ゲームファン注目作のバトルシステムを徹底解剖!
念願の『サガ スカーレット グレイス』の発売まで、残すところあと2週間! 本作の発売を心待ちにしている人も多いかと思いますが、今回の記事では、その中のひとりであるライターのリプ斉トンが、インプレッション記事の第2回をお届けしていきたいと思います。前回の記事では1時間ほどプレイさせていただきましたが、今回はじっくりと本作を遊んでみてわかったことや感じたことを記事にしたいと思います! 過去の記事も併せてご覧いただけば、『サガ スカーレット グレイス』への期待感がさらに高まること、間違いなしのはず!

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今回は前回よりもじっくりとやり込むことができましたが、各主人公のストーリーを追ってもネタバレになってしまうな……と思ったので、今回の記事ではRPGでもっとも重要なバトルシーンに注目したインプレッション記事をお届けしちゃいます。本作のバトルは、さまざまな要素が複雑に絡み合い、シリーズ最大級の奥深い内容になっていると断言します! 筆者は数時間プレイを重ねて少しずつ各要素の理解を深めていきましたが、「これはヤバい。恐ろしい戦略性の高さだ」と感じるほどでした。『サガ』シリーズではお約束となっている武器、技、術、陣形、閃きなどの要素はそのままに、新たな要素がプラスされて劇的な進化を果たしたバトルシステムの魅力の一端を、本記事で感じ取っていただければ幸いです。


魅力その1 “タイムライン”と“コスト”の概念に思考をめぐらせる!
既報のとおり本作のバトルは、誰がどの順番で行動できるのかがコマンド入力時にわかる“タイムライン”と、パーティーで共有する値“BP(ブレイブポイント)”の範囲内で技や術を選択する“コストの概念”の存在が大きな特徴となっています。強力な技や術ほど行動時に必要なコストが多くなるので、大技を1発くり出すか、大勢で弱い技をお見舞いするのか。ターンごとに考える戦略が重要です。タイムラインの存在が“誰を行動させるのか”を考えさせ、コストの存在が“どの技や術を使うのか”を考えさせることになりますね。


また、味方と同様に、敵たちもBPを共有しており、使えるBPの範囲内で行動してきます。1ターンに敵全員が行動することは少ないので(BPに限りがあるから)、そのターンに行動する敵をタイムラインで確認し、その敵の順が来る前に倒してしまえば、無傷でターンを終えることもできるんです。
過去の『サガ』シリーズでは、コストパフォーマンスのよい技をキャラクターごとに選択して端から敵を倒していく、または強力な全体攻撃でササッと全滅させるいうのが攻略法になることが多かったと思います。ですが本作では、一撃で敵に大ダメージを与えられることはあまりありません。1~2ターンで敵を全滅させられる機会は少ないと感じました(やり込むとまた違ってくるのかもしれませんが)。まんべんなく敵にダメージを与えていき、“連撃”を発動させられるターンに一気に倒してしまうというのが有効な手になるんじゃないでしょうか。



魅力その2 タイムラインを自在に操れるころにはバトルに夢中に!!
数時間プレイするうちに感じたのは、「タイムラインを操作して戦う戦略が重要になんじゃないのか」ということ。そうすると、技の使いどころがわかってきました。
本作の技の中には、コマンドを選択することで本来の自分の順番とは異なるタイミングで行動できるようになるものがあります。これは“素早さ補正技”と呼ばれるものです。

この技の存在がどういった意味を持ってくるのかは、本作のゲームシステムをたくさん予習されている方なら、想像しやすいのではないでしょうか。素早く行動できる技を使えば、敵が行動する前に倒すことができ、本来は受けるはずだった攻撃をやり過ごせてしまうことがひとつ。もうひとつは、これを駆使すれば、連撃の発動を圧倒的に狙いやすくなるということ!! これを覚えたときは召雷を食らった……もとい、体に電流が流れるような衝撃を覚えました。
連撃を発生させられれば敵に大ダメージを与えられますが、発生させるには、タイムライン上で、味方が敵を挟んでいる状態である必要があります。ゲーム序盤では「このターンは連撃できないから、もったいないけどこっちの敵から倒してしまおう」と考えることがしばしばでしたが、これを覚えてからは、タイムラインを操作して強引に連撃を発動させることも視野に入れて戦うようになりました。また、本作には敵の行動に割り込んで攻撃をくり出す“インタラプト技”や、敵から攻撃されたときに反撃する“カウンター技”もあり、これらの技でも順番が変わるので、使いこなせるとさらに柔軟な戦略で戦えるようになりそうですね。



