森氏「スマホ向けゲームは作る気満々です」

 韓国の釜山にある大規模ホールBEXCOにて、2016年11月17日より開催中のゲームショウ“G-Star 2016”。本稿では、現地メディア向けに開催されたアークシステムワークスの森利道氏、石渡太輔氏の合同インタビューの様子をお届けする。

『ギルティギア』VS『ブレイブルー』の実現は? アークシステムワークス石渡太輔氏&森利道氏インタビュー【G-STAR 2016】_01
アークシステムワークス
森利道氏(写真右、文中は森)
『ブレイブルー』プロデューサー

アークシステムワークス
石渡太輔氏(写真左、文中は石渡)
『ギルティギア』ゼネラルディレクター

――G-STAR2016についての印象を教えていただけますか?

石渡 会場入り口のポスターが昨年と同じ『リネージュII』だったので、いつも通りの雰囲気でした。G-STARはたくさんの人が訪れていますが、会場が広くてひとつひとつのブースがとても大きいため歩きやすくていいですね。

――『ギルティギア』と『ブレイブルー』は社内でもライバルのような関係なのでしょうか?

 ライバルというか、アークシステムワークスの生命線的なコンテンツなので、うまい形での共存を目指して制作しております。

石渡 どちらのチームもよりいい作品を作ろうとしていますが、どちらかがコケると会社が転んでしまうので、そういったことのないようにがんばっています。

 スタッフの取り合いで争いが始まるようなエピソードがあればおもしろいのかもしれませんが、残念ながら現実にはそんなことはありません(笑)。

――先日、韓国で『ブレイブルー セントラルフィクション』の大きな大会が行われました。それについてはどのような印象を受けましたか?

 韓国は非常に対戦文化の浸透している国だと思っています。環境が整えば、日本のスタッフも連れてきていっしょに公式大会ができればいいなと考えています。日本では家庭用に先駆けてアーケード版が稼動していたため、大会はちょこちょこやっていたのですが、韓国を始めとしたアジア圏の人たちはようやく家庭用で『ブレイブルー セントラルフィクション』に触れたばかりだと思いますので、これから盛り上げていこうと考えています。最終章とはいっても、ゲームとしてはこれからだという気持ちです。

――日本と韓国でファンの反響に違いはありますか?

石渡 基本的には変わらないと思います。アメリカのお客様は、何かあると「イエー!」と盛り上がりがハンパないのですが、韓国は日本と近いのかなと。

――キャラクターの好みも近いのでしょうか?

石渡 そこは全世界で共通でしたね。

 韓国では、まだEsなどの新キャラクターよりも、ラグナ、ノエルの人気が高い印象を受けます。あとは万国共通で人気なのは、ノエルとハザマとアズラエルですね。アズラエルは使っていて気持ちいいキャラクターなので、どこへ行っても人気なのかもしれません。

――G-STARのステージに立ってみていかがでしたか?

石渡 韓国のファンがどういう反応をするのかわからなかったので、カチコチに緊張してしまいました。もう少しくだけた話をしたかったのですが(笑)。

 今回僕は2回ステージをやらせていただいて、最初のステージは何をしていいかわからず緊張しました。でも、石渡といっしょのステージはメチャメチャ楽でした。石渡に丸投げして、僕は横でニコニコしていればいいだろうくらいの気持ちですから(笑)。

――『ギルティギア』と『ブレイブルー』は、スマホゲーム『セブンナイツ』などとコラボしていますが、これには理由があるのでしょうか?

 コラボ先のメーカー様からご連絡をいただいたのがきっかけです。もし、ほかにもうちとコラボしたいメーカー様がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。うちは来る者拒まずなので。

――『ギルティギア』VS『ブレイブルー』といったようなコラボの予定はないのでしょうか?

石渡 やるやらない以前に、お互いのコンテンツを終わらせないといけないということが第一にありまして、『ギルティギア』はまだ終わっていませんし、『ブレイブルー』もお話はいったん完結しましたが、ゲームとしてはこれから遊んでもらうスタート地点ですので、これらが落ち着かないことには何も考えられないですね。

 そういったコラボの要望が多いのは認識しています。“いまは作らない”と言っているだけであって、お互いのコンテンツが終わって時期が来たら考えようかと思っています。とはいえ、そのとき会社がなくなっていたら作れませんので、みなさん『ギルティギア』と『ブレイブルー』をもっと応援お願いします。

――『ギルティギア イグザード レベレーター』のストーリーモードに出ていたキャラクターは、今後プレイアブル化されるのでしょうか?

石渡 まず、ストーリーモードに登場するキャラクターは、プレイアブル化の予告として出しているわけではありません。その証拠として、ジョニーはストーリーモードと格闘ゲームのモデルはまったくの別物で作り直しています。

 でも、ストーリーモードに出てきたらふつうは期待しちゃいますよね。『ブレイブルー』のようにずっと出さないでいると、たいへんなことになりますよ(笑)。

――『ブレイブルー』はシリーズを重ねるごとに新システムが加わって難しくなっています。今後も複雑化していくのでしょうか?

