プレスツアーで判明した新情報をチェック

 2Kのオープンワールドクライムアクションアドベンチャー『Mafia』シリーズの最新作『マフィア III』(対応プラットフォームはプレイステーション4、Xbox One、PC)。2016年4月13日~14日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコにて行われた『マフィア III』プレスツアーに参加してきたので、その模様をお伝えしよう。

 『マフィア III』の特徴は、オープンワールドの世界で描かれる犯罪劇で、初代『Mafia: The City of Lost Heaven』では1930年代、『Mafia II』では1940~50年代のアメリカを舞台にマフィアの成り上がる様を描く、シリアスなストーリーが上げられる。当時のアメリカ社会や街並みや時代を象徴するクラシックカーやファッション、音楽が忠実に再現されている世界観、そして奥深い重厚なストーリーは多くの評価を得ており、新設されたスタジオ“Hangar 13”による本作の仕上がりはシリーズファンだけでなく、多くのゲーマーが気になるタイトルだろう。

 今回のプレスツアーは、いきなりハンズオン(試遊)、発売元である2Kの新しい開発スタジオ“Hangar 13”のスタジオツアー、そしてHangar 13開発スタジオ代表兼クリエイティブディレクター ハーデン・ブラックマン氏らによるとプレゼンとインタビューという、短いスケジュールながら盛りだくさんの内容だ。ファミ通編集部は朝一番にハンズオンが組まれていたため、おそらく世界で一番最初にプレイした外部者とのこと! 世界が注目する大作を一番にプレイできた嬉しさと、ここで得た膨大な新情報と本作の素晴らしさに、取材中は終始開いた口がふさがらない状態だった。本稿ではそんな今回のプレスツアーの一部をリポートするので、少しでも本作の世界観が感じられれば幸いだ。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_02
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_01
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_03
▲ハンズオンの会場には、1968年当時の雑誌や絵画が展示。当時を思わせる雰囲気作りがすごい。

 まずは本作の概要と舞台について。舞台となるのは1968年のニューオリンズをモチーフとした架空の都市“ニューボルドー”。主人公のリンカーン・クレイは、幼いころに両親を失っており、家と居場所を求めていた彼にとって黒人ギャング団が彼の“家族”に近いものだった。ベトナム帰還兵と従軍後、故郷のニューボルドーへ帰還したリンカーンは、悪事に明け暮れた過去と決別すべく新たな道を歩もうとしていた。しかし、彼のファミリーであった黒人ギャング団がイタリアンマフィアの裏切りに遭い、壊滅。なんとか生き残ったクレイだったが、親、兄弟ともいえる存在を失ってしまい、復讐を誓うのだ。そのためには、敵を倒し街を支配するために、新たなファミリーを築き、頼もしい配下を増やして戦場仕込みの容赦ない攻撃で報復を遂げていくことになる……というのが、本作のストーリーラインとなる。ギャング・マフィア系映画が好きな人なら絶対に遊んでほしい内容だ。それでなくとも、オープンワールドの世界で展開されるストーリーは、ストーリーを重視するプレイヤーやRPGが好きな人にもぜひお勧めしたいところ。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_08
▲リンカーン・クレイ。ベトナム帰還兵の彼は、新たな道を歩むべく、黒人組織へ入りファミリーと呼べる場所を見つける。しかしイタリアンマフィアによって組織を壊滅され復習を誓う、アンチヒーローだ。

 ハンズオンでは、リンカーンがベトナム戦争で出会った友人で元CIAの“ジョン・ドノバン”との会話によるカットシーンからスタート。今回はジョンからダウンタウンエリアを統括しているイタリアンマフィアの情報を仕入れ、殲滅し、エリアを自分の統治下にすることが大まかな目的だ。

 最新技術で描かれるニューオリンズをモチーフとした架空の都市“ニューボルドー”には9つのエリアがあるが、今回はそのなかの“ダウンタウン”でいくつかのミッションをプレイできた。1968年のアメリカ南部の雰囲気を漂わせるニューボルドーは、建物やすれ違う人々、クラシックカー、バーから聞こえる当時を代表する音楽が没入感を高めてくれる。クルマのラジオから聴ける楽曲も、「The Animals」や「The Rolling Stones」などが手掛ける当時を代表する名曲が流れ、聞き覚えのある曲がさらに当時の雰囲気をかもし出しているのだ(もちろん、記者は1968年の雰囲気を知らないですけどね)。ただ歩いているだけでもかなりワクワクするこの街並みは、架空の都市とはいえやたらと真実味があり、1968年の混乱・革命で荒れていたアメリカの暗い雰囲気(※)が感じられるようなリアリティーに溢れていた印象だ。
※1968年のアメリカは、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動したキング牧師の暗殺、黒人によるデモや、当時の大統領の弟“ロバート・ケネディ”が暗殺されたりと、アメリカ史上もっとも騒乱に満ちた時代である。

