5.6は3月31日正式リリース

 アメリのサンフランシスコで開催中のGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2日目となる現地2月28日、ゲームエンジン“Unity”のカンファレンスが行われた。

 発表では、Unity 5系の最終リリースとなるUnity 5.6が3月31日に正式リリースとなることが明かされた。Unity 5.6では、物理ベースレンダリングとグローバルイルミネーションの対応、ライティングを担う新しいライトエクスプローラーとプログレッシブライトマッパー、グラフィックAPIであるVulkanやMetalへの対応、キャラクターの行動可能範囲を定義するNavMeshの進化などが含まれる。

 また、テキスト表示のスタイリングなどを行うアセットTextMesh Proが将来的にエディターに公式に組み込まれる予定で、これに合わせてアセットストアでも本日から無料配布へと切り替わっている。

UnityがGDCに合わせて恒例のプレスカンファレンスを開催。Unity 2017では新たな柱としてアーティストやゲームデザイナーへの支援を強化_01
▲中国シャオミとの提携が発表。シャオミがローカライズなどもろもろの支援を行うことで、中国マーケットへの架け橋となるのが狙い。
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▲Facebook向けの書き出しは、WebGLと、Windows版ランチャープログラムGameroom向けが選択可能。Gameroomでは買い切り系のプレミアムコンテンツをリリースすることもできる。

アーティストやゲームデザイナーの作業をより直感的にサポート

 これまでの振り返りと、5.6の機能を紹介していくなか柱となっていたのが、“グラフィック”、“クオリティと安定性”、“効率性”、“プラットフォームの成長”の4つ。しかし後半に展望が語られたUnity 2017(4月よりβ提供予定)では、新たに第5の柱として、アーティストやゲームデザイナーなど、非プログラマー職のサポートを強化していくことが挙げられた。

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▲アーティスト&ゲームデザイナー向けには、プログラムコードを直接書かなくても、特定の機能を記述したブロックを繋いでいくことで動作を作り込めるビジュアルスクリプティングの導入も軸のひとつ。

 “ディープラーニングによるコンテンツ開発”といった構想も出た中で、すでにある例として披露されたのが、リアルタイムカットシーンの作成などに便利なタイムラインツール。このツールには、以前はカメラ演出的な部分に特化したアセットとして販売されていたCinemachineも組み込まれている。

 タイムラインツールでは、カメラ、アニメーション、サウンド、イベント、ビデオなどの要素について、タイムライン上に並べた要素をエディットしていくだけで、一連の流れを作り込んでいけるというもの。例えばデモではゲーム進行中のカメラからカットシーン用のカメラへのフェードなどの処理が披露されたのだが、実際いじっている間にプログラムコードを書くことはなく、CGアニメーションツールやビデオ編集ソフトのように作り込んでいた。なおタイムラインツールは、実験的機能を試せる“Experimental Review”としてすでに公開中だ。

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▲カットシーン的な処理に入りつつ、プレイヤーの入力を残すといったミックスも可能。「箱の中に隠れた時用のクローズアップカメラに切り替えつつ、プレイヤーの入力に応じてキョロキョロさせる」なんてことも直感的なインターフェースで作れる。

 そのほかUnity 2017では、レンダリングパイプラインをスクリプトで作成可能にする“スクリプタブルレンダーパイプライン”などの登場が予告されたりもしたのだが、実は最新情報を追っている人には既知の内容も多かったのが個人的に興味深かった。
 昨今Unityではロードマップをあらかじめ公表し、実験的機能のリリースなどを積極的に行いつつ、それぞれの機能を作り込んでいくというスタイルで、以前のような「大々的に大きなバージョンアップを発表→新機能が続々判明」という形ではなくなってきている。これもまたゲーム開発に関する情報の民主化というわけで、時代の流れを感じた次第だ。