記者たちはポーランド軍事技術博物館で本物を戦車に触れる

 全世界で1億1000万人のユーザーを持つ、ウォーゲーミングのオンラインタンクバトル『World of Tanks』。その世界大会である“Wargaming.net League 2016 Grand Finals”(通称“The Grand Finals 2016”)が、2016年4月8日、9日の両日(現地時間)ポーランドの首都ワルシャワで開催される。大会では、世界各地のサーバー(アジア、CIS、ヨーロッパ、アメリカ、中国)の予選を勝ち抜いた上位2チームと、開催国ポーランドのワイルドカードチームの12組が世界一を目指して戦うことになる。1位が15万ドル(約1620万円)、2位が75000ドル(約840万円)というから、相当白熱した戦いになることが予想される。大会の模様はTwichやニコニコ生放送でも配信されるので、ぜひとも注目していただきたいところだ(放送は4月8日午後18時45分からを予定)。

Wargaming.net League 2016 Grand Finals配信サイト
※ニコニコ生放送【WorldofTanks】世界大会 WGL The Grand Finals グループリーグ(1日目)
※ニコニコ生放送【WorldofTanks】世界大会 WGL The Grand Finals 決勝大会(2日目)
※Twich配信サイト

 もちろん、ファミ通.comとしてもこの一大イベントを見逃せるはずがない! というわけで熱戦をリポートすべく記者が現地入りしたところ、初日に、ポーランド軍事技術博物館のプレスツアーに参加する機会を得た。こちらは、“The Grand Final 2016”に先駆けて、日本の取材陣に本物の戦車を体感してもらおうと、ウォーゲーミングジャパン主催により実施されたもの。

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▲ワルシャワの繁華街からクルマで30分程度のところにポーランド軍事技術博物館はあった。

 ポーランドで軍事系の博物館というと、ポーランド軍事博物館が有名で、そちらも戦車などが展示されているようだが、あくまでポーランドの歴史全体の中の一部という位置づけであるのに対して、こちらは戦車や戦闘機などの近代戦兵器にフォーカス。ワルシャワの戦場を博物館に転用したというポーランド軍事技術博物館は、聞けばボランティアの10数名で運営しており、政府から戦車や戦闘機を譲り受け、修復(“レストア”というらしいです)し展示している。言わば兵器好きの有志が手弁当で展開しているといった趣き。そんな話を聞いたせいか、郊外の中古車売り場を思わせるような(失礼!)だだっぴろい草地に戦車や戦闘機が並ぶさまは、どこかのどかで牧歌的に見えてしまう。とはいえ、そこにはミリタリーファン垂涎の兵器が並ぶ、一大スポットなのだ。

 今回、ポーランド軍事技術博物館の案内役を駆って出てくれたのは、“オペちゃん”。ポーランド軍事技術博物館のボランティアスタッフのひとりにして、ポーランドと日本を股にかける軍事系のジャーナリストでもある。『ガールズ&パンツァー』をこよなく愛しており、同作界隈では相当な有名人でもあるようだ。取材陣はオペちゃんの堪能な日本語による豊富な知識を聞かせていただきながら、ポーランド軍事技術博物館を巡った次第。

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▲もともと戦場だったというだだっ広い空間に戦車がずらりと並ぶ。
▲日本が堪能で、ポーランドの軍事関係に詳しいオペちゃん。『ガールズ&パンツァー』の熱烈なファンだったりする。
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 戦車コーナーで展示されていたのは、おもに第二次世界大戦にポーランドで活躍した車両。おおむね旧ソ連で制作され、ポーランドに持ち込まれた戦車が多いようであるが、T-34シリーズやISシリーズが展示。とくに重戦車のIS-3は『World of Tanks』でも、「火力と機動力のバランスが取れた使いやすい車両で、ユーザーさんからの人気も高いです」(ウォーゲーミングジャパン・広報さん)ということで、取材陣からアツい視線を浴びていた。というわけで、せっかくの機会なので、ポーランド軍事技術博物館で展示されていた戦車の数々を紹介する。

