日高のり子さんらが出演 『ルートレター』島根感謝祭リポート

2016年5月3日、島根県のテルサホールにて、角川ゲームスから2016年6月16日発売予定のプレイステーション4&プレイステーション Vita用ソフト『√Letter ルートレター』のイベント”√Letter ルートレター 列島最速 PREMIUM EVENT 〜ご縁の国”島根”感謝祭〜”が開催された。

●ゲーム内容が明らかに

 2016年5月3日、島根県のテルサホールにて、角川ゲームスから2016年6月16日発売予定のプレイステーション4&プレイステーション Vita用ソフト『√Letter ルートレター』のイベント”√Letter ルートレター 列島最速 PREMIUM EVENT 〜ご縁の国”島根”感謝祭〜”が開催。本作の文野亜弥役・日高のり子さんや、坂田智子役の麦穂あんなさんらが出演した。また、俳優の佐野史郎さんやアーティストのろんさんからビデオメッセージが届いたほか、餅まきも行われるなど、非常にボリューム満点のイベントとなった。

 今回の司会を務めたのは、TSK 山陰中央テレビの岡本隆志氏と、声優の麦穂あんなさんのふたり。みずからが演じる坂田智子と同じ格好で登場した麦穂さんは、得意の動物の鳴き声を披露して会場を沸かせた。

 続いて、『ルートレター』の開発や販売に協力した自治体や組織、企業が挨拶を行った。登壇したのは、TSK 山陰中央テレビ常務取締役の田部長右衛門氏、島根県商工労働部次長の伊藤宏氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント台湾プレジデントの江口達雄氏、台湾でタレントとして活躍する羅康■(コニー・ロー。■は女偏に尼)さんの4名。
 マスコットキャラクターの”えいっとくん”とともに登場した田部氏は、山陰中央テレビが本イベントを角川ゲームスと共催することになった経緯や、岡本氏がアナウンサー役として出演することなどを明かす。また、伊藤氏も島根県のゆるキャラ”しまねっこ”をともなって登場。角川ゲームスのスタッフが取材に訪れた当時を振り返り、熱心な様子に感心したと語った。また、本作の繁体字版が発売されるということで登場した江口氏は、本作のPRのため、今回のイベントに台湾のメディアを招いたと語る。また、江口氏とともに登壇したコニー・ローさんは台湾でゲームのパーソナリティーを務めており、「しまねっこ大好きー!」と元気よく日本語で挨拶した。

 挨拶が終わると、角川ゲームス代表取締役社長の安田善巳氏(『√Letter ルートレター』製作総指揮/プロデューサー』)と日高のり子さんが登場し、本作のプレゼンテーションを行った。

 まずは本作のあらすじから。主人公の中村貴之(33歳)は、15年前の文通していたペンフレンド・文野亜弥からの最後の手紙を見つける。その手紙には、”私は人を殺してしまった”という内容が書かれており、この手紙の真相を探るべく、主人公は亜弥の7人のクラスメイトを尋ねるのだ。安田氏によると、本作には5つの結末が用意されているといい、UFOや呪いが関連するものなどもあるようだ。

 続いては、ゲームシステムを解説。亜弥からの手紙を回想する手紙パートは、文通していた当時を振り返り、手紙に返信していく形で物語が進行。10通の手紙が10個の章に対応しており、返信内容によって亜弥との心の距離が変化。それによって、結末が変化していく。ここでは映像も初公開され、ゲームプレイの2周目で真相にたどり着けることも明かされた。

 亜弥のクラスメイトへの“追及パート”では、探索を行って証拠や証言を集め、それらをクラスメイトにぶつけていく。これは安田氏いわく「”半落ち”しているクラスメイトを”全落ち”させる」ためのもので、当時のことについてある程度まで口を開いたクラスメイトに、最後のひと押しをするのが目的だ。亜弥の手紙に書かれていた級友たちへの思いを伝えることで、彼らが真相を語り出すのだという。

 プレゼンテーションでは、本作のやり込み要素も公開された。まずエンディングは5種類あり、それぞれしっかり遊ぶと1周に10時間ほどがかかるという。しかし、スキップモードが用意されているため、非常に快適にプレイできるそうだ。また、しまねっこを探す、流浪の作家を探す、幻のカクテルを作る、という3つのサブストーリーも用意されている。流浪の作家は、本作のシナリオライターである藤ダリオさんが、ネタを求めて島根にやってきたという内容で、安田氏いわく、これがいちばん難しいかも、とのこと。3つのサブストーリーをすべてクリアーすると、角川ミステリー女優のプレミアムトークを見ることができる。ちなみに、角川ミステリー女優というのは、AYA(声:日高のり子さん)、YUKARI(声:井上喜久子さん)、SHIORI(声:皆口裕子さん)の3人のバーチャル女優のことで、『ルートレター』の文野亜弥は、AYAが演じている、という設定だ。
 
