今後、PS VRは買いやすくなるのか? セールスの現状と生産状況についてソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオの吉田修平氏を直撃!【GDC 2017】

日本を始め、全世界的に品薄状況が続くPS VRは、今後買いやすくなるのか? セールスの現状と生産状況についてソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏に話を聞いた。

●発売から4か月で91万5000台を販売したPS VR

 2017年2月27日~3月3日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコ モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターの技術交流を目的とした世界最大規模のセッション、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2017が開催。現地でソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏に、プレイステーションVR(以下、PS VR)に関する話を聞いた。


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●吉田修平氏に聞く、PS VRの現状と今後

――PS VRの累計実売台数が91万5千台であることが公式にアナウンスされました。PS VRのセールスについてオフィシャルの数字が出るのは初めてだったと思いますが、2016年10月の発売から約4ヶ月の状況をどのようにお考えでしょうか。

吉田修平氏(以下、吉田) ご存じのように、発売後はずっと品薄の状況が続いています。我々が当初に想定していた以上の数を生産しながら毎月出荷はしているのですが、まだ市場の需要に追いついていないという状況です。日本の状況を見ると、出荷日の朝に売り切れてしまっていて、各販売店が実施する抽選に当たるのもなかなか難しいと聞いています。購入を希望されている方々のお手もとに商品が届きにくい状況が続いていることは、たいへん申し訳ないと思っています。生産を増やし、精一杯、皆さんの期待に添えるようにしているところです。

――なるほど。このタイミングでセールス状況の数字を発表したのはなぜなのでしょうか。

吉田 GDCは、世界中のゲーム開発者の方々が集まるイベントですし、PS VRなど、いろいろなプラットフォームに向けて開発を考えられているタイミングです。2016年は“VR元年”と言われ、いろいろな分野のVRが盛り上がっていましたが、GDCの前にPS VRのマーケットは大きく広がっていますよ、というメッセージを伝えたいという狙いがあったわけです。

――100万台までもう少しというのは惜しかったですね(笑)。

吉田 それはマーケットの状況というよりは、我々の生産計画によるところが大きいので、もうちょっと多く出荷することができれば、このタイミングでの100万台突破はそれほど難しいことではなかったと思います。相変わらず、PS VRの需要には強いのもがあるので、将来的な見通しについて不安があるわけではありません。

――ニューヨークタイムズ誌によると、PS VRの増産については4月から改善させる見通しとのことですが、この点についてはいかがでしょう。

吉田 4月から増産するということではなく、PS VRの発売以降、生産数は徐々に増やしてきていて、4月までには今よりもさらに改善するということです。あくまでも見通しであって、4月になったらどこでも買える状況になる、ということではないと思います。

――タイミングは断定できないものの、日本市場でも今後はもう少し買いやすくなる状況を期待していいのでしょうか。

吉田 そうありたいと思っています。生産数は着実に増やしてはいますから。

――一部アナリストの中には「期待外れだった」という声もありますが、確かにいまは「で、結局のところゲームメーカーはVRで食べられるの? 食べられないの?」ということが焦点になってきていると思います。この点については、吉田さんは今なお大きな可能性を感じていらっしゃるのでしょうか。

吉田 もちろんそうです。時間が経てば経つほど、「そういうネガティブな話もあったね」という過去の話になっていくと思います。VRが期待外れだったと思われるような状況は、いまだけの問題でしょうね。

――プレイステーション4(以下、PS4)のシステムソフトウェアのアップデート(Ver.4.50)が非常に注目されていますが、これは本当に間近であると考えてよいのでしょうか。

吉田 アップデートの内容についてはβテストを通じて非常にご好評を頂いています。これは“もうすぐ”と言ってよいと思います。毎回、βテストの期間を取っていますが、とにかく今回はユーザーの皆さんからの期待が大きいようですね。さまざまな機能が追加されることはお知らせしている通りですが、PS VRにフォーカスすると、ブルーレイ3Dの映像が3Dで観られるようになることが大きいですね。じつはこの機能はローンチのタイミングから対応したかったのですが、やっと実現できます。

――確かに、待ち望まれていた機能ですよね。

吉田 私自身、ベータ版で試してみてビックリしたのですが、この機能を使ってブルーレイ3Dコンテンツを観ると、解像度が上がるように感じられるんですよね。これまでブルーレイ3Dコンテンツを2Dで観ていたときと比べると、右目と左目とで違う情報が入ってくるので、それだけ映像の情報量が増えて、単に奥行きがあるということではなく、本当にビックリするほどきれいですね。ですので、この機能の追加は皆さんからすごく喜ばれると思います。

――それはとても楽しみです。今回のアップデートに備えて、わざわざブルーレイ3Dのコンテンツを買ったという方もチラホラいらっしゃるくらいですからね。

吉田 テレビの性能にもよりますが、やはりクロストークが少しあったり、右目の映像と左目の映像を完全に分離して観るというのは普通のテレビでは難しいのですが、VRであれば、完全に違う映像を左右の目に送り込んでいますので、完璧な3D映像が楽しめるはずです。

――この機能は、PS VRにとってはゲームプレイの外側の機能でもあって、ライバルの多いVR市場でPS VRの存在感を高めるためには、非常に効果的に作用しそうですね。

吉田 そうですね。とても重宝されると思います。

――VRコンテンツといえば、先般発売されたプレイステーション 4 Pro(以下、PS4 Pro)では、PS VRの映像がよりきれいになりましたよね。

吉田 はい。そのタイトルがPS4 Pro向けに最適化されていることが前提にはなりますが、対応させるのはそれほど難しいことではないです。ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ ジャパンスタジオのPS VR専用タイトルのほとんどはPS4 Proで遊ぶと、絵がきれいになりますね。もちろん、通常のPS4に向けて制作されているのでPS4でも十分お楽しみいただけますが、PS4 Proではさらにハードのパフォーマンスが高いので、リアルタイムのシャドーを追加していたり、テクスチャーの解像度を上げていたり、レンダリングの解像度を上げてアンチエイリアスをよりきれいにしていたり、各デベロッパーはいろいろと工夫していますね。

――ちなみに、今年のGDCで吉田さんがとくに注目しているのはどんな分野なのでしょうか。

吉田 ハード的な部分では、今年のCESでいろいろな企業の新しいVRやARの技術デモがあり、GDCでもはやりこの分野は日進月歩の技術が感じられて興味深いですよね。あとは、今年はやはり“VR元年”のつぎはコンテンツだと考えていますので、どんな新しいタイトルが発表されたり、技術デモが見られるのか期待したいところですね。

――お忙しいところ、ありがとうございました。