“インスタントゲーム”は17タイトルがローンチ

 2016年12月5日、都内・Facebook Japanオフィスにて“Facebook Games 10周年記念 事業戦略説明会”が実施された。『Farmville』や『Mafia Wars』でFacebookがゲーム事業に取り組み初めてから10周年。来日を果たしたFacebook Games パートナーシップ部門グローバル責任者 レオ・オレべ氏は、「この10年の取り組みは刺激的でした。Facebook Gamesでは、今後もさまざまな取り組みを広げていきます」と冒頭で説明。今後の事業の取り組みとして、“インスタントゲーム”、“ライブゲームストリーミング”などをピックアップした。以下、その説明会の内容を紹介していこう。

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▲Facebook Gamesも10周年。ちなみに、説明会で具体的な言及がなかった“Gameroom”は、ダウンロードしてゲームを楽しむという、ゲームプレイ専用のスペースとなる。
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▲Facebook Games パートナーシップ部門グローバル責任者 レオ・オレべ氏。

 「人々が親しい人と、お気に入りのゲームを見つけ、遊び、共有する力を与える」と、Facebook Gamesの理念を紹介したオレべ氏は、まずは、世界中の17億人以上がひと月のあいだにFacebookを利用し、Facebookが2015年に開発者に支払った金額が25億ドルであると開示。さらに、Facebook利用時間の15%がFacebook Gamesを利用していると、その圧倒的なスケールをアピールした。そのうえで、オレべ氏がFacebook Gamesで強調するのは、“どこにいても遊ぶことができる”という利便性の高さ。モバイルやPC、プレイステーション4、Xbox Oneなど、さまざまなプラットフォームで利用できる汎用性の高さをプレゼンした。

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 さらなるユーザーの利便性のためにFacebook Gamesが取り組み初めたのが“ライブゲームストリーミング”。ゲーム実況はいまやゲームユーザーの楽しみのひとつになっているが、Facebook Gamesでは、対応タイトルに関して「いつでもどこでも誰もがライブ中継をすることができます」という仕組みを実装するという。Facebookが見据えているのは、「見ている人は多くないかもしれないが、膨大な利用者がいる」と想定している“フレンド層”。Facebookでは、ただいまブリザードと連携して同社のPCゲームランチャークライアント“Battle.net”にて、『オーバーウォッチ』や『ハースストーン』、『World of Warcraft』などのゲームのプレイ映像をFacebook上で配信できる“ブリザードストリーミング”を展開しているが、今後こういった流れはさらに加速しそうだ。

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 オレべ氏がつぎに紹介したのが“インスタントゲーム”。こちらは、HTML5プラットフォームで、ダウンロードやアプリのインストールなどは不要ですぐに遊べるという、まさに“インスタント(即座に遊べる”ゲーム。興味深いのは、メッセンジャーとニュースフィードから直結している点で、メッセンジャーの隙間時間や、メッセンジャーによる友人とのスコアのシェアなどを念頭に入れているようだ。メッセンジャーの利用者は10億人にもおよぶとのことで、ユーザーの目に触れる機会も多いというわけだ。

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▲タイトー、ゲームディレクター、西脇剛志氏。

 現在“インスタントゲーム”は、世界30ヵ国で17のゲームがローンチ。現時点では17のゲームで遊ぶことができ、そのうちの7本が日本開発タイトルになるという。「日本のゲームは世界中のファンに愛されています」とのことで、説明会では、『スペースインベーダー』、『アルカノイド』、『パズルボブル』の3タイトルを“インスタントゲーム”に提供しているタイトーのゲームディレクター、西脇剛志氏が登壇。「Facebookのメッセンジャーやニュースフィードから簡単にゲームを見つけられる“インスタントゲーム”は手軽で利便性が高いです。ネイティブアプリだとダウンロードする必要がありますが、“インスタントゲーム”では、すぐに初められてシェアできます。いままでにない体験で、今後のゲームの接点になるんだろうなと期待しています。今後お届けする『スペースインベーダー』や『アルカノイド』は、いわゆるクラシックゲームで、シンプルだけど奥深いゲーム性が特徴です。いつでもどこでも簡単に楽しめるコンセプトにマッチしています。当時をなつかしむ世代に楽しんでほしいのはもちろんですが、ドット絵の世界観はクラシックゲームを知らない世代にとっても魅力的ではないかと思います」(西脇氏)とのことだ。

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▲Facebook Games パートナーシップ部門アジア太平洋地域責任者 ステファン・チュン氏。

 おつぎに登壇したのは、Facebook Games パートナーシップ部門アジア太平洋地域責任者のステファン・チュン氏。チュン氏によると、日本におけるFacebookのユーザーは2600万人で、そのうちのFacebookに毎日アクセスする利用者は65%におよぶ1700万人。この数字(2600万人)は、日本のインターネットユーザーの25%にあたるというから、相当な規模だ。

 ちなみに、ゲームマーケット全体におけるアジア太平洋地域の売り上げは、全体の47%を占める466億ドルで、中でも日本市場は124億ドルで、世界で3番目に大きい市場だという(Newzoo調べ)。日本のユーザーは、ゲームに対してひとり当たり年間300ドル支出している計算になるとのことで、「日本のゲーマーはゲームが大好き」とチュン氏。つまり、「日本のマーケットはこれから積極的にリソースを割くに値する」というわけだ。

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▲現在17タイトルがラインアップされている“インスタントゲーム”。日本のタイトルは7本。

 今回“インスタントゲーム”でラインアップされた日本発のゲームは、前述のタイトーの3タイトルのほかに、バンダイナムコエンターテインメントの『パックマン』と『ギャラガ』、KONAMIの『ハイパースポーツ』、Kiteretsuの『ZOO KEEPER』の全部で7タイトル。日本開発の7タイトルがラインアップされたことに対してチュン氏は、「子どものころから日本のゲームを遊んできたので、うれしく思います」とコメント。さらに、日本のゲームはHTMLと相性がいいのが戦略的に重要なポイントだという。「日本のデベロッパーとの連携も強化していきたいです」(チュン氏)とのことだ。

 チュン氏によると、“インスタントゲーム”自体に関しては、「将来的には機能が強化されて、ジャンルも増えていきます」とのこと。また、マネタイズに関しては、「それに対しては時期尚早という判断です。Facebookでは、マネタイズの前にスケーラビリティー(拡張性)を担保するという判断です。まずはゲームプラットフォームを充実させて、マネタイズはあとから……ということで考えています。すばらしいゲームですばらしいプラットフォームを展開したいです」とオレベ氏は語る。SNSの巨人、Facebookが注力するFacebook Gamesの今後の展開に注目が集まるところだ。

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