『サガ』最新作、ついに発売!
RPGファンが待ち望んだ『サガ』シリーズ最新作、『サガ スカーレット グレイス』がついに発売! 今回の記事では、本作をじっくりと遊んだ週刊ファミ通&ファミ通.com記事担当者2名それぞれが感じた本作の魅力を、対談形式でご紹介します。すでにゲームを購入した人も、買おうか悩んでいる人も、ぜひ記事を見てプレイ&購入の参考にしてみてくださいね。
ロマンシング★嵯峨(文中は嵯峨)…“サガ”という名字を持って生まれたことから、『サガ』の担当になることが決定づけられていた編集者。歴代作品の中では、システムは『ロマサガ2』が好きだけど、物語は『サガフロ2』が大好きで……つまりなかなかいちばんを選べない。
リプ斉トン(文中はリプ)…『サガ』シリーズが大好きなライター。『サガ』シリーズが持つ、広大で自由な世界観に惚れる! いちばん好きなシリーズ作は『サガフロ2』。本作はマイベストを更新できるかな? どうかな?
[これまでにふたりが書いた記事]
・『サガ』に期待する自由度の高さと、RPGの醍醐味が確かにある。『サガ スカーレット グレイス』体験プレイリポート
・『サガ スカーレット グレイス』戦うたびに学びがある! 寄り道しまくってみた1時間のプレイをリポート
・シリーズ最大級の戦略性の高さに注目。『サガ スカーレット グレイス』体験プレイリポート第2回
[『サガ スカーレット グレイス』の概要を知るならこの記事!]
・『サガ スカーレット グレイス』これを読めばゲームの基本はバッチリ! 気になる情報をまとめて紹介
『サガ』らしさってなんだろう
リプ 『サガ』らしさってなんでしょうね?
嵯峨 いきなりだなぁ。
リプ いや、『サガ スカーレット グレイス』の発売を待ち望んでいる人の多くは、きっと『サガ』シリーズのファンだと思うんです。その人たちは、まず『サガ』らしいゲームを求めて本作をプレイすると思うんですけど、嵯峨さんは本作をプレイして『サガ』らしさは感じました?
嵯峨 そうですね……『サガ』らしさの解釈はいろいろあると思いますが、個人的には“歯ごたえのあるバトル”とか、“物語の全貌の見えなさ”とかかなと思っているんです。
リプ “物語の全貌の見えなさ”。たしかに(笑)。とくに『ロマンシング サ・ガ』の3作品だと、プレイヤーが体験するのは、大昔から続く強大な力を持った存在を巡る戦いのごく一部で、その歴史の裏には、ちっぽけな人間には計り知れない“何か”があったりするんですよね。通常のRPGだと、ゲームを先に進めていくごとに徐々に真実が明らかになっていって、クリアーするときに最後の謎が……! という風に作られることが多いけど、『サガ』はクリアーしてもモヤモヤが残ったりする(笑)。
嵯峨 パブのカウンターに気になるキャラクターがいるけど、何もイベントが起こらない……みたいな、説明のなさが謎の魅力を生み出していましたけど、『サガ スカーレット グレイス』をプレイしても、それと同じ感覚を感じました。
リプ わかるわかる。何かイベントが発生したんだけど、何かがもらえるわけでもなく、けっきょく意味がわからない……なんて状況に、『サガ スカーレット グレイス』をプレイしていると遭遇しますよね。そういったイベントの中には重要な意味を持つものもあるんでしょうけど、本当に思わせぶりなだけで何もないときがあるのが、『サガ』の油断できないところかも(笑)。ワールドマップもかなり広くて、主人公によっては序盤からいろいろな土地に行けるから、『ロマンシング サ・ガ』のように、世界を旅する“自由度の高さ”を楽しみたいという人なら、絶対に楽しめると思います。
嵯峨 リプさんはほかに、どんなところに『サガ』らしさを感じました?