 なおこのオープンワールドは、開発スタジオ“Hangar 13”による内製エンジンを使っており、ライティング、高いストリーミング(データを受信しながら同時に再生を行う方式)テクノロジーによるロード時間の短縮など、サードパーティーのエンジンでは成し得ないものだそうだ。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_26
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_11
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_12

 さて、カットシーンが終わりいよいよプレイへ。マップを開き、先ほど入手した情報からミッションがいくつか選択できるようになっている。それぞれのミッションには“ダメージリメイニング”と呼ばれる数値が設定されており、物語の核心を突くメインストーリーのミッションを選択するには、ミッションをこなして“ダメージリメイニング”を0にすることが必要になっていた。まずは比較的簡単そうなミッションを選択。少し離れた場所がミッションエリアとなっているため、ここで本作の特徴のひとつである“サービス”をつかって、クルマを呼び出してみることに。
 この“サービス”とは、リンカーンが築いたファミリーに所属する3人の幹部“腹心の部下”が提供するもの。アフロヘアーのハイチ系女ボス カサンドラは武器、アイルランド系ギャングのバークは通信妨害、そして前作『Mafia II』の主人公だったヴィトは増援を用意しており、必要に応じていつでも利用できるようだ。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_14
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_15
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_16
▲バーク
▲カサンドラ
▲ヴィト

 『マフィア III』で使われている内製エンジンはフィジックス(物理エンジン)にも力を入れており、運転で体感するクルマ自体の“重さ”も、忠実にシミュレーションされているとのこと。カーレース系が超ド下手な筆者はすこし慣れるまでに時間がかかり、対向車に追突したり何人も轢いてしまったが、慣れてしまうとスピードや臨場感、街を眺めながらのドライブを楽しめると実感した。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_27

 また先述したとおり、武器もサービスを利用して調達できる。武器サービスを選択すると、多数の武器を載せたクルマが到着し、そこで気に入った武器をお金で買って揃えていくといった仕組みだ。武器にはアサルトライフルやショットガンのほかにも、火炎瓶などが用意されており、それらをうまく組み合わせて使えば、敵を一網打尽にできるのかもしれない。

 さて目的地につくと、なにやら如何わしい会合を行っている人々を発見。ビル裏の比較的狭い場所で、屋上には見張りと思われるギャングの姿もあり、リンカーンひとりに対して敵は10人くらいと、数や立地からでは状況はこちらが劣勢だ。
 ここで彼らをせん滅するのだが、正面から突っ込むほかにも、ビルの屋上や裏口にいるギャングの背後に回って、ステルスプレイで倒していくことも可能なのが本作の特徴である。ただ力だけでねじ伏せるのではなく戦略を練ってのプレイもできるので、相当深みのあるゲームプレイが満喫できるといった具合だ。前作から大幅に遊びの幅が広がっており、ストーリー以外にも楽しめる要素がとても増えていると感じた。
 幅広い選択肢があるので、今回は正面からではなく、屋上にいる偵察者の背後へ近付きステルスプレイで敵をひとりずつ仕留め、屋上からの射撃ポイントを確保。地上にいる敵の中には増援を呼べる通信機器を使う者もいるので、まずはその敵をアサルトライフルで排除し、激しい銃撃戦へ。こちらは屋上から敵が丸見えなので、難なくクリアー。ミッションエリアには、敵の所有する重火器やトラックを爆破することで、さらにダメージリメイニングを減らせるのも確認できた。

 このようにミッションではさまざまなアプローチ方法があるので、地形や敵の数・配置などの状況に応じて攻略方法を変えていくのが、クリアーへの鍵となりそうだ。

▲映像はではクルマでミッションエリアまで移動し、ステルス移動で敵に気付かれずに屋上へ移動。そして標的をスナイパーで排除するまでの一連の動きが確認できる。どうやって侵入し、どうやって排除していくか、プレイヤーの思うがままだ。自分にあったプレイスタイルを見つけていくのもいいだろう。
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_10
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_13
▲エリアに置かれている重火器を撃つことで敵を爆発に巻き込ませ、一気にせん滅することも可能。

 続いて別のミッションを選択すると、エリアにいる敵から情報を聞き出せとのこと。サービスでクルマを手配してもらいミッションエリアへ向かうと、先ほどとは一転して開けた場所でなにやらギャングどうしがもめている様子。もちろんその場にいるギャングは敵なので、見つかったら即銃撃戦に発展する。しかし敵の重要人物から情報を聞き出さないといけないので、殺害してはいけないとのこと……。そこで、情報を持っている重要人物は脚を撃って行動不能にし、そのほかの雑魚は排除することにした。
 雑魚を倒し、重要人物から情報を聞き出すと、今度は重要人物に対して「逃がすか」、「殺すか」という究極の選択を迫られる。この選択肢によってその後のストーリーラインにどのような変化が見られるかは今回は確認できなかったが、選択肢によって変化する物語構造の組み合わせによって、街そのものの様相が変化していくそうだ。

