視界から飛び込んでくる情報量、レーシング体験としての密度が違う

 アメリカ東海岸時間の2017年1月5日、ネバダ州ラスベガスで世界最大級の家電ショーCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が開幕した。ソニーブース内のPlayStation VR(PSVR)コーナーには、レースゲーム『グランツーリスモSport』がレーシングシート付きで出展。というわけで乗ってきた。

『グランツーリスモSport』PSVR版を体験。レーシングゲームとVRの組み合わせはやっぱり最高【CES 2017】_01
▲PSVR+レーシングシート+レーシングホイール
+足回りという、かなり最強まった構成。スゲーいいです。

 デモは3車種から乗りたいクルマを選び、ウィロースプリングス・レースウェイでタイムアタックするというもの。ライバルカーはなしということで残念に思っていたんですが……ナメてました。

 本誌で以前、他社のレースゲーム『Project CARS』のVR版について紹介記事を書いた際にも触れたように、レースゲームとVRの親和性は高い。まずVR体験として、コックピット型のゲームはキャラクターの移動まわりで困ることがないので没入感を維持しやすいし、レースゲームとしても“距離感をつかみやすい”、“コーナーをまわりながら自然に先を見渡せる”といったメリットがあって、WIN-WINの関係なのだ。

 今回のデモでも、ウィロースプリングスの高低差があってRが少しきつめのコーナーなどでそのメリットが効果を発揮し、強い西日の逆光まで加わる厳しい場面でも、出口を見失うことなくきっちり曲がっていける。また距離感をつかみやすいということは、車体の流れ具合などもリアルタイムに直感的に理解できるということでもある。脳に入ってくる情報、そしてレーシング体験としての密度が違う、とでも言えばいいだろうか。
 記者はレースゲームに関して下手の横好き系のヌルゲーマーだけども、コアなプレイヤーがゲーム画面から察知しているだろうことが、VRのプレイの中でなんとなくわかってくる。だから1周目でコースを把握したら、2周目からは積極的にアクセルを踏んでいけるようになる。これがなんとも気持ちいい。

 というわけでリリースが待ち遠しいところではあるけども、いくつか気になった点もあったので、最後に追記しておこう。まずグラフィック面では、ジャギーのようなものが少し気になった。これはVRモードでの解像度に起因するのかわからないが、製品版に向けて作り込んでいく過程での改善を期待したい。
 そしてもうひとつ、ただでさえ没入感が高い上に、今回はさらに完全にレーシングコックピットなセットでのプレイだったためか、現実の自分が握っているハンドルの位置と、VRの視界内のハンドルの位置のずれが妙な違和感を生んでいた。実際に家に同じような環境を構築する場合は、ベストポジションになるまでレーシングホイールの位置を細かく調整するといいだろう。