 『クロノファンタズマ』でオーバードライブを追加したことでシステムを大きく変更し、そのため複雑化したとは思います。ただ、『クロノファンタズマ』が『ブレイブルー』シリーズのひとつの到達点だと考えています。それをさらによくしたのが『セントラルフィクション』という認識です。また、ただでさえ“固有ゲージ”を持つキャラクターが多く複雑なので、僕はこれ以上システムを複雑化させようとは思っていません。

――『ブレイブルー』でHDの2Dグラフィック、『ギルティギア イグザード』でアニメのような3Dグラフィックで表現してきました。もし、森さんがまったく新しい格闘ゲームを作るとしたらどういったグラフィックを目指しますか?

 もしも、これから作るとしたら4Kは意識しないといけないと考えています。また、グラフィックとは話題が逸れるのですが、最近スタッフとの会議で話題に上がるのは、「クルマはマニュアル車が減ってセミオートばかりになってきてる」というものです。だから格闘ゲームも、もう少しセミオート化し、より直感的にシステムを扱える形がないかを模索しています。とはいえ、マニュアル車のおもしろさはあると思いますし、そういう複雑なものが好きな人も多いので、そういった楽しみもしっかり残すようにしたいですね。

――今後アジアではどのような活動を行っていくのですか?

 まだ具体的な内容は決まっていません。ですが、先日アークシステムワークスのアジア支部が韓国にできたので、これを期にアジアのほうに切り込んでいこうかなと考えています。格闘ゲームを中心にアークシステムワークスのことをより多くの人たちに知ってもらえるようにしたいなと。

石渡 さきほど、来る者は拒まずと言いましたが、実際にはコラボを希望するメーカーさんから送られてきた企画書を吟味して、お互いにいい関係ができるだろうというものを実施しています。韓国メーカーさんとのコラボが多いというのは、こちらにいい作品が多いからだと思っています。いい関係が築けるようであれば、今後もそういった展開はやっていきたいですね。

――今後、スマホ向けゲームを作る気持ちはありますか?

 すぐにはできるわけではありませんが、僕は作る気満々です。サービス中の『ブレイブルー レボリューション リバーニング』の開発は社外で行いましたけども、次回は僕が自分で作ってみたいという思いがあります。

石渡 『ギルティギア』という題材を使ったスマホゲームを出すこと自体は問題ないと思っています。ですが、格闘ゲームをスマホゲームに落とし込んだものでうまくいったものを見たことがないので、現状では僕の頭の中にはスマホゲームを作るビジョンはありません。森がいいものを作ったらそれを真似ようかと(笑)。

 (笑)。もし僕が作るとしたら格闘ゲームにするつもりはないので大丈夫です。アクションはありますけど、僕の頭の中ではかなりいい形に仕上がっているのでもうしばらくお待ちください。

――アクションということは、“ストライダーバング”ですか?(笑)

 それは本当に期待されているんですかね?(笑)。そういったものは基本的にディレクターの石川に振りますので、彼にご期待ください。ちなみにやるとしたら、タイトルは『疾風烈風獅子神萬駆』になると思います(笑)。

――『ブレイブルー』でも韓国人キャラクターは登場しないのでしょうか?

 最初はいろいろな国のキャラクターを出そうと思っていたんですけど、世界観のほうがそれに合わなくなってしまったので、いまのところ予定はありません。もし、つぎに新しい格闘ゲームを作ることがあれば検討したいと思います。出すなら100%テコンドー使いで、ディスト―ションドライブは乱舞技にします(笑)。

――先日のインタビューで日本一ソフトウェアの新川氏が、「日本一ソフトウェアのオールスター格闘ゲームを出すならアークシステムワークスさんにお願いしたい」とおっしゃっていました。実際にオファーが来たらいかがいたしますか?

 まずは飲みにでも行きましょう。それからですね(笑)。

石渡 実際のところ、いろいろなメーカーさんから「うちのゲームを題材にした格闘ゲームを作ってほしい」という話が来ることもあるのですが、僕も森もなかなか手が空かないのが実状です。

 そうですね。提案していただけるのはうれしいのですが、僕自身が作りたいものもありますので、さきにそちらを進めたいですね。うちはそんなに大きな会社ではありませんから(笑)。

――石渡さんは、ステージイベントでソルの“ヴォルカニックヴァイパー”のボイスを披露していましたが、たとえば『ギルティギア イグザード』シリーズに聖騎士団ソルが追加される際に、ボイスを担当してみてはいかがでしょうか?

石渡 ないですね(笑)。

 やっぱり、ボイスはプロの声優さんに任せたほうがいいですよ。でも会社が潰れそうになったらやらせるかもしれませんけど(笑)。

石渡 そうですね。ストーリーモードがなかったり、お金がなかったら(笑)。

『ギルティギア』VS『ブレイブルー』の実現は? アークシステムワークス石渡太輔氏&森利道氏インタビュー【G-STAR 2016】_02
森氏&石渡氏とブレイブルーコスプレイヤーのおふたり。