本日2017年2月22日よりレイニーフロッグから配信が開始されたNewニンテンドー3DS、Wii U用ダウンロードソフト『かいぞくポップ』。同作のオリジナル版を開発したのは、日本在住17年というイギリス人クリエイターのホーケン・キング氏だ。ここでは、同氏へのインタビューの模様をお届けしよう。

●ファミコン時代の架空のゲーム機“ポケットゲーム”の1作! として……

 本日2017年2月22日よりレイニーフロッグから配信が開始されたNewニンテンドー3DS、Wii U用ダウンロードソフト『かいぞくポップ』。本作の元になるSteam版をひとりで作ったという、東京在住のイギリス人クリエイター、ホーケン・キング氏にインタビューを実施。『かいぞくポップ』を作るきっかけになった“レトロゲーム愛”や、ゲームの魅力、プレイ時のコツなどを語ってもらった。

▲dadakoのホーケン・キング氏。ちなみに名刺には“キング 宝剣(ホーケン)”と記載されている。かっこいい!

[関連記事]
かいぞくポップ』 レトロLCDゲームをほうふつとさせるアクションゲームがNew 3DSとWii U向けに2月22日よりダウンロード配信決定

>

■“スーファミオタ”がきっかけで日本に定住!?

――ホーケンさんは、日本在住とのことですが、いつくらいに日本にいらっしゃったのですか?

ホーケン 最初に日本に来たのは2001年ぐらいです。そのときはフリフリカンパニーに所属していました。そこがヘンな会社で(笑)。最初はウェブデザイナーとして入社したのですが、バイチャンス(偶然)が重なって、いつの間にかゲーム制作のほうに関わるようになりました。そのときに『ギフトピア』のキャラクターデザインやセガの『シャカっとタンバリン!』など、あの時代のコンシューマーゲーム機向けタイトルに多数関わっています。

――ああ、そうだったのですね。

ホーケン そのあと、2003年に一旦イギリスに戻ったんです。そのときに入ったのもへんな会社で(笑)。そこは、ゲームのマーケティングやテレビゲームの開発など、いろいろな事業を展開している会社でした。任天堂ヨーロッパのマーケティングも手伝ったりしていましたね。その会社にはアート・ディレクターとして入りました。ちなみに、アート・ディレクターとしての仕事はいまでもやっていて、今度5月に開催される東京サンドボックスや東京インディーゲームフェス2017のロゴは私がデザインしたんですよ。

東京サンドボックス公式サイト

――あら、そうでしたか! 世間は狭いですなあ。一度イギリスに戻って日本に戻ってきたのはいつくらいです?

ホーケン 10年くらい前ですね。2007年かなあ。じつはそのときは、なんのあてもなくて、ただ、「日本に行こう!」と思って飛行機に乗ったんです。成田に着いたときには何も決まっていませんでしたね(笑)。『Youは何しにニッポンへ……』みたいな感じです。旅番組みたいですね(笑)。

――(笑)。そこまでしてなぜ日本に来たんですか?

ホーケン イギリスに戻ったあとで、たとえばパブで友だちや同僚と仕事やゲームの話をすると、私がいつも「日本にいたときは……」とか「日本だったら……」みたいな感じで、ずっと日本のことを話題にしていたんですね。そしたら、友だちや同僚からは「もういいよ。そんなに日本、日本って言っているなら日本に行けば?」と呆れられて……。「それならもう日本に行こう!」ってなりました(笑)。

――日本人として、日本を好きになっていただけるのはとてもうれしいですが、日本のどこが気に入ったのですか?

ホーケン デザインセンスですね。ほかには空気というか……人の持つ雰囲気。生活も安全ですし。それにいまは、居場所はあまり問われないですからね。自分でゲームを作って自分でゲームを売ることができるチャンスがある。パッケージでしかゲームを売れなかった時代は、大きな会社じゃないとゲームを出せませんでしたけど、いまは自分ひとりでもできますからね。だから、ドットアートもプログラミングも全部自分でやります。そういう生活がしたかったから、日本に来たというのもあります。とはいえ、日本をいいと思う最大の理由は、私がオタクだからかも。私は“スーファミオタ”なんですよ(笑)。

――ブランドの“dadako”というのは、駄々っ子から来ているのですか?