リプ 私は“フォローのなさ”がたまらなく『サガ』っぽいと思いました。たとえばほかのRPGで「仲間にしますか?」に「はい」と「いいえ」で答えるような場面があるとして、「いいえ」と答えても、また話しかければいつでも仲間にできたりしますよね。でも『サガ』シリーズだと、ガチのマジで仲間にならなかったりする。
嵯峨 あるある(笑)。
リプ そこまでにセーブをしていなかったから、天邪鬼に「いいえ」と答えてしまった自分を恨みつつ、仲間にならなかったデータで進めざるを得なくなったりするんです。『サガ』って油断ならないから、そういったことがけっこう頻繁に発生するんですよね。本作でも、たぶんこれは取り返しのつかない重要な選択肢なんだろうなってイベントがけっこうあって、本当に油断できない。でも、その油断できなさが、すごい『サガ』っぽいと思いました。そして、私はこの『サガ』っぽさが大好きなんです!(力説)
嵯峨 たしかに、ほかのRPGの場合、二度と手に入らないものがあると、けっこう許せなかったりするんですけど、『サガ』だとなぜか許せたりしますよ。なんでだろう……。あ、それから、とある敵と戦った後、その敵がいなくなっちゃって、意味がわからなかったことがあって。その意味を河津さんに聞いたら、「ああ、たぶんそれはどこか遠くに行っちゃったんですね」って(笑)。ほかのゲームだと、「なんで行っちゃったんだよ!」と思ってしまいそうなのに、『サガ』だと「そうか、行っちゃったのか」と思えるのが、やっぱり不思議(笑)。
リプ それも『サガ』の魅力のなせる技ということで(笑)。
■ふたりのまとめ
『サガ スカーレット グレイス』は、『サガ』往年の“歯ごたえのあるバトル”、“物語の全貌の見えなさ”、“自由度の高さ”、“油断ならなさ”が楽しめるRPGである!




RPGとしての魅力に迫る!
リプ さて、つぎは『サガ スカーレット グレイス』の中身の魅力について語っていきましょうか。
嵯峨 『サガ』シリーズの中でも、とくに人気を集めているのは『ロマンシング サ・ガ』シリーズと『サガ フロンティア』シリーズだと思いますが、『サガ スカーレット グレイス』はそのどちらにも属さないゲームだと思いました。
リプ たしかに、『サガ』シリーズの新作だけど、『ロマンシング サ・ガ』みたいなゲームだと思ってプレイすると、期待と違うなあと感じてしまうかも。でも、これはこれですごくおもしろいゲームだったというのは、先に言っておきたいです。
嵯峨 あえて過去作を例にたとえるなら、フィールドを自由に移動できる『ロマンシング サ・ガ』と、物語性を重視した『サガ フロンティア』の中間くらい、というところでしょうか。
リプ フリーワールドシステムで展開する本作はワールドマップがあるのみで、街やダンジョンのマップがない、というのは既報のとおりなんですけど、従来のRPGではあまりなかった手法だし、『サガ』シリーズでもあまりなかったことだから、「おもしろいのかな?」と疑問に思ってしまうファンがいるのはわかります。でも、やってみると、このシステムが腑に落ちるというか。
嵯峨 イベント→バトル→イベントっていうRPGの楽しいところをサクサク楽しめる点が、携帯ゲーム機向けな気がしています。
リプ さっと起動させてさっとプレイするみたいな。本作はイベントの数が多くてイベントの発生する場所の数も豊富だから、これでダンジョンマップがあったら、なかなかゲームが進まなさそうですしね。
嵯峨 バトルの1戦1戦がガッツリしているので、これがダンジョンでのランダムエンカウントだったら全然先に進めなくて困っちゃうかもな~とも思います。このバトルシステムだからフリーワールドシステムが生まれたのか、逆なのか、それとも同時なのかはちょっとわかりませんが……ところで、バトルについてはどうですか?
リプ これはぜひ私に語らせていただきたい。本作のバトルシステムは最高におもしろい!!