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▲T-34/76。
第二次世界大戦におけるポーランドの主力中戦車T-34の初期型。76.2 mm 砲を装備。
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▲いずれもT-34-85。
T-34の改良型で、85mm砲を搭載。
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▲IS-2m。
ソ連で制作されたIS-2の改良型。122mm砲が圧巻。
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▲IS-3。
第二次世界大戦の末期に制作。実際には第二次世界大戦には投入されなかったようだ。
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▲T-55U。
戦後第一世代と言われる戦車T-55。T-54をベースにしたのがT-55U。
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▲ちなみに、ポーランド陸軍のマークも第二次世界大戦を境に変わったようです。第二次世界大戦までのほうが(左)手書き風で味があったり。
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▲T-55AM。
T-55の改良版で、同じT-55でありながらT-55Uとは横幅が異なる。フォルムもどこかモダン。
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▲T-72。
1971年にソ連で制作された主力戦車。
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▲PT-76。
水陸両用の軽戦車。
▲SU-76。
第二次世界大戦下に制作された自走砲。ちなみに自走砲とは、自走可能な車体に射撃可能な状態で大砲を搭載した車両。
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▲SU-85。
T-34をベースに制作された自走砲。『World of Tanks』ではソ連の駆逐戦車として登場。
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▲ISU-152。
こちらも『World of Tanks』ではソ連の駆逐戦車として登場。個性的な面構えが取材陣の目を引いた車両。152mm砲が圧巻。
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▲ASU-85。
対戦車自走砲でPT-76の車体を利用して開発されたらしい。
▲セクストン。
第二次世界大戦下にイギリスで制作されたセクストンも展示されておりました。『World of Tanks』にもイギリスの自走砲として登場。
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▲建物の中には第二次世界大戦前の戦車も展示。こちらは、ポーランドで制作された豆戦車のTK-S。豆戦車だけあってコンパクト。
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▲ルノー FT-17 軽戦車。
ルノーということでフランス製。第一次世界大戦中に始めて投入。かわいいフォルムが印象的。

 こうして実際の戦車を目の当たりにすると、その存在感たるや圧倒的。第二次世界大戦というと、個人的には少し前の出来事に思えてしまうが、当時使用されていた戦車を目の当たりにすると、現実感がひたひたと押し寄せてくる。かつて、『World of Tanks』の関係者に取材したときに、「ヨーロッパでは街中に戦車が放置されているところもあり、戦車は日常的」といった趣旨の発言を聞いた記憶があるのだが、かつて使用された戦車などに身近に接することで、第二次世界大戦をリアルに“いま”に近い感覚で捉えているのだろうなあと思わせた。

 さて、記者陣に取ってのポーランド軍事技術博物館のハイライトといえば、実際に戦車のコクピットに入れたことだろう。やっぱり男子たるもの、1度は戦車や戦闘機に憧れたことがあるかと思うが(断言!)、そのコックピットに入れるなんて、まさに夢が叶えられたよう。実際に入った戦車(T-55U)のコクピットは、思った以上に狭い! しかも戦車には、車輌を指揮する車長と操縦を行う操縦手、射撃を行う砲手、砲弾の装填を行う装填手の4名が搭乗するというから、相当なストレスだろうことは想像できる。とはいえ、妙に落ち着く空間であることも確かで、「いつまでも出たくない」という他メディアの方の言葉にも納得できる。やっぱり戦車はロマンなのだ!

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▲興奮の赴くままにT-55Uの内部を撮影。とにかく狭いが精密機器がいっぱい。コクピット内のオペちゃんもうれしそう。
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▲ついでに……と言うとなんですが、隣に展示してあったIS-3に飛び移って中を撮影。こちらは何もありませんでした(左)。車両上には機銃も(右)。こんなところで戦場に出たら、記者だったら恐怖のあまりちびってしまうだろうなあ……と思ってみたり。
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▲このIS-3は、敵軍から強奪したあとで、貫通テストなどに使用されていたようで、そこかしこに弾のあとが……。

 と、無理やりまとめたところで、いよいよ開幕する“The Grand Finals 2016”をお楽しみに! と、いイベントの開始時間も近づいてきたので、以下、ポーランド軍事技術博物館のそのほかの展示内容を駆け足でお届け!

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▲対空戦車も。
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▲地雷を設置する車両のようです。
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▲施設内にはドイツ軍の兵器も展示。概ね破壊されています。こちらはティーガーII。
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