Nintendo Switchにアーケードアーカイブスを。開発を進めるハムスター・濱田氏を直撃【Nintendo Switchインタビュー特集】

1980年代、1990年代のアーケードゲームの完全再現を目指す“アーケードアーカイブス”と、業務用ネオジオ作品を完全移植する“アケアカNEOGEO”が、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)で配信される。このふたつのシリーズをプロデュースするハムスター・濱田 倫氏に、クラシックアーケードゲームのこれからについて、詳しくうかがった。

●アーケードアーカイブスシリーズ、アケアカNEOGEOシリーズに新展開!?

 1980年代、1990年代のアーケードゲームの完全再現を目指す“アーケードアーカイブス”と、業務用ネオジオ作品を完全移植する“アケアカNEOGEO”が、Nintendo Switch(以下、ニンテンドースイッチ)で配信される。このふたつのシリーズをプロデュースするハムスター・濱田 倫氏に、クラシックアーケードゲームのこれからについて、詳しくうかがった。

■ハムスター 濱田 倫氏
 ハムスターの代表取締役にして、アーケードアーカイブスシリーズ、アケアカNEOGEOシリーズのプロデューサー。自身がアーケードゲームの大ファンであり、ライフワークとしてアーケードアーカイブスに取り組んでいる。

●ニンテンドースイッチで名作アーケードゲームが蘇る

──まずは、ニンテンドースイッチ参入までの経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
濱田 倫氏(以下、濱田) 1990年代以前のゲームは、いろいろなゲームの原点となる作品が多数ありますので、当時のゲームを知っている方はもちろん、知らない方にもプレイしてもらいたいんです。いままではプレイステーション4のみの配信だったのですが、“いろいろなプラットフォームで出していきたい”という思いは当初からありました。今回、ニンテンドースイッチが発表されましたので、真っ先に手を挙げて、展開させていただくことになったのです。ニンテンドースイッチの年齢層は、プレイステーション4よりも少し低いのではないかと考えていますので、これまでアーケードアーカイブスを体験していない若い世代のユーザーに、まだ生まれる前のゲームを楽しんでいただけるといいな、という気持ちもありました。

──濱田さんは、ニンテンドースイッチの、どの部分に魅力を感じたのでしょうか。
濱田 じつは以前から、「携帯機でも展開してほしい」というリクエストが多かったのですが、これまで実現できていませんでした。ですが、ニンテンドースイッチは据え置き機としてだけでなく、携帯機としても遊べるため、ユーザーの皆様の要望にも応えられるなと。それともうひとつの魅力が、モニターを縦にすることが容易なところです。1980年代当時は、縦画面のゲームが多かったんですね。それで、配信中のアーケードアーカイブス作品すべてに、画面を回転させる機能を入れてあるんです。モニターを立てられるユーザーは、縦画面のゲームをすごい迫力で楽しめるのですが、なかなかその環境を用意するのは難しいですよね。でも、ニンテンドースイッチは本体が軽く、簡単に立てられますから、とくに縦画面のアーケードゲームとの相性は格段に高いと言えるのではないでしょうか?

──なるほど。開発はしやすいのですか?
濱田 開発しているプログラマーからは、「思っていたよりも移植がしやすい」と聞いています。私は、Joy-Conまわりが特別なのかと思っていたんですけど、それほど難しいものではないようです。また、いま開発中のタイトルに限って言うと、スペック的にも十分なようで、いいハードだなという印象を持ちました。

──相性がよく、開発もしやすいとなると、参入しない理由はないですね。
濱田 その通りです。それと、当時のアーケードゲームって、ふたり用のものが多かったですよね。たとえばテーブル筐体の場合、向かい合って交互に遊びますし、アップライト筐体なら横に並んでプレイしていました。そのこととニンテンドースイッチのJoy-Conをふたりで分けてプレイするスタイルに、似たイメージがあるかなと思うんです。当時のアーケードゲームは、説明書を見なくても、いきなり遊べるソフトがほとんどでしたから、友だちや家族に「いっしょにやろうよ」という遊びかたにも向いています。さらに、そこから、クラシックアーケードゲームも普及していくのでは、と期待しております。

──Joy-Conのジャイロ機能を活かせば、たとえばボクシングやレースといったジャンルの作品も移植可能かと思いますが、そのようなジャンルの開発予定はないのでしょうか。
濱田 おもしろい発想ですね。ただ、アーケードアーカイブスシリーズは、当時のものをそのまま体験できることを目指しています。Joy-Conハンドルもおもしろそうだとは思ったのですが、それならハンドルコントローラーを出してほしいですよね。いまはホリさんと協力して、アーケードアーカイブスシリーズをアーケードスティックに対応させています。その流れでホリさんとは、当時のゲームセンターの体験を、自宅でできるようにという話もしているのです。ハンドルコントローラー以外にも、ツインレバーやトラックボール、ループレバーといった、特殊なコントロールパネルの付いたアーケードスティックを出せないかと相談しています。ソフト面は我々が開発して、ハード面をホリさんにバックアップしていただいて、ユーザーの皆様が当時のゲームセンター感覚で遊べるようにしていきたいですね。

