陸海空の全面戦争の起源を描く新たなBF

 2016年10月21日に全世界同時発売されることが発表された、エレクトロニック・アーツのミリタリーFPSシリーズ最新作『バトルフィールド 1』。アメリカのサンフランシスコ近郊にあるエレクトロニック・アーツ本社で行われたプレスイベントで、本作のマルチプレイプロデューサーであるアンドレアス・モレル氏に話を聞いた。
 今回はタイトル発表がメインで具体的なプレイ要素の詳細はE3まで未公開という感じの部分が多かったのだが、推察も交えつつ、回答の隙間から本作が目指すところを探っていきたい。

『バトルフィールド 1』マルチプレイプロデューサーにインタビュー。話せる範囲ギリギリを探りながら新作について聞いてきた_08

――あなたにとって、第一次世界大戦(WW1)に戻れることについて個人的に一番のメリットは?
アンドレアス・モレル(以下、モレル) 自分たちが思っているほど取り上げられてこなかった時代に戻れるということに単純にワクワクしたね。最初にリサーチを開始したんだけども、そこには驚くべきストーリーがあることがわかったんだ。近代戦の誕生であり、全面戦争の始まりだった。これをプレイヤーやファンに届けられるというのは素晴らしい機会だと思う。
 さらに詳しく知るにつれ、これはバトルフィールドにぴったりな時代だと思うようになった。陸海空のサンドボックスな戦場体験ができて、そして我々が求める没入感にぴったりだ。非常に興味深く、自分はとても気に入っている。

(引き続きモレル氏) そして当時起こったことは、今日に通じるものがたくさんある。今日、世界のどこでも見られる武器やビークル(乗り物)は、WW1で最初に使われた。100年前に戻って最初の闘争を見て、そこに身を置き、何か新しいことを体験出来る。これは今日なかなかできないことだ。
 WW1について多くの人は歴史本などに載った白黒写真を見て知っている。『バトルフィールド 1』では、これを我々の解釈でカラーで見せる。プレイヤーはまるでそこにいるように感じ、手にする武器が(当時の人がそうであったように)最先端だと感じる。これは一つの旅だと思う。プレイヤーにこの旅に出て欲しいと思う。
 BFが持つべき柱をすべて備えている素晴らしいBFゲームになっていると思うし、それを今日ファンに発表することができてとてもワクワクしている。

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▲歴史資料だけで知るWW1の世界が生々しく蘇る。

――例えば当時の戦車はどちらかと言えば現在の戦車に比べて火力よりも塹壕に対しての踏破性が大きい存在でした。つまり今の視点から見るとインパクトがちょっと足りないように感じるかもしれない。でも当時の人々にとっては恐ろしいものだった。それについてはどう表現していくのでしょうか?
モレル おっしゃるように、当時の人々にとって、このような鉄のモンスターや鳥以外の飛行体は恐ろしい存在だった。まだ機能の詳細には触れられないけど、『バトルフィールド4』でタンクが怖かったように、ちゃんと『バトルフィールド 1』でも恐ろしい、心の準備がなければ近寄るべきものではないものになっているよ。

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▲巨大な砲塔はないが機関銃を備え、塹壕やバリケードを乗り越えてくる戦車。近作のそれとは異なるWW1らしい戦車戦になるかもしれない。

――トレイラーでは、ツェッペリン型飛行船らしき物を見ることができました。キービジュアルにも映っています。マルチプレイでの機能はどうなるんでしょうか。『バトルフィールド 2142』に出てきたタイタンのような勝敗の目的になる存在だったり?
モレル それについては詳細は答えられない。
――ではせめて、マルチプレイで見られるかどうかは……。
モレル それについてもまだちょっと答えらえないんだ。

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▲象徴的に出てくる巨大飛行船。マルチプレイでは不在ということはないと推測するが、プレイヤーがビークルのひとつとして操作するのも微妙そう。旧作で言えば『バトルフィールド 2142』のタイタンや、指揮だけを出すコマンダーモード(本作にあるかはまだ不明)に関わるような特殊な存在として登場するのではと思うのだが……。

――複葉機がたくさん出てきて、大々的にフィーチャーされていましたね。
モレル WW1では戦場に初めて飛行機が導入された、近代戦の誕生と言える。空中の攻撃機を倒す戦術として使われた。陸海空を扱うバトルフィールドのサンドボックスな戦場にぴったりだと思った。
 世界最初の飛行は開戦からそれほど前のことではなかった。当時、飛行機の操縦はとても新しいことで、最初は地上の様子を調べて写真を撮って認識するために使われた。その後、敵の上を通りすぎてからピストルで撃つ代わりに、飛行機にマシンガンを取り付けるというように変化していった。『バトルフィールド 1』では飛行機を操縦して空中でのドッグファイトが可能だ。