 本作には、実在する店舗や人物が多数出演する点も特徴のひとつ。今回は、その中から宍道湖遊覧船はくちょう号の船長を務める上谷雅宏さん、中村BARの中村夫妻、カフェ・ウォーターワークスのオーナー安来潔史さん、だんごや萌音の小森啓子さんの4人が登場。だんごや萌音の小森さんは、「本作に登場するのは、私ではなく当店の看板娘です。ぜひお店にも来てくださいね」と語っていた。

 日髙さんと麦穂さんが出演した”声優Liveシアター in 島根”のコーナーでは、AYAと坂田智子のふたりが、『ルートレター』ゆかりの地を巡りながら、ボイスドラマ形式で本作の秘密を明かす。それによると、主人公が文通をしていた文野亜弥は、じつは25年前に亡くなっている。しかし、主人公が亜弥と文通をしていたのは15年前のことで、謎が残る。また、先ほど登場した宍道湖遊覧船や中村BARなどで探索を続ける中で、クラスメイトたちが過去を隠したり、あるいはクラスメイトからの妨害に遭う、といったケースもあるとのこと。それを乗り越えて彼らの本心に触れ、話を聞くことで、真実がわかるのだそうだ。
 コーナーの最後には、シナリオライターの藤ダリオ氏が登場。本作のストーリーは、トゥルーエンドのパターンから先に考えていったそうで、物語の辻褄を合わせながらいろいろなエンディングを作っていくのが楽しかったと語った。

▲岡本氏がゲームに登場するシーンでは、岡本氏自身がアフレコを行った。

 この『ルートレター』は、”角川ゲームミステリー”シリーズの第1弾だが、プレゼントコーナーでは、その第2弾に登場人物として出演する権利を始め、『ルートレター』の限定版ソフトやオリジナルポストカードなどが贈られた。希望者全員参加のジャンケン大会で次回作への登場権を勝ち取ったのは松江市在住の女性で、希望の役柄を聞かれ、「清楚なお嬢様役がいい」と笑顔で語った。また、参加賞としてサイン入りクリアファイルも用意された。

 島根県出身の俳優・佐野史郎さんと、本作の主題歌として『純愛ラプソディ』(原曲は竹内まりやさん)をカバーし、天才子役の佐々木ありさ役で声優にも挑戦するアーティストのろんさんからはメッセージも到着。ニコニコ生放送で生配信中のろんさんと中継がつながり、本作出演の感想などが語られたほか、ろんさんバージョンの『純愛ラプソディ』が初公開された。

 島根県の伝統行事である餅まきが行われ、イベントも最終盤へ。安田氏は閉会にあたり、今回のイベントの出演陣や、本作に関わる人々に感謝を述べた。とくに麦穂さんについては、『ルートレター』の方言指導役として、セリフの編集や出雲弁の収録のためのデモテープ吹き込みなど、多大なる活躍をしてくれたことを明かした。最後は、出演陣と来場者が記念撮影をして終了。和やかな雰囲気の中でイベントが幕を閉じた。

●イベント終了後のインタビューの模様をお届け

ーー島根県を題材にしてゲームを作ったきっかけは?

安田 3年ほど前に『キラー イズ デッド』を作り終えたころ、ほぼ同じタイミングで、高校の同級生が島根県の企画局の次長につきました。その彼から、ゲームを通じて島根県をPRしたいという相談を受けたのです。そのときは期待に応えることは難しいと思っていましたが、アイデア自体はずっと温めていました。これはいけるなと思ったのが、箕星太朗さんから「高校生以上、成人未満の女性を主人公にしたアドベンチャーを作りたい」という提案があったときです。我々には『HEAVY RAIN』のようなハイエンドのようなものは作れませんが、アドベンチャーゲームの文法は同じだと考えていまして、地道に作っていく中で、たくさんのユーザーにアドベンチャーゲームを広めていくのがいいと考えました。今回のゲームは、かつてアドベンチャーに慣れ親しんだハードゲーマーの方はもちろん、文字とか活字が好きな方にも楽しんでいただけると思います。

ーー発表会が先ほど行われましたが、地元の方の反応はいかがでしたか?