●すべてのプラットフォームで配信することが最終目標です

──アケアカNEOGEOは、毎週配信を目指すと発表がありましたが、状況はいかがでしょう。
濱田 あくまでも「目指していく」という点だけ強調させてください。ユーザーの方がニンテンドーeショップを訪れた際、毎週新しい発見があるとか、つぎの配信はどんな作品かとワクワクしていただいたりとか、そういう楽しみも提供できるようにしたいですね。何らかの理由で配信できない週があるかもしれませんが、基本的には毎週新しいタイトルが配信できるように、開発チームもがんばっていますので、応援してください。

──現状ではアケアカNEOGEOの5タイトルが発表されていますが、アーケードアーカイブスシリーズの予定はあるのですか?
濱田 しばらくはアケアカNEOGEOを続けて、シリーズを軌道に乗せることをいちばんに考えています。アーケードアーカイブスのほうは、時期はまだ未定なのですが、必ず展開していきますので、もう少しお待ちください。

──楽しみにしています。ちなみに、ニンテンドースイッチで配信されるタイトルの、ほかのプラットフォームへの移植の予定は?
濱田 基本的には、ほかのプラットフォームでももちろん展開していく予定です。我々は権利をお預かりして配信しているタイトルがほとんどですので、権利的に問題のないもの、開発的に問題のないものは、すべてのプラットフォームで展開するつもりでいます。いろいろなプラットフォームのユーザーさんに、1タイトルでも多く遊んでいただきたいと考えていますので、すでに配信中のタイトルをニンテンドースイッチへ、とも考えています。ただ、開発上の都合もありますので、プラットフォームによってリリース時期に違いが出てしまうと思いますが、そこはご了承いただけるとありがたいです。

──なるほど。ところで、ニンテンドースイッチの本体保存メモリーは、32ギガバイトと聞いています。容量に不安はないのでしょうか?
濱田 じつはニンテンドースイッチ向けに開発しているタイトルは、容量削減の施策も行っています。これまでに配信したソフトの平均が600メガバイトくらいあるのですが、ニンテンドースイッチ版は200メガバイトくらいになる予定です。本体保存メモリーのすべてをゲームで使うことはできないと思いますが、この容量でしたら100本以上のソフトが保存できますので、これを目標にしています。

──SDカードを併用すれば、さらに多くのタイトルが保存できますね。
濱田 そうですね。ただ、ニンテンドースイッチのユーザーさんがアーケードアーカイブスシリーズしか遊ばないというわけではないでしょうから、すでに配信中のタイトルも容量削減をして、ニンテンドースイッチで順次リリースしていくつもりです。ご期待ください。

●アーケードアーカイブス以外のダウンロード専売ソフト!?

──アーケードアーカイブス以外の、ダウンロード専売ソフトの予定はありますか?
濱田 現状は、アーケードアーカイブスシリーズに集中させていただいております。ただ、ほかのプラットフォームになるのですが、『ニコリのパズル』シリーズをパズル雑誌のニコリさんと共同で展開していまして、『数独』などの“ペンシルパズル”も、ニンテンドースイッチとの相性がいいんです。このシリーズも、ゆくゆくは展開したいですね。すでにニコリさんとも話を進めていますので、そう遠くない時期に発表できるかもしれません。じつは、『ニコリのパズル』シリーズは日本で考案されたパズルが多いのですが、海外でもとても人気が高いソフトなんですよ。それと、ダウンロード専売ソフトに関して言うと、ニンテンドースイッチはグローバルに配信しやすいハードなんです。これはアーケードアーカイブスシリーズと共通して言えることなのですが、我々は「日本のゲーム文化を世界に発信したい」と思っています。1980年代、1990年代のアーケードゲームは、日本の作品が世界中を席巻していましたし、『数独』はすでに世界で通じる言葉になっているほどなんです。そんな、日本のゲームのよさを世界中に発信していくことを、これからはニンテンドースイッチを使って続けていきたいですね。

──最後に、ニンテンドースイッチの展開で、ほかに考えていることはありますか?
濱田 考えていると言うか、すでに動いているプロジェクトがいくつかあるのですが、公表可能な段階ではなくて。まだスタート前ですので、いまはアーケードアーカイブスシリーズに集中して、軌道に乗せることしか考えられないですね。ちなみに、新たなメーカー様に声をかけ始めていますので、近々発表するかもしれません。実現すれば、当時のことを知っている方ならかなり喜んでいただけるタイトルを発表できます。

■ニンテンドースイッチ版アケアカNEOGEOシリーズ配信予定タイトル
・ザ・キング・オブ・ファイターズ '98

・メタルスラッグ 3

・ワールドヒーローズパーフェクト

・ショックトルーパーズ

・わくわく7



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Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.
※画面は開発中のものです。