▲中腰のステルス移動で敵に近づき背後をとったら、音を立てることなくダウンさせられる。戦闘中、銃の残弾数が減ってきたら、コンバットプレイでトドメを刺すのもいいかもしれない。
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_23

 先ほどのミッションで敵から入手した情報をもとに、マフィアと建設会社がなにやら怪しい動きをしていることを突き止めたリンカーン。アジトのひとつ“ハイドアウト”を突き止め、侵入することに。“ハイドアウト”はビルの建設現場のような場所で場所も広く敵も多い超危険エリア。リンカーンひとりでは心細いので、ここでヴィトが提供するサービスを利用して3人のギャングを援護として呼び、正面突破することに。援護は死んでしまっても再度サービスを使って手配できるので、積極的に使っていくのがいいだろう。

▲ハンズオンで確認できたカットシーンのひとつ。何やらお金を詰めている男性が計画をしくじってしまった様子。今回のハンズオンは英語でプレイしたためカットシーンの内容は詳しくは理解できなかったが、“フィルム・ノワール”らしさは色濃く感じる。
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_09

 建設現場でのミッションを終えると、敵のボスに関するカットシーンへ。そしてボスがいるホテルの場所を突き止めたリンカーンは、またしてもアジトとなるオフィスへ潜入を試みることになる。オフィスへの侵入方法は、エントランスからアプローチする方法と、地下駐車場からステルスプレイで偵察を排除し、気付かれないように侵入する2種類があるようだ。今回は時間の都合上、エントランスから正面突破したため、エントランスでいきなり銃撃戦が始まるハードな展開に。エレベータにのって目的の階層へ着くと敵が待ち構えており、ここでも初っ端激しい銃撃戦が展開される。狭い屋内での戦闘では、机などの遮蔽物に隠れながら(カバーリングしたまま)、銃身だけをだして制圧射撃をしたり、素手で敵の息の根をとめる豪快なプレイも楽しめた。もちろん、何度か死にかけたが、いくつかの部屋にはヘルスパックがおいてあるので、それらも積極的に使えばゲームオーバーになることはないだろう。
 激しい屋内戦を終えてボスの元にたどり着くリンカーン。ネタバレになるので詳しいことは言えないが、衝撃の結末が待っている。ここまでプレイして、いつのまにかひとつの映画作品のような重めのストーリーに引き込まれ、没頭している自分がいたのを覚えている。

▲敵のイタリアンマフィアのオフィスへ単身特攻するリンカーン。本作の戦闘はカバーアクション主体で、遮蔽物に隠れながら敵を銃撃していくのが基本だ。もちろん正面からショットガンをぶっ放していくことだってできるし、バルコニーを利用して敵の裏をかくことも可能だ。
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_17
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_19
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_20
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_18
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_21
【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_22
▲正面からショットガンをぶっ放していくことだってできるし、バルコニーを利用して敵の裏をかくことも可能だ。

 という訳で“ダウンタウン”エリアのボスを倒し、エリアの支配権を手に入れたリンカーン。今回は数多く用意されているミッションの中から要所を押さえたミッションをこなしていくだけだったが、たった1時間半のプレイでも映画のようなカットシーンやストーリーテリングはとても印象に残っている。本作は“ストーリーに重きを置いている”と実感できる内容であった。

 さてプレイの最後には、3人の腹心の部下の誰にダウンタウンを管理させるか選択するシーンへ。ここでは誰にエリアを管理させるか(報酬を渡すか)によって、受けられるサービスの変化(グレードアップ)や態度が変化する。さらに腹心の心理状況によっては、今後のストーリーも変化するので、慎重に判断しないといけない。
 今回はカサンドラにダウンタウンの管理を任せることを決定すると、ヴィトとバークはめちゃくちゃ怒り狂う始末に(笑)。文句を言うヴィトとバークにリンカーンが「気に入らないなら、ファミリーから出て行け!」と捨て台詞を吐き、ハンズオンは終了した。もちろん、平等に報酬を分け与えることもできるし、誰かひとりだけに報酬を与え続けることもできる。そのさじ加減によってゲームのストーリーは変わってくるとのことで、プレイヤーは彼ら3人とどう向き合っていくのかという点も楽しめるという訳である。

【プレイ動画追加】『マフィア III』2Kの超大作を“世界最速プレイ” オープンワールドで展開されるシリアスで重厚なストーリーは圧巻_25

 自分なりのやりかたでファミリーを拡大し、腹心のだれに報いていくのか。プレイスタイルの向上もさることながら、作りこまれたストーリーテリングはとても期待できる内容だった。週刊ファミ通(5月12日発売号)では、Hangar 13開発スタジオ代表のハーデン・ブラックマン氏、エグゼクティブ・プロデューサーのアンドリュー・ウィルソン氏、そしてリードライターのウィリアム・ハームス氏のインタビューを掲載予定。ぜひそちらも併せてチェックしてほしい。