『FFXIV』欧州の光の戦士とRise with me!! ふたつのコンサートをリポート

ドイツ・フランクフルトにて、2017年2月18日〜2月19日(現地時間)にかけて開催された、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の大規模ファンフェスティバル“FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2017 in Frankfurt”。1日目のラストに行われたピアノコンサートと、2日目にイベント全体のトリとして行われたThe Primalsコンサートの模様をお届けする。

●植松伸夫氏と縁深いピアニストが登場

 ドイツ・フランクフルトにて、2017年2月18日〜2月19日(現地時間)にかけて開催された、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の大規模ファンフェスティバル“FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2017 in Frankfurt”。1日目のラストに行われたピアノコンサートと、2日目にイベント全体のトリとして行われたThe Primalsコンサートの模様をお届けする。

 1日目の夜はピアノコンサート。これまでのファンフェスと同様、2016年12月7日に発売されたアレンジアルバム第2弾『FINAL FANTASY XIV: Duality 〜Arrangement Album〜』(以下、『Duality』)からの選曲がメインとなるが、ファンフェスを北米、日本、そして欧州と追ってきた人にとっては、開催地ごとのピアニストの違いによるニュアンスの変化が注目すべきポイントだろう。北米ファンフェスで演奏を披露したのは、Dejan Daskalovさん。日本のファンフェスで演奏を行ったのは、『Duality』でピアノアレンジと実際の演奏を担当しているKeikoさん。そして、今回の欧州ファンフェスではBenyamin Nuss(ベンヤミン・ヌス)さんが登場した。

▲サウンドディレクターの祖堅正慶氏(左)と、ピアニストのベンヤミン・ヌスさん(中央)。

 このベンヤミンさんの経歴がなかなか興味深い。ベンヤミンさんは、数々のピアノコンクール受賞歴を誇る、天才ピアニスト。クラシック界で歴史ある名門レーベル“ドイツ・グラモフォン”から2010年にCDデビューしているのだが、そのデビューアルバムというのが『BENYAMIN NUSS PLAYS UEMATSU』。そう、『FF』の音楽の父、植松伸夫氏の作品集なのだ。これはクラシック界では異例の出来事で、それほどの植松ファン。『FF』のファンでもあり、今回のステージにふさわしいプレイヤーだ。

 コンサートの冒頭、『FFXIV』のサウンドディレクターである祖堅正慶氏が登壇。皆さんに楽しんでもらおうとしたら楽譜が難しくなりすぎて、ピアニストが怒ってるじゃないかな……とコメント。ベンヤミンさんがステージに呼び込まれ、祖堅氏が「怒ってる?」と尋ねると、冗談で祖堅氏に殴りかかる素振りを見せ、「ノープロブレム(問題ない)」と答えていた。

▲「難しいけど大丈夫、楽しむよ」と祖堅氏と握手。

 欧州ファンフェスでのセットリストは以下の通り。

M1 不吉なる前兆
M2 彩られし山麓 〜高地ドラヴァニア:昼〜
M3 Dragonsong (w/Susan Calloway)
M4 国境なき空
M5 英傑 〜ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦〜
M6 魔大戦の傷跡 〜腐敗遺跡 古アムダプール市街〜 (Performed by Masayoshi Soken)
M7 Heavensward (Performed by Masayoshi Soken)
M8 雲霧街の夜霧 〜イシュガルド下層:夜〜
M9 Answers (w/Susan Calloway)

 ベンヤミンさんの演奏は、とにかく打鍵が強く、音が立つ。鋭い。一方で、柔らかいタッチの音は消えてしまいそうなほど繊細で、その対比がじつにすばらしい。正直なところ、演奏の正確性においては、実際にアレンジを手掛けたKeikoさんのほうに軍配が上がるが、ベンヤミンさんの演奏のダイナミックレンジの広さや疾走感、躍動感もかなり熱いものがある。

 M3の『Dragonsong』では、植松氏とともにスーザン・キャロウェイさんが登場。歌の前に、植松氏とスーザンさんの出会いにまつわるエピソードが披露された。

 植松氏がスクウェア・エニックスに在籍時のこと。世界各地で開催されている『FF』のコンサート“Distant Worlds”のアメリカ公演で、植松氏はスーザンさんの歌声を耳にする。折しもちょうど『FFXIV』の主題歌の歌い手を捜していたところで、「これはすごい」と、撮影禁止の客席から動画を撮影し(本当はいけません)、すぐさま日本の『FFXIV』チームへ送信。「すごい人がいる、この人にやらせるべきだ」と強く推薦したという。それで生まれた曲が『Answers』であり、それから『蒼天のイシュガルド』の主題歌『Dragonsong』へつながり、そして最新の拡張パッケージである『紅蓮のリベレーター』の主題歌『Revolutions』もスーザンさんが担当。スーザンさんの歌声はまさに『FFXIV』の象徴なのである。

▲歌手のスーザン・キャロウェイさん(左)と、作曲家の植松伸夫氏(中央)。

 M6からは、すっかりおなじみとなった、祖堅オン・ザ・ステージ。白アシエンの装束で、トイピアノとダンボール(バスドラム代わり)を抱えて登場した。“古アムダ”では、いつものようにピアノとトイピアノ、ダンボールを同時に演奏。M7の『Heavensward』では、冒頭のアルペジオの部分で客席のほうを向き、余裕っぷり(?)をアピール。情感たっぷりに『蒼天のイシュガルド』のモチーフを弾き上げた。

 M9では、スーザンさんが再び登場し、『Answers』を熱唱。『旧FFXIV』の最後を見届け、“時代の終焉”トレーラーに涙した人、あるいは大迷宮バハムート:真成編4を体験した人にとっては、特別な想いが溢れたのではないだろうか。

 終演後、祖堅氏に感想を求めると、「植松さんが書かれた『Answers』という曲は特別なんです。なぜかというと、僕たちは『FFXIV』の開発で1回失敗をしていて、それを乗り越えたときの曲として胸に刻んでいるので、特別な想いがあります。植松さん、ありがとうございます」とコメント。いつもはユーモアたっぷりの祖堅氏が、唇を噛みながら切々と語る様は、非常に胸に来るものがあった。失敗した『FFXIV』は見事に新生を果たし、こうして世界規模でファンフェスティバルが開催できている。植松氏を横に、祖堅氏は万感の思いだったに違いない。

 続けて植松氏は、「ふだんは聞けないピアノアレンジ、スーザンさんの歌、両方ともすばらしく、感動しました。そして、僕の後輩のダンボールキックもすばらしい演奏だったと思います。またこうしたコンサートができればうれしいです」と語った。