安田 とても好評でした。島根県の人は、自分のこと以上に相手のことを心配するのです。だから、「島根を舞台にして、失敗したら大丈夫ですか?」という心配をしていただいていました。でも、「大丈夫ですよ、ご安心ください」とつねづね言っていました。今日は、会場にたくさんの方にお越しいただけて。リハーサルのときには、次回作に出たいという人がいなかったらどうしようと思っていましたが、杞憂に終わりましたね。島根県の人は控え目なんですが、こういうものに潜在的には興味を持っていらっしゃる。言葉には出さないけれど、気持ちで応援してくれていると感じました。

日高 今回のイベントには、実在する島根県在住の方たちが出演されました。たくさんの方に立候補していただけたのは、ゲームの意図が明確にお客様に伝わった結果ではないかと思います。ただゲームに出演するということで手を挙げる方はそうはいないんじゃないかと思いますが、島根県に対して深い愛情を持って作っている作品だから出てみたいと思ったのではないでしょうか。シニア颯の方も手を挙げて、ジャンケンに負けたときに本気で悔しがっていました。作品に対して愛情を込められる作品だと感じられるとうれしいし、お客様も気持ちで返してくれると思います。

ーー日高さんがミステリー女優のAYAとして、全体を演じての感想は?

日高 『ルートレター』のストーリーを演じることは、いつものゲームやアニメとそうは変わらないんです。でも、プレミアムトークが難しくて、AYAちゃんが女優としてこの撮影に関わったという形の台本になっているんです。それが、何て言うのかな……よりナチュラルに演じるために、女優としてのAYAちゃんの仕事への思い入れと、AYAちゃんのもとになる根底の性格などあまりわからなくて。だから、野亜弥のほうが演じやすかったですね。ふたつの役の違いは、文野亜弥は大人しめで控えめ、影があって儚げな性格です。一方、AYAのほうは、より活発にして違いを出しました。

ーーミステリー女優役として、日高のり子さん、井上喜久子さん、皆口裕子さんの3人を起用した理由は?

安田 いくつか理由があります。まず、スタッフが、この3人の方々とお仕事をしたい、という強い要望を持っていたことが1点目です。2点目は、ミステリーゲームを一過性のもので終わらせないようにするためには、このプロジェクトの狙いをしっかりと理解していただく必要があります。この3人の方々はパワーや経験、技術力もお持ちですし、僕が考えうる限りベストだと考えました。

ーーそれを受けて日高さんが今回出演されることになったわけですが、収録にあたっての感想をお教えください。

日高 先にAYAちゃんのキャラクターがあったんですが、このAYAちゃんをなぜ私に、というのはじつは思いました(笑)。ただ、本作では主人公が33歳ということで、33歳の部分と、15年前の高校生の部分があると。それを聞いたときに、なるほどなと思いました。本当に10代の子には、やっぱり難しいですよね。あとは、私が昔『タッチ』をやったときにも思ったんですけれど、私が朝倉南を演じたときは22歳でした。作品は中学生からのスタートで、中学生の恋愛感情が描かれているわけですが、もし私が当時中学生だったとしたら、そこまで深い感情表現ができていなかったと思います。22歳の私がやっても難しかったので。声だけで演じることの難しさといいますか、感情の奥底に秘められたものを、直接的にセリフに出さずに表現するというのは、それなりに人生経験を積まないと出てこないものだなと思って。だから、私自身、あの年齢だったからできたなと思っているんです。それは声優ならではの独特なものかもしれませんね。ストレートに実年齢の子を演じるなら、キャピキャピ感は実年齢の子にしか出せないと思いますが、物語の中で人の思いを受け取って、その思いを返すというのは、生で女優さんが演じられるよりも、声だけの演義のほうが感情表現が少し難しいのかな、という気がしています。だから、台本を見て、納得したと言ったらおかしいですけれど、自分がやる意味が見いだせたというか。安田さんは、私の声自体が持っている音が、人のぬくもりとともに伝統がある、そういう優しい土地を描くときに、私の声がハマるんだとおっしゃってくださるのですが、でも、私はキャラクターがあるものなので、すごく不安になるんです(苦笑)。でも、今回セカンドトレーラーを見て、田舎の素朴な、にじみ出るような暖かさが感じられて、それはいまの私だからこそ表現できるものもあるのかなと思っています。だから、いまは自信を持ってやっています(笑)。

ーーそんな日高さんは、これからミステリー女優として、きっと次回作などにも出演されると思いますが、AYAとして今後こういう役をやってみたい、という希望はありますか?

日高 私の歴史を見てみても、いまやっている役を見てみても、このAYAは貴重な役なんです(笑)。
海外では『らんま1/2』がすごく人気があるんですが、それを見た方は、私が強い女性の役が多いというイメージをお持ちなんですね。だからもしかしたら、この文野亜弥が海外に届いたときに、日高のり子はこういう役もできるんだ、と思われるのかなと。やっぱり、そうなると女優にはイメージがありますから、しばらくはそのイメージを踏襲した形で演じて、女優としてAYAがワンステップ上るというときに、自分にないキャラクターにチャレンジしていくのかなと。そういう意味では、つぎも、「日高さんって本当はこういう人なのかな」と勘違いしてもらえるように(笑)、文野亜弥みたいなキャラクターでいけたらと思います。それが私の野望です(笑)。

ーーゲームの内容について、発売に向けてシステムなどを一般の方に披露する機会はありますか?

