ケーブルレスのVR向けPCがついに登場
さっそくですが問題です。これはなんでしょうかっ?
はいブブー! 時間切れです。正解は“ゲーミングPC”でした。このちょっとオシャレなバックパックにしか見えない製品は、“VR”をプレイするために開発されたパソコン『VR One』。これまでにCOMPUTEX TAIPEI 2016や東京ゲームショウ2016などに展示されて話題になったハードウェアなので、もしかしたら見たことがある読者もいたかな?
エムエスアイコンピュータージャパンのご厚意で、この最新ハード『VR One』をファミ通.com編集者のミス・ユースケが体験させてもらったのでリポートします!
ジャンプしても寝そべっても遊べる! ストレスなくVRを体験できる『VR One』
『VR One』の特徴は赤×黒を基調とした独特なデザインと、バックパックのようなスタイル。PC本体は超薄型だし、本体上部からはショルダーストラップ(肩掛けベルト)が伸びている。とてもPCとは思えない。
実際に使用するときは、この『VR One』を背負うことになる。本体下部にふたつの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載しているため、電源ケーブルをつながずに最長1.5時間プレイできるのがウリだ。
従来、PCでVRをプレイする場合は電源ケーブルを気にしながら遊ばなければならなかった。そのため、1ヵ所でぐるぐる回っているとケーブルを踏みつけてしまったり、身体に巻きつけてしまう恐れがあった。それを回避するため、東京ゲームショウなどの体験コーナーでは、プレイヤーのそばにはつねにスタッフが常駐していたはずだ。
しかし、この『VR One』はそんな心配は無用。同じ場所でぐるぐる回ったりジャンプしたり、寝転んだりしても遊び続けられる。実際に体験させてもらったら、ケーブルから解放されたVR体験はじつにすばらしかった! いままでのVRは、たとえ細い電源ケーブル1本といえど、プレイ中になにか引っ張られている感触があった。『VR One』ならジャマな感触がまったくない。試しにプレイ中にジャンプしてみたが、本体重量がわずか3.6kg(バッテリー含む)なので、ほとんど気にならない。
しかも、搭載する2基のリチウムイオンバッテリーはホットスワップ対応のため、どちらかのバッテリーが切れそうになったときは電源を切らずに交換可能。予備のバッテリーと充電器さえ持っていれば、無限に遊び続けられるというワケ。果たして体力が持つかどうかわからないが、24時間耐久VR大会などのイベントを企画したらおもしろそうだ。
エムエスアイコンピュータージャパン システム営業課・中原衆望氏は、「多少の衝撃にも耐えられるように『VR One』は開発されています」と語る。具体的には、光学ドライブのような駆動パーツは極力なくし、動きや振動に強いパーツ構成となっているそうだ。
さらに、熱を持ちやすいPC本体は背中に密着しておらず、まるでサイクリング用バックパックのようなエアーフローを確保。それだけでなく、本体内の熱はすべて側面から排熱される仕組みになっているため、装着している人に熱を感じさせない。「VR専用のPCを作ってやるぜ!」という開発者のこだわりを感じ取れる。
国内の有名アミューズメント施設に導入済み!?
VRファンにとっては夢のようなハード『VR One』だが、昨今のVRブームのせいか、生産がぜんぜん間に合わないほど世界中から引き合いが強いそうだ。中原氏は、「一般のお客様への販売は2017年からになってしまいます……すみません」と申し訳なさそう。
では、2016年の国内出荷分はどこに消えたのか? 中原氏によると、全国のアミューズメント施設や研究施設など、企業への納品で在庫が底を尽きてしまったそうだ。具体的にどこのアミューズメント施設かは公表されていないが、近い将来、『VR One』を使ったアトラクションがお目見えするかもしれない。「購入したい!」と思っている人は、いずれ披露されるであろうアトラクションを体験してから検討してみては?
気になるスペックと対応ソフトウェアは?
『VR One』は小型・軽量・バッテリー内蔵のPCだが、スペックは最新ゲーミングPCに比べて遜色なし。CPUはインテル Core i7-6820HK(2.7GHz/Turbo 3.6GHz)、グラフィックカードはGeForce GTX 1070(GDDR5 8GB)、メモリー32GB(DDR4-2400)、SSD 512GB(M.2)。さらに3系統のディスプレイインターフェイス(HDMI、ミニディスプレイポート、Thunderbolt3)や、USB3.0端子なども搭載している。
一般的なゲーミングPCとして十分すぎるほどの性能なので、VRに興味がない人は普通のゲーミングPCとして使えるのだ。
そして対応するVRシステムは、“HTC Vive”と“Oculus Rift”、“3Glasses”など。VRソフトが多数公開されている“Steam VR”のソフトウェアはすべて動作確認済みというのもうれしい。それどころかディスプレイを接続すると、自動的にVR設定アプリケーションが立ち上がるため、わずわらしい設定は必要ない。接続してスグに遊べる手軽さにもこだわって開発されている。中原氏は「VRを始めてみたいと思っている初心者でも、これなら簡単に使えます」と力強くコメントした。
現状考えられるVR環境で最高のPC『VR One』。このハードを上回るスペックを持つゲーミングPCは存在するが、やはりネックになるのがケーブルだ。『VR One』は、「これくらいあれば満足できるよね?」というスペックとバッテリー駆動時間のバランスが絶妙なのだ。極論を言えば、センサー(ベースステーション)さえどうにかなれば屋外でも使用可能で、背負式モバイルPCとしても活用できるワケ(そんな人はいないと思うが)。
本体価格は約30万円とやや高価だが、年末年始にゲーミングPCを新調しようと検討している読者は『VR One』が市場に出回る2017年を待ってみてはいかがでしょうか? モーレツにオススメしますよ!!
■製品情報
製品名 :VR One
型番 :VR-ONE 6RE-002JP
JAN :4526541185823
発売日 :2016年11月25日(金)※2016年11月18日(金)から予約開始
想定価格 :税込¥300,000円前後
■法人向け販売スペック
Windows 10 Pro
インテル Core i7-6820HK(2.7GHz / Turbo 3.6GHz)4C8T
NVIDIA GeForce GTX 1070(GDDR5メモリー8GB)
DDR4-2400 SO-DIMM 32GB(16GB×2) 空きスロット無
SSD 512GB(M.2 NVMe準拠PCIe Gen3)
3系統のディスプレイインターフェイスを内蔵
( HDMI×1 / ミニディスプレイポート×1 / Thunderbolt3(USB Type-C)×1)
2基のホットスワップ対応リチウムイオンバッテリー搭載(8セル91Wh×2)
HTC Vive、Oculus Rift、3Glasses等のVRシステムをサポート
VR HDM専用接続3 in 1ケーブル(HDMI、USB、電源)
409×292×54(mm)
たった3.6kg(バッテリー含む)