまった。筆者は「多くの人に見て貰わないと、もったいない!」と思わず感じるほど、エンターテイメント活劇のスゴさを体験できた。本記事で紹介したポイント以外にも、見どころは盛りだくさんなので、可能ならばぜひ劇場で体感してほしい。また、公演期間中の一部日程では、本作の原案とも言える『人狼TLPT×新撰組』も同時上映される。舞台のキャラクターたちがそのまま『人狼』ゲームをプレイする様子は、楽しめること間違いナシだ。

●ふたりのゲームクリエイターに感想を聞く!

 ゲネプロ公演に、あの堀井雄二氏(『ドラゴンクエスト』シリーズ)と、齊藤陽介氏(『NieR:Automata』プロデューサー)が観覧に来ていたのを発見! イシイジロウ氏が主催する人気イベント『アルティメット人狼』などでも交流のあるおふたりに、舞台の率直な感想を頂いた。

堀井雄二氏 非常に面白かったです。もう、殺陣が本当にスゴイ! ストーリーもとても凝っていて、「どこでオチをつけるんだろう?」とワクワクしながら見ていたら、まさかの結末が待っている点もとても楽しめました。みなさんにもぜひ1度は見てほしいですね。ハマりますよ!

齊藤陽介氏 語りたいことがたくさんありますが、ネタバレなしですよね(笑)。本当に予想外の展開と見どころの連続でとても楽しかったです。アクションシーンや物語の展開が、劇場全体の縦にも横にも動き回って披露されるのも良かったですし、殺陣が本当に素晴らしい。遥かに期待を上回る完成度で、動きのある舞台では、いままで見た僕の中で1番の作品でしたね。これから劇場に足を運ぶ人たちは、覚悟しておいてください!

●新たなシリーズ作品に挑戦? イシイジロウ氏ミニインタビュー

 本リポートの最後には、公演初日を迎えたイシイジロウ氏(以下、イシイ)への、ミニインタビューをお届け。舞台『龍よ、狼と踊れ Dragon,Dance with Wolves』の発端についてや、今後の展開などについてを聞いてみた。

▲イシイジロウ氏(原作)

――いよいよ公演初日を迎えましたが、改めて本公演を始めようとおもったきっかけを教えてください。

イシイ 最近、ゲームやアニメ、漫画を原作とした“2.5次元”の舞台やミュージカルって流行しているじゃないですか。そこで作り上げられたノウハウというのは、じつはすごい力を持っているんです。そこで僕は、舞台が原作となって、ゲーム、アニメ、漫画になってもいいんじゃないか? と、この舞台を仕掛けようと思ったんですね。

――なるほど。たしかに際立ったキャラクターたちは、舞台だけには留まらない魅力を持っていました。

イシイ ええ、全然負けていません。マニアックな話になってしまうのですが、ゲームやアニメで役者さんがキャラクターたちに命を吹き込むのって、アフレコのタイミングなんですよ。僕たちが頭の中で一生懸命キャラクターを作り上げて、最後の仕上げとして役者さんが演技をする。そこで、「ああ、こういうキャラクターだったのか」と感じて、その人物のキャラクター性全体が最後に分かることが多いんですね。でも、舞台の場合って稽古の段階からシナリオといっしょにキャラクターを作り上げていくので、頭の中より先に、現実に登場人物がそこに現れるんですよ。そういった瞬間を見たくて、原作を作り上げたんです。

――まさに登場人物たちはすでに完成しきっていて、まるで本人のように感じましたね。

イシイ ほかの媒体ですと、物語を進めながらキャラクターというものができあがっていくわけですが、この舞台は今劇場に足を運んで頂くだけで、「この人物はこうだよね!」というのができあがっているんです。そこが、舞台の凄いところであり、おもしろいポイントですね。

――今回、同時上演される『人狼TLPT×新撰組』の出演者たちが、そのまま『龍よ、狼と踊れ』にも出演していますが、これはどういった経緯で決まったのでしょうか?

イシイ 『人狼TLPT×新撰組』は、本作のルーツと言っていいでしょうね。以前公演した『人狼TLPT×新撰組』が僕は本当に大好きで、みんなが知っているキャラクターがそのまま敵や味方に別れたりして『人狼』をするというのが、革命的なコンテンツだと本当に感動したんですね。そのときの演じられていた役者さんたちが、もう僕の中では新撰組メンバーの本人かのように刷り込まれていて。そこで、このキャラクターを使って幕末ものをやりたいなと思ったのが、本作の始まりなんですよ。

――エンターテインメントでありながら、要所に込められたメッセージ性も『428 ~封鎖された渋谷で~』のように、やはりイシイさんの狙いだったのでしょうか?

イシイ この舞台は群像劇で描かれているので、ある意味『428 ~封鎖された渋谷で~』みたいなものですよね。昔から僕の作品はそうなのですが、いろんな人の思惑が重なって展開されるエンターテインメントでありながら、メッセージの強い作品というものを、今回も新撰組を通してお届けしたいなと。

――なるほど。公演前には、“本当にやりたかったモノがやっと発表できました。”といったコメントを発表していましたが、このコメントの真意をお聞かせください。

イシイ メッセージ性の強いエンターテイメント作品というのを、何にも縛られずに1度やってみたいと思ったんです。日本史の教科書に載っていることの逆説的なことを描いていますし、さまざまな新しい試みも入れています。

――エンディングでは驚きの展開も明かされましたが……?

イシイ これはまだ壮大な物語の序章なんです。まだまだ描いていないことがたくさんあります。ぜひ今後の展開にも期待していてほしいです。

――期待しています! それでは最後に、読者のみなさんとファンの方々、これから見に行く方々へメッセージをお願いいたします。

イシイ このシリーズは、これからアニメーションやコミックなどにしていきたいと思っています。そのスタートの瞬間を、劇場で現在やっているわけです。まだ間に合います! ぜひみなさんにもその瞬間に立ち会って頂きたいですね。また、僕も見るのが待ち遠しい『人狼TLPT×新撰組』も同時に見られるので、スケジュールが合う人はそちらもぜひ楽しみにしていてください。