安田 今日は会場限定でやらせていただきましたが、5月の中旬にゲームのシステムや遊び方を説明するPVを配信する予定です。5月下旬から6月上旬は、ゲームを理解していただくために、絵で感じていただける映像を配信しようと思っています。

ーーやり込み要素として、システムとギャラリーが紐付いていますが、その狙いは?

安田 このゲームを最後まで楽しんでいただいた方に対するご褒美のような位置づけです。ゲームの本編ストーリーモードをクリアーしていただける方は、そこのゲームクリアーで満足していただけると思いますし、それ以上ならサブストーリーにもハマっていただくような、ハードルを上げた設定です。ただ、何かを探すものは、1980年代のアドベンチャーゲームのように何かをクリックしないと出てこないというものではありません。スキップモードを仕えばエンディングをすべて解き明かすのは難しくはないですが、島根県の原風景を蓄えていただける方にギャラリーを見て欲しいという思いがあります。

ーー藤さんにご質問です。現状であまり出せる部分は少ない中で、いま出せる範囲内で読みどころ、注目してほしいところを教えてください。

 今回のライブイベントのシナリオも僕が書いたんですが、内容に大きく関わることを書きすぎて削除されたりということもあるんですが……(苦笑)。読みどころは、わかりやすく言うと、ミステリーもののテレビドラマの続きみたいなもので、謎が解けると思ったら、相手が豹変してしゃべらなくなる。でもそこから得られる情報でつぎに進み、最後までいくと真相がわかるという仕掛けになっています。あと、エンディングはトゥルーからバッドみたいなものまであるんですが、作家としてはほかのエンドでも辻褄があっているというのが見どころですね。バッドだからそれで終わりというのではなく、あのとき彼が話せなかった理由はこれか、などと考えて作っています。全部のエンドをやってもらうと、納得できると思います。

ーー実在の方をモデルにしたキャラクターを登場させるにあたって、気をつけたことは?

 おかしな行動をさせないようにはしました。強いキャラクター付けをすると、こういう人なんだねって思われたら困るので、言いかたは悪いですが、当たり障りのないようにしています。あと、キャラクターを考えるときに、どこどこ商店にこういう人がいて、やんちゃな人だとキャラクター付けをしてしまうと、じつは似た人がいて困る、みたいな話があったりしますね。

ーー放浪の作家についても教えてください。

 放浪の作家を入れようよと言われて書いたのですが、あとから「藤さんにしました」と言われて。だったらもっとカッコいいことを言わせればよかったですね(笑)。放浪の作家は俺かなと思いましたが、俺ですかと聞くのもナルシストっぽいじゃないですか(笑)。そうしたら後になって、「藤さんにしましたよ」と言われて、アレという感じでした。

ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

日高 今回のイベントで、島根の方々の暖かさに触れられました。まるで、故郷に迎え入れてくれたようです。宍道湖でお地蔵様を見て、作った側なのに、それが表現されたゲームの画面を見て楽しいと感じました。ご自身が主人公として、島根県を旅している臨場感を味わっていただきたいと思います。最近ゲームをやっていないなという方でも楽しめますので、青春時代のアルバムをめくるように遊んでいただけたらうれしいです。

 本作は、大人がやってもおもしろいんじゃないかなと思います。アルバムをめくって、自分が高校のときにこういうことあったな、という。そういう気持ちを思い起こさせることが、ゲームでもできるんだと感じました。年を取ってくると、ゲームって若い人のもんで指がついていかない、みたいになる方もいるかもしれませんが、『ルートレター』はそういうことがないので、自分が高校のときこういうことあったなと思い返しながら遊べると思います。

安田 ゲームというメディアを使って何らかの形で社会貢献ができたらいいと前々から思っていました。そういうことでいうと、当初思っていた以上に、島根県でいろいろな形で若い人たちを中心に盛り上げていこうということがうれしくて、いま花開かなくても、いずれゲームというものを使って自分たちの未来を切り開くといいますか、地域レベルで手掛けていかれるようなことが起こってくるんじゃないかということに期待できる、と感じられたのがうれしかったです。また、本作には、前々からアドベンチャーゲームに対して「こうなったらいいな」と思っていた仕組みを入れています。たとえば、AI的なコマンドを入れました。”考える”というコマンドを実行することで、理不尽なバッドエンドや先に進まないということをなくしています。じゃあ謎解きに対するコアゲーマーとしてのニーズにどう応えるかということについては、エンディングの方法に工夫することで、階層を作るようなアドベンチャーゲームにしました。ぜひ楽しんでいただければと思います。