嵯峨 すごく硬派で戦略的なシステムですよね。
リプ 攻撃を出す順番とか、連撃を意識した戦いかたをしないと、雑魚戦でも本当に全滅しかねない難度なのが個人的にはすごく好みです。あと、キャラクターの成長がいままでのシリーズ作と比べて早いのも助かりますね。1戦にかかる時間が長いから、いわゆる“レベル上げ”のバトルをしなくてもいいようになっているっぽいです。
嵯峨 基本は5人パーティーですけど、仲間を入れ換えながら戦うのが基本だから、サブメンバーも鍛えなきゃいけませんからね。加入したばかりのキャラクターがぐんぐん育ってくれて助かる。
リプ それから、こんなに小剣を使った『サガ』は初めてでした。
嵯峨 それは私も! 過去の『サガ』だと、弓や小剣は、長剣とか斧に比べるとダメージが低くて、使っていないことが多かったんですが、今回はいろいろな武器種を使わないと有利に戦えない場合が多いんですよね。状態異常で敵を妨害しないと凌げないことも多々あって。毒にもマヒにも眠りにもスタンにもお世話になった。混乱だけはまだうまく使えていませんが……。
リプ 小剣は与えるダメージは弱いんだけど、敵を妨害したり状態異常にしたりする技が豊富だから、与えるダメージ以上に見えない活躍をしてくれるんですよね。
嵯峨 考えれば考えたぶんだけ、有利になったり見返りがあるのが今回のバトルですね。1戦1戦考えることが多いのがすごく楽しい。半面、ボタンの連打ではどの戦闘もクリアーできないくらいだから、ボス戦以外はラクして進みたいという人は、ちょっと面倒に感じるかもしれないけれど。
リプ 術、技だけじゃなくて、パーティーメンバーがバランスよくいろいろな種類の武器を装備していることもかなり重要で、過去にないくらい考えることが多い。私はシミュレーションRPGも好きなプレイヤーなんで、こういったタクティカルな戦闘が楽しめるRPGは、かなり好みです。
嵯峨 あ、シミュレーションRPGっぽさがあるのはわかります。敵と味方、全員の一手一手を考えて進める戦略性の高さが見どころですよね。
■ふたりのまとめ
イベントをこなす楽しさ、バトルで敵を倒す興奮を、サクサク何度も味わえるのが『サガ スカーレット グレイス』!



他プレイヤーと盛り上がるなら、いましかない!
嵯峨 『サガ スカーレット グレイス』って、ほかにプレイした人と話していても、なんだか話がかみ合わないんですよね。どこで分岐したかわからないんですが、全然違うイベントが起こってたり。
リプ それは、『ロマンシング サ・ガ』でもあったんですよ。学生のころ、クラスメイトといっしょに『ロマンシング サ・ガ』のゲームトークをしていたんですけど、なんか私だけ行ったことのない場所の話をみんながしてて。話を聞くと、“最終試練”っていう場所にはすごい武器がたくさんあるらしい。なにそれ!? スゲェ! って思って家に帰ってゲームを起動して最終試練の入り口に行ったんですけど、うんともすんとも言わなくって……。いま、そのころの感情がフラッシュバックした気が。
嵯峨 あっ、負の記憶が(笑)。
リプ けっきょく、大人になってから攻略本とかの情報でダンジョンが出る条件を知ったわけなんだけど、当時はマジで行きかたがわからなくって。行けるのか行けないのかも表示されないし。そういった、同じゲームを遊んでいるのに、ぜんぜん違う体験をしているのって、話が盛り上がって楽しいですよね。自分がまだ知らない部分を見たくなるし。
嵯峨 「自分はこうだったけど、君もこうじゃないの?」という話がいちばん盛り上がるのは、発売したすぐ後だと思うので、この楽しさを皆さんにも味わってほしいな……! ところで、『サガ スカーレット グレイス』って、『サガ』の中では親切なほうだと思いません?
リプ 思いました。プレイしていて、「このゲーム、すごく遊びやすい」と終始感じていましたよ。
嵯峨 TIPSがしっかりとゲームを教えてくれますし、「つぎはここに行ってみれば?」というふうにアドバイスが出る場合も多いので、冒険も詰まらずにサクサク進みますし。
リプ 私としては、河津さんが作った新作RPGっていうだけでプレイするしかないんですが、私のような“河津さんファン”ではない人も、純粋に楽しめるRPGだと思っています。冒険の部分とかバトルの部分とかにRPGのおもしろさが詰まっていて、すんなりプレイできますから。油断しているとビックリするような展開が山盛りだけど。
嵯峨 尖っているゲームなんだけど、河津さんが昔言っていた通り、“ふつうのロープレ”でもあって。そう感じさせるのはさすがだなあと。とはいえ「ふつうのRPGだぞ!」と思って遊ぶと面食らうという……何を言っているかわからないかもしれませんが、それが『サガ スカーレット グレイス』なんですよね。
■記事のまとめ
RPG好き&『サガ』好きなら必ず楽しめる逸品! ただし、ふつうだけどふつうじゃないので、心構えはしておこう