ホーケン そうです。ただ、dadakoというブランドは、ずっと前から使っています。最初に日本にいたころに、「お前は駄々っ子みたいだな!」と言われたことがあって、そのときに意味を聞いて気に入ったので、dadakoを名乗りました。その後、即座に“dadako.com”も取得しましたね(笑)。

■アーケードゲームとiOSのゲームアプリを融合させた『かいぞくポップ』

――今回配信される『かいぞくポップ』はスーパーファミコンというよりは、ゲームボーイのゲームっぽい雰囲気のゲームですね。

ホーケン ファミコンやゲームボーイは日本に来てから好きになりました。2、3年ぐらい前に、両ハードのオタクにもなりましたね(笑) 。ゲームのドットアートはファミコンがいちばん好きです。ファミコンのグラフィックの制限、色とかスプライトがきびしいのが、逆にいいですね。

――『かいぞくポップ』もゲームのタイトルの下に“4カラー、8ビット”って書いてありますものね (笑)。

ホーケン 『かいぞくポップ』を作る前に考えていたのは、「私はこういう8ビットで作られたレトロなゲームが好きだけど、それは私だけじゃないはずだ」という想いですね。インターネットなどを見ると、そういうレトロなゲームやドットアートのゲームが好きな人が意外と多いようで、それで『かいぞくポップ』を作りました。今回ファミコン時代に携帯ゲーム機があったら……ということで、架空のゲーム機“ポケットゲーム”のラインアップの1作という設定です。

▲架空の携帯ゲーム機“ポケットゲーム”の1作という設定。画面はWii U版。

――『かいぞくポップ』を作るにあたって影響、インスパイアを受けたゲームはありますか?

ホーケン 私はゲームセンターのゲームも大好きで、とくに1980年代のアーケードゲームがお気に入りです。『バブルボブル』とか『レインボーアイランド』、『グラディウス』とか……。そのあたりのアーケードゲームからは、『かいぞくポップ』に限らず、私がゲームを作るときには何かしらのインスパイアは受けていると思います。あと、好きというだけならアーケードの大型筐体ものも好きで『デイトナUSA』や、『パンチマニア 北斗の拳』なんかも大好きです(笑)。

――そもそも『かいぞくポップ』自体は、どのようにして生まれたのですか?

ホーケン インターネットで、ゲームボーイをテーマにしたゲームジャムイベント“GBJam”が開催されていまして、そこで作ったタイトルになります。参加者300人の中から“シルバー”を獲得したんですよ。

――それが、発売元となるカナダの13 AM Gamesの目に止まった?

ホーケン 13 AM Gamesの人と出会えたのは偶然に近いんですよ。東京ゲームショウ 2015に合わせて来日したときに、友だちのプライベートなパーティーで出会って私のタイトルを気に入ってもらえたんです。それで、2016年11月に私がSteam版を配信するのに合わせて、ほぼ同時期にNewニンテンドー3DS版とWii U版をリリースしてもらっています。今回日本での配信はレイニーフロッグさんとなりますが、日本語版のローカライズ作業は13 AM Gamesにお願いしています。

――海外でリリースされた際の反響はどうでしたか?

ホーケン レトロゲームファンには「大好き!」と言ってもらえました。今回は日本で発売するので、アーケードゲームファンにも『かいぞくポップ』をプレイしてほしいです。

――ちなみに、『かいぞくポップ』というタイトルにした由来は?

ホーケン 同時期に作っていたほかのゲームも全部パイレーツをテーマにしていて、「ゲームボーイっぽいゲームを作りたい」と思ったときも、自然にパイレーツのキャラクターになっていて、自然といまの『かいぞくポップ』ができました。イチからテーマを探す時間がなかったというのもありますが(笑)。とはいえ、この数年パイレーツをテーマにいくつもゲームを作っていると、どんどん愛着が出てきて、インスピレーションが湧いてきましたね。

――海賊はインスピレーションが湧きやすいというか、ゲームにしやすい?

