今後のカギは“eスポーツ”と“コラボ”
2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデイ)。
初日となる9月15日、Wargaming Japanブースにおいて最新情報が公開された。『World of Tanks Blitz』(以下、Blitz)では、セガの『戦場のヴァルキュリア』シリーズや有名メカデザイナーとのコラボについて発表。また、2016年9月17日には『Blitz』のグローバルeスポーツトーナメント“Blitz Twister Cup”開催を発表した。
Wargamingタイトルが他社のゲームとコラボをするのも、『Blitz』が本格的な大会を開催するのも、今回が初めて。なぜコラボの実施に踏み切ったのか、今後はどう展開していくのか。キーマンふたりに話を伺った。
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――まずは全体の話を。最近の『Blitz』はいかがですか?
オザン ひと言でいうと、順調です。これまでに発表した内容は予定通りに進んでいますし、いい方向に向かっています。Q4(最終四半期)は力を入れてプッシュしていくものが多いので、東京ゲームショウから年末にかけて、多くの発表やアクティビティーが出る予定です。いまはちょうど準備中ですね。
――先日、メジャーアップデートが入ったり、大きな動きがありましたよね。ユーザー数の推移はどうですか?
オザン アジアやアメリカはなかなか調子よく増えていますね。『Blitz』はとくにアジア圏でプレイヤー数が多いので、そのためにはおもしろいコンテンツを提供していくのが重要なことだと思います。
――これまではオザンさんがアジア圏のプロデューサーを務めていましたよね。これからは、現場はアレキサンダーさんが見ていくかたちになるでしょうか?
オザン 彼はまだ入ったばかりで。2016年内のコンテンツは私がプロデューサーとしてプランニングしました。アレックス(アレキサンダー)はプロデューサーとしてこれらを実行してもらい、2017年のロードマップの策定などはアレックスの仕事になります。
――アレキサンダーさんは『Blitz』をどうしていきたいと考えていますか?
アレクサンダー アジアや日本向けのコンテンツはどんどん増やしたいですね。『Blitz』はアジアだけではなく、アメリカやロシア、ヨーロッパなど、世界中で遊んでいただいているゲームですが、アジア用のコンテンツを気に入ってもらえているんです。
――日本やアジア向けに考えたコンテンツやイベントが、グローバルに広がっていくことも多いわけですね。
アレクサンダー それと、クラン活動などを盛り上げていきたいですね。eスポーツとして展開したりトーナメントを開催したり。プレイヤーからもそういったイベントを求める声をよく聞くんですよ。
オザン eスポーツはひとつの軸になると思います。年内に大きな大会も開催しますし、来年以降も継続的に実施する予定です。『Blitz』専用のeスポーツ要素も準備していますので、おもしろいことになるんじゃないかと自分たちでも期待しています。
――どういう要素なんですか?
オザン 言えません!(笑) ただ、どのメーカーはどこもやっていません。ファミ通さんにも秘密にするしかないくらいの、大きなことなんです。それと、アレックスからもありましたけど、クラン活動を充実させる要素を強めたいですね。オフラインイベントもやっていきたい。プレイヤーさんに向けた動画や配信のようなコミュニケーションも大事にしていきます。
――たとえば、どういうことをやっているのでしょうか?
オザン “Blitz To Meet You!”という動画シリーズを始めていて、これは継続的にやりたいですね。ライブストリーミングをやりたい気持ちもあります。それと、やっぱりeスポーツ。アジアや日本のリーグを作りたいですが、その前に運営の体制を変える必要があります。ただ、年内の大きなトーナメントがありますので、まずはそれを成功させたい。クランが関わる部分が大きいです。クラン専用のトーナメントなので。
――トレーニングルームも実装されて、公式の試合をやれる環境は整ってきましたよね。つぎはクランで仲間を作って遊ぶ人を増やすターンというわけですね。その大会はすべてオンラインで完結するものですか?
オザン オンラインとオフライン、両方です。
――大会の規模はどれくらいなのでしょうか?
オザン 『Blitz』はアジア、欧州、北米、ロシアの4つの地域に分けてサービスしていて、それぞれの地域ごとにオンライン予選を実施し、決勝進出チームを各地域1チームずつ決定。決勝戦はオフラインの場で行います。
――とうとう『Blitz』もここまで来ましたね。感慨深い。
オザン 日本のクランに勝ってほしいなぁと思いますよ。アジア全体の中でも技術は高いほうですし、絶対やれると思うんですよ。
――アジア全体を担当している人が、贔屓するような発言していいんですか?(笑) PC版では上位まで行くけど世界の壁に阻まれる状況が続いてますし、『Blitz』はいきなりトップの座をもぎ取ってほしいですよね。
オザン できそうな空気はあります。先日、日本のクランを呼んで秘密のギャザリング(集会、会合)を開いたんですよ。いろいろ説明して、「がんばって!」と激励して。
――えー、それ僕も呼んでくださいよー。
オザン プレイヤーさんだけなんですよ。TGSで行うエキシビションマッチのミーティングも兼ねた秘密会議でしたから。
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――なるほど。クランや大会など、eスポーツ展開の準備は順調なわけですね。続いて、コラボ関連について聞かせてください。TGS2016初日の発表で、“各地域に適したコンテンツの提供を心掛ける”と仰っていましたよね。セガの『戦場のヴァルキュリア』とのコラボはその一例だと思いますが、僕は何年か前から「他社のゲームとはコラボしない」と聞いていました。これ、ゲームメーカーのポリシーとしてはすごく大きな変化だと思います。Wargamingに何があったんですか?
オザン 戦いです!
一同 笑
オザン もう少し細かく説明しますね。いまは以前と比べて、各ゲームや内部のチームが独立した状態にあると考えれば分かりやすいと思います。ある程度は方向性を自分たちで決められるといいますか。
『Blitz』チームはオープンなんですよ。これはチャンスですから、とても乗り気になりました。今回のセガさんとのコラボが成功したら、ほかのチームやタイトルに波及する可能性もあるかもしれませんね。
他社のゲームだろうがアーティストだろうが何だろうが、プレイヤーの皆さんがほしがっているのなら、『Blitz』のためになるなら、(コラボを)やるべきなんです。いちばん大切なのは“プレイヤーハッピー”ですよ。
――「これならプレイヤーに喜ばれる」と。
オザン グローバルのトップの人たちに提案したら「『Blitz』チームが必要と判断したのなら問題はない」と。意外と大丈夫でした(笑)。
――数年前とは変わってきているんですかね。
オザン 変化はあるでしょうけど、根底の考えは変わっていないと思いますよ。我々はプレイヤーが求めるものを提供したいだけですから。
――このコラボがうまくいって、ほかのタイトルでも柔軟にコラボができるようになれば、プレイヤーとしてはうれしい話です。
オザン “アーティストシグネチャー(※)”のコンセプトもいろいろな製品に活用できるでしょうから、今後はそういった方向性も深めていきたいと思います。
(※さまざまなアーティストとのコラボ企画。第1弾として、メカデザイナー・大河原邦男氏デザインの戦車がゲーム内に実装される予定)
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