寄り道が楽しくて、目的地にまったくたどり着きませんでした
スクウェア・エニックスより2016年12月15日に発売予定のプレイステーション Vita用ソフト『サガ スカーレット グレイス』。先日、ライターのリプ斉トンによるプレイインプレッション(選択した主人公はレオナルド)をお届けしましたが、じつはリプ斉トンが遊んでいる横で、週刊ファミ通の同作担当である私・ロマンシング★嵯峨もレオナルドでプレイしていました。
スケジュールの都合上、誌面ではプレイインプレッションを掲載できなかったため、ファミ通.comにて掲載させていただきます! エリザベート(レオナルドの相棒的存在)の言葉に素直に従ったリプ斉トンと違い、「我が道を行くぜ!」と自由に行動しまくった私のプレイはどのようなものだったのか、ぜひご覧ください。
さて、改めて説明しますと、レオナルドの物語は、ヤクサルト辺境州の農民だった彼が、行き倒れの謎の女性と出会うところから始まります。「アイ・ハヌムへ……」と言って意識を失った彼女を医者に預け、代わりに旅立つことをサクッと決めるレオナルド。仲間たちも彼についていくことに。……というやり取りの後、ワールドマップに出ます。プロローグが始まってからここまで、わずか数分。このスピード感が『サガ』っぽい。
ワールドマップに出ると、エリザベートに「ロウスイ楼を越えて、ケイ州へ行きましょう」と言われます。マップを見ると、どうやらロウスイ楼は出発地点の北東にあるようですが、提案を無視して、南に行ってみることにしました。
おっ、南に洞窟を発見。というわけで、さっそくバトルへ。
ゲーム開始時には、レオナルドを含めて7人の仲間がおり、その中から5人を選んでバトルに参加させることになります。私は女の子に囲まれてみたかったので、レオナルドに加えて、エリザベート(初期装備:棍棒)、グゥイネヴィア(初期装備:杖)、セシリア(初期装備:弓)、もうほかに女の子がいないので、しかたなく男のキャスパー(初期装備:槍)を選んでみました。
本作のバトルは、画面下部に表示されている“タイムライン”を軸とするもの。敵味方の行動順と、敵の行動内容を知ったうえで、味方の行動を決めていきます。
技を使用する際は、パーティー全員で共有するBP(ブレイブポイント。画面内では★で表示されている)を消費するので、BPを多く消費する大技をひとりに使わせるか、BP消費量が少ない技をみんなに使わせるかなどを都度考えていく必要があるというわけです。
正直、難易度EASYのバトルでは、手こずることはありませんでした。が、NORMALのバトルに突入したら……あれ……この敵、強くない?
そしてセシリアが倒れ……
主人公も倒れた。
その後、バトルには勝利できましたが、ふたりも倒れたということに衝撃! これが『ロマンシング サ・ガ2』だったら、ボス戦でもないバトルでLPが減った時点で即リセットですよ? が、その考えは本作では捨てるべきなのだとここで悟りました。バトルで仲間がひとり、ふたり倒れるのは当たり前。
本作では、LPが減った仲間を控えに入れて何戦かこなせば、LPが回復します。常日頃、仲間を入れ替えつつ戦うべきということですね。難易度EASYのバトルを、LP回復のためにこなすということも今後はありそう。河津氏の言っていた“LPマネージメントの重要性”を実感しました。“このバトルでは、誰を参加させるか”というのが、重要な戦略になるようです。
さてレオナルドは、その後も放棄された採掘場に行ったり、星神がまつられている祠に行ったりと、寄り道を楽しんでから、けっきょくロウスイ楼には行かずに、北にある山道を抜けてメグダッセ辺境州へ。
メグダッセ辺境州は、あちこちに地上絵があることが特徴の州のようです。ここでも、生えていたリンゴをもいだり、羊に食べ物を与えてみたりと自由きままな行動を楽しみました。