――結構な数の機体が飛んでいるように見えましたが、『Star Wars バトルフロント』のファイター・スコードロンモードのような、空中戦特化のモードがあるのでは?
モレル 申し訳ないがゲームモードの詳細は話せない。

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▲またまたノーコメントになってしまったが、かなりの大空中戦を展開しているように見える。もっとも、キャンペーンモードのシーンかもしれないが……(実際、バトルフィールドらしいビークル戦をキャンペーンモードでももっとフィーチャーする意向が発表時に語られていた)。ちなみに空対空だけでなく、地上への爆撃も可能な模様。

――ビークルとしての馬はどうデザインされているんでしょうか? 現実には一発撃たれたら倒れちゃうと思うんですが。
モレル 馬はビークルとして出てくるが、特定の仕様については話せない。

――では海の部分では戦艦が出てくることがわかりましたが、Uボートはどうでしょう?
モレル 今日発表したこと以外、特定のものについては言えないんだ。

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▲サーベル片手に馬で突撃! マルチプレイではスクワッドメンバーと一緒に雄叫びを上げながら突っ込みたいところ。
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▲沖で停泊している艦船のシルエット。マルチプレイではどう関わってくるのか?

――バトルフィールドは大規模戦がメインで、大会などとは本質的にあまり合いません。過去にも小規模なモードなどがありましたが、eスポーツ向けに何か考えていますか?
モレル それについては話せない。さっきから色々いい所を突いた質問をしてもらっているけど、答えられないのが残念だよ。でもあなたたちだけではなくて、今日はまだみんなに答えられないからね。

――では確認的な質問を。今回のマルチプレイ対戦の人数は?
モレル 64人だ。

――パーシスタント・スクアッドシステムについて教えて下さい。
モレル チームプレイ、友達と一緒にプレイして助け合うことを推奨したいんだ。それを容易にするために、スクアッド(4人構成のチーム)を組んでゲームに入り、そのままいろいろなゲームに出たり入ったり出来るようにした。一晩でも一時間でも最初から最後まで同じスクアッドに属することができる。ひとつのプレイヤー・グループがずっと一緒に共通の敵に対して戦うわけだ。これでスクアッドでのプレイを推奨するためのものだ。

――当時の武器は現在のアタッチメントなどが少なく今ほど複雑ではなかったと思いますが、カスタマイズはどのように?
モレル カスタマイズについては話せないけど、当時の武器がシンプルだったというのは誤解だ。今日と同じように幅広い色々な武器があった。フル・オートマティック武器もあったが、これらはとても複雑な武器であり、容易に製造出来るものではなかった。ショットガン、ピストル、スナイパーライフルなど、あらゆる人に適したものがあるので気に入ったものがみつかるはずだ。

――サーベルやシャベルなどの近接武器は何か能力が異なるのでしょうか?
モレル 格闘システムの詳細については話せないが、この時代には近接武器はとても重要なものだった。新旧の対比が面白いんだ。マシンガンを持って戦い、角を曲がるとだれかが中世の武器を振るっている。この光景をとらえたいと思う。これから徐々に情報を出していくよ。

『バトルフィールド 1』マルチプレイプロデューサーにインタビュー。話せる範囲ギリギリを探りながら新作について聞いてきた_03
▲武器では火炎放射器も登場予定。また、トレイラーでは毒ガス(色付き)なども見られる。

――『バトルフィールド4』では、テスト環境を通じて実験的な機能や修正案を試し、コミュニティのフィードバックを取り込んでいくCTE(Community Test Environment)を導入しました。『バトルフィールド 1』ではどうでしょうか?
モレル コミュニティでのテスト環境を作ることで大きな成果を得られたので、今作でも出来るだけコミュニティを取り込んでいく。今日発表したようにオープンβを行うのもその一環だね。

――DICEとして、『Star Wars バトルフロント』で得た経験から、『バトルフィールド 1』に活かされるものはありますか?
モレル まさに『Star Wars バトルフロント』でオープンβテストをやったことで、これは取り入れる。プレイヤーがすばらしいオープンβを経験出来るようにして、『バトルフィールド 1』のローンチの成功を目指しているよ。

――破壊要素については今までのように重要ということでいいですか。
モレル 白兵戦もそうだけど、フィジカルな戦場にしたいんだ。周囲で起きる破壊を感じ取って欲しいと思っている。戦いを進めると色々な変化が起こっていく。没入感が強化されているし、素晴らしいものになっているよ。

――では最後に、『バトルフィールド 1』で、自分が戦って一番楽しいと思う要素・シチュエーションは?
モレル 没入感が素晴らしい。WW1の戦場を完全にサンドボックスとして体験できる。自分は地上にいるのが好きかな。周囲の爆発を実感し、泥が顔につくような、その真っ只中にいる感覚が楽しい。そういう意味で、このゲームは没入感を追求しているんだ。