魅力その3 シリーズ恒例の術にも注目! じつは強かった!!
ゲームプレイを進めてさらにもうひとつ感じたのが、術の強さです。術は杖を装備したときに使えるようになり、敵全体を攻撃するものや、敵を状態異常にするものなど、さまざまな種類があります。
術を使うには、BPを消費するだけでなく、数ターンのあいだ“詠唱”を行う必要があり、ターンが経過しないと発動できません。「詠唱の時間がもったいないから、そのぶん技を叩き込んだほうがいいな」とゲーム序盤には思ったのですが、気まぐれで術を使ってみて、その強さに驚愕しました。『ロマンシング サ・ガ2』のクイックタイム以来の衝撃です。


術の効果がわかってきたことで、「全体攻撃の術が2ターン後に発動するから、敵のHPを均等に減らしておこう」とか、「つぎのターンで毒ダメージで敵が倒れるから、ほかの敵に集中攻撃しよう」と、数ターン先までの展開を予想して戦略を練ることができるようになりました。なんて奥深いんだ『サガ スカーレット グレイス』は! これを読んでくれている皆さんも、“術を使う前に抱く面倒くさい感と、使った後の手のひら返し感”をぜひ感じていただきたいです。

まとめ 戦略次第で難度が変化するバトルに熱中します!
本作のバトルは、過去シリーズ作とは異なり1戦1戦をじっくりと戦うタイプのRPGに変化しています。必然的に1戦にかかる時間が増えますが、ゲーム全体としては非常にサクサクと進行してくれるのがうれしいところです。キャラクターのHPや武器のスキルレベルはバトルの終了後に上がることがありますが、どのキャラクターも高い確率で成長してくれるのが目立ちます。弱いキャラクターはその分成長が早く、途中加入のキャラクターもすぐに即戦力になるのも親切設計。ゲームの進行だけなら、いわゆる“レベル上げ”のようなバトルをしなくてもよさそうな感触です(本作にレベルの概念はありませんが……)。
また、どんな強敵でも、システムを駆使すれば倒せてしまう自由度と戦略性の高さを、今回のプレイでは感じました。本作には9種類の武器が存在し、どの武器をどのキャラクターに使わせるかは自由に選べます。さらに、バトルで手に入れた素材を使って装備品を強化できる要素もアリ。シリーズならではの自由気ままなキャラクター育成を楽しめることにも、注目していただきたいです。
『サガ』らしい難易度が高く奥深いバトルが味わえること間違いなしの『サガ スカーレット グレイス』。長年待ち望んでいたシリーズ最新作の発売まで目前ということで、少しでも読者の方の期待感を高められたら幸いです。今回は割愛させていただきましたが、広い世界での自由度の高い冒険もバッチリ楽しめるので、こちらを期待している人もご安心を。
ちなみに、筆者は技を使うアタッカー3名に加えて術使いを2名をメインにパーティーを組み、道中で手に入った陣形“マジカルシャワー”をメインに使ってプレイしていました。この陣形は、指定された位置にいるキャラクターの術の使用にかかるコストが下がるというもので、1ターン目から強力な術を詠唱できます。術士2名に序盤から詠唱させつつ、ターンをかけて敵を倒していく戦法がかなり使えました。筆者は術を重点に置いた戦略を取りましたが、技の威力を高めるものや、素早く動けるようになるものなど、多種多彩な陣形が登場するので、プレイヤーの好みに合わせた戦略で戦えるのもうれしいところですね。







あ、そうだ。『サガ』らしいといえば、いきなり強敵と戦闘になって全滅したり、重要な場面で急に「はい」と「いいえ」を選択させられたりするので、こまめ&複数セーブは重要だと感じました(ワールドマップでオブジェクトに触れて、“バトル”を選択した際に、オートセーブはされますが)。後戻りできなくならないように慎重にプレイするのも、ある意味『サガ』の醍醐味?