そして、何がフラグになったのかはわかりませんが、地面に穴があいて“大地の蛇”が現れたので、難易度“HARD”という表示にビビリつつ戦ってみることに。
この大地の蛇は、定期的に手下を召喚してくるので、エリザベートが閃いてくれた全体技グランドスラムで攻撃してみることにしました。これで敵Bを撃破! と喜んだら……
まさかの敵側の連撃が発動! あれよあれよと言う間にセシリアが倒れ、セシリアが倒れたことでまたまた敵側の連撃が発動し、キャスパーも倒れました。阿鼻叫喚です。
えー、本作では、“ダメージを受けて敵か味方が倒れると、倒れたキャラクターのアイコンがタイムライン上から消失します。このときに、タイムライン上で敵どうしか味方どうしのアイコンがつながると連撃が発生! つながったキャラクターたちによる、相手陣営への追加攻撃が発生します”(リプ斉トンの記事より)。
つまり、敵が3人以上タイムライン上で並んでいる状態で、真ん中のほうにいる敵を撃破すると、敵の連撃が発動してしまうというわけです。
うかつに全体攻撃を行ってはいけない。攻撃する相手はちゃんと決めよう。新たな教訓を得た私は、とりあえずこのバトルでは全滅することを決め、死を待ちました。諦めも肝心です。
本作ではほとんどのバトルにおいて、キャラクターのLPが続く限り、全滅しても再挑戦できます。閃いた技を引き継いだまま挑めるほか、再戦時は連撃で相手に与えるダメージが上昇するので、活路を見出しやすいというわけです。
とりあえず再戦するにあたり、術使いのグゥイネヴィアはメンバーから外すことに。うかつに術で全体を攻撃してはいけないなと考えたからです(もちろん、ボス戦で術を活かす方法はたくさんあると思いますが、それはおいおい見つけようかと……)。ほぼ女の子でパーティーを構成することは諦め、男のガブリエルをパーティーに入れました。それにしても、再戦時に戦闘準備ができるのは本当にありがたい。
再戦時は、連撃を狙いつつ、攻撃相手をしっかり選んで戦っていった結果、誰も倒れずに大地の蛇を撃破できましたよ! みずからの進歩を感じました。
ボス戦で気づいたのは、連撃の重要性。連撃に参加したキャラクターは、つぎのターン、技を使う際に消費するBPが減ります。ボスを撃破するには、この仕組みを利用することが必要。
また、ボスが召喚する雑魚敵を、うざいと思うこともありますが、連撃発動のためには雑魚敵が必要。このことを理解すると、召喚してくれてありがとうとすら思います。とはいえ雑魚の攻撃が重なると、それはそれで辛い……。つまり、いいバランスになっているというわけですね。
さて、大地の蛇を倒した後の話に戻りますが、残念ながら勝利の余韻に浸っている余裕はありませんでした。なんでも、大地の蛇を倒したことによって、新たな敵が登場しちゃったらしく。
逃げるか戦うか。ビビリな私は“逃げる”を選びました。でもこの後、コイツに再び挑める機会ってあるんだろうか? 謎です。戦っておけばよかったのかな? うーん……と悶々としたところで1時間のプレイは終了しました。そして思いました、製品版では“戦ってみる”を選ぼうと。あ、そういえば、けっきょくケイ州には行かずじまいだったな……。
というわけで、プレイリポートはここまで。バトルについて振り返ると、“この敵は強い技を使うから、こちらが攻撃される前に倒してしまおう”、“この敵の攻撃なら耐えられるから、ここは防御せずに攻撃を優先させよう”などと考えて、味方の行動を組み立てていく楽しさは、シミュレーションRPGのバトルに通じるものがあるなと感じました。じっくり考えて、自分が思い描いたようにバトルが進む楽しさは格別です。一方で、「もうダメかも」と諦めかけたときに、閃きや恩寵によって活路が開けるというドラマチックな展開もあります。まあ、閃いた技が敵の連撃を招き、逆にピンチになっちゃう、なんてこともありそうですけど。バトルについては、まだまだ真髄に近づいていないと思うので、早く製品版でやり込みたいところです。