ホーケン パイレーツは、基本は悪役ですけど、悪くなり過ぎず、ユーモアもあるところが魅力的ですね。ほかに作っていたアクションRPGもパイレーツがテーマだったのですが、ストーリーを書きやすかったですよ。

――たしかに海賊は魅力的な存在ではありますよね。

ホーケン あ! あと本作では音楽にも注目してほしいです。『かいぞくポップ』の音楽を手掛けたのは、ハリー・ウォーターズと言いまして、ピンク・フロイドのベーシスト、ロジャー・ウォーターズの息子なんですよ。

――あら! ビッグネームですね。

ホーケン ハリーとは友だちなんです。ちょうど私が『かいぞくポップ』を作っているときに、ハリーが「ゲーム音楽を作ってみたい」と言い出したので、「だったら、いま私が作っているゲームの音楽をやってよ!」とお願いしたところ、喜んで引き受けてくれました。

――音楽も聞きどころですね。せっかくの機会なので、『かいぞくポップ』を遊ぶ際のコツというか、ポイントがあれば教えてください。

ホーケン 喜んで! 『かいぞくポップ』は、いまのiOSのゲームと昔のアーケードゲームのいいところをミックスしようと思って作ったゲームです。『かいぞくポップ』ではアイテムを取ることで、画面の重力が変わるのですが、その瞬間に“バブルバウンス”というテクニックが使えます。重力が変化した直後はバブルの上に乗れて、地面に落ちるまでコンボが続けられるんですね。

――コンボを続けるといいことが?

▲ゲーム内ショップのコインを消費することで、“ポケットゲーム”の違うカラーバリエーションも入手可能。画面はWii U版。

ホーケン たくさんあります! スコア稼ぎはもちろんですが、“バブルバウンスを20回続けると、ハイパーモードのプレイやゲーム内ショップで使うコインがいっぱい出る”といった仕掛けも用意しています。また、スコアを稼ぐと昔のアーケードゲームみたいにエクステンドして、ライフが増えます。あと、昔のゲームっぽい要素としては、ときどきステージに登場するB、O、N、U、Sのアルファベットを逃さず取っていくといいですよ。5つ集めると、コインがたくさん出てくるボーナスステージが始まるんですよ。

――『かいぞくポップ』には4体のキャラクターがいますが、使える武器が違うといった性能差はありますか?

ホーケン 武器はアイテムを取ると変わるシステムになっていて、キャラクターによって変わることはないです。性能差はおもにスピードとライフの数ですね。武器は銃がかなり強いと思います。それだけになかなか登場しないようになっていますけれども。

――キャラクターの能力に“PT”というのがありますが、この意味は?

ホーケン ポイント、スコアの稼ぎやすさです。この数値が高いデーブというキャラクターは、スコアが稼ぎやすいんですよ。

――なるほど。機体というか、キャラクターによってスコアの稼ぎやすさが違うというのは、アーケードのシューティングゲームっぽいですね(笑)。個人的にはハイパーモードの激しい攻撃なんかにもアーケードゲームっぽさを感じました。

ホーケン そうそう。弾幕シューティングっぽいところもありますよね。ハイパーモードは全キャラクターのライフが1の状態で始まるので、1回でも攻撃が当たればゲームオーバー(笑)。その代わりにコインがものすごく稼げるモードです。基本的に『かいぞくポップ』はノーマルモードもハイパーモードもミスしなければエンドレスで遊べるゲームです。このゲームは、本作独自のアチーブメントも多く用意しているので、たくさん遊んでほしいです。

――ノーマルモードもエンドレスで続くのですか?

ホーケン そうです。私は、ずっと続けられるゲームが好きなんです。『グラディウス』はクリアーしても2周目が始まるし、『バブルボブル』は100ステージぐらいありますしね。『かいぞくポップ』のステージは9まであって、少しずつ難しくなっていきます。どこまで続けられるか……。私もステージ9はクリアーできない(笑)。でも、できる人はいますので大丈夫です。昨年のBitSummitでクリアーした人がいましたから。その人は本当にうまかったなあ。周りのみんなが「えー!」ってびっくりしていました(笑)。

――ちなみに、“ポケットゲーム”の次回作の予定などはあったりするのですか?

ホーケン はい! ゆくゆくは“ポケットゲーム”のタイトルを作りたいです。どんなゲームになるかはまだわかりませんが……。13 Am Gamesの人とは「つぎの“ポケットゲーム”のタイトルはいつになるのですか?」と言われています(笑)。

――いまはほかのゲームを作っているのですか?

ホーケン えーと……まだ発表できないです。まあ任天堂の“新しいハード”で出せたらいいなとは考えています (笑)。

――期待しています。最後に、ファミ通ドットコムの読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

ホーケン 8ビットは永久に不滅です!

▲こちらはNewニンテンドー3DS版の画面写真。携帯ゲーム機の中に携帯ゲーム機があるというビジュアルがなんともシュール。