VRプロジェクト“Bethesda VR”のデモをE3ブースで披露
E3前のプレスカンファレンスで、VRプロジェクト“Bethesda VR”を発表したベセスダ・ソフトワークス。本日より開幕したE3でも、PC用VRヘッドマウントディスプレイHTC Viveを使い、オープンワールドRPG『フォールアウト4』とFPS『DOOM』を題材にしたデモを披露し、話題を呼んでいる。今回、その2種類のデモを体験できたので、早速その模様をお伝えしよう。
レッドロケット・トラックストップに降り立つ
まずは『フォールアウト4』から。Viveをかぶり、両手にモーションコントローラーを持つと、そこは序盤に登場するレッドロケット・トラックストップ。愛しのドッグミートと出会った、あの場所だ。360度どこを向いてもちゃんと“連邦”(ゲームの舞台)で、ゲームで何百回と見た場所に自分が立っている感覚が味わえるのは、なかなかグッと来る。
移動は左コントローラーで行きたいところを指定してワープする方式。さらに左コントローラーの場所を基準にして左腕のPip-Boyも表示されていて、コントローラーのボタンでページの切り替えなどの操作が可能。右手は武器で、ひとまずハンドガンを撃つことができた(デモ中は見落としたが、ドッグミートとじゃれることもできたらしい)。
ネイティブVR対応に向けた基礎固め
なんでワープ方式になっているのか? これは酔い対策としてよく知られた手法で、通常のゲームのようにコントローラー操作で連続して自由歩行を行うのは、一般的に酔いを誘発しやすいとされる(表示を工夫することで移動の連続性を保ちつつ酔いも抑える手法もいくつか考案されているが、まだ研究段階だし話がややこしくなるのでここでは省略)。
VRでは、それがプレイヤーにとって究極に直接的な体験であるからこそ、酔い対策や、直感的なユーザーインターフェースが求められるし、現状の『フォールアウト4』にはVRには向いていない表現手法(例えばV.A.T.S.使用時の三人称視点への切り替えや、イベントシーンでの強制的なカメラ移動など)も使われている。
実はPC版をそれっぽくVRヘッドマウントディスプレイでプレイするだけなら、3Dゲームの映像出力を乗っ取ってVRヘッドマウントディスプレイに投影する外部プログラムを使うことで、強制VR対応させることが可能。記者もそんなプログラムのひとつ“VorpX”を使用して、Oculus Riftで『フォールアウト4』PC版をプレイして楽しんだことがある(オープニング早々、実物大に見えるラッドローチの群れがなかなか胃に来る)。
加えてVR用のMODを使えば、ある程度はインターフェースや演出のVR最適化も行える。しかしそういった外部的な対応では、根本からVRのために作られた“ネイティブ”なVRの快適性にはなかなか至らない場合が多い。
公式な製品として2017年にリリース予定の『フォールアウト4』VR版は、まさにネイティブVR対応を目指しているのであり、これから時間をかけて、快適にプレイしてもらうためのインターフェースや演出の最適化を行っていくわけだ。E3ブースで体験できたのは、そこに向けた一種のプロトタイプだと言えるだろう(すでに視界の表示自体と移動はVorpXより快適)。逆に、基礎部分ができてしまえば、ゲームのコンテンツ自体はすでに出来上がっているので早いはず。連邦で快適にVR滞在できるよう、万全の作り込みに期待したい。
『DOOM』は技術デモ的な内容
一方、『DOOM』 も同じ課題を抱えている……どころか、『フォールアウト4』よりも高速で、崖から飛び降りたり、プラットフォームに飛び移ったり、走りながら撃って撃って撃ちまくってはグシャッと殴ってトドメをさしていくという内容上、ゲーム内容をそのまま移行するのが難しいレベル(そのまま移植してもゲロンゲロンになる可能性が高い)。実は2017年に出すという『フォールアウト4』とは異なり、ゲームのフル対応や発売時期などは明言されていない。
というわけで『DOOM』のデモは、そこら辺を割りきって技術デモ的なオリジナルコンテンツになっており、複数のフェーズで構成されていた。最初のステージでは資料室のようなところでフィギュアを閲覧したり、データパッドからホログラムを映したりする。移動はやはり左コントローラーによるワープ方式。右コントローラーでオブジェクトへの干渉が行える(Doomくんフィギュアを手に持ったりもできる)。
そして次のフェーズでは、廊下の前後から地獄のクリーチャー軍団が襲い掛かってくるのを、左手のグレネードと、右手のブラスターやプラズマライフルで撃退していく(移動は省略)。たまに背後のチェックを忘れていて、デロデロの顔のクリーチャーが迫っていたりすると、思わず叫び声をあげてしまうレベル。
果たしてここから『DOOM』のフルVR対応に挑戦するのか、それとも使用ゲームエンジンのidTech 6のVR対応を進めていくことで、新作FPS『Quake Champions』でVR観戦機能とかを作ってくれるのか、今後の動向に注目だ。個人的には『Quake 4』の一人称視点での改造手術シーンをVR化してみてほしいもんですね。