VRで野球したり、スナイパーになったり、消防士体験したり。Viveの追加トラッカー登場で広がる可能性【CES 2017】

HTCがCESで発表した、HTC Vive向けの追加トラッカーを使ったデモをいろいろ体験した。

●アトラクションからシリアスなシミュレーターまでいろいろ応用可能

 アメリカのネバダ州ラスベガスで開幕した家電ショーCES。HTCは各社のブースが集まるコンベンションセンターではなく、近隣のホテルWynnにデモルームを構え、同社のVRヘッドマウントディスプレイHTC Viveをメインに展示を行っている。

 その中で大々的にフィーチャーされているのが、追加周辺機器の“Vive Tracker”。第2四半期に発売予定のこの製品は野球バットやモデルガンなどさまざまな物に取り付けることができて、Vive本体やコントローラーのポジショントラッキングと同じ仕組みで物体の場所や角度を検出可能。要するに、開発者がさまざまなものをViveの周辺機器としてVR世界に持ち込めるようになるのだ。


 例えば野球バットに取り付ければ、フェイクではない実際のバットを使ったVRバッティングセンター的なことが可能になる。実際に、アトラクション施設などへの提供を念頭に開発されたプログラムを遊んだのだが、既存のVRスポーツゲームがモーションコントローラーをバットに見立てて遊ぶ“ごっこ”なのに対し、こちらは完全に本格的で、片手でスイングするといった嘘プレイはできない。体が振られないよう、ちゃんとスイングしないといけないのだ。


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▲気分はホームランバッターなのだぜ。

 しかもVRならではのメリットもあって、スローリプレイで投球に対してどうスイングしたかを(VR世界の)目の前で確認できる。もちろん縮尺感が微妙に合わないとか、そもそもCGである以上現実の投球と見え方が異なる(現実世界の球は1フレームごとに移動したりしない)といったこともあるんだけど、「外角に逃げる球に泳がされすぎ」、「っていうかそもそもまだバットがちゃんと振れてない」みたいなことを直感的に把握できるのはなかなかナイス。


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▲うん、振り遅れてるし振れてないね。

 あるいはモデルガンなどに取り付ければ、リアルFPSの出来上がり。デモルームではまず、振動機能付きベスト“VrSenal”を着用し、Vive Trackerが取り付けられたライフル型コントローラー“VR-15”を構えてスナイパーゲームを遊んだ(いずれもVrSenalの製品)。

 VR-15には前方にジョイスティックがついていて、ここでスコープの倍率が調整可能。本当にリアルなバットにトラッカーをつけているだけだったVRバッティングデモと異なり、VR-15自体もシンプルなコントローラー(ジョイスティック群+トリガー)として機能している形だ。
 やはり周辺機器もVive本体も同じ方式で認識できるというのが大事で、高精度低遅延にViveとVR-15の位置関係を認識していて、独自方式の位置トラッキングだったら感じるだろうズレや反応の遅れは感じない。これにより「スコープを覗き込む動作でVRの中でもスコープを覗き込む」という芸当も可能にしている。
 もちろんプレイエリアが広いルームスケール方式のVRなので、バーチャルな壁に半身を隠して撃ったり、片膝を立てて撃ったり、銃撃姿勢もいろいろ選べる。これはトラッキングとは直接関係ないが、撃ったり撃たれたりするたびにベストが振動するので、自然と緊張感が高まるのもいい。


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▲実際にスコープがある位置にVR世界の中でもスコープがあって覗き込める。

 スナイパーゲームは恐らくVrSenalのプロモーション用のものだが、開発者が既存のゲームにこういったデバイスを追加するということも可能で、別のデモではSteamなどで配信中のFirst Contact EntertainmentによるVRFPS『ROM: Extraction』を、同じくVR-15とVrSenalで遊んだ。標準のモーションコントローラーでも遊べるゲームに、サードパーティ製周辺機器を対応させてグレードアップさせたという形だ。


 そしてゲームだけではない。Deakin大学のラボIISRIによる『Flame Trainer』は、トラッカーやフォースフィードバック付きの消火ホースやヒーター付きの耐火スーツを身につけて消火活動をバーチャル体験するというもので、これもデモルームで体験した。

 消火ホースにトラッカーがついていて、消火剤を噴射するとホースが後ろに強烈に引っ張られるというギミックつきで、これにより噴射の反動を再現。スーツの重量や温度と組み合わさると、結構ハードで緊張する。こうした職業体験やシリアスなシミュレーター開発が容易になるのも、Vive Tracker登場による恩恵と言えそうだ。


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▲記者は弟が消防士なのだが、大変だなこりゃ。

 なおCESではVive Trackerのほか、調節がしやすくオンイヤータイプのヘッドフォンが組み込まれた交換用ヘッドバンド“Vive Deluxe Audio Strap”、そして2ミリ秒の低遅延でVive本体の無線化を可能にするTPCastがともに第2四半期から登場することも発表された。TPCastはバッテリーが1時間半しかもたないが、これらのデバイスを組み合わせることでも、VRアトラクション的な可能性が広がりそうだ。

 ちなみに、個人的にはトラッカー付きのキーボードが出てくれると、VR世界の中から原稿を書きやすくなっててありがたいんですが(手探りでキーボードを打って書いたことは既にある)、周辺機器メーカー各社の皆さんいかがでしょうか。